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刀に宿る悪霊に乗っ取られてしまった妻の愛結ー。


身も心も完全に支配された愛結は、

狂気と欲望に手を染めていくー。


そんな中、一度は披露宴会場の外に逃げ出した夫・平祐は

愛結を救うために、単身、乗っ取られた愛結がいる会場へと

戻っていくのだったー。


☆前回はこちら↓☆

<憑依>妖刀花嫁②~血に飢えた花嫁~

幸せな新婚夫婦の平祐と愛結ー。 双方の親族や友人が集まる中、 披露宴でケーキ入刀が行われようとしたときー 悲劇は起きたー。 ケーキ入刀の際に、愛結の祖父が愛結に渡した日本刀ー。 その中には、江戸時代に破壊の限りを尽くした男が 悪霊となって宿っていたー 刀を手にした愛結の身体を支配した悪霊は、 愛結の身体...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーー愛結…今、助けるからなー」

披露宴会場ー

さっきまで、幸せに包まれ、笑顔が絶えなかったこの場所はー

今、血に染まっているー


愛結がペロリと唇を舐めるー。


”あの刀ー”

平祐は愛結の方に向かいながら

先ほど”手に持ったあるもの”を、手に、覚悟を決めていたー。


愛結が豹変したのは、愛結の祖父から刀を手渡された直後だー。

あの”刀”に原因があるに違いないー。


「ーーくくくー旦那の血を妻の身体で浴びるってのもー

 最高だなァ!」


愛結が狂った笑みを浮かべながらそう叫ぶー


平祐が、愛結の近くまで近づくとー

愛結が「死ねぇえええええええ!」とゲラゲラ笑いながら

刀を振るうー。


ウェディングドレス姿で日本刀を振るう愛結の姿は

”あまりにも異様”な状態だったー。


「ーー!!!!くっー」

平祐は、自分の服に少しだけ刀が当たりー

服が破れたのを確認すると、表情を歪めたー


「ーはぁぁぁぁっぁあああああ…♡」

愛結が、ゾクゾクしながら声を出すー。


完全に興奮しきった声ー。


「ーーいい…」

愛結は左手で自分の顔を押さえながら、クスクスと笑うとー


「ーーいい…いい…いい…いい…いいぞぉぉぉぉ!」

と、笑みを浮かべながら顔に当てていた手で、

平祐のほうを指差すー。


「ーその怯えた顔ー…いい!いいよ!最高だ♡」

愛結が震えながら言うー。


表情も、声のトーンも、

もはや愛結とは思えないー。

完全に、”血に飢えた狂気の女”と化しているー。


「ーーー俺はーー怯えてるやつを斬る瞬間がーー

 たまらなくゾクゾクするんだー」

愛結が刀を手に、近付いてくるー。


「ーーーや…やめろ…愛結!」

平祐が戸惑いの言葉を口にするー。


「ーークククー 無駄だ。

 この身体は、もう完全に俺のものだ!

 さっきみたいにー

 逃げられると思うなよー!」


愛結が叫ぶー


”さっき”は、愛結の意識がなんとか、愛結を乗っ取った男の

支配下から逃れてー

斬られる直前の平祐を助けてくれたー。


だがー

もう、今度はーー


”逃げるつもりなんてーーない”

平祐は心の中で呟くー


愛結が、平祐の目の前までやってきたーーー


「ーーー今だ!」

平祐は目の前でーポケットから何かを取り出して、

それをすぐ側で噴射させたー。


披露宴の会場に出されていたシャンパンを、

愛結の顔面に噴きかけたのだー。


「ーー愛結からーーー離れろ!」

平祐は、愛結がひるんだすきにー

愛結の持つ刀を、力強く蹴りつけたーーー


「ーーがっ!?」

愛結の手から刀が吹き飛ぶー。


「ーーーぁ」

ウェディングドレス姿の愛結が、そのままその場に倒れ込むー。


「ーー愛結!」

 慌てて愛結に駆け寄る平祐ー。


うつぶせに倒れたままの愛結と、

少し離れた場所に吹き飛んだ”愛結を支配していた刀”を見つめるとー

平祐は、「愛結!」と今一度叫んで、愛結のほうを見つめるー


「ーーーぅ…」

愛結がピクッと動くー。


「ーー愛結…!愛結…!」

平祐の必死の呼びかけにー

愛結は、目を少しずつ開いてー

「平祐…」と、悲しそうに呟いたー。


「ーーー愛結…もう、、もう大丈夫だからなー」

平祐は吹き飛んだ刀のほうを見つめながら、

会場を見回すー。


会場には愛結の祖父や、愛結の親戚の女がー

倒れているー。

既に二人とも、息をしていないー。


”この状況ーどうすればいいんだー?”

平祐は、頭をフル回転させるー。


ーー”妻が刀に乗っ取られました” なんて言って

信じてもらうことはできるのかー?


