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優美香は帰宅すると、

”変わり果てた”自分の姿を鏡で見つめながら

椅子に座り、笑みを浮かべたー


「クククー」

優美香は笑みを浮かべるー。


”優美香”を

”俺好み”に染めてやったー。


”人間を皮にして、着る”

それは、彼にとって、”着たい洋服を選ぶ”のと同じことー。


優美香は、彼にとって”日々の洋服”と同じだー。


乗っ取られてー

まるで別人のように豹変した優美香は、

鏡のほうを見つめて、

嬉しそうに笑みを浮かべたー


本人がどんなに悲しくてもー

どんなに辛くてもー

どんなに助けを求めているとしてもー


笑わせることができるー


本人の意思など、関係ないー。

乗っ取りさえすれば、何をさせることだってできるー


「ーーー最高だぜー」

優美香はそう呟くと、自分の身体をイヤらしい手つきで

触り始めたー。


これはー

”とある女子高生”が

SNSで知り合った男に皮にされるまでの物語ー


(第6週)


★前回はこちら↓★

<皮>SNSで知り合った男に皮にされるまで⑤~陰険~

「ーーーあれ…?もしかして優美香ー…?」 乗っ取られた優美香は、今日も夜の街で欲望の限りを尽くしー、 街を歩いていたー。 そんな中、背後から声を掛けられて、優美香は立ち止まるー。 「ーーーーー誰?」 優美香が振り返るー。 ”へぇー…こんなに”俺好み”に何もかも変えたこの女の姿を見て、  優美香って分かるやつが...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


2月20日


紗枝は表情を歪めたー。


昨日から、優美香と連絡がつかないのだー。


「ーー優美香ー…」

紗枝が心配して、優美香の家にまで足を運ぶー。


するとー

優美香の両親から、信じられないことを聞かされたー。


”優美香は昨日から、帰ってきていない”

とー。


両親も、今朝、警察に捜索願を提出し、

必死に優美香の行方を追っているのだというー。


「ー何か…トラブルにでも巻き込まれたのかなー…?」

紗枝はそんな風に思いながら、

最近の出来事を思い出す。


”タクヤ”


パズルゲームのオンライン対戦で優美香が知り合った

プレイヤーの一人で、タクヤとのトラブルについて、

紗枝も何度かその相談に乗っていたー。


そのタクヤに何かされたのかもしれないー。

そんな風に思いながら、紗枝は不安な表情を浮かべたー。



2月21日


優美香から聞いていた話を元に、

紗枝は”タクヤ”のツイッターのアカウントを発見して、

タクヤと連絡を取るー。


”ーー”ゆみ”の友達ですー

 先日から、ゆみと連絡が取れないのですが、

 何かご存じじゃないですか?”


単刀直入にコメントを送る紗枝ー。


タクヤのツイッターやSNSには”優美香の悪口”が

いくつか書き込まれていたー。


やはり、タクヤは優美香のことをよく思っていないー。


しばらくすると、タクヤから返事が返ってくるー。


その内容はー


”ーーーごめん…悪いけど、俺は知らない”

と、いう返事だったー。


「ーーーー」

紗枝は、タクヤからの返事を見て表情を歪めるー。


「ーー知らないなんてわけないでしょ…」

紗枝は、タクヤのツイッターを見つめるー。


”優美香の悪口”を書き込んでいるのは、

2月19日の午前中までー。

ちょうど、優美香が消息を絶った時間以降は、ぱったりと

その悪口が止まっているー。


(優美香…必ず助けるからねー)

紗枝は、そんな風に思いながら、タクヤとのやり取りを続けたー



2月22日


「ーーーーう…」

優美香が目を覚ますー。


目を覚ました場所はー

”見知らぬ家の中”だったー。


アパートの一室ー、だろうか。


「ーークククー…目が覚めたか」

背後から声が聞こえるー。


拘束された状態の優美香は、

必死に背後を振り返ろうとするが、

身体の力が上手く入らないー。


「ーー初めてお前と話したときから、俺は確信してたよー

 お前は、”俺好みの洋服だ”ってなー」

男の声ー。


優美香は、「ど…どういう…」

と、言いかけて、部屋のカレンダーを見つめるー。


"2月22日”ー


優美香の意識は、19日から飛んでいるー。


「ーーえ」

優美香は表情を歪めたー


19日の土曜日ー、

優美香は、タクヤの件で、同じくパズルゲームを通じて知り合った

”ririko”こと、凛々子に会いに行く途中だったー。

その最中に、突然力が抜けてー…


「ーーーへへへ 驚くなって…

 今はお試し期間中ー。

 この数日”お前”を着て生活してたけど、なかなか良かったよー。

 もう数日、お前を着て、俺の中で”合格”になったらー…

 お前は、完全に俺の服になるんだー」


言ってる意味が分からないー

優美香は、そう思いながら必死に身体を動かそうとしたがー

椅子に拘束されていて、それは叶わなかったー



2月23日


”これ以上、とぼけるなら、警察にあなたのことを通報するから!”

優美香の友人、紗枝は”タクヤ”に対して

そうメッセージを送ったー。


既にニュース番組でも優美香の失踪の件が放送されている状況ー


タクヤは、”警察”という言葉に驚いたのか、

紗枝に対する態度を急に変えたー。


”ごめん…本当に悪かった!許してくれ!

