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作品の性質上、地震災害の描写などが存在します。

苦手な方は、ご注意ください!

作中で発生する地震災害、場所、物語は全てフィクションデス!


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ニュースが再び慌ただしく”蒼月市の地震”のことを

伝えているー。


「先ほど、蒼月市北部を震源とする

 非常に強い地震が発生しましたー」


現地の映像が表示される。

現地を取材中だった若いアナウンサーが

青ざめた表情で現地の様子を伝えているー。


3日目 0:55-

蒼月市北部を再び、強い地震が襲ったー。


その規模は、最初の”地震”に匹敵する

”余震”とは呼べない、恐ろしいものだったー…。


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主な登場人物


月森 彩香(つきもり あやか)

高校3年生。修学旅行中に地震に巻き込まれる。俊樹と入れ替わっている。


日向 俊樹(ひゅうが としき) 

彩香を助けた謎の男。彩香と入れ替わっている。


的場 聡(まとば さとし) 

高校3年生。彩香の彼氏。彩香たちと再会を果たす。しかし…?


相馬 晴美(そうま はるみ)

高校3年生。生徒会長。誰にでも優しい。避難所から姿を消してしまう。


木下 響子(きのした きょうこ)

高校3年生。彩香の親友。地震発生後は消息不明。


早乙女 美穂(さおとめ みほ)

高校3年生。大人しいタイプの子。蒼月小学校に避難中。


赤岩 紀夫(あかいわ のりお)

俊樹を追うサングラスにスキンヘッドの危険な風貌の男。


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★あらすじ


蒼月市市民会館で無事だった生徒や先生たちと

合流することに成功した彩香たちー。


しかし、彩香の親友・響子の姿は未だに見えないままー。


市民会館に避難していた生徒の一人から

”木下さんを神社で見かけた気がする”という情報を手に入れた

俊樹(彩香)は、明日、その神社に足を運ぶことを決めるー。


だが、そんな中ー

二人のいる蒼月市民会館ー

いや、蒼月市と周辺地域全体を、容赦なく地震が襲ったー


人間からすれば”無情”


地球からすれば”無関係”ー


地球にとって、人間の都合など、

”何も関係ないこと”ー。

人々は、それを改めて思い知らされることとなったー…。


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>崩壊都市⑨~2度目の夜~

作品の性質上、地震災害の描写などが存在します。 苦手な方は、ご注意ください! 作中で発生する地震災害、場所、物語は全てフィクションデス! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ”やっぱー、電気使えないのと、水が出ないのが  一番きついねー、うん” 被災地の中年男性へのインタビュー映像が テレビで報じられて...

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3日目 AM0:55-


まだ暗い中”それ”は人々に襲い掛かったー。


激しい揺れに蒼月市民会館が襲われるー。

あまりの揺れに悲鳴が上がるー。


悲鳴と怒号と、色々な声が交じり合いー、

彩香(俊樹)は、俊樹(彩香)を庇うようにして、

ぎゅっと抱きしめるー。


俊樹(彩香)は声も出せずー

震えながら彩香(俊樹)の手を握りしめるー


”他人の身体で、自分の手を握りしめる”

そんな、絶対に普通の人が経験しないであろうことを

経験しながらもー

そんなことを考えることもできないままー


ただただ、頭を守りー、

地震の揺れが止まってくれることを祈ることしかできないー。


”いざという時”

