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「ーーーーー」

教室内で、ソワソワとした様子を見せては、

恥ずかしそうにしている女子生徒がいたー。


か弱い感じの雰囲気で、大人しそうな感じの

可愛らしい少女ー。


「今井さん、俺にチョコくれるかな~!」

少女の座席の近くで、男子数名が集まって、

”わざと”彼女に聞こえるようにそう呟くー。


「優香(ゆうか)から本命チョコもらえたりしてな~!」

男子の一人がそう呟くー。


「ーーでも、今井さんチョコなんて作れるのかなぁ~」


男子生徒たちが、チラッチラッと、

”今井さん”のほうを見つめながら、そんな会話を続けるー。


「ーーーーー」

”聞こえないフリー”

彼女はあえて、それをしていたが、やがて、

身体をぷるぷると震わせながら叫んだー


「あ~~もう!うっせぇぞおまえら!

 何が今井さんだ!

 何が優香だ!


 いいか?

 お・れ・は・お・と・こ・な・の!」


可愛らしい声で叫ぶ少女ー。


「ーーーでも、ついてないじゃん」

笑いながら男子生徒の一人がスカートの上から

彼女の身体を触るー


「ーさ、触るんじゃねぇよ!

見た目は完全に少女ー


けれどー

彼女はー


「ーいい加減諦めろよー。

 お前は、”今井 優香さん”なんだからさー」

男子生徒の一人が言うと、

優香は、顔を真っ赤にしながら

「う、うるせー!ってか勝手に名前つけんな!」

と叫ぶー


「俺は!こんな格好したくないし!

 こんな風に、髪も伸ばしたくないの!

 分かるか?!」

優香の言動は完全に男だー


見た目は完全に女子ー

けれど、言動は完全に男子ー。


彼女ー、今井 優香は”男の娘”ではないー。

その証拠に、ちゃんと”アレ”はついていないー、


かと言って”ボーイッシュな女子”でもないー。


今井優香はーーーー


「ー俺は、今井 優吾なんだよ!」

大声でそう叫んだー。


彼女はー、

いや、彼は2か月ほど前に”突然女体化”してしまい、

それ以降、女子として生きることになってしまったのだー。


当然、急に女になってしまったことで、優吾はひどく焦りを覚えて、

最初は家族にも信じてもらえず、本当に大変な日々を過ごしたー。


だが、ちょうど年末年始のタイミングで両親や学校側とも

話し合いがつきー

結果ーー

”女子高生”として高校に通うことになってしまったのだー


色々検査を受けたものの、女体化した原因は”まったくの謎”

何も分からない状態だったし、

元に戻れる気配もないー。


最終的に家族や学校と相談して決めた道がー

”女子として生きること”だったー。


クラスでも最初は混乱の声が上がったー。

男子が急に女子になるなんて、普通はあり得ないことだし、

当然のことだー。


だが、3学期が始まって1か月ちょっとー。

今では優吾は”女子”として自然に扱われていたー


「ってかなんだよ、優香ってさー」

優香が不貞腐れた様子で腕を組みながら呟くー


”もしも将来的に男に戻れないのだとしたら、

 ”優吾”のままだと、色々と不便だろ?”ということで、

元々の名前と一文字違いの”優香”という名前を

学校で使用することになってしまったのだったー


母親と父親も”いいですね、それー”などと、すぐに納得してしまったため、

学校では、優吾は優香になってしまったのだったー。


「いいか?身体はどうなっても、俺はお・と・こなんだよ!

