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「ーーえ…!?メイドカフェー?」

女子大生の千奈津(ちなつ)が驚きの声を上げるー。


「ーーう…うん…」

恥ずかしそうにしているのは、同じ大学に通う女子生徒の

深沢 園美(ふかざわ そのみ)ー。


大人しい性格の園美が、

”今度、メイドカフェでバイトしてみようと思ってー”と

言い始めたことで、千奈津は驚きのあまり大きな声を

出してしまったのだったー


「だ…だめかな…?」

恥ずかしそうに呟く園美ー。


「ーい、いや、だめってことはないけどー…

 園美、そういうの大丈夫なのー?」

千奈津が心配そうに言うー。


園美は、確かに可愛いー。

スタイルも良いー。

なんとなく、守ってあげたくなるような雰囲気があるし、

男性受けも良さそうな気がするー。


けれどー

この恥ずかしがり屋の園美に

メイドカフェなんて、大丈夫なのだろうかー。


千奈津は、そう思ったのだー。


「ーーで…でも…メイドさんー…可愛いしー…」

園美が恥ずかしそうに言うー。


恥ずかしがり屋で奥手な園美は、

「かわいいもの」全般が大好きで、

お店で可愛い小物などを見つけると、

買わずにはいられないタイプー。


”かわいい”に釣られていらないものを買ってしまったことは

これまでに数えきれないほどあるー。


「ーーそ、そっか~…確かに、園美、そういうの好きだもんねー」

千奈津は少しだけ苦笑いしながら言うー。


お客さんとの接客がどうこうー…ではなく、

園美の場合、”とにかくメイドさんになってみたい”と、

そんな感じなのだろうー。


「ーーーでも…メイドカフェって、ほら

 色々接客とかしないといけないしー…

 園美、男の人とか、あんま得意じゃないでしょ?」


千奈津の言葉に、園美は「そうだけど…でも、ほらー」と、

恥ずかしそうに、健全そうな雰囲気の店舗紹介が表示された

スマホを手渡してくるー。


「ーーう~ん…まぁ…こういうのはねー」

千奈津は苦笑いしながらそのお店の案内を見つめるー。


メイドカフェ”ドリーム・サンクチュアリ”ー。

案内を見る限りは、確かに真面目に営業してそうな

メイドカフェには見えるー。


だがー


”ーーこういう紹介で、うちは不健全です!みたいな

 アピールをわざわざしてるところはないだろうしー”と、

千奈津は頭の中で考えるー。


「ーー…でも、何で急にバイトなんかー?

 本屋のバイトも続けてるでしょ?

 それともクビになったのー?」


千奈津のその言葉に、園美は「そうじゃないけどー…」と

呟いてから「お母さんの体調があまり良くなくてー…、

少しでも支えになればーって」と、小さな声で呟いたー。


「ーーーーあ…」

千奈津は、園美の母親のことを思い出すー。


園美の母親とは、千奈津も面識があるが、

確か、持病があっていつも調子があまり良くなさそうなイメージがあるー。


心優しい園美は、少しでも家族の助けになればー、と、

また新しいバイトを始めようとしていたのだー。


「ー博人(ひろと)も大学に行きたいだろうしー」


”博人”とは、園美の弟のことだー。


千奈津は、そんな園美の言葉を聞きながら

「そっかー」と、微笑むと、

「ーー園美がやりたいことなら、応援するよ!」と、

前向きな笑顔を浮かべながら、園美のほうを見つめるー。


「ーーーでもーー

 変な男に絡まれたりしたら、わたしがすぐに助けに行ってあげるから、

 一人で抱え込んじゃダメ!

 

 いい?」


園美は、”人に迷惑を掛けないように”と、一人で抱え込む癖が

昔からあるー。


そんな園美の性格を理解しているからこそ、千奈津がそう言うと、

園美は「ーーうん…ありがとうー」と、嬉しそうに微笑むー。


その反応を見て、安心した千奈津はー

「でも~園美がメイドなんてね~~…

 わたしが鼻血出しそう」と、冗談を口にすると、

園美は恥ずかしそうに、

「変な男の人じゃなくて、変な千奈津ちゃんに絡まれちゃいそうー」と、

笑いながら千奈津のほうを見つめたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー


メイドカフェ

”ドリーム・サンクチュアリー”の面接にやってきた園美は

緊張した様子で、メイドカフェの店内を見つめたー


可愛らしいメイド服に身を包んだ二人のメイドが

接客を続けているー。


”愛理(あいり)”