人は、どう行動するべきだろうかー。

頭の中で、色々なシミュレーションをする人もいるだろうー

実際に、訓練で地震の揺れを経験する人もいるだろうー。


けれどー

”実際”、”それ”に直面したその時ー、

人は、そう簡単に思い描いているように動くことはできないー。


”何もすることができなかった”ー

そんな風に語る人も多いー。

人間は、自然の力の前では無力ー

そんなことを、思い知らされてしまう人間も多いー。


それでもー

人間は、地球で生きている以上ー

自然の恩恵を受け、自然に生命を脅かされるー

そんな、自然と隣合わせの生活を続けていくしかないー。


俊樹(彩香)は、只々この揺れが早く落ち着いてくれるようにー

そして、自分とみんなの無事を祈りー、

震えながら”自分”の手ー、

彩香(俊樹)の手を握りしめることしかできなかったー。


やげてー

”ソレ”は終わるー。

蒼月市北部を、再び大きな地震が襲ったー。


周囲がどよめき、色々な警報音が鳴り響くー。


「ーー……彩香…」

彩香(俊樹)の目には涙が浮かんでいたー。


俊樹(彩香)は、震えながら、

「ーわたしの身体で、泣かないでー」と、

笑いながら言うー。


そう言いつつも、

俊樹(彩香)の目からも涙がこぼれていたー。


「ーー君の身体の涙腺が弱いんだよー」

彩香(俊樹)はそれだけ言うとー

「でもー」と、続けるー


「ー地震が怖くない人なんて、いないさー」

と、言いながら俊樹(彩香)の手を握りしめたー


どよめく周囲の中、

「ーー月森も大丈夫か!」と、市民会館に避難していた

教師の一人・半沢先生が声を上げたー。


「ーーあ、、」

俊樹(彩香)が思わず彩香として返事をしそうになるのを止めて

彩香(俊樹)が「はいー…他のみんなはー…?」と、

心配そうに聞き返すー


”彩香もきっと心配している”

そう、思ったからだー。


「ーー大丈夫、うちの生徒はみんな無事だー」

半沢先生の言葉に、市民会館で再会した生徒たちの姿を遠目で

確認して、俊樹(彩香)は、安堵の表情を浮かべるー


「ーー先生!笹原が怪我を!」

特徴のなさそうな男子・和雄が叫ぶと、

半沢先生は「悪い!何かあったら月森もすぐこっちに来るんだぞ!」とだけ

早口で言い放ち、そのまま他の生徒たちが待つ方に向かっていったー。


ギシギシと再び音が鳴るー。


「ーーー…ほんとうにー…」

俊樹(彩香)は不安そうな表情で呟くー


「ほんとうに……地震…止まるのかな…」

俊樹(彩香)の言葉に、

弱い余震が落ち着くのを確認しながら彩香(俊樹)は呟くー。


「ー大丈夫ーーー

 終わらない地震なんてないー。

 必ずー…必ず余震は減っていくー」


彩香(俊樹)が言うー。

俊樹(彩香)は”うん”と、涙を流しながら呟くー。


”余震”ー

果てしない回数の地震に、

人々の心は、疲弊していくー。


”本当に落ち着くのだろうかー”

そんな風に思ってしまうほどにー。


いつかは、必ず回数は減るー。

どんなに大きな地震だって、

人類の記録に残っている地震の余震は、

必ず、鎮静化しているー。


でもー

そうは言ってもー


”辛いよなー…”

”怖いよなー…”

彩香(俊樹)は、今は精一杯、俊樹(彩香)を安心させてあげること

しかできなかったー。


しかも、彼女は今、

”自分の身体”ではない身体で過ごすことになっているのだー。


不安に、不安を積み重ねているー

そんな状況ー。


辛くないはずがないー。


「ーー君のことは、必ず守るー。

 そう、約束したからー」

彩香(俊樹)が、優しく呟くと、

俊樹(彩香)は「ーーうん…わたしも、絶対に諦めないー」と、

少しだけ活力を取り戻して、そう言い放ったー。


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「ーーみんな…大丈夫!?」


蒼月第3小学校ー

1日目の夜に彩香たちが留まっていた避難所でも

生徒たちが、状況を確認していたー。


大人しい性格の美穂に、

変態教師の黒井が乱暴をして、

美穂が泣きながら学校から走り去りー

それを追いかけるようにして学校から飛び出した黒井先生ー。


そんな二人を追いかけようとしていた女子生徒の裕梨は、

学校から出ようとした直後に、

地震に遭遇したー。


裕梨は幸い、校庭にいたため、自分の身の安全はすぐに確保できたが、

揺れが落ち着いたタイミングで、体育館の方向に

戻ってきたのだったー。


ギャルの理絵も、ビッグマウス守も無事ー。

守は、あまりの恐怖に尻餅をついて、お漏らしをしている様子だったが、

とりあえずここに避難しているメンバーの無事は確認できたー。


「また、あんな地震が来るなんてー…」

裕梨が言うと、

「地震、マジうざいんだけど!」と、ギャルな理絵が叫ぶー。


守は放心状態でもはや言葉を口にできないー。


「ーー…」

裕梨は、ひとまずこの場で大きな問題が起きていないことを確認すると、

夜空を見上げたー。


夜空に輝いているのは、綺麗な満月ー。

「ーーーー」

裕梨は、瞳を震わせながら、その綺麗な満月を見つめるー。


その月はー

今、蒼月市で起きていることなど、

嘘かのように、綺麗に、美しく、輝いていたー。


”地球は、わたしたち人間に、興味がないー”

