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作品の性質上、地震災害の描写などが存在します。

苦手な方は、ご注意ください!

作中で発生する地震災害、場所、物語は全てフィクションデス!


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「それでは、蒼月支局の本田(ほんだ)さんお願いしますー」


ニュース番組のキャスターがそう、言葉を口にすると、

画面が、蒼月市からの中継に移り変わるー。


”はいーわたしは今、被害の大きかった蒼月市北部に

 やってきていますー。

 あちら、駅前からは依然として激しい炎が上がっていて、

 現在、消火活動が行われている模様ですー


 また、先ほど、蒼月市長のーー


 ーーー!”


中継の映像が揺れるー。


画面が揺れ、カメラが乱れて

”危ない!危ない危ない!と、カメラマンの声が聞こえるー


”中継どころではない”

緊迫した様子が伝わってきて、カメラは激しく揺れながら

地面を映し出していて、何も伝わってこない状況ー


「ーーーえ~…現地では…依然として…

 活発な余震活動が続いておりー」


ニュース番組の映像がー

再びスタジオに切り替わるー


スタジオから状況を伝えるキャスターは

何とか落ち着いて現状を伝えようとするもー

その表情は、強張っていたー。


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主な登場人物


月森 彩香(つきもり あやか)

高校3年生。修学旅行中に地震に巻き込まれる。


日向 俊樹(ひゅうが としき) 

彩香を助けた謎の男。


的場 聡(まとば さとし) 

高校3年生。彩香の彼氏。


相馬 晴美(そうま はるみ)

高校3年生。生徒会長。誰にでも優しい。


木下 響子(きのした きょうこ)

高校3年生。彩香の親友。


早乙女 美穂(さおとめ みほ)

高校3年生。大人しいタイプの子。


黒井 健太郎(くろい けんたろう) 

高校教師。影で女子を盗撮しているという噂も。


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★あらすじ


蒼月市を襲った巨大地震ー。


避難所である蒼月第3小学校に到着した

彩香と俊樹は、

”入れ替わった状態のまま”、の行動を

余儀なくされることにー。


身体の違いにお互い、戸惑いつつも、

避難所では、彩香と同じ行動班だった、

生徒会長の晴美や、大人しい性格の美穂と再会を果たすー。


しかし、余震が来ると同時に、晴美は普段の晴美とは真逆の

乱暴な言動を露わにするのだったー…。


自然災害への恐怖ー

そして”人”に対する恐怖ー。

あらゆる恐怖が、彩香たちをも、飲み込もうとしていたー…。


★前回はこちら↓★

<入れ替わり>崩壊都市③~避難所~

作品の性質上、地震災害の描写などが存在します。 苦手な方は、ご注意ください! 作中で発生する地震災害、場所、物語は全てフィクションデス! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 先ほど発生した地震でー 蒼月市の複数個所で、火災の通報が相次いでいますー。 ライフラインにも影響が及んでおり、 広範囲での停電・...

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足元に気を付けながら体育館に移動した

彩香(俊樹)と、俊樹(彩香)ー


「ーーあ、月森さんー!」

体育館の一角に、避難していたクラスメイト数名の姿を見つけた

俊樹(彩香)は手を振ろうとしてー、

彩香(俊樹)に手を掴まれたー。


「ーー君は本当に学習しないなー」

彩香(俊樹)が苦笑いしながら言うと、

俊樹(彩香)は「あ、つい…」と、申し訳なさそうに笑うー。


どうしてもー

”身体が入れ替わった”という現実に頭がついていかず、

咄嗟に「いつも通り」振る舞ってしまうー。


今、俊樹(彩香)が、クラスメイトたちに手を振っても、

みんなからは”誰?あの人?”としか、思われないと言うのにー。


「ーーー三人の名前は?」

彩香(俊樹)が、クラスメイトたちに向かって

作り笑いを浮かべながら手を振るー。


俊樹(彩香)は、三人の名前と、特徴を素早く伝えるー。


長瀬 裕梨

海藤 守

藤井 理絵ー


体育館で再会した三人のクラスメイトの名前だー。


裕梨は、噂好きの女子で、

父親は警察官ー


守は、威勢だけはいい男子生徒ー。


理絵は、ギャルな女子生徒だー。


三人の特徴を聞くとー、

彩香(俊樹)は「そっか」と言いながら、

三人に近付いたー


「ーーみんな、無事でよかったー」

彩香のフリをしながら言うと、

避難していた三人のうちの一人、クラスメイトの長瀬 裕梨が

口を開いたー


「ーーー月森さんも、無事でよかったー…!

