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男子高校生の藤谷 雅人(ふじたに まさと)は、

クラスの女子生徒・野本 柚子(のもと ゆず)に憧れていたー


柚子は穏やかそうな雰囲気のしっかり者で、

誰に対してでも”基本的”には優しいー。


しかしー


「ーーもう、いい加減にしてよねー?」

柚子が不満そうに呟くー


「ーうるせぇな~!分かってるよ」

柚子の言葉に、雅人も不満そうに呟くー。


”誰にでも優しいしっかり者ー”

そんな柚子に憧れ、好意すら抱いていた雅人だったが、

雅人自身が”悪ガキ”な性格であったことから、

よく柚子に叱られていたー。


雅人にとって柚子は”憧れの相手”であり”好きな子”であり、

そして”犬猿の仲”でもあったー。


”基本的”には誰にでも優しい柚子だったが、

雅人のことは、嫌っているのか、

よく苦言を呈してくるー。


もちろん高校生になっても”悪ガキ”な自分自身が悪いことは、

雅人にも分かっているー。

だが、それでも雅人は素直になれなかったし、

柚子に対してちょっかいを出したり、嫌がらせをするようなこともあったー。


よくある”好きな子に対して意地悪をするー”

そんな、感じだろうかー。


「ーーなぁー、雅人ー」

そんなある日ー

悪友の柏原 倫太郎(かしわら りんたろう)から声を掛けられたー


倫太郎は、

”ネットでよく分からない海外製の怪しげな商品”を見つけては買うのが

趣味の怪しげな男子高校生で、

よく”おかしなもの”を、雅人に見せびらかしているー。


この前も、”妙に安いゲーミングなんちゃら”を笑いながら

見せつけてきていたー。


そんな倫太郎が、今日もスマホを手に、雅人に声を掛けてきたのだー。


「ーまた怪しいモン見つけたのか?」

雅人が笑いながら言うと、倫太郎は「今日のはヤバいぜー」と、

笑みを浮かべながら呟くー


「お前が俺に自慢してくるものは、いつもヤベェじゃねぇか」

そんな冗談を口にしながら、雅人があまり期待せずに、

倫太郎のスマホの画面を見つめるとー


そこにはー

想像を絶する”ヤバいもの”が表示されていたー。


”憑依薬”

他人に憑依して、その身体を乗っ取ることができる薬、だー。


「ーーへへへ、ヤバすぎだろ、これー」

倫太郎が笑いながら言うと、しばらく呆然としていたが、

やがて雅人が笑うー。


「ーはははっ!憑依薬なんて、あるわけねぇだろ?

 どうせ買ったらただの水とか、スポーツドリンクが送られてくる

 オチじゃねぇの?

 ペットボトルのラベル剥がして適当に「憑依薬」とか書いて

 貼り付けたりとかさ」


雅人がそう言うと、

「そんな明らかに詐欺っぽいもの、買わないほうがいいぞ」と付け加えるー。


しかしー

倫太郎は、半笑いでスマホの画面を見せたー


「あ、いやー、もう昨日の夜、買っちまったー」

そう言いながら、注文履歴を雅人に見せつけるー。


「ーっ、お前は本当に怪しいモノ好きだなぁ!

 前も海外製のゲームのコントローラー買って

 2日でへし折れたり、

 怪しいラジコンも、写真と全然別のもの届いたり

 してたじゃないか!」


雅人の言葉に倫太郎は

「それが面白いんだよ!」と、笑いながら反論したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


1週間後ー

雅人は、倫太郎から見せてもらった”憑依薬”のことなど

すっかり忘れていたー。


どうせ、”憑依薬”という名前の水やスポーツドリンクか何かが

届くに違いない、と思っていたし、

最初からほとんど興味がなかったため、すっかり忘れてしまっていたのだー。


「ーーよぉ、雅人ー」

だが、その日、雅人は驚くべきものを見せつけられたー。


昼休みー。

空き教室に呼び出された雅人は、倫太郎に驚きの写真を

見せつけられたー


「ーえ、これ、何だよー?B組の松本さんじゃんー」


B組の松本 莉里(まつもと りり)という女子生徒のー

メイド服姿の写真ー。

しかも、莉里がイヤらしい笑みを浮かべてカメラに向かって微笑んでいるー。


”松本さんって確か、すごく物静かな子だよなー?

 家ではこんなことする子なのか?”


