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2月3日・節分ー。

その会社では、毎年恒例の”豆まき大会”が行われていたー


大会ー

とは言っても、会社のおじさんたちが、鬼のお面を被って

若い社員に襲い掛かりー、

それを若い社員が撃退するー…

と、いうおじさんたちの遊びだー。


豆まきを楽しんだ後には、決まって”飲み会”が始まるー。


つまりはー、

会社のおじさんたちが、飲みたいだけなのだ。


今年も、その会社では、毛利(もうり)部長主催で、

”豆まき大会”が行われたー。


一人盛り上がる毛利部長や、

毛利部長と一緒に子供のようにはしゃいでいる山本(やまもと)係長ー、


若手社員たちは、嫌々出るものや、

豆まき大会に乗じて彼女・彼氏を作ろうとするものー、

仮病を使ってそそくさと逃げ帰ったりするものー、

それぞれ、色々な反応を見せていた。


”豆まき大会”は、毎年”節分に経費を出すことはできない”という

会社の以降で、オフィス内の会議室を使って行われているー。

豆まき大会の企画者たちが、会社側と話し合ったことにより、

”食事の費用”だけは出ることになったが

会場を予約したり、居酒屋を利用することは、許されなかったー。


それでも、毛利部長たちは”豆まき大会”

いやー、それを口実に飲むことを楽しみにしていたー。


「ーーー今年も無事に、2月を迎えることができました」

毛利部長が半数以上が白けている雰囲気の若手社員たちを前に

一人、盛り上がっているー。


「2月と言えば、やはり、節分ですねー。

 2月唯一と言ってもいいこの行事を、今日は皆さんと共に、

 存分に楽しみたいと思います」


毛利部長が言うと、

若手女性社員の久美(くみ)が、隣にいた別の女性社員・涼子(りょうこ)に

対して小声で呟くー。


「ーー涼子ちゃんも気を付けてねー

 あの部長、去年もどさくさに紛れてセクハラしてるからー」


1年後輩の涼子にそう告げる久美ー。

涼子は「え…えぇっ!?」と、戸惑った様子だー。


後ろにいた少し先輩の男性社員が、「大丈夫大丈夫ー」と笑いながら

「君たちのことは”鬼”からちゃんと守ってあげるからー」

イケメン風の男性社員の言う”鬼”とは、

毛利部長らのことだー。


「あ、ありがとうございますー」

久美が笑いながら頭を下げると、

”あなたも若い子ばっかり口説いてるの、わたし、知ってるんだからー”と、

心の中で毒づいたー。


「ーーふふふ まぁ、わたしは誰にもセクハラされる

 心配なんてないし~」

おばさん社員が不貞腐れた様子で呟くー。


久美は”帰りたいー”と、思いながらも、

面倒臭い演説を続ける毛利部長のほうを見つめるー。


「ーバレンタインデーとは、お菓子屋の陰謀でありますー」

毛利部長が、意味不明な演説を続けているー。


毛利部長は独身で、

やたらとバレンタインデーを目の仇にしているー


妬みや僻みの感情が露わになってしまっていて、

毎年のことながら、見苦しいー

別に、バレンタインに興味がないなら言わなければいいのにー

毎年、なぜかバレンタインのことを口にするー。


「ーーその点、節分はいい!

 バレンタインデーなんて、俺は認めないぞ!」

大声で叫ぶ毛利部長ー


さすがにしつこいと思ったのか、山本係長が

「部長、そろそろ先に進みましょう」と、進行を促すー。


「ーーーそうだったな、へへへ

 じゃあ~さっそく豆まき大会を始めようかぁ~」

毛利部長がニヤニヤと笑うー。


豆まき大会ーとは名ばかりの”セクハラ大会”

毛利部長は毎年、鬼役をやりながら、女性社員の方にばかり

向かって行って、”鬼に襲われちゃうぞ~”などと言いながら

女性社員の身体を触るのだー。


そろそろクビになってもいい頃な気がするのだがー、

上層部に親戚でもいるのだろうかー

毛利部長は、今年も嬉々として豆まき大会を迎えてしまったのだったー。


ため息をつく久美ー。


「部長!そういえば今年は、とっておきのものを持ってきましたよ!」

山本係長がそう言うと、毛利部長に”鬼のお面”を手渡すー。


「お!本格的だなぁ~!」

笑みを浮かべる毛利部長ー


いつもは、100円で購入した適当な鬼のお面をつけて

”鬼役”をやっていたが、今回は山本係長が、特別に

実家に眠っていた”鬼のお面”を持ってきてくれたのだったー。


「ーーーよ~し!じゃあ早速ー」

毛利部長がニヤニヤしながら言うー。


”豆まき大会”のルールは簡単ー。

”鬼役”の毛利部長に対してとにかく豆を投げるー。


それだけだー。

”何が大会なんだかー”とあきれ顔の久美ー。


久美の彼氏も”そのセクハラ部長には気をつけろよ”などと、

今朝も心配してくれていたー。


鬼のお面を身に着ける毛利部長ー。


それが”悲劇”の始まりだったー


”ーー女ーー”


