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※演出上、前半に”多重人格”の話題が出てきますが、憑依モノデス★!

 ジャンル表記を間違えているわけではないので、安心してください~☆

 それでは本編をどうぞ☆


・・・・・・・・・・・・・・・・


とある豪邸ー。

主である、柏木 剛一郎(かしわぎ ごういちろう)は、

一人娘、瑠梨(るり)のことで頭を悩ませていたー。


「ーーー俺がーーーー

 娘とあまり一緒にいてやれなかったせいかもしれないなー」


剛一郎は、少しだけ寂しそうに、そう呟くー。


一人娘の瑠梨は現在、高校2年生ー。

しかし、去年あたりからその様子がおかしくなりー

今では”まるで別人”のように、その日によって

性格がコロコロと変わっているー。


父である剛一郎は、瑠梨の異変を執事からの報告で察知してすぐに、

金を惜しみもなく使い、世界的名医に、瑠梨の診察をしてもらったー。


そして、下された診断はー

”解離性同一症”ー

つまり、多重人格と以前は呼ばれていた状態だったのだー。


「ーーーいえ、ご主人様のせいではございませんー」

執事が、”私の力不足が招いたこと…”と、頭を下げるー


「ーーいや、お前のせいではないー」

剛一郎はそう言うと、”数年前”に撮影した家族写真を見つめるー。


瑠梨の横には、瑠梨の母親の姿もあるー。


「ーーー瑠梨ー」

剛一郎は、そう呟きながら、寂しそうな表情を浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーありがとうございます」

柏木家の一人娘・瑠梨が、館のメイドに対しても、

丁寧な言葉づかいでお礼を口にするー


「ーーあら?…」

そのまま立ち去ろうとしていた瑠梨は、メイドが手に怪我を

しているのに気づき、

「ーこれは、いけませんわ…」と、心配そうに、

「今、時間ありますか?」とメイドに尋ねるー。


申し訳なさそうにしているメイドに対して

「ーそんなに気を使わなくても大丈夫ですよ」と、穏やかに微笑むと、

瑠梨は、メイドの応急手当を行ったー


「ーありがとうございます。お嬢様ー」

申し訳なさそうに頭を下げるメイドに対して、

瑠梨は「いえ、いつもわたしこそお世話になってますからー」と、

微笑むー。


その様子を通りがかった執事が目にして、瑠梨に頭を下げるー。


「ーお疲れ様です」

執事から頭を下げられた瑠梨は、そう言うと、自分も頭を

さげ返したー。


とても、高校生には思えないようなー

”気配りのできて優しいお嬢様”ー


しかしー

彼女は”本当の瑠梨”ではなかったー。


部屋に戻った瑠梨が、突然笑みを浮かべるー


「っ、な~に、イイお嬢様演じてるんだよ?

 いつもいつも気持ちわりぃ」

瑠梨は、突然、穏やかだった表情に、下品な笑みを浮かべると、

足を広げたまま椅子に座って、

「ーーメイドなんか、俺に揉まれるためにいるんだからよ~」と、

瑠梨は一人、ぶつぶつと呟くー。


「ーーせっかくだから、愛されるお嬢様になりたいじゃないですか」

瑠梨が表情を再び変えて、そう言うと、

すぐに下品な笑みを浮かべてー

「ーーーつまらねぇつまらねぇ!せっかく女の身体を乗っ取ったんだから、

 欲望に生きようぜぇ~!」

と、叫ぶー。


部屋には、瑠梨以外誰もいないー。

しかし、瑠梨は複数の人間がいるかのようにー

会話を続けていたー。


父の剛一郎も、豪邸の使用人たちも、医師もー

瑠梨のことは”多重人格”だと思っているー。


だがー、実際には、

瑠梨は、”多重人格”などではなかったー。


多重人格とはー

自分自身の中で、何らかのトラウマや出来事が引き金となり、

別の人格が生まれる現象ー。


けれど、

瑠梨は違うー。

瑠梨の中には”本当に”複数の人間が存在しているのだー。


そうー

瑠梨は”憑依”されていたー。

それも、一人ではないー

大勢の人間に、だー。


しかしー

父の剛一郎はもちろん、医師も、

瑠梨が”大勢の人間に憑依されている”などということには

気付くことができていなかったー。


「ーーでも、僕たちのせいで、この女の子、

 多重人格だと思われちゃってるし…

 どうにかしてこの身体から抜け出せないかな…?」


瑠梨が、弱弱しい表情になって呟くー


「ーはははは…!そんなこと気にしてんのかよ!

