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作品の性質上、地震災害の描写などが存在します。

苦手な方は、ご注意ください!

作中で発生する地震災害、場所、物語は全てフィクションデス!


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「各地の被害状況ですー」

地震発生の翌日ー

テレビでは蒼月市北部を震源とする地震の情報が

引き続き伝えられているー。


ニュースキャスターが、

各地の被害状況を読み上げていくー。


その数字は、

遠く離れた地から、テレビを見ている人々にも

その被害の大きさが伝わるほどだったー。


しかしー

それでも、少しずつ、余震の回数は減りつつあるのも確かだったー


停電ー

断水ー

そんな状況下でも、

一歩ずつー、

”前”に進めると信じてー。


けれどー

”地球”にとって、人間の都合など

”どうでもよいこと”である、ということを

人々が思い知らされることになるのは、

まだ少し先のことだったー。


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主な登場人物


月森 彩香(つきもり あやか)

高校3年生。修学旅行中に地震に巻き込まれる。俊樹と入れ替わっている。


日向 俊樹(ひゅうが としき) 

彩香を助けた謎の男。彩香と入れ替わっている。


的場 聡(まとば さとし) 

高校3年生。彩香の彼氏。彩香たちと再会を果たす。しかし…?


相馬 晴美(そうま はるみ)

高校3年生。生徒会長。誰にでも優しい。蒼月小学校に避難中。


木下 響子(きのした きょうこ)

高校3年生。彩香の親友。地震発生後は消息不明。


早乙女 美穂(さおとめ みほ)

高校3年生。大人しいタイプの子。蒼月小学校に避難中。


赤岩 紀夫(あかいわ のりお)

俊樹を追うサングラスにスキンヘッドの危険な風貌の男。


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★あらすじ


行方不明の親友・響子や、クラスメイトたちを探すため、

地震発生の翌日、明るくなったのを見計らって

避難所である蒼月第3小学校を後にした彩香と俊樹ー。


しかし、その最中、危険な風貌の男・赤岩の襲撃を受け、

俊樹がその赤岩の知り合いであることを彩香は確信するー。


説明する、と、彩香(俊樹)が口を開こうとしたその時、

彩香たちの前に、彩香の彼氏である聡が姿を現し、

”さっきの話を聞いた”と告げるのだったー。


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>崩壊都市⑦~捜索~

作品の性質上、地震災害の描写などが存在します。 苦手な方は、ご注意ください! 作中で発生する地震災害、場所、物語は全てフィクションデス! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2日目12:54ー 「蒼月市北部を震源とした地震発生から、  丸1日が経過しましたー。  現在も、余震が多発しているほかー  停電や断水...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーえ…ー」

俊樹(彩香)は悲しそうな表情を浮かべながら呟くー。


再会した彼氏・聡は、

「ー男の身体になった彼女とかー

 いらねぇじゃんー」

と、信じられない言葉を口にしたのだー。


それを聞いた彩香(俊樹)が割って入るー。


「ーそんな言い方は、酷いんじゃないのかー?」

とー。


「ーーははっごめんごめんー。」

聡は、彩香(俊樹)のほうを見ると笑顔で答えるー。


「ーーでも、なんか、いつもの彩香よりかっこよくて

 俺好みかもー」

聡の言葉に、彩香(俊樹)は「ど、どういう意味だー?」と、

表情を少しだけ曇らせるー。


「ーー身体は彩香なんだし、どうかな?