「ー!?」

鬼のお面をつけた瞬間ー

”声”が聞こえた気がするー。


思わず表情を歪める毛利部長ー


”ー女ー 女ー 

 女ーーー 女だ!”


悪魔のような、不気味な声ー


「ーな、なんだこれhーー


言葉は、最後まで口にすることができなかったー


「ーうっ」

毛利部長が静かにそう呻くと、

横にいた山本係長が少しだけ不思議そうな顔をするー


毛利部長は「ぐへへへへ…」と言いながら、

早速若手女子社員である久美や、その後輩の涼子ー、

目立たないようにしていた穂希(ほまれ)たちの方に

近付いていくー。


「も~!やっぱり部長、こっちに来る!」

久美が、そう小声で呟きながら、涼子たちと共に、

なるべく部長から離れようとするー。


眼鏡をかけた大人しい女子社員・莉々(りり)も

不安そうに久美の背後に隠れるようにしているー。


「ー大丈夫。大丈夫ー。」

久美は同期でもある莉々に対してそう言い放つー


「ーー鬼は~外!」

”豆まき”を始める中堅女性社員ー。


だがー

「ーーーって!部長!豆が当たったら少しはリアクションしなさいよ!」

”勤務年数”が長いこともあり、毛利部長に対して

ある程度きついことも言えるその女性社員が叫ぶー。


しかしー

毛利部長はお構いなしで笑いながら、穂希を押し倒したー


「ん~~~~…ふぅ~~~」

毛利部長は狂ったように、押し倒した穂希の胸を揉むー


穂希が悲鳴を上げるー。


「ーぶ、部長ー!それは流石にちょっとやりすぎ」

山本係長が苦笑いしながら言うー


「いやっ!やめて!やめてください!」

穂希が叫びながらもがくー。


けれどー

毛利部長は全くその行為をやめる様子もなく、

穂希の服を引きちぎろうとし始めたー。


部下であるOLの服を引きちぎりながら

「女ー…女ー…!」と狂ったような声を出す毛利部長ー


「人間の、女ァー」


様子がおかしいー

毛利部長は確かにセクハラ部長だが

”どさくさに紛れて触ったり”するような感じで、

ここまで直接的に乱暴をするー…ことは流石になかったー


「ーちょっと!いい加減にしなさい!」

おばさん社員が背後から毛利部長に蹴りを入れるー


すると、毛利部長が前に吹き飛ばされて、

”鬼”のお面が床に転がったー


「ーーだ、大丈夫ー!?」

久美が慌てて穂希に駆け寄るー。

穂希は泣きじゃくっていて、とてもまともに話せる状況ではないー


「ーーー…おーー…え???お、俺はー?」

毛利部長が驚くー。


そして、周囲を見渡すー。


「ーぶ、部長ー…な、何やってるんですか!まずいですよ!」

山本係長が叫ぶと、毛利部長は「お…俺、今、意識がー」と、

戸惑いの表情を浮かべるー


毛利部長は、鬼のお面に宿っていた”女好きの鬼”に憑依されて、

一時的に支配されてしまっていたのだー。


「ーーそんなこと、あるわけないでしょ!今のは完全に

 セクハラですよ!部長!」

怒りの形相で中堅の女性社員が叫ぶー。


穂希が泣きじゃくっているのを慰めながら

久美、莉々、涼子ら若手女性社員が不安そうに

毛利部長のほうを見つめるー


「ほ、ホントだって!俺、俺、お面をつけた瞬間ー

 なんか、変な声が聞こえて来てー」


毛利部長がそう叫ぶー。


だがー

山本係長も含め”全員”

軽蔑の眼差しを毛利部長にぶつけるー


「ーーそんな嘘、通用するわけありませんからねー

 騙そうって言ったってそうはー」

中堅の女性社員がそう言いながら”嘘”だと証明しようと

自らお面を身に着けたー


するとー


「ーーぁ…」

その女性社員は、声を上げてからー

「ーーうへへ…女…女… …あぁ…女だぁ」と言いながら

自分の胸を触り始めたのだー


「え…ちょ…ちょっと…どうしちゃったんですか!?」

久美が叫ぶー。


「ーほ、ほら!ほら!ほら!

