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刀に宿る悪霊に乗っ取られてしまった妻の愛結を止めようと、

夫の平祐は、披露宴会場に戻り、愛結と対峙するー。


なんとか、愛結を悪霊の支配下から救い出そうとするも、

平祐の狙いは、空回りー。


やがて、時間を稼ごうとしていた平祐を放置し、

愛結は、乗っ取られたまま披露宴会場の外に向かって歩き出し始めたー。


事態は、最悪の事態へと向かっていくー…。


★前回はこちら↓★

<憑依>妖刀花嫁③~対決~

刀に宿る悪霊に乗っ取られてしまった妻の愛結ー。 身も心も完全に支配された愛結は、 狂気と欲望に手を染めていくー。 そんな中、一度は披露宴会場の外に逃げ出した夫・平祐は 愛結を救うために、単身、乗っ取られた愛結がいる会場へと 戻っていくのだったー。 ☆前回はこちら↓☆ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「...

・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーあ、愛結ー!?」

披露宴会場の外では、様子を伺っていた

披露宴参加者の一部が、会場から出てきた愛結を見て

声を上げたー。


血濡れたウェディングドレスー

愛結の顔を隠した不気味な般若の面ー

そして、手に握られた刀ー


「ーーはぁぁぁ…♡たまんねぇぜ」

身体中をゾクゾクと興奮させながら、左手で自分の胸を揉み愛結ー。


「ーーんんっ♡ はぁぁぁっ♡」

親族や友人たちを無視して、愛結は胸を触り、感じているー。


般若の面によって、その表情は見えないが、

その声から、愛結が興奮しているのは明らかだったー。


「ーーーあ、、愛結っ!」

愛結の母親が愛結に近付くー。


だがー

愛結は突然、般若の面を取ると、そのまま自分の母親を

抱きしめて、そのままキスをしたー。


「ーーはぁぁぁぁ…さすが、この女の母上だけあるなぁ…♡」

愛結が目を見開いて、狂った表情で、母親にキスをして、

さらには頬を舐めだすー。


娘に頬を舐められた母親は悲鳴を上げるー。


「ーーあぁぁぁぁ…やめろよそういうの…ふふふ…うふふふふ」

愛結は、母親の目を、間近で見つめながら笑うー。


「ーそうやって、怯えた態度取られるとぉ、、

 興奮しちゃうんだよなぁぁああああ♡」


愛結はそう言うと、持っていた刀で母親を斬ってしまうー。


周囲にいた親族や友人は、悲鳴を上げ散り散りに逃げていくー。


もうー

”愛結の身の心配”をしている余裕すら、

周囲の人々にはなかったー。


倒れた母親を見つめながら笑みを浮かべる愛結ー。


「ーあぁぁぁぁっ♡ 女ー 血ー 女ー 血ー」

刀で倒れた母親の身体を刺激していくー


母親がうめき声をあげるのを見て愛結は

「喘げ喘げ喘げ喘げー!」と、笑いながら叫ぶー。


「女!血!女!血!女!血!女!血ィィィィィィ♡♡♡」


愛結のような女性が、”こんな表情”できるのー…?と

思ってしまうぐらいに顔を歪ませた愛結は、

母親が動かなくなるのを確認すると、

「はぁぁぁ…また、いっぱい斬ろうね♡」

と、刀にキスをすると、そのまま歩き出すー。


「ーー愛結!!!!」

遅れて披露宴の会場から飛び出した平祐は、

倒れている愛結の母親を見て

「お義母さん!」と、叫ぶー。


「ーーー……」

愛結の母親は、まだ死んではいなかったー。

平祐の袖を掴んで、必死に口をぱくぱくとさせるー。


「ーーー救急車を呼びますからー…

 無理しないでくださいー」

平祐はそれだけ言うと、すぐにスマホで救急車を呼ぼうとするー。


だがー

愛結の母親は、平祐の袖を力強く引っ張ったー。


おそらくはー、今、彼女にできる、最後のことをなすためにー。


「ーーー」

平祐は戸惑いながらも、愛結の母親の口元にギリギリまで

耳を近づけて母親の言葉を聞くー。


”ーーーあ ゆ を…… と、め、、て”ー


「ーーーお義母さんー」

平祐は悲しそうにそう呟くと、返事の代わりに、

愛結の母親の手を力強く、握りしめたー。


「ーーー」

愛結の母親の手から力が抜けていくのを感じるとー、

「ーーーー」

平祐は歯を食いしばって、そのまま立ち上がるー。


近くに、呆然とした状態で、まだ逃げてなかった親族を見つけると、

「ー俺は愛結を追います!警察と救急車に通報してください!」と

叫んで、そのまま愛結の後を追うー。


”くそっー”


平祐は走りながら思うー


”くそっー…どうするー? どうしてこんなことにー?”


