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「ーー早織(さおり)お姉ちゃんとまた会えるかなぁ~」

父親の運転する車に乗りながら、無邪気に笑っている少年ー


無邪気に笑っている少年ー

市原 洋太(いちはら ようた)は、

”毎年、お正月にだけ会う親戚のお姉ちゃん”と

会うのを今年も楽しみにしていたー。


七瀬 早織(ななせ さおり)ー。

洋太の母親の姉の娘で、現在高校2年生の”お姉ちゃん”だー。

洋太からすれば、いとこにあたるー。


毎年、1年に1回行き来をしていて、

去年は母親の姉一家が、洋太たちの家に遊びに来ていたため、

今年は洋太たちが、早織たちの家に遊びに行く番だー。


早織は優しく、穏やかな性格で、子供好きでー、

現在4年生の洋太に対しても、いつも会うたびに”洋太くん”と呼んで、

親しげに接してくれていたー。


小さな男の子にとって、

そんな”優しいお姉ちゃん”の存在は、やっぱり大きいのだろうー。


洋太は、早織のことが大好きだったー。


”洋太くん、また今度ね!”

去年ー

2021年のお正月に、早織にそう言われたことを思い出しながら、

洋太は、もうすぐ会える”早織お姉ちゃん”との再会を

心待ちにしていた。


「ーーははは、早織ちゃんも洋太と会えるのを

 今頃楽しみにしているさ」


洋太の父親はそんなことを笑いながら運転席から口走るー。

洋太の母親も、穏やかな笑みを浮かべているー。


「ーうん!」

洋太は、満面の笑みでそう答えると、

再会にワクワクしながら、車の窓から

外の景色を見つめたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー早織~!もうすぐ、洋太くんたち到着するって~!」

早織の母親がそう言うと、

早織は「うん。わかったー」と、微笑みながら

自分の部屋の方に戻っていくー。


「ーー洋太くんーーー」

そう呟くと、早織の後頭部に亀裂が入りー

突然、後頭部から、パックリと、早織が割れてー

中から男が姿を現したー


早織の身体が、お腹のあたりぐらいまで、引き裂かれたような

状態で、男がその中から、姿を現している状態ー


まるで、”脱ぎかけの着ぐるみ”のような状態で、

男は、早織の半分に割れた頭の片側を掴んだー。


「ーーー洋太とは?」

男が呟くー


”ようたくんは……わたしの…親戚の男の子…です”

早織の声が、着ぐるみのような状態になった

早織の頭を掴んでいる男に響き渡るー。


「ーーーどんな関係で、普段どんな風に話しているー?

 言えー」


その言葉に、

早織の意識が”抵抗”を見せるー


”ーー洋太くんには…手を出さないで……ください…”