そんな風に思いながら

「ってか何でお前が松本さんのそんな写真持ってるんだよ!?」と、

「へへへ…分からないか?」と倫太郎は笑みを浮かべるー。


「ーーーまさか…お前ー!」

雅人は表情を歪めながら叫んだー。


「ー松本さんと、付き合ってるのか!?」

とー。


「んなわけないだろ」

倫太郎は即答したー。


「俺がモテると思ってんのか?

 ただでさえ、マッドサイエンティストとか、あだ名ついてるのにー」

倫太郎の言葉に、雅人は「そりゃそうだな」と頷くー。

「ー全く否定なしかよ。それはそれでなんかムカつくなー」

倫太郎はそう苦笑いしながら、

「ーーこの前見せただろ?憑依薬!あれ、本物だったんだよ」

と、呟いたー


「ーーーは?」

雅人は思わず変な声を出してしまうー。


「だ~か~ら~!憑依薬が本物だったんだよ!

 だからこうして、松本さんに憑依して、俺がネットで買った

 メイド服をコンビニで受け取ってこうやって着たのさ!」


倫太郎の言葉に、

もう一度スマホの、メイド服を着た松本さんの写真を見つめるー。


イヤらしい笑みー

学校で見る”松本さん”がこんなことするとは思えないし、

こんな表情をする子にも思えないー。


だがー、しかしー

そんなことあるはずがない。

憑依が、本物などとー。


「ーーーまだ疑ってるな~?」

倫太郎が面白そうに笑うー。


「ーーそりゃそうだろー。

 憑依なんて絶対にあるわけないし、

 松本さんがこんな格好するはずもないー。

 どうせ、合成か何かー」


そこまで言うと、”なんでお前を空き教室に呼んだか、分かるか?”と、

倫太郎が呟くー。


「ー何だって?」

雅人が、その言葉の意図が分からずに、思わず聞き返すと、

倫太郎はニヤッと笑みを浮かべてから”動画”を再生したー。


そこにはー

メイド服姿の”松本さん”の姿があったー


妖艶な笑みを浮かべながら

「ー見てるか~?雅人」と、松本さんが笑うー。


眼鏡を邪魔そうに放り投げると、

メイド服のままセクシーなポーズを取ってー

「わたし、乗っ取られちゃったぁ~♡」と、言いながら

映像の中の松本さんは胸を揉み始めたー。


「ーーな、な、、な、、なんだこれはー!?」

思わず声を上げてしまう雅人ー。


”わたし~憑依されてエッチな女になっちゃったの~♡

 ってか、、やべぇ、、マジで気持ちいい…

 えへへ♡ えへへへへへっ♡”


乱れ狂う”松本さん”の映像を見て、

雅人は唖然としながら倫太郎のほうを見つめるとー

「ーこれで、信じる気になったか?」と笑うー。


”信じる”

”信じない”のレベルではないー。


もはやー

”信じる”しかないー。


そんな、状態だったー


「ーーマ…マジかー」

雅人がそう呟くと、倫太郎が小声で笑みを浮かべたー。


「お前にも、味合わせてやるよー

 ほら、野本さんー、お前といつも言い合ってるだろー?

 野本さんを乗っ取って、意のままにしてやれよー?」


倫太郎の言葉に、雅人はニヤッと笑みを浮かべながらー

静かに頷いたー。


「ーーそうだなぁ…

 文化祭が明日からだから、それが終わって落ち着いたら

 お前にも楽しませてやるよー」

倫太郎の言葉に、雅人は静かに笑みを浮かべたー。


その日はー

柚子に憑依したあとのことを”妄想”してはドキドキすることを

繰り返したー。


そしてー

文化祭当日ー。


「ーあ、お母さん!」


ふと、廊下を歩いていると、

柚子が、文化祭を見に来た母親に声を掛ける様子が

目に入ったー。


「ーも~!高校の文化祭に来てる親なんて、あまりいないよ~?」

柚子が苦笑いしながら言うと、

柚子の母親・理絵(りえ)は、

「来たくなっちゃったんだから、別にいいじゃないー」と、微笑むー。


「ーーー!!!」

そんな姿を見つめながらー雅人は

柚子の母親に”一目ぼれ”したー。


確か、柚子の母親は、かなり早くに結婚して

出産したと聞いているー

確かまだ30代の後半だー。


そしてー

30代後半とは思えないぐらいの美貌ー。


”やべぇ…美魔女ってああいう人のことを言うのかー”