平祐はー

愛結の笑顔を思い出すー。


”いい加減だった”自分を変えてくれたのは愛結ー。

今度は、自分が愛結を支えていけるように頑張ろうー

共に明るい家庭を作れるように頑張ろうー。


どんなことがあっても、決して愛結の目を涙で濡らさないようにしようー、


そう、誓ったのにー。


乗っ取られてしまった愛結を元に戻せるのかどうかー

それは、当然心配だー。


だが、そのあと、どうするー?


”刀に宿る悪霊に憑依されて、殺人を犯した愛結”は、どうなるー?

今の法律では、確実に愛結が犯罪者となってしまうー。


「ー俺に…警察を説得できるのかー?」

平祐は思わず困惑の表情を浮かべるー。


そして、何よりーーー


愛結が正気を取り戻したときー、

愛結は、この事実にー耐えられるのかー?


平祐は、指にはめた婚約指輪を見つめながら走ったー。

愛結に、追いつくためにー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーな、なんだー…?」

「ーーえ…なにあれー?」

「ーーーえ、、映画の撮影ー?」


街ではー

”騒ぎ”が起きていたー


血濡れたウェディングドレスに

般若の面をつけた女が、

刀を手にー

笑いながらこちらに向かってきていたからだー。


既に周囲は暗くなりー、

夜の到来を告げているー。


「ーーーーーへぇぇぇ…」

愛結は、夜の街を見つめて微笑むー。


「ーー江戸とは、大違いだなぁ…」

周囲の悲鳴を聞きながら、愛結は、刀を手に、柄の部分で

胸をぐりぐりと刺激しながら笑うー。


「さぁ…逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ…

 1分だけ待ってやるー んふぅぅぅぅぅ♡」


刀で胸や、身体のあちこちを刺激しながら、

快感に身をゆだねる愛結ー


「はぁはぁはぁ…女って…♡ えへぇ…♡ すげぇや…♡」


そしてー

愛結は、自分の”血濡れた手”を見つめて笑みを浮かべるー。


「ーーはぁぁぁぁ…綺麗な手を赤く染めるなんてーー

 ぁぁぁあっぅぅぅぅ…♡ たまんねぇぇぇぇ♡」

般若の面を外して手をペロペロと舐め始めた愛結ー。


愛結は、しばらくすると立ち上がるー。

再び、般若の面をつけてー

街の人々に、刀を手に襲い掛かるー。


やがて、パトカーのサイレンが鳴り響き始めるー。


「ーーー愛結!」

平祐も少し遅れて到着し、愛結に向かって叫ぶー。


”人斬り”を楽しんでいた愛結が、不気味に笑うー。


警察のほうを見てー

「ーーこの時代の同心かァ…!」と、笑みを浮かべるー。


まだ、通報された直後なのか、駆け付けた警察は数名ー。


「ーーー動くな!止まりなさい!」

警察が銃を構えて叫ぶー。


平祐は少し離れた場所から、その光景を見つめながら

「愛結!!愛結!!!」と叫ぶー。


刀を手に、愛結は奇声を上げながら警察に突進していくー。


愛結がー

警官を斬り捨てるー


だがー

もう一人の警官が愛結に発砲しー、

直後、愛結がもう一人の警官も斬り捨てたー。


高台から、その光景を走りながら見ていた平祐は、

斜面を滑り落ちながら愛結に近付こうとするー


「愛結から…

 愛結からいい加減に…出ていきやがれ!」


「ーーー!」


だがー

愛結は警官の発砲した銃で撃たれたのか、腕を押さえながら、

近くの山林地帯のほうに、ウェディングドレス姿のまま逃げ込んでいくー


「待て!くそっ!」

平祐は、手を押さえながら愛結の後を追うー。


そしてーー

ようやく、愛結に追いついたー。


山林の中の、川の前で振り返る愛結ー。


「ーーーへ…へへへへへへ…」

髪は乱れ切ってー

顔にも、手にも、ウェディングドレスにも、返り血を浴びているー。


そんな、状態ー。


「ーー愛結…」

平祐は、愛結に向かって歩き出すー。


愛結は腕から流れる血を押さえながらー

「ーーへへへへへ…」と、笑みを浮かべるー


”この時代の警察”の思わぬ反撃が、

愛結に憑依した悪霊にとっては、想定外だったのだろうー。


「ーーー愛結…!目を覚ましてくれー」

愛結に向かってそう呟きながら、平祐は悲しそうな目で

愛結を真っすぐと見つめるー。


「ーーそんなに俺に斬られたいのかー?」

愛結が言うと、平祐は「お前には話しかけていない!」と

大声で叫び返すー。


「ーーくくくくくくー

