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作品の性質上、地震災害の描写などが存在します。

苦手な方は、ご注意ください!

作中で発生する地震災害、場所、物語は全てフィクションデス!


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「昨夜の地震以降、再び余震活動が活発化しており、

 油断のならない状況が続いていますー。


 蒼月市に本社を置く”宮尾製薬”の、

 神代主任が先ほど、会見を行い、

 蒼月市に本社を置く企業として、

 被災地の全面支援を約束しましたー。」


ニュースキャスターがそう伝えると、

神代主任の会見の様子が映し出されるー。


穏やかな口調と笑みを浮かべながら、

”私自身も被災している状況ですがー

 皆さんと共に、困難を乗り越えていきたいと思います”

と、力強く、”被災地への全面的な支援”を約束するー。


神代主任の”裏の顔”を知らない人々は、

そんな神代主任ー

いや、彼が実質的に牛耳っている”宮尾製薬”の行動を

称えるのだったー。


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主な登場人物


月森 彩香(つきもり あやか)

高校3年生。修学旅行中に地震に巻き込まれる。俊樹と入れ替わっている。


日向 俊樹(ひゅうが としき) 

彩香を助けた男。彩香と入れ替わっている。とある会社に勤務していた。


的場 聡(まとば さとし) 

高校3年生。彩香の彼氏。彩香たちと再会を果たす。しかし…?


相馬 晴美(そうま はるみ)

高校3年生。生徒会長。誰にでも優しい。避難所から姿を消してしまう。


木下 響子(きのした きょうこ)

高校3年生。彩香の親友。地震発生後は消息不明。


早乙女 美穂(さおとめ みほ)

高校3年生。大人しいタイプの子。何かを企む赤岩に保護されている。


赤岩 紀夫(あかいわ のりお)

俊樹を追うサングラスにスキンヘッドの危険な風貌の男。


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★あらすじ


親友・響子を探して神社を訪れた

彩香と俊樹ー。

しかし、響子を発見するには至らず、

彩香と俊樹は神社を後にするー。


そこに、俊樹を兄貴と慕う危険な風貌の男・赤岩が姿を現し、

”兄貴の身体を元に戻すために”と協力を申し出るー。


彩香と俊樹は相談した上で、赤岩の上司である

神代主任が管理している研究施設から

”入れ替わった原因となる試薬”の回収を行うことになったー。


赤岩が”何か”を目論んでいることも知らずにー…。


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>崩壊都市⑪~神社~

作品の性質上、地震災害の描写などが存在します。 苦手な方は、ご注意ください! 作中で発生する地震災害、場所、物語は全てフィクションデス! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 本日未明ー、 蒼月市北部で強い地震が再び発生しましたー。 気象庁は、今後も本震に匹敵する地震が 発生する可能性があるとして、 注...