 俺とこのまま付き合う、なんていうのはー?」

聡の言葉に、俊樹(彩香)が「ちょっと!聡!いい加減にしてー!」と

声を上げるー。


「ーーー悪いけどー」

聡が、ため息をつきながら俊樹(彩香)のほうを見つめるー


「ーその姿で、女っぽい振る舞いとかー…

 俺、無理だわー…」


聡はそう言うと、俊樹(彩香)のほうを見つめながら

言葉を続けたー


「ーーー正直何て言うかなー…そのーーー」


聡が呟いた言葉に、俊樹(彩香)は、その場に膝をついて、

聡に声をかけることすらできなかったー。


彩香(俊樹)は立ち去っていく聡を見つめながらー

俊樹(彩香)に向かって声をかけるー。


「ーー俺のせいで…すまないー」

彩香(俊樹)にそう言われた俊樹(彩香)は

「ううんー…あなたのせいじゃないー」と、だけ呟くと、

そのまま近くの花壇の側に座って、ひと息つくー…。


「ーーさっきのスキンヘッドの男は、赤岩 紀夫ー。

 俺が働いていた会社の男だー。」


彩香(俊樹)が腕組みしながらそう呟くと、

「ーあなた…なんの仕事してる人なのー?」と、

戸惑いながら、俊樹(彩香)が呟くー。


「ーーーーどこから話そうかなー…」

彩香(俊樹)は、そう呟くと、少し考えてから

「ーー”子供の頃、被災したことがある”って話は

 前にしたよなー?」

と、言葉を口にするー。


「ーーうん…」

俊樹(彩香)が頷くと、余震の揺れを感じて、少し警戒したあとに、

彩香(俊樹)が揺れが落ち着いたことを確認すると、

再び話を続けるー。


「ーーー…昨日の夜も言ったけどー…その時ー…

 俺は、妹と両親を失ったんだー」


彩香(俊樹)の言葉に、俊樹(彩香)は「……そう…」と、

悲しそうな表情を浮かべるー。


「ーーそんなことになるなんて、夢にも思わなかったよー。

 親父も、母さんも、妹も、1日にしてみんな、

 いなくなっちまったー。

 それまでは、普通に暮らしてたのにー」


彩香(俊樹)はそう言いながら、空を見上げるー。


「ーーー地震ってーーー怖いよなー…

 何もかも、変わっちまうー」


彩香(俊樹)の目から涙がこぼれるー。


俊樹(彩香)がかける言葉に戸惑っていると、

彩香(俊樹)が、自分が涙を流していることに気付いて

少しだけ笑うー


「君の身体、涙腺脆いなー…

 俺、こんなことじゃ泣かないのにー」

彩香(俊樹)が照れくさそうに笑いながらそう言うと、

「わ、わたし、そんなこと言われたことないけど!」と、

涙腺が脆いと言われたことに反論するー


「ーーー…はは、そっか」

それだけ言うと、彩香(俊樹)は話を続けるー


「ーー俺だけ生き延びたよー。

 被災地の中、必死にー。


 でもー

 生き延びた先に、俺の居場所はなかったー」


彩香(俊樹)は髪を邪魔そうに避けながら呟くと

「そんな時だったー。”宮尾会長”と出会ったのはー」

と、言葉を続けるー。


「ーー神代主任と、宮尾(みやお)会長にはー

 俺からも詫びを入れときますからー

 兄貴ィ、そろそろ”例のモノ”、

 俺に渡しちゃくれませんかね?」


あのスキンヘッドの男・赤岩もその名前を出していたことを思い出すー。


「ーーー宮尾会長は、それからの俺にとって

 親代わりの存在でー…

 住み込みで、俺を働かせてくれたー。」


彩香(俊樹)が言うー。


「ーーー…ま、、まさか…その…暴力団とか…そういうー?」

俊樹(彩香)が不安そうに言うー。


「ーははははっ、いや、違う違う、それはないよー」

彩香(俊樹)が笑いながら返事をすると、


「ー宮尾会長は、新薬の開発を行ってる製薬会社の会長だよー」

と、言葉を付け加えたー。


それほど大きな会社ではなく、

主に市販の治療薬などではなく”裏方”となるような薬の

開発などを行っていた会社なのだというー。


「宮尾会長はさ、あの震災の当時、俺のような親を失った子供を

 迎え入れて、面倒を見て、育ててくれたんだー」


その言葉に、俊樹(彩香)は、困惑の表情を浮かべるー。


「ーーじゃあ、さっきの赤岩って人もー、その会社のー?」


”とてもまともな人には見えなかったー”

そう言うと、彩香(俊樹)は「そうなんだー…」と、気まずそうに呟くー


”だから、俺は逃げていたー”

とー。


「ー君と出会ったときー

 昨日、地震が発生したとき、

 俺は”あるもの”を持ちだして、会社から逃げ出してる最中だったんだー」


彩香(俊樹)は、険しい表情でそう言い放ったー


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”ーーー日向俊樹と女子高生が入れ替わったー?”

電話相手の”神代主任”がそう呟くー


「ーえぇ、間違いありませんよー

 クククー…まさか、”アレ”にそんな力があったなんてー」

スキンヘッドの男・赤岩は笑みを浮かべながら、

上司である”神代主任”に、

兄貴分である俊樹と、女子高生の彩香が入れ替わったことを伝えたー。


「ーーしかし、まさかそんなモノを作っていたなんて、

 俺にもぜひ、それをー」


”ーーー余計な詮索は無用ですー”

神代主任の口調が荒くなるー。


「ーおっと、こりゃ失礼ー」

赤岩がそう呟くと、神代主任は続けたー。


”ーー赤岩ー「死人に口なし」という言葉をご存じですか?”

