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洗脳されたエミリアを退け、

魔帝ガロスが待ち構える

魔城ナイトメアへとやってきたランヴァルド一行。


魔物たちの三大将軍のひとり、

魔将軍アルテイストに洗脳されてしまったエミリアを救い出し、

魔帝ガロスを倒すためー、

ランヴァルドたちは、意を決して魔城ナイトメアへと足を踏み入れたー…。


★前回はこちら★↓

<MC>消息不明のキャラって大抵生きてるよね?③~対決~

仲間を逃がすため、敵を光の魔法で食い止め、 消息不明になってしまったエミリア。 それでも、勇者の子孫であるランヴァルド率いる一行は 魔物の王、魔帝ガロスを倒すべく、魔物の本拠地を目指していたー。 しかし、その最中、予期せぬ形でエミリアと再会することになるー。 再会したエミリアは、三大魔将軍の一人、アル...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー魔帝ガロスを倒し、エミリアを救い出すー!」

ランヴァルドが剣を魔城ナイトメアの入口で叫ぶー。


「ーーーこの城の中には、3人の魔将軍も待ち構えているはずですー」

風の魔法使い、セシリオが険しい表情で呟くー。


「ーー散々アタシらの前に立ちはだかってきたファントムと、

 この前の芸術家気取りのやつとーー」

くノ一のマーヤが言うと、

「ーまだもう一人、僕らが遭遇していない魔将軍がいますー」

と、セシリオが付け加えたー。


「はっ!どんな奴だろうとぶっ倒してやるぜ!」

エディが言うと、ランヴァルドも頷くー


「こういう時に最後まで姿を現さないやつは、

 大したことないか、何か重要な鍵を握るやつか、そのどっちかだー」


色々な本を読むのが好きだったランヴァルドは、そんな冗談を

交えて、いつものように呟くー。


「ーきっと、大丈夫だー」

ランヴァルドは決して”希望的観測”を口にしているわけではないー。


仲間たちの緊張を少しでも解そうとしているのだー。


「ーーそうですね」

セシリオが頷きー、

そして、ランヴァルドが微笑むー。


魔城ナイトメアの中に突入するランヴァルドたちー。


そこにー

筆を手に、不気味な笑みを浮かべる魔将軍アルテイストの姿があったー


「ーおやおやおや勇者様ご一行ー」

笑みを浮かべるアルテイストー。


「ー貴様!エミリアはどこだ!」

ランヴァルドが剣を向けて叫ぶー。


「ーークククーそう焦るなー

 今に合わせてやるー」

魔将軍アルテイストはそう呟くと、ランヴァルドたちの方を見つめるー


「ーへっ!お前一人で俺たち4人を食い止められると思ってんのかー?」

エディが斧を手に言うー。


魔将軍の一人、ファントムはランヴァルドら全員でかかっても

苦戦する相手だったー。

だが、この魔将軍アルテイストは、そこまでの手練れには見えないー。

どちらかというと、”戦闘”よりも”後方支援”や”策略”を担当するタイプに

見えるー。


「ーークククーもちろん、そんなこと思ってないさー」

魔将軍アルテイストはそう呟くと、筆を振るいながら、

不気味な舞を驚い始めるー。


「ーーお前たちにー、ふさわしい”ステージ”へと案内してやるよー」

邪悪な笑みを浮かべるアルテイストー


”次元隔離”ー

筆から紫色の気泡のようなものが大量に放たれるー


「ーそれぞれの舞台に上がれー人間共ー!

 俺に最高の芸術を見せてくれー!」


「ーーー!」

ランヴァルドは、魔将軍アルテイストの放った紫色の気泡が

”相手をワープさせるもの”だと悟るー


「ーみんな!死ぬなよ!頂上で会おうー!」

ランヴァルドが叫ぶと、

エディもセシリオもマーヤも頷いたー。


4人はー

紫色の気泡に包まれー

それぞれ、魔城ナイトメア内の”別々の場所”へとワープさせられたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー世界とは、元より”闇”より出でしものー」


魔城ナイトメアの最上階で、

魔帝ガロスが笑みを浮かべるー


水晶のようなものに包まれた不気味な部屋にー

各場所の様子が映し出されているー。


「ー”光”など、後から生まれたものに過ぎないー。」

魔帝ガロスは鋭い目つきで、映像を見つめるー。


「ーーー闇こそがー、この世界の真理なりー」


邪悪なオーラを周囲に放ちながら

魔帝ガロスは、それぞれの”戦い”を見つめたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


魔城ナイトメア西側ー。


「ーークククー」


ランヴァルドの前には、魔将軍アルテイストが笑みを浮かべて

立っていたー。


「ーアルテイストー…」

ランヴァルドが周囲を見渡しながら剣を構えるー。


筆から、緑・黄色・赤・黒ー

様々な色の絵の具のようなものを飛ばしながら、

ランヴァルドを牽制するアルテイストー。


”それぞれの色に何かあるってことかー”