「ーーーあ?」

早織を”半分脱いだ”状態の男が、着ぐるみのように

ペラペラになった早織の頭の部分に力をこめるー。


布のようにぐしゃぐしゃになった早織が

悲鳴を上げるー。


だが、その悲鳴は”皮になった早織”を掴んでいる男にしか

聞こえないー


「女ー、お前は自分の立場が理解できていないようだな。

 言え。洋太とかいうガキのことを俺に教えろ」


その言葉に、早織は苦しそうに悲鳴を上げながら

洋太と自分の関係や、洋太とどのように接していたかを

伝えてしまうー


「ーー”俺の着ぐるみ”ごときがー。

 俺に二度と歯向かうんじゃねぇぞ?分かったな?」

それだけ言うと、男は、早織の頭の部分にさらに力を込めると、

満足したのか、再び着ぐるみのようにペラペラになっている

早織を完全に”着”たー。


「ーーーふふふふふー…

 親戚の男の子ーか。

 面白そうじゃねぇか」


早織は、可愛らしい顔に可愛らしい声でそう呟くと、

ペロリと唇を舐めて、笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーさぁついたぞ!」

そんな出来事も知らず、洋太たち一家は、

母親の姉の家に到着したー。


「ーー琴歌(ことか)久しぶり!」

母親の姉が、洋太の母親、琴歌を出迎えると、

「ーーあけましておめでとう!」と、新年の挨拶を交わすー。


洋太の父親も、「今年もよろしくお願いします」などと、

会話を交わしながら、洋太と、両親は、親戚の家へと上がり込んだー。


「ーーーはい、洋太くんお年玉~!」

洋太の母親の姉が、洋太にお年玉を手渡すー。


年頃の少年らしく、お年玉を受け取って喜ぶ洋太ー。

だが、すぐにキョロキョロし始めて

”早織お姉ちゃん”の姿を探すー。


いつもは”玄関で必ず出迎えてくれる”のに、

今日は早織の姿がないー


ーーーと、ソワソワしていたところにー

”早織お姉ちゃん”が2階から降りてきたー


「ーーーあ、洋太くん久しぶり~!」

早織が微笑みながら手を振るー


「ーーあ、さ、さ、早織お姉ちゃん!」

洋太は少し顔を赤らめながら言うー。


ドキドキした様子で言う洋太を見て、

早織は少しだけ笑みを浮かべるとー


「あけましておめでとう!洋太くん!」

と、優しく微笑んで見せたー。


「ーあ、、あけまして、、おめでとうー」

緊張した様子の洋太を見て、

「ははは」と笑う父親ー。


洋太はいつも、”早織お姉ちゃん”と久しぶりに再会した

直後は、緊張した様子で、例年、こんな感じだー。


そして、早織と1日を過ごすうちに、だんだんと

緊張がほぐれてきて、帰るころには、

早織にべったりな状態になっているー。


「ーーふふ」

早織は、そんな洋太を見て笑うー


”こいつが洋太くんかー”

”表”では、穏やかな笑顔を浮かべている早織ー


しかしー

その”中身”は、もう”去年までの早織”ではないー。


”面白そうなクソガキじゃねぇか…”


そんな、早織の”邪悪な内側”に気付かないままー

洋太の両親と、早織の母親が会話を交わすー。

早織の父親は、現在単身赴任中で、今年は不在のため、

早織の家には、母親と早織本人しかいないー。


洋太と両親、

早織と母親がテーブルを囲んで、座りー

おせち料理が並ぶ中、会話が進むー。


いつも、集まるとまずは雑談しながら

食事を済ませてー

ひと段落つくと、いつも洋太は”早織お姉ちゃん”に

遊んでもらうー。


そんな感じの流れが定番になっているー。


「ーーーーー」

早織がおせち料理を口にしながら、洋太のほうを見つめて微笑むー。

洋太はまだ”久しぶりに会うお姉ちゃん”を前に

緊張した様子だー。


”へぇ”

早織は洋太の反応を見ながら笑みを浮かべるー。


”この女は気づいてなかったみたいだけどー

 このガキ、この女のこと、好きみたいだな”


早織がゾクゾクしながら、洋太のほうを見つめるー


”親戚の男の子を揶揄うってのもーー

 悪くねぇなーククー”


そんな”邪悪な視線”を感じたのか、

ふと、洋太が早織の顔を見ながら

「ーーお姉ちゃん…?」と不安そうな表情を浮かべたー


「ーーん?どうしたの?」

早織が微笑むー。


「ーーーあ、ううん…なんでもないー」

洋太は、すぐに笑顔に戻ると、恥ずかしそうに早織から

目を逸らしたー。


”分かるはずなどないー”


”七瀬 早織”が男に皮にされて乗っ取られているー


そんなことは、誰にも分かるはずなどないのだー。


外から見ればー

今の俺は、誰がどう見てもー

七瀬 早織なのだからー。


・・・・・・・・・・・・・・・


3か月前ー


男は”殺人”を犯したー


「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

女絡みのトラブルで、他の男の命と、その女の命を

奪ってしまったのだー。


だがー

その逃亡の最中に、男は偶然、あるものを手に入れてしまったー。


それがー

”人を皮”にすることができる特殊な注射器ー。


皮にした人間は着ぐるみのように着たり、

脱いだりすることができる上に、

着ている間は、その人間そのものになることができるー。


最初は”そんなことあるわけねぇだろ”と思いながらも、

数日後ー、警察に追い詰められー、

必死に走って逃げていた男はー

逃げている最中に、その注射器のことを思い出したー


”どうせ捕まるならー試してみるかー”


もしー

もしも、

”他人を皮にして、着て、その人物そのものになりきれるのだとしたらー”