神代主任の言葉に「ええ」と、赤岩はスマホを持ちながら頷くー。


”ではー

 私が何を言いたいか、分かりますね?”


「ーーそれは、つまりー」


”二人とも、消してしまいなさいー…

 なに、これだけの災害ですー

 二人消えたぐらいじゃ、誰も何とも思わないでしょうー”


神代主任は、そう告げると、そのまま電話を切ったー


「ーーーー」

赤岩はスマホをしまうと、一人笑みを浮かべたー


「ーーーー」

女子高生・彩香の姿になった”兄貴”のことを思い出すー。


「ーーへへへへ…兄貴が女子高生かー」

赤岩は下品な笑みを浮かべながら、歩き出すー。


「ーーならーーーー」


赤岩は、狂気の笑みを浮かべながらー

恐ろしい言葉を口にしたー


「ーー俺もJKになれるってことだよなァ…?」


”兄貴”と”女子高生”が入れ替わったー

その事実を知った赤岩紀夫は、

上司である神代主任の思惑とは”別の方向”に動こうとしていたー


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「ーーあるものー?」


俊樹(彩香)が首を傾げるー


「ーーあぁ…」

彩香(俊樹)はそう呟くと、

”神代主任が開発中だった”禁断の薬”ー

 俺は、それを会社から持ち出して逃亡してる最中だったんだ”

と、言葉を続けたー。


俊樹が世話になった宮尾会長は、

既に高齢で、実質上、現在は神代主任という人物が

会社を仕切っているのだと言うー。


「ーー神代は優秀な研究者だったー。

 8年前ーー…あいつは会社にやってきて

 宮尾会長の元で、優秀な研究成果を次々と残したんだー


 でもーー

 あいつは”会社の乗っ取り”を画策していたー。


 5年前から、宮尾会長が体調を崩しがちになってから、

 あいつは、会社内で発言力を増していきー、

 今や、事実上、会社は神代主任のものだー。

 さっきのスキンヘッドー…

 赤岩も神代主任が招き入れた男で、

 神代主任が実権を握ってからー

 会社は変わっちまったー…


 そうー

 まるで、さっき君が言った”暴力団”のようにー」


俊樹は、家族を失って途方に暮れていた少年時代の自分を拾って

育ててくれた恩義を返すため、宮尾会長の会社で一生懸命

働いてきたー。

しかし、神代主任が実権を握ってからは、

危険な実験・研究を行うようになり、

会社全体が変わっていったー。

今では”赤岩”のような危険人物を抱えているしー、

”裏社会とのつながり”も噂されているー。


そしてー、

研究中だった新薬を”海外マフィアに大量に販売する話が持ち上がっている”

と聞いた俊樹は、”これ以上、神代主任の好きにさせるわけにはいかない”と、

研究中の新薬のサンプルを持ち出して会社から逃亡、

それを警察に持っていく途中だったのだと言うー。


「ーーそんなことがー…」

俊樹(彩香)が言うと、

彩香(俊樹)は「ー神代主任が開発中だった”薬”がどんな効果を

持っていたのかは分からない…けどー」と、続けるー。


「ーーー…わたしたちが入れ替わったのって、もしかしてー」

俊樹(彩香)が、彩香(俊樹)のほうを見つめるー。


「ーー…そうかもしれないー…すまないー」

彩香(俊樹)は、そう呟くと頭を下げたー。


地震発生時ー

彩香を咄嗟に助けた際に、俊樹が持っていた”神代主任の新薬”も

飛び散ってしまったー。


それが、影響した可能性があるー。


「ーーー………だから、君は俺の身体でいる以上ー

 赤岩や神代主任に狙われるかもしれないー…」


彩香(俊樹)が申し訳なさそうに言うー。


”入れ替わった身体を元に戻すこと”

そして、”彩香を守ること”