 ちょうどいいじゃねぇかよ

 そう思われているほうがさ」


瑠梨が座りながら、スカートが丸見えになるのも気にせず、

片膝を立てるー。


「ーーこらっ!見えてるし!」

瑠梨の表情が途端に、キリッとした感じになって、

すぐにスカートの中が見えないように足を戻すー。


「ーーーってか”明日”は、誰の日だー?」

瑠梨が再び下品な笑みを浮かべるとー


「明日は、夢菜(ゆめな)さんじゃなかったかな?」

と、瑠梨が口を開くー。


ずっと”一人で会話している”瑠梨ー。


瑠梨の中にはーーー

全部で20近くの人間が憑依していたー。


「ーーー…ったくよぉ」

瑠梨が髪を掻きむしりながら、不満そうに呟くー


「だいたい何でこんなことになっちまったんだかー」

瑠梨に憑依している男の一人がそう言うと、

「それはあたしのセリフよ!」と、

瑠梨に憑依しているギャルが叫ぶー。


もちろん、身体はひとつー。

周囲がもし見ていれば、瑠梨が一人で、

表情をコロコロ変えながら、

”独り言”を呟き続けているようにしか見えないー。


「ーーー京香(きょうか)さんも何か言ってよ~!」

ギャルが、瑠梨の身体で言うと、

京香と呼ばれた女性が、瑠梨の身体の主導権を握り、呟くー


「ーわたしだってー

 本当だったら、今頃、この身体で、いっぱいエッチなことしたかったのにー」


瑠梨が、途端に色っぽい雰囲気になって、部屋の中を歩き、

鏡の前に向かうー


「この子ならー

 わたしがその気になればー

 どんな男だって落とせたのにー…」


瑠梨に憑依している女性の一人・京香は

”元風俗嬢”で、一時期はかなり稼いでいたものの、

30代半ばになり、若い子に仕事を取られるようになっていきー

最後には風俗の仕事を辞めていたー。


そんな中ー

彼女が見つけたのがーーー


”お嬢様の身体、差し上げますー”

という、謎のサイトだったのだー。


いやー

京香だけではない。

瑠梨に憑依している人間、全員が

”お嬢様の身体、差し上げます”と称した謎のサイト経由で

瑠梨に憑依したのだー。


「ーー京香さん、メイドだっていつも食ってるじゃないっすか」

突然、蟹股になった瑠梨が軽い口調で言うー。


「ーーふふ…表に出てられる時間が少ないんだから、

 仕方ないじゃない?

 それにわたし、女の子も好きだしー。

 現役の時代は、よくお店の同僚の子ともヤッてたわよー」


瑠梨が色っぽい雰囲気になって笑うー。


「ーふぉぉぉ…!女の子同士の…世界ッ!」

瑠梨が興奮した様子で叫ぶー。


先ほどからーーー…

大勢の人間が喋っているように感じるもののー

実際には、瑠梨しか喋っていないー。


こんな”奇妙な状態”が、

今の瑠梨の現状だったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


瑠梨がこのような状態になってしまったのはー

去年の12月ー。

瑠梨が高校1年生の時だったー


「ーーうん!高校でもうまくやってるよ」

瑠梨が父・剛一郎に対して、笑顔で返事をするー。


母・父・娘ー

久しぶりの三人そろった食卓ー。


父の剛一郎は忙しくて、なかなか瑠梨と話す時間が

取れないことを気にしながらも、

そのまま、時ばかりが流れていたー


けれどー、

瑠梨は、荒んだり、父親を嫌ったりするようなことはなく、

とても穏やかで”良い子”に育っていたー。


”育ちの良いお嬢様”という感じで、高飛車な様子などもなく、

物静かで穏やかな感じだー。


メイドや執事に対しても、いつも控えめな感じで接しているー。


だがーー…

瑠梨の異変が起きたのは、この頃だったー。


12月の下旬ー。

ある”サイト”が突如としてネット上に現れたのだー


それはー

”お嬢様の身体、差し上げますー”と書かれた謎のサイトー。


”常人では計り知れない特殊な力”が込められていたそのサイトではー

”お金持ちのお嬢様で、現役の女子高生の身体が、あなたのものにー”