”祥子(しょうこ)”


店内の”本日の出勤者”と書かれた掲示板のようなものを

見つめながら、園美は”かわいい…”と心の中で

二人のメイドを見つめるー。


愛理も祥子も、楽しそうに

接客を続けているー。


「ーーー」

ふと、祥子の方と目が合うー


ぺこっ、と園美がお辞儀すると、

「ーーまさかあんたー、ここの面接受けるつもりー?」

と、祥子が敵意をむき出しにして近付いてきたー


「ーーえ…あ…あの…は、はいー」

戸惑いながら園美が言うと、祥子は不機嫌そうにー

「あんたみたいな子、受かるわけないじゃん」と、厳しい口調で言い放つー。


もう一人の眼鏡のかけた子ー、愛理の方は、

そんな祥子と園美の会話に入って来ずー、

接客を続けているー。


「ーーなんか…あんた、うざっー。」

祥子が、園美のほうを見つめるとー

「ーーうざい!帰れ!」と、突然叫び出すー。


園美はビクッとしながら、その子のほうを見つめるー。


顔立ちは”とても優しそう”に見えるのに、

その見た目に似合わない口調ー。


”こんな先輩がいるなら、やめようかな…”と、

恐怖すら感じてしまう園美ー。


面接に来ただけで”うざ”なんて言われてしまう

バイト先はーー


正直、いやだー。


だがー


「ーーこらこら、採用・不採用を決めるのは、この私だよ」

奥から紳士風の男が出てくるー。


メイドカフェ”ドリーム・サンクチュアリ”のオーナーを務める男だー。


「ーーー…すみませんー」

祥子は頭を下げると、「いっ…」と、頭を一瞬押さえながら

立ち去っていくー。


「ーーー…」

園美が不安そうにしていると、

「うちのメイドが、失礼したねー。

 どうか、非礼を許してほしいー」と、頭を下げるー。


「ーー自己紹介が遅れたねー。

 ここのオーナーの足立(あだち)だー。よろしくー」

足立はそう言うと、「さ、面接を始めようかー」と、

奥の事務所の方に案内してくれたー。


奥の事務所はとても清潔な雰囲気でー、

その先には、2階に繋がる階段もあったー。


お店の規模の割には、ずいぶん広い建物ー、と

感じながら園美は「よろしくお願いしますー」と、

頭を下げるー。


面接が始まり、オーナーの足立との会話が続くー。


足立はとても穏やかで、気配りのできる人物で、

ドリームサンクチュアリの設備も紹介してくれたー。


足立の振る舞いは、とても紳士的で、

いきなり先輩メイドに絡まれた園美の緊張を

ほぐすには、十分すぎるものだったー。


そしてー

面接が終わるー。


「ーーー深沢 園美さんー…

 うん。申し分ないー。

 合格だー」


足立オーナーはそう言うと、

園美は「えっ…?ほ、ほんとうですかー?」と、嬉しそうに笑顔を浮かべるー。


「ーあぁ、君はうちのメイドにふさわしいー

 早速、奥の部屋でー」


足立がそう言いかけたその時だったー


「ーーだめ!」


「ーー!?」

園美が驚いて振り返るー。


「ーだめ!!早く!早く帰って!」

さっきー

園美に絡んできたメイドの祥子だー。


「ーーおやおや」

足立オーナーが笑みを浮かべながら首を横に振るー


「ここにいたら、だ、、め・・・ぇ」

突然、叫んでいた祥子が、白目を剥いて、その場に膝をつくー。


「あ…ぁ… ぁ… いっ… いぎぃぃ…」

苦しそうにうめき声を上げると、祥子は、その場で、

お尻をつきあげるような格好で、倒れ込んで

動かなくなってしまうー。


口からは泡のようなものを噴いているー。


「ーー失礼」

足立オーナーはそれだけ言うと、

驚いている園美のほうを見たー。


「ーーー…え……ど…どうしたんですかー…え…?」

園美が戸惑っているとー

祥子の耳から、突然、うねうねと動く寄生虫のようなものが

姿を現したー


「ひっ!?!?」

園美は思わず尻餅をついてしまうー。


「ーーー”反逆者”は許さないー」

足立はそう言うと、「ーーうちのメイドはねー」と、

言葉を続けるー。


「ー頭の中に”この子”を入れるんだー」

頭を指さしながら、足立が笑みを浮かべるとー