 お前みたいな奴を斬るのも、俺は大好きだぜ?」

愛結はそう言うと、血濡れた刀にキスをしてから、

「ーーこの女も、刀も、俺も、お前を斬れることにゾクゾクしてる!」と

興奮した愛結の声で、そう叫んだー


「ーー刀と、お前は、だ!」

平祐は怒りの形相で叫ぶー。


そしてー

愛結に近付いていくー。


もうーー

恐怖はないー


”恐怖”を”愛結を助けたい”という思いが、超越したー。


「ーーーー死ね!」

愛結が刀を振るうー。


その刀がー

平祐の頬をかすめるー


頬から血が流れるー。


「ーー!」

愛結は刀を握りしめながらー


”首を飛ばすつもりだったのにー”

と、表情を歪めるー。


”まだ、この女の意識があるのかー?”

そう思いながらも、その動揺を表には見せず、

平祐を見つめるー。


”愛結を乗っ取った悪霊”は気づいていなかったが、

警察から”現代の反撃”を受けたことで、悪霊側の意識にわずかな

動揺が生まれ、その結果ー、愛結の意識のほうが少し、勢力を

取り戻していたー。


「ーーー次は首を飛ばしてやるー」

愛結は笑みを浮かべながらそう叫ぶー。


だがー

平祐は、それでも恐れることなくー

愛結を抱きしめたー。


「ーー!?!?!?!?!?」

抱きしめられた愛結が表情を歪めるー。


「ーー愛結ー…俺、愛結を守るって誓ったのにー」

平祐がそう呟くー


「ーー愛結を、こんな目に遭わせてー

 愛結を守れなくて、本当にごめんー


 でも、なんとか、俺ー愛結を支えていくからー

 だからー」


その言葉と同時に、愛結が「うるせぇ!」と、平祐を振り払ったー


そしてー

ウェディングドレス姿の花嫁ー愛結は、

刀を振り上げー

平祐に向かって思いきり、

それを振り下ろしたーーー


ーーーーー


・・・・・・・・・・


「ーーーー!?!?!?!?」

平祐が目を開くと、

そこは、光の雫が飛び交う不思議な世界だったー


「ーーー……」

周囲を見渡す平祐ー。


平祐は「ーーあぁ、そういうことかー」と、

ため息交じりの笑みを浮かべるー。


「俺、死んだんだなー」

とー。


「ーーー平祐」

背後から声が聞こえるー。


そこにいたのは、愛結ー。

いつものような、穏やかな笑みを浮かべてから、

平祐の方に近付いてくるー。


「ーー平祐ー…ごめんねー。

 一緒に幸せになれなくてー」

愛結の言葉に、平祐は「ーーえ?」と首を傾げるー。


「ーーこんなことになっちゃったからー…

 わたしにできることは、もう、ひとつだけー」

愛結の言葉に、

光の雫が飛び交う中ー、

平祐は表情を歪めるー。


「ーわたし自身が、わたしを、止めることー」

愛結の言葉に、平祐は「それって…どういうー?」と、戸惑うー


「ー平祐は、生きてー…

 

 大丈夫ー。

 わたし、先にあっちで平祐と暮らすマイホームでも用意して

 待ってるからー


 わたしはほら、忍耐強いから、60年でも、70年でも待てるからー!」


その言葉に、平祐は「おい…まさか!」と、戸惑うー。


”自分は死んでない”


そしてー


”愛結は、自らの命を捨てて何かをしようとしているー”


「ーーーーーわたし…負けないー」

愛結はそう言って、平祐に背を向けるー。


「ーま、待ってくれ!愛結!

 必ず、必ず助けるからー

 諦めちゃだめだ!愛結!」


平祐の叫び声に、愛結は背を向けたまま呟くー。


「ーーーわたしの身体から、あの悪霊を追い出す方法なんてー

 あるのー?


 それにー

 平祐…わたし、もう”人殺し”にされちゃったんだよー?


 もし、身体を取り戻すことができてもー

 わたしは、大量殺人犯ー。


 わかるでしょー?」


愛結の言葉に、平祐は「でも…それでも、なんとかするから!」と叫ぶー


「ーどうにもならないよー。

 わたしは凶悪犯として逮捕されて、ヘタをすれば死刑ー。

 世間ではわたしは叩かれ続けて、

 平祐ー、あなたも永遠に世間から叩かれ続けるー


 それにーーー

 わたしから悪霊を追い出す方法もないでしょ?」


愛結はそこまで言うと、つけ加えるー。


「このままだとわたし、平祐を殺してー

 また街に行って、もっともっと大勢の人を殺しちゃうー…


 だからーーこれが、わたしにできる最後のことー」


愛結はそこまで言うと、ため息をついたー。


「ーーあ、平祐ー

 わたしの後を追ってきたりしないでね!