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蒼月市西部までやってきた彩香(俊樹)と俊樹(彩香)は、

”宮尾製薬”の研究施設までやってきていたー。


「ーーーこんなことに巻き込んでしまって、本当にすまないー」

彩香(俊樹)が俊樹(彩香)に向かって申し訳なさそうに呟くと、

「ーーううん…あなたがいなければわたしは今頃、死んでた

 かもしれないんだしー」と呟くー。


最初に地震が発生した際に、俊樹は咄嗟に彩香を守るため、

彩香の飛びついて突き飛ばしたー。

あれが無ければ、彩香はそもそも死んでいたかもしれないのだー。


「ーーだから、お互い様ー」

俊樹(彩香)の言葉に、彩香(俊樹)は「ーーすまない」と、

今一度申し訳なさそうに呟くー。


「ー俺はここから、神代主任が研究中だった試薬を持ち出したんだー。」


彩香(俊樹)が言うー。

地震発生直前、俊樹は、神代主任の暴走を止めるため、

神代主任が研究を進めていた”試薬”を持ちだして逃亡したー。

それを警察に突き出し、神代主任を止めようとしたのだー。


俊樹は過去の震災で家族を失い、その際に宮尾製薬の会長に拾われ、

以降は恩を返すために、宮尾製薬で必死に働きながら、生きてきたー。


だが、その宮尾会長は高齢で病床に伏しー、

今、宮尾製薬の技術は、実験を握った神代主任に悪用されつつあるー。

俊樹は、それを止めようとしていたー。


そんな時、予期せぬ地震が発生してー

咄嗟に彩香を助けたことで、”試薬”が周囲に散乱しー、

彩香と俊樹は入れ替わってしまったー


”試薬”の効力は俊樹も詳しくは知らなかったー。

だが、入れ替わりの原因は、恐らく”試薬”によるもので間違いないー。


だからこそー

彩香(俊樹)は赤岩の誘いに乗り、ここに来たー。


”試薬”のサンプルはまだ残されているー。

それを使い、彩香に身体を返すー。

そうすれば、俊樹は俊樹で、”宮尾製薬”のー

自分の問題に集中できるし、

彩香は彩香で、こんな物騒なことに巻き込まれずに、

友達を探したり、家族と連絡を取り合って、

蒼月市から脱出することだってできるー。


「ーーへへへへ…兄貴が早く元の身体に戻れるよう、

 俺も全力を貸しますよー。」


赤岩はサングラスの位置を調節しながら、笑みを浮かべるー。


彩香(俊樹)は、赤岩のことを警戒の眼差しで見つめながらも

”試薬を奪取”するための作戦を練るー。


不安そうに二人の話し合いを見つめる俊樹(彩香)ー


そんな中でもギシギシと建物が音を立てるー。


未だに、余震は活発な状態のままー。

いつ、何が起きてもおかしくない状態と言えるー。


「ーーー…試薬はこの場所にあることを確認していますー」

スキンヘッドにサングラスという威圧的な風貌の赤岩が、

彩香(俊樹)と、入れ替わりの原因になったと考えられる”試薬”の

奪取の話し合いをしているー。


「ーーーだが赤岩ー、俺は荒事はできないぞ?

 お前一人で神代主任直属の警備員をどうにかできるのか?」

彩香(俊樹)が言うと、赤岩は少しだけ笑みを浮かべてからー

「ーJKの声で言われると、へへ…やっぱゾクゾクしますねぇ」と、

彩香(俊樹)のほうをイヤらしい目で見つめるー。


「ーそんな目つきで見るなー。

 変な気を起こしたらただじゃおかないぞ?

 この身体は、あの子のもので、俺のものじゃないんだー」

彩香(俊樹)が、少し離れた場所から様子を伺ってる俊樹(彩香)の

ほうを見つめながら言うと、

赤岩は「へへ…これは失敬ー」と、笑みを浮かべながら、

「ま、それは問題ありませんー。荒事は全部俺がやりますよー」と呟くー。


俊樹は今、”彩香の身体”だー。

神代主任直属の警備員と”女子高生の身体”でやり合えるとは思えないし、

仮に、神代主任の警備員たちを倒すことができるー…としても、

彩香の身体で暴力を振るうことは、できる限りしたくないー。


”君の身体を傷つけるわけには、いかないからなー”