平祐は、愛結を安心させようと、必死に言葉をかけながらも、

不安を隠しきれずに、再び周囲を見つめるー


”妻が刀に乗っ取られて、二人を殺害しました”


そんな話ー

信じてもらえるはずがないー。


証明するにはー

”警察の人本人に刀を持ってもらう”しかないー。


例えば平祐が刀を手にして、目の前で乗っ取られて見せても

警察は”演技”だと言うだろうー。


しかしー

あの刀は危険すぎるー。

誰にも持たせてはー


「ーーー平祐…」

愛結が、不安そうに呟くー。


愛結に膝枕をしたような状態になりながら平祐は

「愛結は…愛結は何も悪くないからー…

 俺がなんとかするからー」と、呟くー。


ウェディングドレス姿の愛結は、少しだけ微笑むとー


「ーーーー!?!?!?」

突然、平祐の首を絞めてきたー


「ーーあ…!?!?!?」

そのまま押し倒される平祐ー


仰向けに倒れた平祐に馬乗りになった愛結が

狂ったように笑いながら、平祐を見つめるー


「あ、、、あ、、、あ、、愛結ぅ…???」

首を絞められた平祐が言うと、

愛結はゲラゲラと笑いながら口を開くー


「ーークククククーバカなやつだ…!

 だ~れが”刀を持っていないと乗っ取ることができない”

 なんて言ったんだぁ~?」


愛結が言うと、

愛結は平祐の首から手を離して、

両手を広げるー。


「ー俺の意識は、あの刀に宿ってたー

 でもなぁ…

 もう今は、この女に移動してるんだよ!

 ふへへへ…ふははははははははっ!」


愛結が嬉しそうに両胸を揉み始めるー


「ーー貴様…!」

平祐は表情を歪めながら立ち上がるー。


”刀を持っている間だけ”愛結を乗っ取ることができるー…のではなく、

”刀に宿っていた悪霊が、刀を手にした愛結に移動して”

愛結を乗っ取ったのだー。


つまりー

刀はもう”抜け殻”


今ー

愛結を支配している悪霊は、

愛結の身体の中にいるー。


「ーー今、ぶっ殺してやるからーー

 待ってて…ね♡」

途中から愛結の口調を真似して、挑発してくるー


愛結が、ニヤニヤしながら、吹き飛ばされた刀を拾おうと歩き出すー。


しかしー

平祐は咄嗟に動いたー


刀を拾われる前にーー

愛結を、なんとかー


愛結の腕を掴みー

「愛結!ごめん!」と叫びながら、愛結を床に押し倒すー。


”刀”さえ持っていなければー

平祐の方が”肉体的”には力があるー。


なんとか、愛結を捕らえて、愛結に憑依した悪霊を

愛結の中から追い出すことさえできればーー


もがく愛結ー


平祐は、愛結をなんとか押さえつけながら、スマホを手に、

外にいる父親を呼ぼうとするー。


”愛結を捕まえる”のを手伝ってもらうためだー。


しかしーーー


「ーへ、、平祐ー?」

愛結が、目に涙を浮かべながらそう言葉を口にしたー。


「ーー!?」

スマホで外にいる父親に助けを求めようとしていた平祐は

表情を歪めるー。


「ーわ、、わたし…?どうなってるのー……?

 平祐ー…痛いよー」


目から涙をこぼしながら、愛結がそう言ったのを見てー

平祐は「あ、、愛結…ご、、ごめっ…」と、手を離してしまうー


その瞬間ーーー


愛結は、目に涙を浮かべたまま、邪悪な笑みを浮かべたー。


「ーーバカなやつーー」

その言葉と同時に、平祐の急所に、愛結の蹴りが直撃するー。


「ぐっぁっ!?!?!?」

平祐は思わず飛びあがってしまうような悲鳴を上げながらー

その場に蹲り、スマホも手放してしまうー。


愛結は「ーー女の涙って最高の武器だなぁ」と、涙を指につけて

ペロリと舐めるとー

「演技なんかに騙されるようじゃ、”江戸”じゃ生きていけないぜー?」

と、笑みを浮かべるー


「え…江戸…?」

平祐が困惑しながら言うー。


「ーーへへへへ…長かったー

 新しい身体を手に入れるまで…長かったー」

愛結はそう呟くと、刀の柄で自分の胸をぐりぐり刺激しながら

甘い声を漏らすー


「ーー女と血ぃぃぃぃ♡ うふふふふふぁ♡

 長く待ったかいがあったぜぇ…!

 ほら!もっとゾクゾクしろよ!おら!感じろよ!

 俺の新しい身体ぁぁぁ ぁぁ♡ うふふぁう♡」


愛結が刀で自分の身体を弄ぶー。


あまりの光景に、頭に血が上る平祐ー。

「ーーく、、くそっーー愛結を返せー!」


「ーー返せぇ?見ろよ、ほら、ふふふ♡

 身体が喜んでる…!

 この女、こんなに笑ってるじゃねぇか!

