Home Artists Posts Import Register

Content

ーーー「くそっ!…くそっ!」

男は、逃げていたー。


血のついた刀を握りしめて、男は背後をチラリと伺うー。


男は、”血”と”女”が好きな、危険人物で、

江戸の町を恐怖に震え上がらせていたー


”どうせ、人生一度きりー”

彼は、”俺のしたいことをする”と常に口走っていて、

江戸の町で、町娘を襲い、欲望を満たし、そして

気の向くままに人を斬り捨てていたー。


だがー

そんな男も、ついに追い詰められてー

刀を手に、背後を振り返ったー。


男の周囲には、同心(※江戸時代当時の警察官のような立ち位置の人たち)が

男を取り囲むようにして立っているー。


「くそっー…

 俺は…俺は、もっともっともっと血が見たいんだ…!」


そう言いながら、男は同心たちに向かって刀を振るうー。


だがー

いかに、凄腕の男と言えどー、

多勢に無勢、同心の一人に斬りつけられて、

男は血を噴き出しながら、

ふらふらと歩くー


「血だー…血をよこせー

 女だー…女をよこせー

 くひっ…ひひひひひひひひっ」


”狂っている”

その場にいる同心たちは、そう思ったー。


ふらふらと血を流しながら逃げようとする男をー

同心の一人が背後から斬りつけるー。


男は「死んでたまるかぁ!」と言いながら、

同心たちに向かってくるー。


それでも、同心たちはひるまずー

男の刀を弾き飛ばしたー。


男の手から刀が吹き飛びー、

背後の川に、刀が落ちるー。


「ーーー死んで…たま、、、るかーー」

男は、そう呟きながら草地に倒れ込むと、

最後まで”死んで…たまるかー”と、強い執念で呟きながらー

その生涯を閉じたー。


同心たちによって、江戸を騒がせた狂気の男は、

仕留められたー。


だがー

男の持っていた”刀”は、そのまま川に流されて、

二度と、見つかることはなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


時は流れー

時代は、令和にーー。


その日ー、

ある場所で、新婚夫婦の結婚式が行われていたー


夫・平祐(へいすけ)と、妻・愛結(あゆ)は、

幸せな気持ちの中ー

結婚式は、順調に進んでいくー。

愛結のウェディングドレス姿に見とれながら、平祐は

”愛結のことは、絶対に俺が守るし、幸せにして見せるからー”と

小声で愛結に向かって呟くー。

”うんー”