彩香(俊樹)はそんな風に思いながら、

「ーお前が陽動している間に、俺が主任の研究室に忍び込み、

 試薬を回収するー…ってことでいいんだな?」

彩香(俊樹)が言うと、赤岩は「ええ」と頷くー。


「ーですが神代主任もこの中にいるでしょうからねー。

 くれぐれも気を付けて下さいよ?兄貴ー」


赤岩はそこまで言うと、

サングラスをいじりながら

「今、兄貴は小娘なんですからー」と、つけ加えたー。


「ーふんー。その小娘に倒されたお前が言っても、説得力ないなー」

彩香(俊樹)が、皮肉を言うー。


前に、赤岩に襲撃された際に、俊樹は彩香の身体で

赤岩を地面に叩きつけて、行動不能にしているー。


「ーーへへ…まさか兄貴がJKなんて思いませんからね。

 油断しただけですよ」

赤岩はそう言うと、「俺はいつでも準備OKですよ、兄貴ー」と、

余裕の表情で呟いたー。


「ーーーちょっと待ってろ」

彩香(俊樹)はそう言うと、俊樹(彩香)の方に向かうー。


「ー君と俺の身体を元に戻すための”試薬”を取ってくるー。

 だがー、この先は危険だー。

 必ず戻ってくるから、君はここで待っててくれるか?」


彩香(俊樹)がそう言うと、

俊樹(彩香)は不安そうに頷くー。


「ーーー君の身体を危険なことに使うことになってしまってー…

 すまないー」

彩香(俊樹)が頭を下げると、俊樹(彩香)は「それは大丈夫ー」と

言いながらも、少し離れた場所にいる赤岩のことを見つめるー。


「ーあの怖い人ー…信用して大丈夫なのー?」

俊樹(彩香)の不安は最もだったー。


「ーーー……あいつは、自分のためなら、

 他人を陥れることなんて、何とも思わないやつだー」

彩香(俊樹)は表情を歪めるー


赤岩は

「ー俺だって、兄貴にそんな小娘の身体じゃなくて

 いつもの兄貴に戻ってほしいわけですよー。


 そんなー

 女子高生の影に隠れるような兄貴は

 見たかないわけですよ」

と、言っていたー。


だが、それだけだろうかー。


とは言えー

”彩香の身体”になった俊樹一人で、

神代主任の研究所から”試薬”を奪いとることは困難だー。


「ーあいつが何を企んでいようとー

 君のことは必ず守るー…だからー」


「ーーー…うん。分かったー。あなたを信じるからー」

俊樹(彩香)は、そう言うと、

「必ず、戻ってきてねー」と、微笑むー。


「ーーー…あぁ」

彩香(俊樹)は頷くー。


そんな様子を少し離れた場所から見つめていた赤岩は

静かに笑みを浮かべるーーー


”兄貴ー…

 お互い”JK”になりましょうやー”


赤岩の瞳に狂気が走るー。


そんな赤岩の前に戻ってきた彩香(俊樹)は、

髪を邪魔にならないように束ねると、

そのまま赤岩に向かって「行くぞー」と、声を掛けるー。


「へへー…そういう仕草ーそそりますねぇ」

赤岩はそう言うと、正面から神代主任の研究室へと入り込みー

”陽動作戦”を始めるのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーー」


研究室の奥にいた神代主任が表情を歪めるー。


「ーーー侵入者ー」

鋭い目つきでモニターのほうを見つめる神代主任ー


宮尾製薬の技術を悪用し、生み出した”試薬”ー

これを海外の裏社会組織を中心に、各所で売り捌き、

莫大な利益を上げるー。


「ーー私のビジネスは、誰にも邪魔させんぞー」

神代主任はそう呟きながら、監視カメラの映像を凝視するー。


だがー、次の瞬間ー


プチッー!


監視カメラの映像が全てシャットダウンされるー。


赤岩と、彩香(俊樹)は、宮尾製薬の社員ー

当然、この研究施設の構造も把握しているー。


赤岩が警備員を陽動している間に、

彩香(俊樹)が、監視カメラをシャットダウンしたのだー。


「ーーー…!」


だがー

背後から警備員の一人に見つかってしまう彩香(俊樹)ー


「ーー両手を挙げろー」

神代主直属の警備員が、武器を手に彩香(俊樹)の方に

近付いてくるー。


「ーーーー!」

彩香(俊樹)は、表情を歪めるー。


”俺はどうなってもいいー…

 だが、この子の身体を危険に晒すわけにはいかないしー

 ちゃんと、身体を返さないとー…”


そう思いながら俊樹は現状を打破する方法を考えるー。


”ここで捕まればー

 ただでは済まないー。”


神代主任は一見穏やかな雰囲気に見えるが

誰よりも残酷で、誰よりも恐ろしい男であることは、

俊樹が誰よりもよく知っているー


”ーーーーーーすまない”

彩香(俊樹)は、彩香の身体を無事に守るためー、とは言え、

これから自分がしようとしていることに

心の中で謝罪すると、


「ーーーぁっ…♡」

と、わざと甘い声を出したー


「ーー!?」

警備員の男が一瞬表情を歪めるー。


その隙をついてー

彩香(俊樹)は、自分のスカートを突然めくりあげたー。


「ーー!?!?!?うへっ!?」

警備員の男が、顔を真っ赤にすると同時にー

近くにあった扉にタックルして、彩香(俊樹)がその部屋から飛び出すー。


「あっ!待て!」

警備員が叫ぶー。


だが、彩香(俊樹)は入り組んだ研究施設を巧みに移動して、

その警備員をやり過ごすと、静かにため息をついたー。


「ーーーはぁ…ごめんなー」

彩香(俊樹)は、彩香の身体に向かってそう呟くと、

「もうすぐ、元に戻れるからー」と、

一人静かに囁いたー。


赤岩が警備員たちを引きつけ、

彩香(俊樹)が、”神代主任の試薬”が保管されている場所にようやく

到着するー。


再び余震が発生する中ー、

彩香(俊樹)は身の安全を確保するため、

倒れそうな棚から離れて、余震が落ち着くのを待つー。


”ただでさえ、この子にとって辛い状況なのにー…

 こんなことになってしまってー”