裕梨がそう思ったー。


「ーーー…ーーー負けないー」

そう思うと、妙にくやしさがこみ上げてきた裕梨は、

「お父さんだって、絶対にこういう時は、諦めないはずだからー」と、

現役警察官の父親のことを思い浮かべながら、

安全に気を配りつつ、学校の外の方に向かうー。


変態教師・黒井に乱暴されて、美穂が避難所から

逃げ出してしまったー。

そして、黒井はそのあとを追って行っていたー。


”女子を盗撮している”

そんな噂もあったけれどー、まさかそれが本当だったなんてー


「ーーー早乙女さん!」

美穂の苗字を叫ぶ裕梨ー。


だが、返事がないー。


その時だったー


「ーーーーーー!」

裕梨は、持っていた懐中電灯で照らした先の光景を見て、

表情を歪めたー


「ーーーせ…先生ー!」

美穂を追って、地震直前に学校から飛び出した変態教師の黒井が、

倒れてきた電柱の下敷きになって、苦しそうに声を上げていたのだー。


”こんな変態ー”

そんなことを思いながらも、正義感の強い裕梨は、

無意識のうちに、黒井先生を助け出そうとしていたー。


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3日目 AM4:00ー


「ーーー日向俊樹はー?」


製薬会社の研究施設に戻ってきた

スキンヘッドの男・赤岩紀夫に対して、

白衣姿の主任・神代が声を掛けるー。


「ーーさっきの地震で、追跡どころじゃありませんよー」

赤岩がそう言うと、

神代主任は不満そうにしながらも、

「ーーまぁ、仕方ありませんねー」と、ため息をつくー。


「ーしかし、このまま日向俊樹を放置しておくわけにはいきませんー。

 実際に”入れ替わり”が起きてしまったとあれば尚更ですー。

 あの試薬は、我々のビジネスにとって最重要なー」


「ーんなことは、分かってますよー。主任」

赤岩がニヤニヤしながら言うと、

神代主任は少し苛立った様子で首を振るー。


「ところで主任ー

 例の薬ー。俺にも一つ、分けてくれやしませんかね?」

赤岩がニヤニヤしながら言うと、

神代主任は表情を歪めるー。


神代主任他、一部の幹部クラスしか

”俊樹が持ち出して逃亡した新薬”の詳細な効果は知らない。


スキンヘッドにサングラスという危険な風貌のこの男ー

赤岩も、”新たな世界を開く新商品”としか、聞かされておらず、

実際に兄貴分である俊樹と、彩香が入れ替わっているのを

この目にするまで、その詳細は知らなかったー。


赤岩は続けるー。


「ーー兄貴が女子高生と入れ替わってー

 ってことは、俺もその気になれば

 入れ替われるってことだー。

 兄貴が入れ替わった女子高生と、同級生の身体を

 奪うことができればー

 俺も色々とヤリやすいと思うんですがねー」


赤岩がそう言うと、

神代主任は鋭い目つきを赤岩に向けたー


「ー赤岩ー

 控えなさいー」


”自分の立場をわきまえろー”