愛結が、嬉しそうに微笑むー。


高校時代からの付き合いで、

”就職が決まって、大学を無事に卒業できたら結婚しようね”と

約束していた二人はー

晴れて大学を卒業し、無事に結婚ー、先日入籍し、

それに続き結婚式を今日、挙げていたー。


平祐側の両親や友達、

愛結側の両親や友達が見守る中、結婚式は順調に進んでいきー、

挙式は無事に終了、そのまま披露宴の会場へと

ゲストや、平祐・愛結夫妻が移動するー。


移動が終わると、披露宴も始まりー、

新郎新婦の紹介や、挨拶などが行われるー


「ーーーは~~やっぱり緊張するー」

愛結が言うと、平祐は「俺も心臓バクバクだよー」と、笑うー。


「ー小さいころは、”俺は結婚なんてしないんだ!”とか

 言ってたけど、分からないものだなー」

平祐の言葉に、愛結は微笑みながら、周囲を見渡すー


そしてー

ウェディングケーキの入刀の準備が進められる中ー


緊張した様子の愛結ー。


愛結は、高校時代から、真面目な性格で

みんなの”お姉さん的”存在だったー。

平祐と愛結は、高校で初めて一緒になり、

クラスも違ったため、ほぼ接点はなく、

初めての接点は”1年生の時の文化祭”だったー。


平祐は、成績はそこそこで、問題児ではなかったものの

”適当”な性格で、共に文化祭実行委員をやった際にも

その”適当ぶり”を発揮していたところー、

愛結を怒らせてしまい、散々説教されたー。


今まで、誰に文句を言われても

”そう言われてもなぁ…”といういい加減な感じの受け答えばかりで、

いい加減な性格を直そうとしなかった平祐だったが、

愛結が、目に涙を浮かべながら真剣に怒っているのを見てー、

平祐は”自分のいい加減な部分を心から反省”、

次第に自分の行動を改めていったのだったー。


文化祭終了後に、愛結を呼び出して、

「ーー本当に、ごめん」と、律儀に謝ったことで、

愛結から”そんな真剣に謝られたの、初めてー”と、笑われたもののー、

その時から、愛結と平祐の”関係”は、始まったー。


最初の”接点”は最悪ー。

けれど、平祐は、謝るだけではなく、態度で示しー、

2年生になってクラスが一緒になって、そんな平祐の変化を

愛結は感じ取り、次第に平祐に対し、好感を抱くようになっていったー。


「ーー出会いは、最悪だったよな、ホントー」

平祐が苦笑いしながら言うと、

愛結は笑いながら「平祐は、わしが育てたのじゃ」と、

老人のような口調でふざけて喋ると、

「今の俺がいるのは愛結のおかげだよ」と、平祐は

照れくさそうに笑ったー


「ーーあ!」

愛結が、ウェディングケーキの入刀の準備ができたことに気付いて、

平祐のほうを見て微笑むー。


「ーーー愛結~!」

その時だったー。

愛結の祖父が、愛結のほうを見ながら手を振るー。


「ーーーえぇぇぇ!?本当にやるの?」

愛結が思わず笑うー。


周囲のゲストたちも苦笑いしたり、

「すげー!」と声を上げたり、

不思議そうな顔をしたり、様々な反応を見せているー。


歴史好きの祖父が手にしていたのは

”日本刀”ー。


これで、ウェディングケーキへの入刀をしてほしいー、と

祖父は結婚式前から、度々口にしていたのだー。


「ーーー冗談だと思ってたのに~」

愛結が笑いながら言うと、

祖父は「愛結が刀を持ってるところ、見たいんだよ~」と、

笑いながら言うー。


「ーわたしが刀を持っても、絵にならないと思うケド?」

愛結の言葉に、

平祐が「まぁまぁ、せっかくなんだしー」と、口を挟むと、

愛結の祖父は「さすが平祐くん!よく言ってくれた!」と、

嬉しそうに平祐の肩を叩くー。


平祐は恐縮そうに、何度か頭を下げるとー

事前に披露宴のスタッフにも許可を取っていたのか、

日本刀で入刀を行う準備が始められるー。


現代においてー

日本刀や、エクスカリバーでの入刀などー、

様々な形の入刀が行われていてー、

それほど、珍しいことではないのかもしれないー。


「ーーえ~~なんだか重そう~」

愛結が、少し困った様子で、祖父の差し出した日本刀を受け取るー。


日本刀を手にした愛結ー

その時だったー


”ーー血だー 血をよこせー”


「ーーえ?」

刀を手にした愛結が、首を傾げるー。


”女だー… 女をよこせー”


刀から”何か”が自分の中に流れ込んでくるー


「ーーーえっ!?!?えっ…?」

愛結が、突然苦しそうな声を出しながら「あ…う…」と、

身体を振るわせ始めるー。


「ー愛結?」

平祐が戸惑いの表情を浮かべるー


刀から”黒い何か煙のようなもの”が、一瞬ー

愛結の方に流れていったように見えてー

愛結は静かになったー


「ーーへへへ~なんだその反応は~?」

愛結の祖父が笑いながら、「ーー愛結は、昔から面白い反応をー」と、

口を開いたその瞬間だったー


祖父本人もー

愛結の隣にいた平祐もー

いやーゲストたちも、その場にいた全ての人々がー

”何”が起きたのかを、しばらく理解できなかったー。


「うぅぅぅぅっ…」

祖父が苦しそうなうめき声を上げるー。


「きゃああああああああああああっ!!!!」

それと同時に、ゲストの方から悲鳴が上がったー


日本刀を手にした愛結が、突然、祖父を刺したのだー。


「ーーーずっと、ずっとこの時を待ってたー」

愛結が、笑みを浮かべながら言うー。


「ーーあ、愛結…な、、何を!?」

隣にいた平祐が困惑しながら言うー。


披露宴のドッキリか何かーなのか?と思いながら

平祐が愛結の祖父のほうを見るー


しかしー

どう見ても”ドッキリ”などではないー。


「ーーーずっと、ずっとーーー

 ”女”が、俺を握ってくれるのを待ってたんだー

 お前みたいな、老いぼれじゃなくてーーー

 俺好みの、女が、俺を握ってくれるのをなーー」


愛結は、そう言うと、目を一瞬、赤く光らせたー


「ーーー孫娘は、貰ったぜー」

愛結はそう囁くと、祖父を突き飛ばして、

血を流しながら祖父が披露宴会場の床に倒れ込むー


悲鳴を上げる周囲ー

披露宴会場はパニックに陥るー。


「ーーーあ、、愛結!!これは…どういうー?