 でも…その人はー?」

裕梨が表情を曇らせながら、俊樹(彩香)のほうを指差すとー、


「ーえ~、っと、わたしを助けてくれた人!」

と、彩香(俊樹)は、俊樹(彩香)のことを、裕梨たちに紹介したー。


「ーーーそっかー…でも、まさかこんなことになるなんてー…」

裕梨が不安そうに口を開くー。


「ーーあ~~もう、マジこういうの無理ー」

ギャルな理絵が、不満そうに怒りを爆発させるー。


「ーーっていうか、あんたも、さっきからびびってるだけで

 役立たないんだけど!」


ギャルな理絵が、大柄で目つきの悪い男子生徒・守に

文句を言い始めるー


「び、び、び、び、び、び、びびってねーし!」

明らかにビビっているのがまるわかりな返事をする守ー


まるで不良生徒のような見た目で、

普段、大きいことを言うわりに、

いざというときはビビりで頼りないことから、

彼は”ビッグマウス守”というあだ名までつけられてしまっているー。


「ー漏らしてんじゃん」

理絵が、守のズボンを指さしながら言うと

「ちげーよ!これは地震が来た時にお茶をこぼしたんだ!」と叫び返すー。


「ーーはは…」

彩香(俊樹)は少しだけ笑いながらそんなやり取りを見つめると、

俊樹(彩香)とも相談しながら、裕梨らとしばらく会話を交わしてからー

避難所の一角に移動したー


「ーーーーふ~~~~」

彩香(俊樹)がため息をつくー。


地震発生直後からー

余震も多発していて、落ち着かないこの状況ー。


周囲は想像以上にざわついていて、大混乱しているー。


今までー

彩香がテレビで見ていた”避難所”の映像は

しっかりと仕切りが作られて、

それなりに落ち着いているように見えたー。

そんな”印象”を抱いていたー


けれどー

今のこの避難所の姿は違うー。


「ーーー…」

瞳を震わせながらその様子を見つめる俊樹(彩香)を見て、

彩香(俊樹)は呟くー。


「ーーー映像で見るのと、全然違うだろ?」

とー。


彩香(俊樹)は、避難所の様子を見つめながら呟くー。


「ーーテレビで流れる避難所の映像なんてー

 ほんの一部分だからな」


彩香(俊樹)は、避難所の光景を見つめながら言うー。


映像で映し出されるのは一部であるとー。


地震発生直後の避難所は、

発生から数日経過したような、”テレビで見るような避難所の光景”とは

また違うのだとー。


「ーーー……ねぇ…あなたは…前にも被災したことがあるの?」

俊樹(彩香)の言葉に、

彩香(俊樹)は、彩香の手を見つめながらー

「ーーーまぁな…」と、寂しそうに頷いたー。


「ーー君はまだ小さかっただろうけどー…

 俺がまだ学生だった頃に、大きな地震に巻き込まれてさー」


彩香(俊樹)が、それだけ言うと

俊樹(彩香)は「そう…」と、申し訳なさそうな表情を浮かべるー。


「ーーー…君のご両親は?」

彩香(俊樹)のその言葉に、俊樹(彩香)は、

自分の住んでいる県を口にするー


「ーーそっかー…よかったー……」

安心そうにそう呟く彩香(俊樹)ー


「ーーよかった?」

俊樹(彩香)は少しだけ不快そうに呟くー。


だが、すぐに彩香(俊樹)の言葉が、悪い意味ではないと悟るー。


「ーーいや…ここから離れた場所ってことは、

 少なくとも君の両親は無事ってことだろ?