雅人はそう呟きながら、「おっと、今日は文化祭を楽しまないとなー」と、

柚子や、柚子の母親に声を掛けることなく、その場から

立ち去って行ったー。


文化祭は無事に終わりー、

数日後、倫太郎は雅人を再び呼び出したー


「ーこれが、憑依薬だー」

倫太郎の言葉に、雅人は「これで…憑依できるんだな?」と、

笑みを浮かべるー。


「あぁ、見ただろ?松本さんのあの姿をー。」

その言葉に、雅人は今一度メイド服姿の”松本さん”を思い出して

ドキッとしながら、笑みを浮かべたー。


「わ、わかった。ありがとなー。今日の放課後、試してみるよ」

その言葉に、倫太郎は笑みを浮かべたー。


「あ、そうそうー。今、野本さんの父親は出張中らしいからなー。

 存分に楽しめそうだぞ?」


倫太郎が柚子の父親のことを、そう教えてくれるー。


「それに、野本さんの母親は今日、学生時代の友人に久しぶりに会うとかで

 このあと、お出かけだー」


「へへ、ならちょうどいいやー」

雅人はそう言いながらも、ハッとしてから振り返るー。


「って、何でお前そんなこと知ってるんだ?」

雅人の言葉に、倫太郎は

「ー情報を制するものが、世界を制するんだぜ?」と笑いながら呟くー


「なんだよ、そりゃ」

苦笑いしながらも、憑依薬のお礼を言うと、

雅人は、そのまま足早に立ち去っていくー。


”へへへ…さてとーお楽しみの時間だぜ”

帰宅した雅人は、憑依薬を手に微笑むー。


だがー

雅人の”憑依対象”は、悪友の倫太郎が想像している憑依対象と

変わっていたー。


雅人も最初、柚子に憑依するつもりだったのだがー

文化祭の日に柚子の母親・理絵を見てから、

どうしても理絵の方に憑依したくなってしまったのだー


”あいつのお母さんでたっぷり楽しませてもらうぜ”


そう呟くとー

憑依薬を飲み込むー


雅人がその場で意識を失って幽体離脱をするー。


雅人が、憑依対象を柚子ではなく、母親の理絵の方にしたのは

”もうひとつ”理由があったー。

それはー、”柚子とは犬猿の仲”ではあるものの、

”憧れ”でもあり、”好きな子”でもあったー。

潜在的に”好きな子に憑依して滅茶苦茶にする”ということに

罪悪感を感じてしまって、無意識のうちに、柚子への憑依を

避けてしまっていたのだー。


それがーーー

”余計に”柚子を傷つけることになるかもしれないことに、

雅人はまだ、気づいていないー


「ーーぁ…」

ちょうど”外出”の準備をして、

パーティドレスのようなものを身に着けていた

柚子の母親・理絵に憑依した雅人ー。


「うわぁ……ほ、本当に、、憑依できてるー」

玄関の鏡の前で、そう呟きながら

頬のあたりをベタベタと触る理絵ー。


「ってか…綺麗すぎだろ…?

 これで高校生の母親とか、罪深すぎるー」


そう呟きながら、理絵は学生時代の友達と会いに行くために

外出しようとしていたのをやめて、

家の中に戻っていくー。


ドキドキしながら、しばらくただ、ウロウロしていただけだったが、

やがてー、柚子の母・理絵の部屋に行くと、

鏡の前に立ってニヤニヤと笑みを浮かべたー


鏡に向かってキスをする理絵ー。


「ーーわたしは…母親である前に…女なの…♡」

変なセリフを口走らせてみるー


「ーーうっ…うへへへへへぇ…

 ホントに、身体も、言葉も意のままだー…

 やべぇな憑依薬ー」


その呟きすら、理絵の声で発されるー


「ーーやっべぇ…まだキスしかしてねぇのに

 頭がおかしくなりそうだぜー」


理絵に憑依した雅人は、

理絵の表情を歪めながら、静かに笑みを浮かべたー



”ーーーあ?”

悪友の倫太郎も、憑依薬を飲んで幽体離脱した状態で、

柚子の家にやってきていたー。


だがー


”あいつ…なんで母親に憑依してるんだ?”

倫太郎は、”雅人が柚子ではなく母・理絵に憑依している”のを見て、

”意味わかんねー”と、首を傾げたー。


”ま…いいか、俺も楽しませてもらうぜー”

倫太郎は静かに笑みを浮かべると、”柚子の家”からいったん離れて

どこかへと向かうのだったー



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


親世代の年齢に憑依するお話は、

意外と(私が書くのは)珍しかったり…☆


次回もぜひお楽しみくださいネ~!

お読みくださりありがとうございました~!

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