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勇者の子孫であるランヴァルドは、

仲間と共に、魔帝ガロスの本拠地を目指していたー。


しかし、その最中、三大将軍の一人、魔将軍ファントムの罠により、

仲間のエミリアが消息不明になってしまうー。


それでもランヴァルドは”消息不明のキャラは大体生きている”と、

エミリアの無事を信じ、先に進み始めるー。


だが、ランヴァルドの想いとは裏腹に、捕らえられたエミリアは

三大将軍の一人、魔将軍アルテイストによって

”洗脳”されようとしていたー…


★前回はこちら↓★

<MC>消息不明のキャラって大抵生きてるよね?①~捕縛~

「ーー敵の奇襲だ!」 男が叫ぶー。 「ーーー!」 仲間の言葉に、宿の外を見つめると、 ”魔物の軍勢”がそこには迫りつつあったー。 とある世界ー。 この世界では”魔物”に世界の半分ほどを占領され、 人間たちは、辺境の地へと追いやられていたー。 魔物たちは、それだけでは満足することなく、 ”人間の住処”を完全に支配...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーお前の主は、誰だー?」

3大将軍のひとり、魔将軍アルテイストによる”洗脳”は

続いていたー。


「わたしは……ランヴァルド……といっしょにー」

輝きの失われた目から涙をこぼすエミリアー。


「ーーククククク…抵抗しても無駄だー

 ”芸術呪術家”の俺にかかればー

 どんな強い意思であってもー俺の意のままだー」


闇の光を放つ筆をエミリアの方に向けて、

舞うようにしながら、何かを描くー


「お前の主は、誰だー?」


「ーお前の大切な人は、誰だー!?」


「ーーお前が忠誠を尽くすべき相手は誰だー?」


筆の動きがー

まるで催眠術かのように、エミリアの意識を塗りつぶしていくー


ランヴァルドの姿が浮かぶー。

けれどー

その姿は、次第に薄れていくー。


「ーーーーーー…」

魔将軍ファントムは、腕を組みながら近くの壁に寄りかかり、

その様子を見つめていたー。


”野蛮な奴だがー、術の力においては、三将軍随一。

 その力は、認めざるを得まいー”


そう心の中で思いながら、

魔将軍アルテイストによる”洗脳”を、ファントムは見つめ続けるー。


「ーーーーあ…」

エミリアの目の輝きがさらに失われるー。


”ランヴァルド”の記憶を塗りつぶされたエミリアー。


「ーお前の仕えるべき主もー」

「ーお前の生きる理由もー」

「ーお前の夢もー」


「何もかもを、この俺ー

 芸術呪術家アルテイストが描いてやるー。


 脳という名のキャンバスの中になー」


魔将軍アルテイストは、そう呟くと、

エミリアの”洗脳”を続けたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーー」

森の中で野営をしていたランヴァルド一行ー。


セシリオが”回復魔法”を怪我をしたエディとマーヤに向かって、

それぞれ順番に行っているー


「ーー負担ばかり強いて、すまないなー」

ランヴァルドが言うー。


「ーまったくですよー。まぁー…仕方ありませんが」

少し皮肉家でもあるセシリオが、そう呟くー。


しかし、彼とて、人間を魔物から解放したいという願いは、同じー。

そして、彼もランヴァルドのカリスマ性を慕う人間の一人だー。


「ーーーま、残ったメンバーでは僕しか”治療”の魔法は使えませんからー」

セシリオはそう言うと、エディの治療を終えるー。


「ーーお、悪いな!」

エディが腕を振りながら言うと、

くノ一のマーヤが不安そうに呟いたー。


「あれから2日ー

 エミリアは、大丈夫かなー?」

とー。


「ーーー」

ランヴァルドは少しだけ表情を歪めながらも、冷静に、

「大丈夫ー。こういう時、消息不明のキャラは大抵生きてるんだ。

 この前も言っただろ?」と、呟くー。


ランヴァルドは、村で暮らしている際は読書家だったため、

色々な物語を読んでいたー。


それ故の、なるべく仲間を励まそうとしての言葉ー。


「ーーエミリアは、今もきっと、生きているー。

 でも、あいつらの城に捕まってるかもしれないー。

 だからー

 俺たちがここで膝を折るわけにはいかないー」


ランヴァルドはそこまで呟くと、「でも、今日はー」と

周囲を見渡すー。


森の中で夜を迎えてしまった。

うかつに動けば、魔物とは関係のない”獣”たちに襲われる

可能性もあるー。


「ーーー”無謀”と”勇気”は違うー」

ランヴァルドはそう呟くと、

「ー今日は、ここで休もう」と、エディたちに伝えると、

エディたちも静かに頷いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ランヴァルドたちは、態勢を整え直し、

再び魔帝ガロスが待つ本拠地を目指していたー。


「ーーーー」

先に進むランヴァルドのほうを見つめるエディ。


エディはランヴァルドと昔からの腐れ縁であるからこそ知っているー


”一人で全てを背負いすぎるところがある”