 …まぁ…ご両親も心配してるとは思うけどさ…

 それだけでもー」


彩香(俊樹)がそこまで言うと、俊樹(彩香)は、あることを

悟り、言葉を口にしたー。


「ーーえ…待って…あなたの家族はー…?」

俊樹(彩香)の言葉に、彩香(俊樹)はー

切なさと、悲しさと、悔しさー、けれども、強さをにじませた、

形容しがたい表情を浮かべてー

少しだけ寂しそうにー呟いた。


「ーーーー…地震でみんな、死んだよー」

彩香(俊樹)の言葉に、俊樹(彩香)は「ーー!!」と

表情を歪めるー。


「ーーーーー」

彩香(俊樹)は、”過去”のことを思い出すー。


両親もーー

そしてーーー


”ごめんねーー”

妹もーーー


救えなかったー


「ーーーーさて…使えるトイレがあればいいけどー」

彩香(俊樹)が、話を変えると、静かに立ち上がるー。


「ーーー…トイレ、そんなに大変なの?」

俊樹(彩香)が呟くと、「ーーー地獄だよ」と、彩香(俊樹)は、

険しい表情を浮かべるー。


スカートをくしゃっと握る彩香(俊樹)ー。


入れ替わる前にーー

お昼を食べた際、彩香はトイレに行っているが、

そのあとすぐに地震が発生したし、

入れ替わってしまったためー

それが”彩香の最後のトイレ”だったー。


入れ替わったあと、俊樹は彩香の身体でトイレには行っていないー。


そのためー…

そろそろ”限界”なのは、俊樹になった彩香にもよく分かっていたー。


”被災地では、トイレ問題が生じる”

それは、彩香も理解しているー。


だが、その実情は、彩香の想像以上のものだったー。


「ーー災害用のトイレなんか、すぐには到着しないしー、

 断水が起きてれば水洗トイレはすぐに地獄になるー

 とても、使えるような状態じゃないー」


”災害時に臨時に設置されるトイレ”は

ワープしてくるわけではないー

そこら辺のおじさんが、ほらよ!と持ってきてくれるわけでもないー

災害発生後、すぐに地面から生えてくるわけでもないのだー。


しかしー

水洗トイレは止まっているー。

そんなトイレを利用していれば、あっという間に、

トイレは使い物にならなくなるし、衛生面の問題が生じるー。


彩香(俊樹)は困惑の表情を浮かべるー。


「ーーえ…でも……それじゃ…トイレはー」

俊樹(彩香)が言うと、

彩香(俊樹)は「だから地獄なんだー」と、答えるー。


その表情には、微塵も”冗談”の色は浮かんでいないー。

過去に地震を経験したという俊樹が、これだけ不安そうな

表情をしているのだからー

想像を絶する苦労がー

これから待ち受けていることは、安易に予想できたー。


「ーーーーーーーどうするの…?」

俊樹(彩香)が言うとー

「ーー…俺と君の場合は、さらに地獄だー」と、

困惑の表情で、彩香(俊樹)は呟くー。


そうー

彩香と俊樹は”入れ替わった”状態だー。


俊樹は”女”としてトイレを済ませることに慣れていないしー

当然、彩香は”男”としてトイレを済ませることに慣れていないー。


仮に平常時に入れ替わってしまったとしても、

男と女の違いで戸惑うだろうしー、

仮に自分の身体で被災してしまったとしても、

災害時の過酷なトイレ状況で戸惑うだろうー。


しかしー

今の二人は、その”両方”の状況に陥っているー。


「ーー…最悪…君の身体で…その……」

彩香(俊樹)は、それだけ呟くと、俊樹(彩香)は表情を歪めたー。


幸いー

避難所では、学校があらかじめ備蓄していたのか、

誰かが運んだのかは分からないが、

非常用の簡易トイレが用意されていたー。


”トイレ”と言ってもー

イメージするようなトイレではなく、

本当に、簡易の使い捨てのような商品だー。


「ーーー悪いけどー…

 決めてくれー…

 簡易トイレでしてもいいかー?