と、書かれていたー。


”憑依”でお嬢様の身体を乗っ取ることができるー。


そんな、説明が記述されたそのサイトー。


説明の下に表示されている”憑依”と書かれているボタンを押すだけで、

”お金持ちのお嬢様”に憑依することができるのだと言うー。


説明書きには、お嬢様に憑依をすれば

”自分の身体を失うことになる”とも書かれていたー。


いかにも”怪しい”サイトー。

正直なところ、このような怪しすぎるサイトの

”憑依”と書かれているボタンを押す人間など、

それほど多くはないだろうー。


怪しげなボタンを押した瞬間に

個人情報を盗まれたり、

スマホやパソコンがウイルスに感染する可能性もあるー。


仮に、このサイトを見たとしても、”憑依”というボタンを押す人間は

そう多くはないー。

それにー、”もし本当なら”自分の身体を失うことになる、と書かれている以上、

躊躇する人間もいるだろうー。


このサイトをとある目的で立ち上げた人物はー、

”誰か一人が憑依ボタン”を押したら、即座にサイトを閉鎖するつもりだったー。


お嬢様に憑依する人間は、一人で十分だからだー。


しかし、”サイト上のボタンを押しただけで、憑依なんてできるわけない”と

軽い気持ちで押してしまう人間はーー、

個人情報漏洩や、ウイルス感染などを恐れず、軽い気持ちでボタンを押して

しまう人間はー

”サイト管理人”の想像以上に、多かったのだー


結果ーーーー

全部で”19人”の人間が、お嬢様に憑依してしまったのだー


ほぼ、同時に憑依ボタンが押されたことによりー、

”最初にボタンを押した一人を憑依させる”つもりだったところにー

19人ー…


サイト管理人は、最初の人間が「憑依」ボタンを押して、

瑠梨に憑依したことを悟り、数十秒後にはサイトを削除していたー。

しかし、その数十秒の間に、19人もの人間が

憑依ボタンを押して、それぞれの居場所から、瑠梨に憑依してしまったー。


その結果がーー

1年後の、”今”だー。


瑠梨の身体には、19人の人間が憑依している状態になっていてー、

瑠梨本来の意識は、ほとんど”表”に出てくる機会もないー。


そんな、状況だー。


”憑依した側”にとっても、それは想定外の出来事だったー。


”本当に憑依できる”と思って、サイト上のボタンを押した人間も

中にはいたが、

19人のうち、大半が”よく分からないサイトのボタン”を興味本位で

押した人間たちで、まさか本当に自分の身体が死んで、

違う場所にいるお嬢様に憑依してしまうなんて、

思っていなかった人間だー。


しかもー

自分の他に、瑠梨本人も合わせると”19人”も、瑠梨の中にいるー。


「ーーじゃ、明日は夢菜の番ねー」

そう呟いて、瑠梨がベッドに横たわるー。


寝息を立て始める瑠梨ー。


瑠梨の中にいる19人は、”ルール”を決めて、

順番に生活しているー。

それぞれ”役割分担”をしているのだー。


一部、反発して好き放題する人間もいるもののー

なんとか、19人に憑依されたお嬢様は、

周囲には多重人格者だと思われながら、生活しているのだったー


「ーーうへへへへ…♡」

寝息を立てていたはずの瑠梨が急に起き上がり、

ニヤニヤしながら胸を揉み始めるー


「こらっ!寝なくちゃだめでしょ!

 寝ないと、瑠梨ちゃんの身体が持たないから!」

瑠梨が急にそう叫んで、自分の頭をぺしっ!と叩くと

「ちぇっ」と、瑠梨がそう呟きながら

再び寝息を立て始めるのだったー


だがー

そんな瑠梨に”破滅の影”が迫っていることをー

瑠梨本人も、瑠梨に憑依した19人も、まだ、知らなかったー。



②へ続く


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コメント


大勢の人間に憑依されてしまっているお嬢様のお話デス~!

こんなに大勢の人間に憑依されているお話を書くのは、

始めてだったような気もします~!☆


今日もお読みくださりありがとうございました~!

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