そう言わんばかりの神代主任の鋭い眼光に

赤岩は「へへ…それは失礼いたしやしたー」と、

頭を下げるー


神代主任は底知れない恐ろしい男だー

残酷な人体実験を繰り返しているところも、

赤岩は何度も目撃しているー。


だが、しかしー

赤岩はそれ以上に、”面白いもの”を見つけてしまったー。


「ーーーーー赤岩ー…

 これで俺だって、分かるよなー?」


鋭い目つきで、”彩香”になった俊樹に睨まれた赤岩ー。


赤岩は、この上ないゾクゾクを感じたー。

身体中から今まで感じたことのない何かを感じたー

アドレナリンが噴き出すような感じだろうかー。


「ーーー…へへへへへー」

赤岩は、神代主任の部屋から出ると、

不気味な笑みを浮かべながら、

そのまま通路を歩いていくー



「ーーーーーーーーー」

一方の、部屋に残された神代主任は

蒼月市の余震の発生状況を表示しているモニターを見つめながら

「ー厄介な時に、地震が発生してくれたものですー」と、

険しい表情を浮かべたー。


もう少しで、新たなビジネスに着手できるところだったのにー

直前で俊樹にそれを持ち出されてしまいー

すぐに追跡しようとしたタイミングで地震が発生するとはー。


「ーーー上手くいかねぇもんですね…」

神代主任は何度も舌打ちしながら、机を一人、力強く叩いたー。


地球は、善にも悪にも味方しないー。

地球には、関係のないことなのだからー。


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3日目 AM8:00-


蒼月市北部襲った2度目の巨大地震はー

M7.9と発表されているー。


非常に大きな地震だー。


市民会館でも何人か怪我人が出ているほか、

最初の地震で既にダメージを受けていた部分が、崩落したー。


「ーー…持ちますよー」

俊樹(彩香)は明るくなってから俊樹の身体で

精力的に行動しているー


市民会館に避難した人々の役に、少しでも立とうと、

俊樹の身体で、一生懸命”自分にできること”を

しているのだー


「ーーーーー」

彩香(俊樹)はそんな様子を見つめながらー

少しだけ微笑むー。


”ドジなところもあるけどー…

 しっかりした子だなー”


とー。


そしてー


「ーーーあいつが生きてたらー…」

と、俊樹が少年だった時代に発生した震災で命を落とした

妹のことを思い浮かべるー


妹も、とても心優しい性格の持ち主だったー。


”あの時もー”

それが、災いを招いたとも言えるー。


「ーーーー…」

だからこそー、今度はそんな”災い”は起こさせないー。

危うい部分があるのであれば、それをカバーしてあげればいいー


「ーーお~い!悪いけど、この瓦礫どかすのも手伝ってくれないか!」

おじいさんに呼ばれて俊樹(彩香)は「あ、はいー」と、

笑顔でそちらの方に向かっていくー。


余震が発生するー。

俊樹(彩香)は身構えながらも、安全を確認して、

怯えるおばあさんに「大丈夫ですよ~」と声を掛けているー。


「ーーーーー…ーー」

”俺も”あんな風に心の底から、人にやさしくー

そして、心の底から笑う日が、いつか来るのだろうかー。


そんな風に思いながら、彩香(俊樹)は、

少しだけ寂しそうに、

「俺も、手伝えることは手伝わないとなー」と、小声で呟くー。


「ーーー!」

その時だったー。

背後から突然胸を触られて、

顔を赤らめる彩香(俊樹)ー


すぐに振り返るとー

そこには、彩香によれば”女子だけどHな女子生徒”

百合の姿があったー


「ま、、またっ…!」

彩香(俊樹)が恥ずかしそうに言うと、

百合は「えへへへへ~だって胸ががら空きなんだもん!」と

嬉しそうに微笑むー。


昨日は三つ編みだった百合は、今日は髪を下ろしていて、

だいぶ傷んでいるように見えるー

顔も汚れていて、目の下には隈も見えているー。


”この子もーだいぶ…無理をしてるんだなー”


必死にー

”いつものように”明るく振る舞おうとしているー


そんな風に思った彩香(俊樹)は、

「ーーじ、じゃあ、わたしは髪の毛触っちゃうよ!」と、

百合に合わせて、ちょっとした”仕返し”をするのだったー


百合は「あ!くすぐったい!ちょっと~!」と

言いながらも、ほんの少しの間だけー

今、置かれたこの現状を忘れてー

微笑むことができたー


・・・・・・・・・・・・


3日目 AM9:30-


未だに行方不明の親友・響子ー

そんな彼女が、同級生によれば

この近くの神社で見かけたかもしれないー、とのことだったー


「でも、孝道くん、いい加減だからなぁー」

昨日、”木下さんを見かけた”と言っていたのは

いい加減な性格の男子・孝道 平助だー。


俊樹(彩香)はそう呟くと、

彩香(俊樹)は「でも行くんだろ?」と、少しだけ笑うー。


「ーーーうん」

俊樹(彩香)は、市民会館の状況が一旦落ち着いたことを確認しー

そして、彩香(俊樹)と共に神社を目指して

市民会館を後にするのだったー。


⑪へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


今回の長編も第10話を迎えました~!


長編は今回で5作目になりますが、

無事に着地まで書きあげられるように頑張ります~!

今回のお話はテーマがテーマなので、今まで以上に

慎重に…ですネ…!


今日もお読みくださりありがとうございました~!

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