ランヴァルドは冷静に見極めるー。


恐らくはー

”緑”には”緑”の、”赤”には”赤”の力があるー。


だがー


「ーー!」

絵具の隙間をかいくぐり、ランヴァルドは、アルテイストに

強烈な一撃を加えるー。


「ーーぐぉぉぉぉぉぉぉっ」

その衝撃で、壁際まで吹き飛ばされるアルテイストー。


「ーーー当たらなければーどんな力を持っていようと、意味がないー」

ランヴァルドが剣をアルテイストに向けるー


「ーク…ククーさすがは、勇者の末裔ー

 ファントムが言ってただけあるー。

 俺ではとても歯が立たんー」

アルテイストはそう呟くと「けどなー」と笑みを浮かべるー。


「ーー見せてやろうー!貴様に我が最高の”芸術品”をー」


アルテイストが叫ぶと同時にー

アルテイストの背後からーー

頭の半分に、”虫”のような形の機械が取り付けられてー

虚ろな目になったエミリアが姿を現したー。


禍々しい装置のようなものを身に着けているエミリアー。


荒野で対峙したときとは違い、

もはや、エミリアに“意思”というものすら、感じることができないー。


「ーーー殺すー…殺すー…殺す…殺すー」

エミリアが低い声で何度も何度もそう呟きー

憎悪に満ちた目でランヴァルドを見つめるー


優しかったエミリアの笑顔は、もうそこにはないー


「エミリアー…!」

ランヴァルドの呼びかけにも、もはや全く反応を見せないー。


「ーーこれが、我が最高の芸術作品ー

 殺人ロボット・エミリアだー!

 こんな女に意思など不要!

 意思を完全に封じ込め、強い破壊衝動で完全に支配した

 操り人形だ!」


魔将軍アルテイストが叫ぶー。


「ーーくそっ…!貴様ぁ!」

ランヴァルドがアルテイストを睨みつけるー。


「ーさァ、勇者の末裔よー!

 かつての仲間だったその女を、その手にかけることはできるか?」


アルテイストはそう呟くと、「エミリア!そいつを始末しろ!」と叫ぶー。


「ーーはいー」

エミリアはそう呟くと、狂ったように笑いながら

ランヴァルドの方に向かってきたー


「ーー仲間同士殺しあえ!これこそ、俺の求める、最高の芸術だー!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


魔城ナイトメア東側ー。


「ーーむぅー」

魔将軍ファントムが、不満そうな表情を浮かべるー。


”アルテイストのやつー、我に勇者の末裔をぶつけると言っておきながらー

 自分が横取りしたということかー。

 悪趣味なやつめー”


魔将軍たちは、事前に”誰と対決するか”話し合っていたー。

事前の打ち合わせでは、魔将軍ファントムがランヴァルドと対する

ことになっていたのだがー、

魔将軍アルテイストは最初からこうするつもりだったのだろうー。


「ー我は、勇者の末裔との一騎打ちを望んでいたのだがなー」

ファントムが呟くとー


「へっーー…俺じゃ不服かー?」

と、ランヴァルドの親友・エディが呟くー。


「ーー貴様など”前菜”に過ぎぬー」

魔将軍ファントムが呟くと、エディは笑ったー


「ーでもよ、前菜を喰わなきゃ、メインディッシュにはたどり着けないぜ?」


挑発的に言い放つエディー


「ーーよかろうー。勇者の末裔と一騎打ちをする前にー

 まずは前菜から食してやろうー」


魔将軍ファントムとエディが相対するー。

エディは斧を握りしめるー。


”正直、こいつに一人で勝てる気はしねぇー… 

 けどー…前菜にだって意地はあるんだー”


エディは、雄たけびを上げながら

魔将軍ファントムとの戦いを、始めるのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


魔城ナイトメア北側ー。


城の内部の北側に飛ばされた

セシリオとマーヤは表情を歪めていたー


眼前には、禍々しい鎧を身に着けた

魔将軍最後の一人・ベンジャミンが立っているー。


「こういう時に最後まで姿を現さないやつは、

 大したことないか、何か重要な鍵を握るやつか、そのどっちかだー」


ランヴァルドの言葉を思い出すセシリオー。


「僕らは余りものってことですかー」

珍しく冗談を口にしながらマーヤのほうを見ると、

マーヤは「さっさと突破するよ!」と叫ぶー。


マーヤが手裏剣と小刀で魔将軍ベンジャミンに攻撃を加えるー

セシリオが風の最強クラスの魔法を唱えて、ベンジャミンに叩き込むー


しかしー


「ーーーーーーーーーー」

魔将軍ベンジャミンには、魔法も、物理も、全く通用していなかったー


ベンジャミンが、巨大な鎖分銅を振るうー。


「ぐあっ!」

セシリオが吹き飛ばされるー。


重い鎧の音を響き渡らせながら、魔将軍ベンジャミンは

1歩、また1歩と迫ってくるー


「セシリオ!」

マーヤが近づくと、セシリオは「大丈夫ですー」と、呟きながら

魔将軍ベンジャミンの方を見つめたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーお前の血…お前の血を見せろー!」