そのために、彩香(俊樹)はずっと、俊樹(彩香)と一緒に行動しているー。


「ーー巻き込んですまないー」

彩香(俊樹)が深々と頭を下げると、

俊樹(彩香)は少し考えてから微笑むー。


「ーーでも、あなたはその、神代って人たちの

 悪いことを止めようとしてたんでしょー?」

俊樹(彩香)の言葉に、彩香(俊樹)は顔を上げるー。


「ーだったら、あなたのせいじゃないよー。

 それに、今もこうして守ってくれてるんだし!」

俊樹(彩香)が言うと、

彩香(俊樹)は少しだけ安堵の表情を浮かべたあとに、

「ー君のことは、必ず俺が守るからー」

と、力強く、そう呟いたー。


頷く俊樹(彩香)ー


”身体を元に戻す方法”を探すと共に、

赤岩や神代主任らの追跡から逃れー、

さらには、自然災害を生き延びなくてはいけないー。


あまりにも、過酷な状況ー。


それでもー

俊樹(彩香)は”わたしは絶対に諦めないー”と

決意を新たに、立ち上がったー。


「ー……はぁ~なんか、臭いなぁ…」

俊樹(彩香)が自分の身体の匂いを嗅ぎながら言うー。


そして、彩香(俊樹)のほうを横目で見るー。


「ーなんで俺を見るんだー」

苦笑いしながら言う彩香(俊樹)ー


「べ、別に俺が元々不潔にしてたわけじゃないからなー?

 それに、君の身体もそのうち臭くなるー」

彩香(俊樹)が言うと、

「ーちょっと!女の子に臭くなるとか失礼じゃない!?」と、

俊樹(彩香)が突っ込むー


「ーーはは、それを言うなら君も十分失礼だろ」

彩香(俊樹)はそう言いながら、

「ーお風呂もなぁ…断水とか、色々解消しないと難しいからなぁ…」と

困惑した様子で、自分の長い髪をかゆそうに掻きむしり始めたー。


「ーーー…まぁ…とりあえず、君のクラスメイトたちを探そうかー」

彩香(俊樹)の言葉に、俊樹(彩香)は静かに頷いたー。


”彩香とウチは、ずっと親友やからー”


ーーー地震発生直後からずっと連絡も取れず、消息も不明の親友・響子の

ことを思い出しながら、俊樹(彩香)は、

彩香(俊樹)の背後から、静かに後を追うように歩き始めたー。


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2日目 PM16:30-

避難所・蒼月第3小学校ー。


「ーー相馬さんー」

彩香と同じ行動班だった大人しい性格の少女・美穂が、

避難所に、生徒会長の相馬 晴美が戻ってきたことに気付き、

声をかけるー。


晴美は、薄汚れた格好で美穂のほうを見つめるー。

その両手には、大量の食料品やペットボトルの飲料水が

抱え込まれているー


「ーー…これは全部わたしのよ!」

何も言っていないのにー

晴美は、美穂にそう言い放つー


「ーー誰にも渡さないー」

薄汚れた格好の晴美の言葉に、美穂は「と、、取ったりしないからー」と、

戸惑いながら呟くー。


晴美はその言葉 を聞くと、うすら笑みを浮かべながら

体育館の方に向かっていくー。


「ーーー…みんな…変だよー」

美穂は、校庭のタイヤに座り込んだまま、ため息をつくー


「ー早く…迎えに来てーお兄…」

スマホを握りしめながら、大好きなお兄ちゃんのことを

思い浮かべながらツインテールの少女・美穂は

祈るようにして、呟くー


先ほどー

兄とは連絡が取れたー。

兄によれば”迎えに行けるようになったらすぐに行く”とのことだったが、

それがいつになるのかは分からないー。


美穂は、”早く…帰りたい…死にたくない”

と、ため息をつくー。



一方、食料を抱えて体育館に戻ってきた

生徒会長・相馬晴美のことを、

少し離れた場所から、変態担任教師・黒井が、笑みを浮かべながら

見つめていたー


”あれはー相馬?”

黒井は心の中で呟くー


”まるで別人みたいじゃないかー”

きっと、地震でショックを受けたのだろうー、

そう、思いながらも黒井先生は口元を歪めるー。


”ーーー普段真面目で優しい子がああいう状況になっているのもー

ゾクゾクするよなー”


右手をウズウズとさせながら、

黒井先生は、静かに笑みを浮かべたー。



「ーーーーーー」

校庭にいる美穂は、空を見上げたー。


美穂は、まだ知らないー。

これから起きる、出来事をー

そして、それ以上に、自分に起きる恐ろしい出来事をー。


⑨へ続く


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コメント


長編第8話でした~!☆

連載開始当初、コメント後に「メイキング」のコーナーも

用意していましたが、

わざわざコメントと分ける必要がなかった気がするので、

コメントのところで一緒にお話するようにしますネ~笑


色々フラグを立てつつ、

それをちゃんと回収できるように、描いていかないといけないのが

長編の難しいと同時に、楽しさの一つでもありますネ~!


フラグを立てたまま放置したり、フラグをへし折ったりしないように

頑張ります~笑(これは今までの長編でもそうですケド…)


今日もお読みくださりありがとうございました~!

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