とー。


”仲間想いすぎてー”

できる限り仲間に苦労を掛けないように、と、

遠回りの道を選んでしまうー

無理をしすぎてしまうー。

そんな、ランヴァルドの一面を、エディは良く知っていたー。


くノ一のマーヤと話しながら、時々笑みを浮かべている

ランヴァルドを見つめながら、

エディは”ランヴァルドが相当無理をしている”ことを悟っていたー。


「ーーー心配ですか?」

セシリオが言うと、エディは「ーーまぁな」と頷くー。


セシリオも、ランヴァルドが”無理をしている”ことを悟っているー


だからこそー

二人ともエミリアの無事を祈らずにはいられなかったー。


「ーーー!」

渓谷地帯を進んでいたランヴァルド一行ー。


ランヴァルドが突然、背後を進むエディたちに向かって手を挙げて合図をしたー


「ー魔物の気配だー」


このあたりは”魔帝ガロス”が支配する地域だー。

当然、人間の姿はなく、人間たちが暮らしている領土とは違い、

”ひっそりとした場所”が多いー。


しかしー、それと同時に、当然、魔帝ガロスの本拠地に近付けば

近付くほど、魔物たちの襲撃が苛烈になっていくことは、

安易に想像ができたー。


「来るぞ!」

ランヴァルドたちは、それぞれ戦闘準備を行うー。


ゴブリンやオークー

魔物たちの大群が押し寄せるー。


ランヴァルドが剣を振るうー。

エディが斧を振るうー。

マーヤが素早い身のこなしで敵の攻撃を回避して、手裏剣や蹴りを叩きつけるー。

セシリオが本を開いて風の魔法を放つー。


魔物たちは、あっという間に蹴散らされていくー。

下級の魔物たちでは、もはやランヴァルドたちを止めることなど、できないー。


その時だったー


魔物たちが一掃され、静まり返った渓谷に、拍手の音が響き渡ったー。


高台に姿を現したのは、独特な風貌の

見たことのない”魔物”ー


「ーー貴様はー?」

ランヴァルドが叫ぶと、

渓谷の高台から、相手は叫んだー


「ーーお前たちと直接相対するのはー

 これが初めてだったなー。

 俺は魔将軍の一人、アルテイストー。

 ”芸術呪術家”だー。」


アルテイストが笑みを浮かべながら言うと、

ランヴァルドは「ファントムと同じ、魔将軍の一人かー」と

冷静に問い返すー。


「ークククー。その通りー」

アルテイストはそう言うと、

「ーそれにしても、さすがは勇者の末裔ー。

 ファントムから聞いていた通りの強さだなー」と、呟くー。


「ー俺が作り上げた”強化型ゴブリン”と”強化型オーク”も

 難なく蹴散らすとはー」

アルテイストの言葉に、エディが叫ぶー


「強化型!?へっ!何にも強化されてるように感じなかったぜ!」

エディの叫びに、

アルテイストは「ほぅ…」と、笑みを浮かべるー。


アルテイストが作り上げた”デビル・エキス”と呼ばれるアイテムで

ゴブリンもオークも強化していたのだがー、

ランヴァルドたちにとっては、そんな些細な強化は

”ない”に等しいものだったのだー。


「ーーまぁ良いー。最高傑作とは、後にとっておいてこそ、

 輝くものー」

魔将軍アルテイストが笑みを浮かべると、

エディはさらに食い下がるー。


「ーこの前の魔将軍も”前菜”とかふざけたこと言ってたな!

 勿体ぶるのが好きだな!お前らは!」


その言葉に、魔将軍アルテイストはにやりと笑みを浮かべるー。


「ーー見るが良いー!

 我が最高傑作ーーー!