 先にあっちで、平祐と幸せに暮らせるように準備してるから、

 ちゃんと人生、一生懸命生きて、のんびりこっちに来るんだよ!」


振り返って微笑む愛結ー。


光の雫に包まれながら、平祐は「そんなの…いやだよ…」と、呟くー


「ーーいい加減だった俺を変えてくれた愛結にー

 今度は俺が恩返しする番だったのにー…」


平祐がそう言うと、愛結は「ありがとうー」と、微笑むー。


「ーーーー平祐ー。でもねー。わたし、もう、決めたのー。

 

 わたしだって死にたくないー。

 でも、ここでこうしないと、もっと大勢の人が傷つくしー

 わたしも助からないー。」


愛結は、昔から”現実”をしっかり見据えたタイプだー。


正直、愛結を助ける方法は、無いに等しいー

愛結を救うことが奇跡的にできても、

愛結の言う通り”凶悪犯罪者とその夫”という地獄の未来が

待っているー


ここで、それを止めるのがー

一番のーーー


「ーー俺、、なんとかするからーー!」

平祐は、そう分かっていながらも叫んだー。


愛結はにっこり微笑むとー


「ーー平祐ってばー

 やっぱりー”いい加減”なんだからー」


”なんとかできない”

そんなことは、平祐も分かっているー


そして、平祐が”どうにもできない”のを分かっていながらも、

そう叫んでいることも、愛結は分かった上で


「ありがとうー」と、最後に微笑んだー


「もう、行かなくちゃー」

光の雫が消えていくー。


そしてー

急速に現実に引き戻された平祐ー


平祐に向かって振り下ろされた刀は、ギリギリのところで止まりー、


「ーーーわたし…の…身体を…これ以上ーーーー

 好きにしないで!!!!!!!!」


愛結は苦しそうにそう叫ぶとー


「ーーー平祐と出会えて、よかったー」

と、平祐のほうを見てからー

自分の身体に刀を突き刺しー


そのままー

背後の、山の中を流れる川に自ら飛び込みー

愛結は姿を消したー


「愛結!!!愛結!!!!!」

平祐の叫びもむなしくー、愛結の身体は、そのまま

流れの強い川に流されて、あっという間に姿を消したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーー」


あれから1か月ー

平祐は、ため息をつきながら、

愛結の写真を見つめるー


「行ってくるよー」

平祐は、愛結の死に、酷く落ち込んだー。


色々と、後始末も大変だー。

未だに、親族の間では混乱が広がっているー。


けれどー


「ーーー俺…ちゃんと生きるからー

 だからーそっちに行ったらー…

 今度こそーーー」


愛結との約束を守るためー

平祐は、辛くても前を見て生きることを決めていたー


きっと愛結はー

あっちの世界で、自分を待っていてくれるからー。


そんな愛結に失望されないようにーーー。


「ーーー」

愛結の写真を見て微笑むと、

平祐は「あ、遅刻する!」と、慌てた様子で

そのまま、家の外へと向かうのだったー


・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・


山奥ー


「ーーーーな、、なんだ…?」

きのこ狩りで山奥に迷い込んでいた男が、

懐中電灯を照らすー


「ーーーー!!!!!」

懐中電灯で照らされた先にはーーー


ボサボサの長い黒髪に、

ボロボロのウェディングドレス姿のー

まるで”幽霊”のような女がいたー。


「ーーー血…♡」

女はそう呟くと、悲鳴を上げる男を斬り捨てたー。


「ーーひひひ…ひひひひひ」

倒れた男に、四つん這いになって近づくと、

そのまま血をペロペロと舐める女ー


”愛結”はー

自分を刺して、川に転落ー

流された先の、森林の奥地でー


”生きていたー”


ボロボロになりながらも、死んでいなかったー。


山奥のキノコを食べー

山菜を食べー

迷い込んだ人間を”斬る”ー


愛結はよろよろと歩きながら、立ち止まって刀にキスをするとー

「血と…女… 血…女…♡」と笑みを浮かべながら、

自分の身体を刀で弄び始めるのだったー。



人里離れた山奥に住み着く”人斬り女”ー


そんな都市伝説を、平祐が耳にするのは、数年後のことだったー。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


妖刀花嫁の最終回でした~!!


結末Aと結末Bが私の中であって、迷ったのですが、

結局「B」の方にしました~★!

(「A」の方が綺麗なエンドですが、反面、ガッカリする人も多くなりそうな

 結末だったので~!)


お読みくださりありがとうございました!!

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