 あの子、あんなことしないだろ!」

毛利部長が慌てた様子で叫ぶー


胸を散々揉みながら、甘い声を出し始める中堅の女性社員ー


イケメンの男性社員は

”普段その女性社員が絶対に出さない声”を聞いて

興奮して、勃起していたー。


「ーほら!あそこにも次世代のセクハラ予備軍がいるぞ!」

毛利部長が、イケメン社員を指さすと、

顔を真っ赤にしながら「ぶ、部長に言われたくないっす!」と叫ぶー。


そうこうしているうちにー

「ーーえ…ちょ!?や、やめて下さい!」


中堅女性社員が、入社1年目の涼子を襲いー

抱き着いて胸やお尻を触っていたー


”鬼のお面”をしているからだろうかー

キスはできず、身体を触ることに”鬼”に憑依された女性社員は

集中していたー。


「ーーーぶ、部長…まさか、あの子とグルー?」

山本係長が唖然とするー


中堅女性社員は、毛利部長に良く文句を言っているが、

意外と仲が良い気もするー。

二人とも事前に”こういう演技”をすることを話し合っていたのではないかー、

山本係長はそう思ったのだったー


「ん、んなことするわけないだろ!」

毛利部長が叫ぶと、

中堅女性社員が「もっと若い女がいい…♡」と、笑みを浮かべるとー

若手女性社員の莉々に近付いてー

お面を自分の顔から取って、それを莉々に無理やりつけたーー


倒れ込む中堅女性社員ー


莉々は可愛らしい声で、悪い笑い声を響かせ始めるー


「ーーあぁぁ…若い女ー

 若い人間の…女だァ」

”莉々の口”から飛び出す信じがたい言葉ー

莉々は、身体をクネクネさせながら、自分の身体のあちこちを

触って、感じているー


「んっ…♡」

と、時々甘い声を出す莉々ー


「ちょ、、ちょっと…莉々ー」

同期の莉々が”憑依”されたことに唖然とする久美ー。


そんな久美のほうを見て、莉々は久美に突然

抱き着いてきたー。


そして、久美を押し倒すと、

「ちょっと!?やめて!」と叫ぶ久美を無視して、

久美の身体をひたすら弄び始めたー


鬼に支配されているからだろうかー

莉々が”異常な力”で久美を押さえつけて

久美は抵抗できないまま喘がされるー。


莉々は気持ちよさそうに笑いながら、

久美の身体を弄び続けるー


唖然とする毛利部長に山本係長ー

女性社員たちは、唖然としたり、泣いたりしていてー、

イケメンはビビったのか、尻餅をついてお漏らししていたー。

おばさん社員は、どさくさに紛れて逃亡したようだー。


「ーーーくへへへへ…お前がここにいる人間の中で

 一番好みだ…」


莉々はそう言うと、興奮しているのか、涎を垂らしながら

久美のほうを鬼の面をつけたまま見つめたー


「ーーーひっ…!?」

散々弄ばれて髪も服も乱した久美が悲鳴を上げると同時にー

莉々が鬼のお面を、久美の方に付け替えたー


久美の上に乗っていた莉々が倒れ込むー。

久美は足で意識を失った莉々をどかすと、

胸を揉みながら「この女は…いい…いい♡」と笑みを浮かべるー


「ーーき…き…君は…いったいー…」

毛利部長が唖然としながら声を掛けると、

久美は髪を色っぽく乱しながら、「この女は、貰っていくー」と、

低い声で呟いたー


「は、、はひっ…ど、どうぞーお通り下さいー」

入口付近にいた山本係長がそう言うと、久美は鬼の面をつけたまま

立ち去ってしまったー


そしてー

それ以降、久美は消息を絶ったー

会社にも、彼氏にもー連絡はなく、久美は鬼に憑依されたまま、

いずこかへと姿を消したー


それ以降ー…

不審な女に、若い女が襲われる事件が、

その地域では頻発するようになったのだというー。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


せっかく(?)の節分なので、

1話完結ですが、節分の憑依モノを書いてみました~!☆


私が節分をネタにした憑依のお話を書くのは

確かこれが初めてだったと思います~!☆

バレンタインのお話はよく書くのですけどネ~笑

(このお話の部長に怒られそうな私…!)

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