そう思った男は、”偶然”視界に入った早織に目をつけたー


早織と面識は全くなかったー。

この時点で、男は早織の名前も知らなかったー


だがー

既に警察が後を追ってきている状態ー

”どんな相手を乗っ取るか”など、選んでいる時間もないし、

咄嗟の判断だったー。


咄嗟に視界に入った人間の中にー

”美少女”がいたのはー

彼にとって、幸運だったのかもしれないー


「ーーえっ!?」

下校中の早織の腕を掴み、裏路地に引きずり込むー。


誰かに見られたかもしれないー

だが、もしもこの女になれるのならー

そんなことも関係ないー


「ーーな、なんですか!?」

早織が驚くと同時にー、男は容赦なく早織に注射器を打ち込んだー


「ーーー!!」

苦しそうな声を上げながら”皮”になっていく早織ー


「ーーおいおい、本当にこんなことができるのかよー」

笑みを浮かべた男は、警察の足音が聞こえてくることを察知してー

すぐに皮にした早織を着こんだー


「ーーーーーーおい!あいつはどこにいった!?」

「こっちに来たはずなのにー!」


警察官たちが戸惑っているー


そんな様子を他所にー、

乗っ取られた早織は笑みを浮かべながら、

堂々と警察官の横を通りー

そのまま移動を始めるー


「ーーーバカなやつらー」

振り返った早織は、そう呟くと、

悪女のような笑みを浮かべて、

そのまま立ち去って行ったー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


”まさか、自分の娘の中に人殺しがいるなんてー

 思わねぇだろうな”


早織は穏やかな笑みを浮かべながら、

早織の母親のほうを横目で見つめるー


乗っ取られた早織が

”自分が乗っ取られたときのこと”を思い出している間にー

食事は大体ひと段落ついていたー。


早織の母親と、洋太の両親が雑談を始めるー


「ーーじゃあ、洋太くんー」

早織が微笑むー。


「ーーわたしたちは、上で遊んでよっか」

早織が言うと、洋太は「うん!」と、嬉しそうに呟いたー。


「ーじゃあ、お母さん、わたし、洋太くんと遊んでるね」


これはー

”いつも通り”の振る舞いー。


女子高生を乗っ取ることができたのはー

逃亡中の男にとって好都合だったー


当然、この状態ならば警察には絶対に見つからないー。

そしてー何よりーー


”エロいよなぁ”

洋太の後ろから階段をのぼりながら胸を揉む早織ー

ニヤリと笑みを浮かべながら、

”こんなJKになれるなんて…最高だぜ”

で、唇を舐めるー。


そんなことに気付かず、洋太は、

「僕、お姉ちゃんと会えるの楽しみだったんだぁ~」と、

嬉しそうに呟くー


「ーーふふふ」

早織はいつものように穏やかに微笑むー


その微笑みが、”作られた微笑み”であるとは

誰も気づかないー。


洋太が早織の部屋に入っていくー


男が、早織になりすますことができているのはー

”早織”に聞いているからだー。


先ほどのように、男は、知りたいことがあると、

早織を半分脱いで、早織本人の意識から

無理やり、”普段どうしているか”などを聞き出すー


だから、男はこの数か月間、完璧に”早織”として

振る舞うことができているー。


多少、違う部分があっても

”思春期だから”と、周囲は考えたりしてー

疑われることはないー。


”まぁ、普段と少し違っても、

 娘が乗っ取られているなんて、親も思わないだろうしな”


早織は、そんなことを思いながら、

自分の部屋に入ると、洋太に向かって笑みを浮かべたー


早織になってから、男はー

”表向きは早織”として普通に暮らしながらも、

裏で欲望を満たしているー


学校でも、既に、元々早織の友人だった女子とは

”いけない関係”に発展させているー。


「ーーーねぇ、洋太くんー」

少し甘い声を出すー。


洋太は、今年の”早織お姉ちゃん”の邪悪な本性に

気付くことができないまま「なぁに?」と、嬉しそうに

早織のほうを見つめるー。


「ー今日は洋太くんに”楽しいこと”してあげるー」


早織は嬉しそうにしている洋太を見つめながらー

低い声で、静かに呟いたー


「ーーお前でたっぷり、楽しませてもらうぜー」

とー。



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


子供の頃に、久しぶりに会った親戚の子が急に

イケメンっぽく豹変していてびっくり…!した、思い出から

思いついたお話デス~!☆

(今思うと、成長する年頃なので、相手も私のことを

 そう思っていたかもしれませんネ…!笑)


お話は豹変の対象を”親戚のお姉ちゃん”にしたり、

色々、このジャンルで美味しくなるように

味付けしました~★!


次回もぜひお楽しみください~★

今日もありがとうございました~!

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