 え…ど、、、ドッキリだよなー?」


平祐が後ずさりしながらそう呟くと、

愛結は笑いながら

「ーー血と女を、よこせぇ…」と、低い声で呟きながら、平祐の方に

向かってきたー


平祐は、転倒しそうになりながら、慌てて披露宴の会場の外に出ようとするー。


それを見た愛結は、笑みを浮かべながら

刀に反射する”自分の姿”を見て、笑みを浮かべるー


「ーーいい女じゃねぇか…

 俺の”新しい身体”にふさわしいー」


「ーーあ、、愛結…!?」

愛結の言葉に振り返った平祐は、躓いて転んでしまうー。


「ーーーククククー」

刀を愛おしそうに見つめると、愛結はウェディングドレス姿のまま

平祐の方に近付いてきたー。


「ーーー…なんだこの動きにくい格好はー?」

愛結は、自分のウェディングドレスに文句を言いながら、

平祐の前にやってくると、刀についた血を見つめて

興奮した様子で呟くー


「血だー…」

愛結の狂った笑顔ー。


いつも見せる愛結の笑顔とはまるで違うー

興奮しきった、危険な表情ー。


「ーーあ、、あ、、愛結…???」

平祐は、立ち上がることもできないまま、震えていたー。


祖父を切った時の血を指につけると、

愛結はペロリとそれを舐めて

「ーーーはぁぁぁぁぁぁぁぁ…っ♡」と、

嬉しそうに声を上げるー。


そしてー

平祐に向かって刀を向けたー


「ーちょ…!ま、、待てよ!ど、どうしたんだよ急にー!」

周囲から大混乱の声が聞こえる中ー

愛結は、平祐に向かって容赦なく刀を振るーーー


「ーーー!?!?!?」


「ーーー!!」


死を覚悟した平祐と、愛結が表情を歪めるー


「ーーに、、、、げ…て」

刀を握りしめたまま愛結がそう呟くー


「あ、、、あ、、愛結…?」

平祐が、目を開いて愛結のほうを見るとー

愛結は刀を握りしめたまま歯ぎしりをして、

必死に何かに耐えながら「に…げて」と、何度か繰り返すー


「愛結…ど、、ど、どういうことなんだ!?」

平祐が立ち上がって叫ぶと、

愛結は「いいから!!!!!!」と、苦しそうに大声で叫んだー


「とにかく、、、とにかく、逃げて…わたしから…離れてー!」と、

必死に、泣きながら叫ぶー。


「ーーーあ、、愛結…」

平祐は、戸惑いながらも愛結に言われた通りにするー


「う…うらあああああああああああああああああああ!!!」

愛結の大声が式場の方から聞こえるー


平祐は混乱しながらも、披露宴が行われていた部屋から外に出て、

他の親戚たちと共に逃げ始めるー


「ーーはぁ…はぁ…

 調子に乗るんじゃねぇぞ…女…!


 俺が欲しいのは、お前の身体だけだー

 中身は、いらないー」


愛結はそう呟くと、鬼のような形相で、

披露宴会場の入り口のほうを見つめるー


既に、親戚たちは外に逃げ出したようだー。


「ーーー血だー…血をよこせー」

そう呟くと、

”まずはその前にー…”と、

刀の柄の部分を自分の方に向けてー

そのまま刀を使って、愛結は一人になった披露宴で

エッチなことを始めてしまうー。


恐怖にテーブルの下に身を潜めていた親戚の一人は、

刀で一人、エッチなことをしながら喘ぎ狂う愛結の姿を

震えながら見つめていたー



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


妖刀によって、支配されてしまった花嫁…!

続きはまた次回デス~!


ちなみに、祖父が持っていたのは、

冒頭の江戸時代の刀ですネ~

長い年月を経て、祖父の手に、何らかの形で

渡っていたようデス~!

Files

Comments

No comments found for this post.