彩香(俊樹)は、早く身体だけでも元に戻して、

彩香を少しでも楽にしてあげたい、と考えるー。


「ーーーーーー」

ようやく、余震が落ち着き、”神代主任の試薬”を見つけた

彩香(俊樹)は、そこに置かれている分を回収するー。


”これで全部”かは、分からないー。

量産が既に始まっている可能性もあるー。


どのような分量で使うのかは彩香(俊樹)も知らなかったが、

とにかく、最初に持ち出していた分と同じぐらいの量を使えば、

彩香と俊樹は元に戻れるー…と、信じたいー


「これだけあれば、警察に提出することもできるなー」

彩香(俊樹)はそう呟くー。


過去の震災で家族を亡くして、途方に暮れていた俊樹を

救ってくれた宮尾会長ー。

その宮尾会長の会社を私物化し、危険な薬を開発している

神代主任を許すことはできないー。


俊樹が神代主任の試薬を警察に持ち込み、

全てを明かせば、会社も、神代主任もー

もしかしたら、俊樹自身も無事では済まないかもしれないー


けれどー、それでもー

「ーーー…神代主任の暴走を今まで止めることができなかった

 俺の責任でもあるー」と、彩香(俊樹)は、彩香と身体を元通りにしたら、

すぐに警察に駆け込むつもりでいたー。


「ーーーさてーまずはここから出ないとなー」

彩香(俊樹)がそう呟くと、

”兄貴ィ!まだですかい?”と、赤岩から連絡が入るー。


「ーー今、回収した。今から研究施設を出るー」

そう伝えると、彩香(俊樹)は、神代主任の試薬を手に、

研究施設からの脱出を目指したー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーー」

外で待機していた俊樹(彩香)は不安そうな

表情を浮かべていたー


”わたし、ちゃんと帰れるのかなー”

そんな、不安ー。


地震ー

他人と入れ替わってしまったこの状況ー。


普通の女子高生でしかない彩香にとっては

過酷すぎる状況だったー。


「ーーーー……」

身体を震わせながら、不安そうに研究施設の入口のほうを見つめるー。


その時だったー。


彩香(俊樹)と赤岩が外に出てくるー。


そして、彩香(俊樹)が「彩香!」と叫ぶと、

研究施設から離れるように促すー。


そのまま三人で研究施設から離れるとー

近くの木々に囲まれた場所で、

彩香(俊樹)は立ち止まったー


「ーここまで来れば、大丈夫だなー」

彩香(俊樹)はそう呟くと、

”神代主任の試薬”が入ったケースを手にして見せたー。


「ーー巻き込んで本当にすまなかったー。

 これでー…君と俺は、元の身体に戻れるー」

彩香(俊樹)が言うと、

俊樹(彩香)は「本当に…?」と、不安そうに呟くー。


「ーーあぁ…」

彩香(俊樹)は、最初に地震が発生した際に

自分がポケットに入れていた量と同じ量の試薬を手にするー。


あの時と同じ状況を作り出せばー

二人は、元に戻れるはずだー。


「ーー元に戻ったら、君は避難所に戻るんだー。

 学校の先生たちと協力しながら、まだ見つかってない子を

 探して、あとは保護者の方の到着を、待つんだー」


彩香(俊樹)の言葉に、

俊樹(彩香)は「あなたはー…?」と、不安そうに言うー。


「ーーーはは…俺はーーー…

 俺は俺で、なんとか自分のやるべきことをやるさー。


 君と俺は、そもそも住む世界が違うし、

 君を巻き込むことなんて、できないー」


彩香(俊樹)はそう言うと、「さぁ、元に戻ろうー」と、

笑みを浮かべたー


俊樹(彩香)は、少しだけ間を置いてからー

「ーやっと男の人の身体に慣れて来たのにー」と、冗談を口にするとー

少しだけ微笑んで、彩香(俊樹)のほうを見たー。


だが、その時だったー


「ーー危ない!!!」

俊樹(彩香)が突然叫ぶー。


その言葉に、彩香(俊樹)はすぐに振り返って、

背後から襲い掛かろうとしていた赤岩の腕を掴んだー。


俊樹も当然、赤岩の動きは警戒していたー。


”兄貴に元に戻ってほしいー”