 でも…でも俺は、ゆみちゃんに一度も直接会ったことはないし、

 そもそも姿も住所も知らない!

 そんな俺がどうやって、ゆみちゃんに危害を加えるっていうんだ…?


 悪口を書いたのは、謝るー…でも、俺じゃないー”


タクヤは必死にそうメッセージを返信してくるー。


紗枝は”エンジョイゲーマーおばさん”と”ririko”にも相談し、

さらに”タクヤ”を追求することにするー。


だがー

優美香の行方は分からないままー。

焦りばかりが膨らんでいくー。



2月24日


”優美香が消えた日から、ちょうど優美香の悪口が止まってる”

紗枝は、そんな指摘をタクヤに送るー。


だが、タクヤは

”ゆみちゃんの悪口を書いてたら、親友の”レオン”に怒られたんだよー

 だから、やめたんだ”

と、説明してきたー。


すぐに紗枝は”レオン”のアカウントも見つけて確認を取るー。


”レオン”と”タクヤ”の話は確かに一致していたー。


口車を合わせている可能性もあるが、

この数日、タクヤを問い詰めた感じでは、

タクヤが優美香の失踪に関わっている可能性は低いー…


紗枝は、そう思い始めていたー。


そして、”エンジョイゲーマーおばさん”の意見も同じだったー。


タクヤはー


ただ単に”女子プレイヤー”に、近付く下心のあるチャラい若者ー


それにしか、見えないー…

とー。


「じゃあ…優美香は、何に巻き込まれたって言うの…?」

不安そうに、紗枝はそう呟いたー。



2月25日


「ーーーーーー!!」

優美香が目を覚ますー。


「ーーーおめでとうー」

背後から男の声が聞こえるー。


「ー約1週間、お前の身体で過ごしたけどー

 最高だよー


 ”今、着ている服より”も、気に入ったー


 だからー

 前の服は処分してーー

 お前に乗り換えることにするよー」


男の言葉に、優美香は「ど…どういうこと…!?」と、

悲鳴に似た叫び声を上げるー。


するとー

男が、優美香の視界の中に、姿を現したー


「ーーー!!」


タクヤではないー。

レオンでもないー。

優美香の、知らない男だー。


「ーーーあぁ、一応はじめましてじゃないんだけどー

 これじゃ、分かんねぇか」


男は笑みを浮かべると、


「ーーこれなら、分かるかー?」

と、笑みを浮かべながら、何かを手でつかんだー。


それはーーー


「ーーーーー!!!!」

優美香は驚きの表情を浮かべたー。


「ーーーー”ririko”ーーーー」

優美香の目の前にいる男が手にしたのはー


”皮のようにペラペラになった”ririko”ことー

 倉科 梨々子ー”


同じ女子高生で、オンライン対戦で知り合った仲間の中で

最も親しくしていた少女ー。


「ーーへへー」

男は、小さなネットニュースの記事をスマホで見せつけたー


そこにはー


”女子高生 先月から行方不明”

という、だいぶ前のニュース記事が表示されていたー。


”ririko”は、優美香と知り合った時点で、

既に、乗っ取られていたのだー。


「ーーー梨々子より、お前のほうがより、俺の好みだー。

 俺の新しい”服”にふさわしいー」


梨々子の中にいた男は、そう呟くと、不気味な笑みを浮かべたー



2月26日


”わたし、引っ越しすることになりましたー

 忙しくなるので、当分浮上できないと思いますー。”


”ririko”からそんなメッセージが届くー。


紗枝は「うん…わかった!」と何も疑問に思わずに返事をするー


”ririko”は、それを最後にー

紗枝の前にもー

いや、誰の前にも二度と姿を現さなかったー


この日、男は、長い間乗っ取っていた梨々子を脱ぎ、

梨々子の皮を”処分”して、

優美香を完全に乗っ取ったのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”現在”ー。


「宮渕優美香が動き出しましたー」

若い刑事が報告すると、

捜査責任者の男は「目を離さないでくださいー」と、だけ告げて立ち上がるー。


”人を皮にする注射器”

それを使った、犯行ー。


かつてー

とある事件の際に使われたその注射器が一定数ー

裏社会に流通したー


”残り火”は、必ず消し去らなくてはならないー。


捜査責任者の男ー

警視正の目黒(めぐろ)は、

”優美香を皮にして乗っ取っている男”を追い詰めるべく、

警察署の外に向かって歩き始めたー。


⑦へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


ついに完全に乗っ取られてしまいました~!

次回からは”現在”のお話を描いていきます~!


※毎週土曜日の更新(コンパクト枠)とは?

(いつもと同じ説明デス↓ 既に知ってる方は読まなくて大丈夫デス!!)

毎週土曜日(以前は火曜日でした!)は、

私が仕事の都合で書く時間を確保できないので、

本来更新は難しいのですが

少しでも皆様にご恩返しということで、他の6日間で毎日

少しずつ執筆して、土曜日にも、作品をお届けしています!

そのため、いつもより少し文章量が少ないため

毎週土曜日の作品は、100円プランでも読めるようにしてあります!

(※土曜日枠のお話は必ず完結まで100円プランで読めるようにします!

  途中から上がったりはしませんので、安心してください)

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