 ふふふふひ… ひひひひひ♡

 ゾクゾクするぅ…♡ ムラムラするぅぅ♡」


愛結がうっとりとした表情を浮かべているー


「ーーふざけんな!!!!!!!!」

平祐はそう言いながら愛結の方に向かっていくー。


ーーニヤッと、笑みを浮かべる愛結ー。

冷静さを失った人間に待つのは”死”のみー


”旦那の首を妻の手でぶっ飛ばすー

 ゾクゾクが止まらねぇー”


愛結は近付いてきた平祐に向かって

刀を振るうー。


だがー

斬ったのは、平祐の首ではなくー

手だったー。


「ーーー!」

平祐は表情を歪めるー。


同時に、愛結も表情を歪めたー。


「ーーチッ」


”俺の身体と、この娘の身体でー

 感覚が少し違うってことかー”


愛結は、自分の手を見つめるー。


”間合い”

”手の力”

”手の長さ”

色々なものが、愛結を乗っ取った男の

元々の身体とは異なるー。


それ故に、一撃で首を飛ばそうとしたもののー

上手く行かず、結果的に手にかすっただけになったのだー。


祖父や、親戚の女のように

”身動きしていない”状態や”怯えて座り込んでいる”状態の相手を

斬るのは簡単だー。


だが、今の平祐のように”突進してきている相手”を斬るには、

正確な動作が要求されるー。


「ーーーー…愛結ー」

平祐は手を斬られたことにより、冷静さを取り戻したー。


「ーーー……」

手から流れる血ー。


愛結は再び、「来いよ」と言いながら

自分の胸やウェディングドレスの中を刀の柄で

弄び始めているー。


「ーーー…」

このまま、時間を長引かせるわけにはいかないー。


けれどー…

愛結をここから外に出すわけにはいかないー。


外に出せばー

外で待っている親族や、何の関係もない人間が

巻き込まれる可能性もあるしー


愛結の身体で”さらなる殺人”を犯される可能性は高いー。


世間にも、”愛結の殺人”が広く知れ渡ることになり、

当然警察も駆け付けるー。


「ーーーーー」

平祐は、先ほどまでのように”愛結との距離”を十分に取りながら

愛結の説得を続けることを決意するー。

同時に、スマホをどさくさに紛れて広い、外に連絡しようとするー。


「ーーー」

愛結を乗っ取った”刀に宿っていた悪霊”は、

現代のことをどのぐらい知っているのだろうかー。


愛結の祖父が保管していた日本刀ー。

その中から、この世を見つめていたなら、ある程度は

現代のことも知っているはずだー。


だがー

スマホを落としたとき、スマホに何かする素振りはなかったー。


スマホのことは、知らないのだろうかー。


愛結はウェディングドレス姿ー。

中身は誰であろうと身体は愛結だー。


間合いを取りながら行動していれば、追い詰められることは、ないー。


そうして時間を稼ぐ間に、なんとかー


「ーーー血…血…血…女…女…女ァ…!」

愛結はそう呟くと、刀を手に、先ほど一度机に置いた

般若のお面を身に着けるー。


般若の面を身に着けた愛結に、恐怖を感じながら

平祐は、「ーー愛結…目を覚ませ!」と説得を続けるー。


だがー

次の瞬間ー

愛結が取った行動は、平祐が予測していなかった行動だったー。


愛結は平祐を無視して、披露宴会場の外に向かい始めたー


「ーーあ、愛結!?」

平祐が叫ぶと、愛結は振り返ったー。


般若の面で表情は見えないー。


「ー俺は…女と血が見たいんだー…

 いつまでも面倒くせぇお前になんか構ってられるかー


 お前はあとで斬り捨ててやるー」


愛結はそう言うと、笑いながら外に向かおうとするー


「ま、、、待て!お、、お前…江戸って言ったよなー?

 え、、江戸時代の…悪霊なのか?」

平祐が言うと、愛結は今一度振り返ってー

「ーーあぁ…江戸はいい街だったぜぇ」と、愛結の声で返事をするー。


「ーーー…お、、お前はそこから出たら命はないぞ!」

平祐が叫ぶー。


愛結は立ち止まったまま、何も言わないー。


「ー警察…!今の時代には警察がいるんだ!

 警察は、…そう、お前たちの時代にもあっただろ?鉄砲!

 あれが進化したものを使うんだ!

 そんな刀じゃー」


平祐は、”言葉”で愛結を止めようとするー。


しかしー


「ーー警察??」

愛結が首を傾げるー。


”警察、は意味が通じないのかー?

 あ、、あの時代はーー

 えっとー”


平祐は歴史の勉強を思い出しながらー


「そう!…お、、お前たちの時代は同心…だったっけ?

 今の時代には、鉄砲を持った同心がー」


平祐がそう言うと、愛結は笑ったー


「ー同心なんざ、怖くねぇよ」

愛結はそう言うと、そのまま会場の外に出てしまうー。


披露宴会場の周辺にいた親族たちの悲鳴が外から聞こえるー


「ーーお、、おい!」

平祐は慌てて愛結の後を追うー。


妖刀に乗っ取られてしまった花嫁が起こす悪夢はー

最悪の方向に向かおうとしていたー


④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


さらに状況は悪化中…!

続きはまた次回デス~!


今日もお読みくださりありがとうございました!!

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