そう言いつつも、赤岩のことだから、別の目的がある可能性を

十分に考えていたのだー。


「ーーーへへ…兄貴ィ…!その薬は全部俺が貰うぜー!」

赤岩が不気味な笑みを浮かべるー


「ーーー俺に元に戻ってほしいんじゃなかったのかー?」

彩香(俊樹)が、赤岩の腕を掴みながら言うとー、

赤岩は「へへへーそんなの嘘に決まってらぁ!」と叫ぶー。


そして彩香(俊樹)の腕を振りほどくと、

彩香(俊樹)を力づくで突き飛ばし、彩香(俊樹)の手から

零れ落ちた”神代主任の試薬”入りのケースを拾うー


「ー貴様!」

彩香(俊樹)がすぐに起き上がって、

身軽な動きで、赤岩を倒そうとするー。


”俊樹と赤岩”

元々、俊樹の方が圧倒的に強く、赤岩ごときでは、

俊樹には敵わないはずだったー


だがーー

赤岩に腕を掴まれて、彩香(俊樹)はそのまま

投げ飛ばされてしまうー


「ーちょ、ちょっと!やめて!」

俊樹(彩香)が赤岩のほうを見て叫ぶー。


「ーーへへへ 兄貴ー

 今の兄貴じゃ、俺に力では敵わないんだぜー」


赤岩は、彩香(俊樹)から全ての試薬を取り上げると、笑うー。


「ーーくっーー」

彩香(俊樹)が立ち上がろうとするー。


”俊樹が赤岩より強いー”

それは、あくまでも俊樹が俊樹の身体であれば、の話ー


今はー


赤岩が、彩香(俊樹)の手を踏みにじるー


「今の兄貴ー…いや、

 今のお前は可愛いだけのただの木偶の棒だー

 そんな小娘の身体じゃ、何もできやしねぇー」


赤岩はそれだけ言うと、

俊樹(彩香)のほうを見つめながらニヤリと笑うー。


「ーーま、待て…!赤岩!その薬を…どうするつもりだ!」

立ち去って行こうとする赤岩に対して

彩香(俊樹)が叫ぶと、

赤岩は立ち止まって笑みを浮かべたー


「ーーー兄貴ー」


振り返った赤岩は、邪悪な笑みを浮かべたー


「ー次に会う時はー”女の子同士”かもしれませんねぇ」

とー。


「ーーーー!!!!」

彩香(俊樹)は、赤岩が”神代主任の試薬”を使って

入れ替わりをしようとしていることを悟るー。


「ーーーだ、、大丈夫ー?」

駆け寄る俊樹(彩香)ー

彩香(俊樹)はまだ起き上がることが出来ず、地面に手をついたままー


赤岩は、笑みを浮かべるとそのまま立ち去って行こうとするー。


だがーー

その時ーーー

”人間同士の争い”など、全く眼中にない地球がーー

動きを見せたー


轟音が響き渡るー


「ーーー!」

赤岩が表情を歪めるー


再びー

中規模の余震が三人を襲うー


その場から動けず、戸惑う赤岩ー。

投げ飛ばされたダメージで起きあがれない彩香(俊樹)ー


そんな状況を見てー

彩香は、俊樹の身体で、余震に狼狽えている赤岩に向かって走り出したー。


”元に戻れる薬”ー

それを奪い去ろうとした赤岩めがけて走る俊樹(彩香)ー


「ーーうぉっ!?」

驚く赤岩めがけてー

俊樹(彩香)は、思いっきりタックルを食らわせたー


⑬へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


物語を進めつつ、入れ替わり描写も描きつつ、

自然災害に対する描写も描きつつ…

バランスを維持しながら進めていくのは、

なかなかいつも頭を悩ませつつ、執筆を進めています~!


今日もお読みくださりありがとうございました~!!

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