 どうしても、って言うならー…このままー」


彩香(俊樹)が顔を赤くしながら、もじもじして呟くー。


俊樹(彩香)は、彩香になった俊樹が、

彩香を気遣ってギリギリまでトイレを我慢してくれたことを悟りー、

「ーーーもう…いいよ…気を遣わせてごめんー」とだけ呟きー、

周囲から身を隠すようにしながらー

彩香(俊樹)は、トイレを済ませたー。


俊樹になった彩香が”女としてのトイレ”のアドバイスをしー

彩香になった俊樹は”非常用の簡易トイレ”の使い方を、伝えながら

用を済ませたー


幸いー、

俊樹にそういう知識があったのは、良かったのかもしれないー。


「ーーーー…あんな風に使うんだ…」

普段のトイレのありがたみを実感しながら、俊樹(彩香)が言うと、

「ーーあれも、すぐになくなる」と、

彩香(俊樹)は、不安そうに呟いたー。


その時だったー。

体育館が音を立てて、再び揺れを感じるー。


周囲ではパニックからか、声を上げる人々もいるー


「ーーもうイヤ…!いい加減にしてよ!」

揺れが収まると、ひときわ大きい声で、誰かが叫んだー。


「ーーー相馬さんー」

俊樹(彩香)が、不安そうに、体育館の中央あたりで叫んだ

生徒会長の晴美のほうを見つめるー


晴美は、青ざめた表情で「何なの…?なんでわたしがこんな目に…?」と

震えながら呟くー。


「ーーいつまで揺れてんの!うざい!うざい!」

晴美が、怒り狂った様子で叫ぶー。


「ーーー」

彩香(俊樹)と俊樹(彩香)が、顔を見合わせてから

彩香になった俊樹が、彩香として晴美に声をかけるー。


「ーーはぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

晴美は、真っ青な表情で、彩香(俊樹)を見つめるー


「ーー相馬さんー落ち着いてー」

彩香(俊樹)が言うー。


相馬 晴美ー

俊樹は、この子とも当然面識はなかったがー

彩香によれば、生徒会長で、誰にでも優しく、

気配りのできる優等生だったのだというー。

悪い噂は全くなく、成績も優秀、先生からも信頼されていたのだとかー。


しかしー

今の晴美からは、到底、そのような姿は想像できないー


「ーー…落ち着いて…?誰に命令してるの…?」

晴美が彩香(俊樹)を睨みつけるー


「ーーめ…命令なんかじゃないよ…と、とにかく落ち着いてー」

彩香(俊樹)が言うと、晴美は「そうやってー…いつもいつも」と、

不満そうに呟くと、そのまま彩香(俊樹)を少し力強く押し飛ばしー

そのまま、体育館の外に方に向かっていくー


「ーー大丈夫?」

駆け寄ってくる俊樹(彩香)ー


彩香(俊樹)は「大丈夫だよ」と伝えながらもー

「ーーーみんな…”いつものみんな”じゃなくなるかもしれないー…

 君もー…気を付けるんだー」と、そう、静かに呟いたー


極限状況下ではー

”普段優しい人”が、”優しい”とは限らないー


”普段頼りになる人”が、”頼りになる人”とは限らないー


「ーーーー」

俊樹(彩香)は、「みんな、無事かなー…?」と不安そうに呟くー。


親友の響子は、

地震災害発生時から、消息不明の状態だー。

ここに避難しているクラスメイトたちも、響子のことは見ていないというー。


そして、彼氏の聡は、

楽しそうに火災現場を見に行ったきりー…


「ーーー…暗いうちに行動するのは危険だー」

彩香(俊樹)はそう言いながら、

「探すなら、明日、明るくなってからにしよう」

と、呟くー。


俊樹(彩香)は頷くと、

災害発生の初日は、避難所・蒼月第3小学校で過ごすことを決めるー。


色々と話をする二人ー。


俊樹(彩香)は”そういえば、まだこの人が何してる人なのか

聞いていなかった”と、思いながらそれを聞くと、

彩香(俊樹)は「ーーまぁ…ただの会社員だよ」と、答えるー。


「ーなぁんだ…なんか、ちょっと特殊な仕事してる人かなぁ、って

 思ってたのにー」

俊樹(彩香)が言うと、

「なんだよ特殊って! てか、”なぁんだ”ってなんだよ!」

と、彩香(俊樹)が声を上げたー。



「ーーーーーー」

その様子を、避難所の中を移動していた

噂好きのクラスメイト、長瀬 裕梨が遠くから

不審そうに見つめるー。


”二人の口調”に違和感を感じながらー…。


裕梨は、そのまま二人に声をかけることなく、

自分たちが集まっている体育館の一角に移動していくー。


裕梨に見られていたことを知らないまま、

彩香と俊樹は”入れ替わり”についても話し始めるー