 だからーチョコなんてあげるわけないだろ。

 むしろ俺は貰う側だよー」

優香が不機嫌に呟くと、親友の信二は苦笑いしながら言うー。


「ーーって言ったって、どうせお前、男の時だって

 チョコもらえなかっただろ~?」

信二が言うと、優香は「うるせ~!」と叫ぶー。


女体化する前の優吾はお調子者な性格で、

男子の友人は多くいたものの、

女子ウケは悪く、持てないタイプの男子だったー。


「ーーと~に~か~く、俺は男!ついてなくても男!わかる?」

優香がそう言い放つと、

親友の信二は少し目をそらしながら、

「お前…スカートでその座り方は、いい加減やめろー…見えるー」と、

恥ずかしそうに呟くー。


「な、なんだよ…」

優香も顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうにスカートを整えて

中身を隠すー。


「ーお、女扱いするなってー」

優香は親友から女扱いされたことに恥ずかしそうにしてー、

信二は、優香のスカートの中が見えてしまったことに恥ずかしそうにしているー。


周囲の友人たちも戸惑いながら、苦笑いしていると、

優香は「と…とにかくー…俺は…俺は男なんだよ」と、

少し自信のなさそうな声で、そう呟いたー。


明日はバレンタインデー。

だが、優香は、あくまでも”今井 優吾”として、

バレンタインデーを過ごすつもりでいたー。


「ー俺は男だー…あげる側じゃなくて、もらう側だし!」

一人、不貞腐れた様子で呟く優香ー。


まぁ、どうせチョコを貰えやしないー。

今までもそうだったし、これからもそうだろうー。


だがー

そんな優香の想いとは裏腹に

”女子たちの間で”あることが画策されていることをー

優香はまだ、知らなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


「ーーーーーーーーっ」

優香は、女子トイレに入ると、顔を赤らめながら個室に入るー


「ーーくっそ~~…なんか、悪いことしてるみたいで、だめだー」

優香は表情を歪めながら、女子としてトイレを済ませるー。


最初は”意地でも俺は男子としてトイレを済ませるんだ!”などと

言っていたが、だんだんと、それが難しいことだと、嫌でも

理解せざるを得なくなり、今はこうして、学校側と女子生徒たちとも

話し合った末に、女子トイレを使うことになっているー。


とにかく、色々あって、今の形に落ち着いているー。


「ーーーーー」

教室にいつものように入ると、女子生徒たちが

「あ、優香!」と笑いながら手を振るー。


「ーーーーな、なんだよー」

優香は恥ずかしそうに女子たちのほうを見ると、

女子の一人が、優香にチョコを手渡したー


「ーーはっ!?え…!?え…」

顔を真っ赤にしてチョコを見つめる優香ー。


「ーーえ…え、、えっとー」

優香が顔を真っ赤にして返事を困っていると、

女子たちが笑いながら、

「ーちょっと~!何恥ずかしそうにしてるの~?」と呟くー。


「ーいつも女子同士で、チョコ交換してるの、知らない~? 

 今井さんも、ほら、今年から女子なんだし!」


女子たちにそう言われてー、

優香はさらに顔を赤らめるー。


”元男子”ー

しかも、本人が”俺は男だ!”と主張し続けているー。

そんな状況だとー、嫌われてしまいそうー…な、感じもするー。

しかし、優香の場合は、そうはならなかったー。


優香自身のリアクションが面白かったり、

女子たちから人気のある担任のイケメン教師が

”女になっちゃって、困ってる今井のこと、みんな、色々教えてやってくれ”と

クラスの前でお願いしたこともありー、

”優香”として過ごす女体化した優吾は、女子たちに

結果的に受け入れられていたー。


「ーーはい!優香ちゃん!わたしのチョコも!」


「~~~~~!」

優香は顔を真っ赤にして「えっ!?」と、戸惑ったー


その女子生徒は、女体化した優吾が”女体化する前”に

好きだった女子生徒だったからだー。

いや、今でも好きだー。


「ーーあ…ぁ…ぅ…お、、俺は…おとこ…」

優香は顔を真っ赤にしながらそう言うと、

「ーーーえ~?でも、これ、女の子同士の

 チョコ交換なんだけど~」と、他の女子が呟くー


「ーーぅ…ぁ…ぁ」

今まで義理チョコすらほとんど貰ったことない優吾は、

女体化した自分の身体を少し見つめてから、

両手に抱えた”友チョコ”を見つめるー。


「ーーーあ…ぅ… お…俺も…女子でいいかも…」

ニコニコしながら言う優香ー。


「ーーー…え、、えへへ…お…俺、あ、いや、わ、わたし…」

優香が嬉しそうに、急に女々しくなったのを見て、

少し離れた場所からその様子を見ていた親友の信二は、

「あいつ、都合のいいときだけ女になるんだな」と、苦笑いするー。


そして、信二は立ち上がると、

「お~い!優香ちゃん!親友の俺にチョコは~?」と、

ニヤニヤしながら近づいていくー


「なっ…え?ち、ちが!俺は男だ!

 誰がお前にチョコなんて渡すか!」


優香が顔を真っ赤にしながらそう叫ぶと、

女子たちが「え~…?男子なの~?」と少し笑いながら呟くー


「え…あ、いや…わ、わたしは…じ、女子に決まってるでしょ!」

優香は”せっかくもらった友チョコ”を抱えるようにしながら言うー。


「ーへ~…やっぱお前、心も女の子になっちまったのか」

信二が言うー。


「ーーは!?ち、ちげーよ!これは…俺はー」

優香は信二のほうを見て”俺は男だ!”と主張するー


「え~?」

女子たちの声が聞こえて、

今度は女子たちのほうを見て”お…お…じょ、、女子だもん!”と叫ぶー


「ーーーーへへ~?」


「ーーーえ~~?」


男子と女子から挟まれて、あたふたし始めた優香は

「ーーーお、、俺は、、都合のいいときは男子で

 都合のいいときはわたしは女子なの!」と、叫んだー。


へなへな座り込んで恥ずかしそうに叫んでいる優香を見て、

女子たちも、親友の信二たちも笑っているー。


優吾は元々、反応の面白い男子生徒だったものの、

か弱い雰囲気の姿に女体化してから、より面白い反応を

示すようになっているー


「も~揶揄いすぎ!」

女子生徒たちが言うー。


「お前たちだって!」

信二が言い返すと、女体化した優吾=優香は、

恥ずかしそうにしながら、

「お、お…俺は、や、やっぱ、男だし!」と言いながら

「ーじ、女子としての友チョコなら、これは受け取れないから!」と、

机に女子たちから貰ったチョコを置くと、

恥ずかしそうに退散していったー。


”ーーどう見てもー…

 もう、女子なんだよなぁ…”