「おつかれさまで~す」と、さっき見かけた

先輩メイドの一人・愛理が事務所に戻ってくるー。


「ーーー…あれぇ?あ~~…祥子ちゃんー残念」

愛理は、倒れている祥子を見ると、それだけ呟いてー、

園美のほうを見たー。


そしてー、愛理はクスッと笑うとー

「ーーだいじょうぶだよ♡」と、甘い声で囁きながら、

右耳から、寄生虫を飛び出させながら笑みを浮かべるー。


「ー最初は気持ち悪いけど、すぐに可愛い♡って思えるようになるからー」

愛理の言葉に、園美は震えながら、オーナーの足立のほうを見るー。


「ーー安心しなさいー。

 ”この子たち”を、身体の中に寄生させてもらうのは

 ”一人前のメイド”になるまでの間だー。


 一人前のメイドになったら、好きにしていいー。

 それまでは、君も、この子を身体の中に、迎え入れてもらうよー」


足立の言葉に、逃げようとする園美ー。


だが、愛理が園美の腕を掴み、背後から羽交い絞めにするとー

先ほどメイドの祥子から飛び出した寄生虫を手に、

足立が笑みを浮かべながら近づいてきたー。


そしてーーー

事務所に、園美の悲鳴が響き渡ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーー」

黒っぽいメイド服姿で、泣きじゃくる園美ー。


「ーーほら、そんなに泣かないのー」

先輩メイドの愛理が、ハンカチを差し出しながら笑うー。


「ーー…う…うぅぅぅ」

園美の中に”得体の知れない虫”が寄生したー。


「ー大丈夫。最初はわたしも怖かったけどー、

 すぐに慣れるからー」

愛理が笑うー。


愛理は、このメイドカフェの説明を丁寧にしてくれたー。

寄生虫は”不真面目なメイドをこらしめるためのもの”で、

一人前のメイドになれば、ちゃんと取り除いてもらえる、とー。


「ーもう先輩も何人も卒業してるし、

 頑張れば、寄生虫出してもらえるから!」

愛理が笑うー。


「ーー…」

愛理はそこまで言うと、泣きじゃくる園美に耳打ちをしたー


”逆らうと、さっきの子みたいになっちゃうー。

 でも、従って、ちゃんとやってれば、

 この店から出られるー。

 だから、頑張ろう?”


愛理は言うー。


”わたしも、あなたと同じー

 早くここから出たいのー。”


愛理が言うには”逆らう”と、寄生虫が脳を暗い尽くし、さっきの

祥子のようなことになってしまうー。

祥子は、園美の前にこのメイドカフェにやってきた”新人”で、

店に入ってきた園美に対してキツイ態度をいきなりとったのは

”園美を追い払って助けようとしていた”のだと言うー。


「ーーーここから逃げようとしたら、寄生虫に脳を食べられて

 廃人になっちゃうからー、

 とにかく足立さんには従うことー。

 いい?これが生きるため。わかったー?」


愛理の言葉に、園美は泣きながら頷いたー。


その日からー

園美は”住み込み”でメイドカフェ”ドリーム・サンクチュアリ”で

働くことになってしまったー


”一人前のメイド”と認められれば解放されるー。

だからこそ”早く解放されたいメイドたち”は、必死にメイドとして働くー


オーナーの足立の目的は、そんなところー

なのだろうかー。


不思議と、翌日には、園美はメイドとして頑張る決心がつき、

黒のメイド服についた自分を鏡で見つめて

「わたし…頑張るー」と、静かに呟いたー


「ーーーーえへ♡」

一瞬ー、

耳から寄生虫が顔を出して、

ニヤニヤしながら自分の胸を触った園美ー。


だがー

本人は、その変化に気付くことなくー

お店の方に、緊張した様子で向かっていくのだったー



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


メイドカフェを舞台とした寄生モノデス~!

今回は、寄生されるところまでがメインでした~!

次回以降は、欲望に染まっていく…かもしれませんネ~!


お読みくださりありがとうございました!

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