彩香(俊樹)は「ー原因は……なんだろうな」と、呟きながらも

色々と”元に戻れる可能性のあること”を試し始めるー。


しかしー

色々試してみても、二人は元に戻ることはできなかったー


「ーーー…ひとまず、明日も君と一緒に行動するよ」

彩香(俊樹)が言うと、俊樹(彩香)は「え…」と、戸惑うー。


”クラスメイトを探しに行く”のは、自分の事情だー。

この人を巻き込む必要はないー、と、彩香は思ったのだー。


しかしー、

彩香(俊樹)が言うー。


「ーー別行動したら、君の身体で好き放題するかもしれないぞ?」

彩香(俊樹)が胸のあたりを触るような真似をしながら言うと、

俊樹(彩香)は「そ、それはダメ!」と、言いながらー

「ーでも…あなたはそういう人じゃなさそうだし…」と呟くー。


彩香(俊樹)は笑いながら

「ーーまぁ……そう思ってもらえてるなら嬉しいよー」と、答えるー


そして、真顔になると、

「別行動だと…俺もほら…女子としてどうすればいいのか

 分からないこともあるし、君の友達ともし合流しても、

 名前も性格も分からないからさー」と、”一緒に行動した方がいい理由”を

口にしたー


「ー確かに…それもそうねー」

俊樹(彩香)も納得するとー

彩香(俊樹)は「それにしても…余震多いな…」と呟きながら、

再び軽く揺れた体育館の天井を見つめたー。



「ーーーーー」

夜ー


俊樹(彩香)がウトウトしているのを確認しながら、

彩香(俊樹)は一度校庭の方に出たー。


”眠れないー”

そんなことを考えながらーー


”ーーーーーー”

俊樹(彩香)のいるほうを見つめるー


”君が俺の身体でいる限りー

 君の身にはーー危険が迫るかもしれないー”


”入れ替わった”のも、恐らくはー…


だからーー


別行動するわけには、いかないー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


別の場所ではー

俊樹を追っていた

スキンヘッドにサングラスの男が、

瓦礫の上を歩いていたー。


そこにー

白衣姿の笑みを浮かべた男が姿を現すー。


顔は笑っているがー

目は笑っていないー

それどころか、死んでいるー。


そんな、男がー。


「ーーー”彼”を逃がしたようですね」

優しい笑みを浮かべる男ー。


「ーーあと少しだったんだ!

 急に地震なんか起きやがってよォ!」

スキンヘッドの男が、不満そうに言葉を口にするとー

突然、白衣の男がスキンヘッドの男の胸倉を掴んだー


「”言い訳”は、私がこの世で最も嫌うことのひとつですー」


微笑みながら、スキンヘッドの男を掴んだ手に力を込める白衣の男ー


「ーう…う、、ぐぉぉぁあああ?」

首を絞められたスキンヘッドの男が、ドスの効いた声を上げるー


「ーーこのまま、死にてぇですか?」

乱暴な口調と、丁寧な口調が混ざった奇妙な口調で

白衣の男が言うと、

しばらくしてから、スキンヘッドの男を突き飛ばしたー


「ーーー赤岩(あかいわ)ー」

白衣の男がスキンヘッドの男の名前を呼ぶと、

赤岩と呼ばれたスキンヘッドの男は咳き込みながら「へ、、へい…」と呟くー。


「ーー逃げた日向俊樹を必ず捕まえなさいー。

 言い訳は二度と許しませんー

 良いですね?」


とー、

白衣の男が穏やかな口調で呟くー


「ーへ…へい…これ以上、神代(かみしろ)主任に

 恥をかかせるような真似はしないのでー」

と、スキンヘッドの男・赤岩は、逃げるようにして

その場から立ち去って行ったー


「ーーーー逃げられると思わないことですー」

白衣の男・神代主任は、逃げた俊樹の姿を思い浮かべながら

静かにそう呟いたー。


⑤へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


過酷な環境下で入れ替わってしまった二人の運命は…?

まだまだ苦難が待ち受けていそうですネ~!

お読みくださりありがとうございました~!


(メイキング)

・ふと気づけば、トイレのお話が2回続いて…(汗)

 ※元々の予定通り進んでいます(笑)

 入れ替わり的にも、自然災害の描写的にも

 大事なことなので、2話続けて登場しました!!!

 次回は…トイレの話題は出てきません!たぶん…!

 毎回出していると”トイレの入れ替わり長編”になってしまうので…☆!

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