エミリアが狂ったように笑うー。


”クククー

 破壊衝動を極限まで引き出したその女は、

 もはや殺人マシーンだ”


魔将軍アルテイストは笑みを浮かべながら

少し離れた場所からランヴァルドと洗脳されたエミリアの

対決を見つめているー


「ーーーククク…ひはははははははははっ!」

エミリアが笑いながら闇の魔術を唱えるー。


「ーーくっ!」

ランヴァルドがなんとか攻撃を交わしながら

なんとかエミリアを救う方法を必死に考えるー


「ーー殺す…!殺す…!殺す…!殺す…!」

エミリアは完全に正気を失っているー。


荒野で対峙したときとは、まるで違うー。

あの時は”洗脳されたエミリアが正気のフリ”をしていて

それはそれで、ランヴァルドたちからすれば辛かったー。


それに比べて今のエミリアは”明らかに洗脳されている”ことが

すぐにわかるー。

そういう意味では、心理的にはある程度は楽だー。


しかしー


「やめろエミリア!」

ランヴァルドが叫ぶー。


闇の魔術を休む間もなく”連射”しているエミリアー。


エミリアは「はぁはぁ」と荒い息をしながら、

攻撃を繰り返しているー。


「ーそんなに魔力を使い続けたらー、君は!」

ランヴァルドが今一度叫ぶー


だがー

「ーー無駄だー。今のその女は、自分の身体のことすら考えないー

 破壊衝動に支配されたただの殺人マシーンだ!」


魔将軍アルテイストが叫ぶー。


「ーー俺が描く、人間を素材にした人間芸術だー!

 人間だって、ガラスや木、色々なものを使って

 芸術を表現するのだろうー?」


挑発的な笑みを浮かべる魔将軍アルテイストー。


「ーー貴様は絶対に許さないー!」

ランヴァルドがエミリアを傷つけない程度に突き飛ばすと、

魔将軍アルテイストの方に向かって走り出したー。


「ーーー!」

魔将軍アルテイストが一瞬表情を歪めるー。


しかしー


「ーー俺を倒せば、あの女が正気に戻ると踏んだか!」

笑みを浮かべながら、筆から茶色の絵の具のようなものを放つー。


バリアのようなものが出現し、笑みを浮かべるアルテイストー


それと同時にー

アルテイストを守るように、背後からエミリアが襲い掛かってきたー


「ーーーかかったなー」

ランヴァルドが笑みを浮かべるー。


”エミリアに隙ができるのを待っていたー”


「ーー!」


アルテイストが驚くと同時に、ランヴァルドは、

エミリアの頭の半分を覆うー”虫のような形の機械”を

斬りつけたー


パカッー

虫のような機械を破壊したランヴァルドー。


「エミリア!」


ランヴァルドは、エミリアを洗脳から救うチャンスを、

待っていたのだー。


この前のようなー

荒野で対峙したときのような状態になればー

心を呼び覚ますこともできるかもしれない


「ーーーーーーククー」

アルテイストが、不気味な笑みを浮かべたー


エミリアが鋭い目つきでランヴァルドを睨むとー

ランヴァルドの腹部めがけてー持っていた剣を突き刺したー。


「ーーぐっ!?!?!?!」

ランヴァルドが表情を歪めるー


「ーー血…いひ…いひひひひひひひひ」

エミリアが自分の表情を壊しながら笑うー。


「ーーエミ…リアー」

ランヴァルドが苦しそうに呟くと、

魔将軍アルテイストの笑い声が響き渡るー。


「ーーあははははははははははは!愚かなり人間よ! 

 その女についていた装置は”飾り”だよー。

 洗脳のための装置などではないー!


 そういう”飾り”をつけておけばー

 引っかかると思ったがー

 まさに、その通りだったなー」


床に膝をつくランヴァルドー


”わざと”目立つようにつけていた装置は

洗脳装置などではなく、飾りだったのだー。


「ーーーその女は、我が呪術で、脳の中の記憶に

 直接作用する形で洗脳しているー」


魔将軍アルテイストは笑みを浮かべるー。


ランヴァルドは苦しみながらアルテイストを睨むー


「だったらー…貴様を殺して、エミリアを元にー」

ランヴァルドが呟くと、魔将軍アルテイストはニヤリと笑ったー


「ーーくくくく…

 俺を殺しても、その女はもう元には戻らないー」


魔将軍アルテイストの残酷な言葉に、

ランヴァルドは「なん…だと…」と、声を震わせるー


「真っ白なキャンバスに絵を描いたらどうなる?

 もう、元には戻らないだろうー?」


魔将軍アルテイストは、冷たい声で続けたー


「ー絵を描いた画家を殺してもー

 キャンバスは、白には戻らないー」


希望を打ち砕く冷たい言葉に、ランヴァルドは

言葉を失い、変わり果てたエミリアを見て”絶望”を、

そこに見出したー。


⑤へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回デス~!

果たして洗脳されてしまったヒロインを

救うことはできるのでしょうか~?


今日もお読みくださりありがとうございました~!☆

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