 さァー”生まれ変わった”お前の姿を見せてやれ!」


魔将軍アルテイストがそう叫ぶとー

アルテイストの背後から、見覚えのある人物が姿を現しー、

そして高台から下りて、ゆっくりとランヴァルドたちの

前に近付いてきたー。


「ーーなっ…」

エディが表情を歪めるー。

いや、セシリオも、マーヤもー…


「ーーーーー」

ランヴァルドたちの前に立ちはだかったのはー、

他でもない、一生に魔物たちと戦ってきたエミリアだったー。


「ーーーえ、エミリアー!」

戸惑いの声を上げるランヴァルドー。


だがー、すぐにエディが割って入ったー。


エミリアの表情に、笑顔はなくー、

白を基調とした服装が、黒と紫を貴重とした、不気味な色の

服装に変わっているー。


そしてー

エミリアが持っていた錫杖も、禍々しい形状のものに

変わっているー。


その様子はー

”一目見て”エミリアが”何かされた”と理解するには十分すぎる状態だったー。


「ーーーエミリア!無事でよかったなぁ、ほんとー」

エディが、”ランヴァルドがなるべくショックを受けないように”と

気遣って、先にエミリアに積極的に声をかけていくー。


「ーーランヴァルドも、もちろん俺もー心配したんだぜー」

そう言って、エミリアの肩に手を触れると、

エミリアは、鋭い目つきでエディを睨みつけたー。


「ー!!!」

当然、”嫌な予感”は感じていたー。


だが、その”目”は、エミリアが正気を失っていることを

受け入れざるを得ないー、冷たい”目”だったー。


「ーー汚い手でわたしに触らないで」

エミリアの言葉に、エディは「エ…エミリア…」と表情を

曇らせるー。


エディの手を乱暴に振り払ったエミリアは、

「ー魔帝様に歯向かう愚かな人間たちー」と、ランヴァルドたちを

見つめるー。


顔もー

声もー

確かにエミリアであることには間違いないー


しかしー


「ーーエミリア…あいつに何をされた?」

ランヴァルドは、それでも冷静だったー。


魔将軍アルテイストは笑みを浮かべながら、

ランヴァルドのほうを見つめるー。


「ーーー何をされたー?

 わたしは正気よー?」

エミリアが吐き捨てるようにして言うー。


「ーーエミリア…」

ランヴァルドが表情を曇らせるー

いつも冷静なランヴァルドの顔に、明らかに動揺の色が

浮かび上がっているー。


「ーーーわたしは生まれた時から、魔帝ガロス様のしもべー。」


エミリアの言葉に、

ランヴァルドは「違う!」と叫ぶー。


「ー違う?わたしの”両親”を殺したあんたが、よくもぬけぬけとー」

エミリアの言葉に、

「なんだって…?」とランヴァルドが声をあげるー。


「ーーわたしはあんたを許さないー。

 わたしの両親を手にかけた、あんたをー!」

エミリアの言葉に、ランヴァルドは言葉を失うー。


エミリアの両親の仇は、魔将軍の一人、ファントムだー。

当然、ランヴァルドは関係ないー。


「ーーー魔将軍ファントム様直属のこのわたしが、

 あんたたちをここで葬ってあげるー!」


”親の仇”であるはずの魔将軍ファントムの名を叫ぶと、

エミリアは、禍々しい錫杖から、闇のオーラを放ち始めるー。


「ーークククー見るがいいー!

 光の一族の末裔が、闇の魔法を使いこなす様をー!」


魔将軍アルテイストの叫び声ー。


エミリアが闇の魔法をランヴァルドたちに放つー。


「ーーバカ!アンタ!何操られてるんだよ!

 アンタ…!ランヴァルドをー!」


くノ一のマーヤが叫ぶー。


「ー操られてる?わたしは正気よー?」

エミリアが闇の魔法で激しい攻撃を繰り出しながら笑うー。


「ーーエミリア!今までのこと、覚えてないのか!」

ランヴァルドが叫ぶー。


するとー

エミリアは笑みを浮かべたー


「ーー全部、覚えてるに決まってるでしょー」

クスクスと笑うエミリアー。


「ーわたしは、”魔帝ガロス様の命で”

 お前たちの仲間のフリをして

 お前たちのことを探っていただけなんだからー…!」

エミリアが狂気的な笑みを浮かべながら続けるー。


「ーランヴァルドー

 エディー

 セシリオー

 マーヤー

 どいつもこいつも、馬鹿ばっかりー…!

 わたしに、簡単に騙されてー」


洗脳されているエミリアの言葉ー。

けれどー”もしかしたら本当にそうなのかもしれない”という

不安が、エディたちの間に広がるー。


「ーふざけるな!アンタはーランヴァルドのことー

 好きなんだろ!?」


マーヤが叫ぶー。


以前ー

マーヤは、女同士、エミリアとよくそういう話をしていたー


確かに、以前一度聞いたのだー


”ランヴァルドのことが好き”だとー。

だが、戦いが終わるまでは、そのことは、本人には

伝えないでほしいー、

とー。


「ーあっ…あはははははっ!あんな男のどこがー!」

エミリアが笑うー。


「ーーあ、そっか~…

 マーヤが、あの男のこと好きなんでしょ?」


エミリアはそう言うと、マーヤに近付いてきて、

小声で囁いたー


「ーあんな男、あんたにあげるー。

 クズ同士、仲良くしたらいいんじゃないー?」


エミリアの言葉に、マーヤが逆上して、

「ーあんた…!」と、エミリアを睨みつけるー。


エミリアはそんなマーヤを見下すように笑うと、

ランヴァルドたちのほうを見たー。


「ーさぁ…全員地獄に送ってあげるー。

 魔帝ガロス様に逆らったことー後悔しなさいー!」


洗脳されたエミリアを前に、

ランヴァルドたちは、戸惑うことしかできなかったー…。


③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


敵の手先になってしまったエミリアと、ランヴァルドたちの運命は…!?

続きはまた次回デス~!


今日もありがとうございました~!

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