信二は、立ち去っていく優香の後ろ姿を見ながら

そう呟いたー。


姿が女子になったからー。

もちろん、それもあるー。

しかし、それ以上に、既に優吾は、

完全に、優香として女子になりつつあるー。


そんな風に信二は思うー。


仕草や、言動ー

何もかもが、女体化してから2か月ー

だんだんと”女子そのもの”になりつつあるー。


本人がどんなに”俺が男だ”と主張してもー、だ。


それにー、

本人もだんだんと”そうじゃない”と思い始めている気がするー。


けれど、それを認めてしまったら、身も心も女になってしまうー、と

必死に”俺は男だ”と、無理に否定を続けているー


そんな、気がするー。


信二は、ふぅ、とため息をつきながら

あるものを手に、女体化した優吾のあとを追ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーー…優香」


「ーーその呼び方、やめろよ」

不貞腐れた様子で呟く優香ー。


「ーだって仕方ないだろー…?

 学校はともかく、外ではお前のこと優吾優吾呼ぶわけには

 いかないしー」


「ー優吾って女子もいるかもしれないだろ」


昼休みー。

あまり人の来ない廊下で不貞腐れていた優香を

捕まえると、

信二は、少しためらってからー、

何かを差し出したー。


「ーーーえ」

優香が表情を歪めるー。


「ーーーーー」

信二が差し出したのは、バレンタインチョコだったー


「ーーえ……え…??は…え…?」

優香が表情を歪めるー。

まるで意味が分からないー、と言わんばかりに

困惑していると、

信二は「ーー……その…なんだ…あれだよ…ほら」と、

チョコを指さしながら顔を赤らめているー。


「ーーな、、なんだよ…これ…?」

恥ずかしそうにしながら戸惑っている優香に対して、

信二は「ほ…本命チョコー」と、顔を真っ赤にしながら

言い放ったー


「ーーあ…????」

戸惑う優香ー。


「ーその…なんだー…?

 お前のこと、放っておけないっていうかー

 ほら…俺と…付き合ってほしいっていうかー…?」


信二がソワソワしながら言うと、

「はぁ…!?い…意味がわからねぇ!」と優香は戸惑いの声を上げるー


「だから俺は男ー」


「ーー無理すんなよ!」

信二はそう言って、優香のことを突然抱きしめたー


「ー!?!?!?!?」

顔を赤くしながら優香は困惑するー


「ーお前、だんだん女子っぽくなってるー!

 行動も、何もかもー。

 最近は”俺は男だ!”ってのも、無理して言ってんだろー?

 もう、無理しなくていいんだよー。

 無理してるお前を見るのは、つれぇよ」


信二がそう言うと、優香は、あたふたしながら信二のほうを見たー


「ーお…俺が女になったからって、俺のことーそういう下心でー」

優香が戸惑いながら言うと、信二は「ちげぇよ!」と叫ぶー。


「ーお前が男でも、女でも、俺はお前のこと、好き…?いや…

 まぁ、好きだからさ!

 お前が男なら一番の親友で、お前が女なら一番の彼氏でいたいって

 …そ、そういうことだよ!

 お前がまた男に戻ったら親友だし、女なら彼氏だしー」


信二がそう言うと、優香は顔を赤くしながら

信二からの本命チョコを受け取ったー


「ーーそ…その…あ、ありがとう…ございますー…」

挙動不審な動きをしながら信二に向かってそう言うと、

優香は顔を真っ赤にしながら、

「で、でも…俺…女子っぽい振る舞い…満足にできないかもしれないしー」

と、困惑の表情でそう呟くー。


「ーお前のこと、元男子だって知ってる俺だからこそ、

 色々ほら、配慮もできるし!」

信二がそう言うと、優香は「じ…じゃあ…」と、

信二の彼女になることを承諾したのだったー



昼休みが終わりー、

教室に戻る最中ー、

ふと優香は言葉を口にしたー


「でもさー…本命チョコ、男から女にって…

 普通、逆じゃん」

優香が言うと、信二は頭を掻きむしりながら、

「確かにそうだったなー」と、呟くー。


そして、恥ずかしそうに笑いながら、

「ー親友が急に女子になったからー

 ほら…俺も色々、頭がバグっちまってさー」と、

信二は照れくさそうに呟いたー。



この日を境にー、

女体化した優吾は、”俺は男だ!”と、意識的に

無理して言うことはなくなりー、

女体化した直後のように、悩むような素振りも

あまり見せなくなったのだというー。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


せっかくのバレンタインデーなので、

バレンタイン女体化モノでした~!


1話完結で書いたので、少し駆け足気味で

混沌としている感じですネ~笑


お読みくださりありがとうございました~!☆


明日は「お兄ちゃんもうやめて」の続きの予定デス~!

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