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彼氏の浮気ー

その浮気相手は、信頼していた親友ー。

一気に彼氏と親友を失った柚香ー。


立て続けに両親を謎のレインコートの女に殺されー、

そのことを誰にも信じてもらえず、

やがて、柚香は世界に絶望し、世界を憎んだー。


そんな中、レインコートの女から渡された”人を操る力”を手に入れた

柚香は、その力を手に、暴走ー。

浮気彼氏の啓二と、親友の麻理恵を始末すると、

幼馴染の吉影とも決別、世界を壊すべく、暴走を続けるー…。


☆前回はこちら↓☆

<MC>歪んだこの世界にわたしは復讐する②~暴走~

この世界は、歪んでいるー。 女子大生の柚香は、 彼氏・啓二に浮気されていたことを知ったー。 しかも、その相手は幼馴染の麻理恵ー。 絶望する中、現在は社会人の、小さいころから親しい男・吉影と 偶然会い、吉影に励まされた柚香は、 彼氏と親友の裏切りから立ち直ろうとした、その矢先ー 今度は、謎のレインコートの...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーこんな世界、壊れてしまえー」

柚香はボサボサの髪、乱れた服のまま、街中を歩くー。


「ー死ね」

「ー死ね」

「ーー死ね」


柚香は、歩きながら、次々と道行く人を”洗脳”し、

”死ね”と命じていくー。

シンプルで、何の欲望も感じない、狂気の命令ー。


さっきまでアイスを食べていた女子高生同士が、首を絞め合って

笑っているー


子連れの親子が、嬉しそうにデパートの屋上に向かって飛び降りているー。


持っていた仕事道具で、自分を刺して、男が倒れているー


「ーーふふふ…

 ふふ、、ふふふふふふふっ」


心優しかった柚香の姿など、もう、どこにもないー。

全てを失い、この世界に絶望した柚香が

”力”を手に入れてしまったー


”理性”と言う名のブレーキが完全に壊れている状態の柚香は

”殺戮”を続けたー。


ニュースでも、大々的に、異常事態が、柚香の住む件で

発生していることを伝えているー。


「ーーーーーーーーーーーーー」

柚香の幼馴染である吉影は、

家でカップラーメンを口に運びながら、

その報道を見つめるー。


吉影は、報道されている内容を見て、

それは”柚香”の仕業であると確信したー。


カップラーメンのスープを全て飲み終えた吉影はー

静かに立ち上がると「柚香ちゃん」とだけ、呟いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


柚香の行為はさらにエスカレートしていくー


「ーーあははははははっ!壊れちゃえー!」

表情をギリギリまで歪ませながら叫ぶ柚香ー。


「ーこんな歪んだ世界、壊れちゃえ!壊れちゃえ!

 あはっ!あはははっ!あっはははははははは!」


柚香の悪魔のような叫びにー

柚香がやってきていた商店街に偶然居合わせた、

柚香が通っていた大学の同級生が、「柚香!」と叫ぶー。


商店街中の人々が洗脳され、暴れー

周囲を破壊しつくしているー。


相手を見つめて念じるだけで洗脳することができるー

そんな力に、柚香は溺れているー。


なんとか”偶然見つめられなかった”人々は必死に

現場から逃げようとするー。


だがー

難を逃れた一人である、柚香の大学の同級生が

柚香に駆け寄ったー


状況を見ていれば、”明らかに”柚香が

何かをしているーー、ということがわかるー。

柚香が”命令”を口にした通りに、周囲の人間が

行動し、地獄絵図となっているからだー。


「ーーね、、ねぇ…柚香!どうしちゃったの!?

 大学も、急に辞めちゃうしー」

その同級生の声に、柚香は、完全に

精神が崩壊している目で、その子のほうを見つめたー。


「ーーーなにってー?」

柚香の表情も、声も、

何より”している行為”も明らかにおかしいー


柚香は、こんな子ではなかったー。

変わり果てた柚香と偶然遭遇した大学の同級生は、

困惑の表情で柚香を見つめながら、

今一度声を振り絞ったー。


「ーーど、どうしちゃったの…柚香…?

 こんなこと…こんなことして…!」


その同級生の言葉も”今の柚香”には届かないー


一瞬、口を開いて、ぽかんとした様子で

空を見上げる柚香ー


「壊さなくちゃー」

すぐに笑みを浮かべる柚香ー


「こんな歪んだ世界、壊さなくちゃー」

柚香の言葉に、同級生は負けじと叫ぶー


「ー何があったの!?教えて!」

とー。


柚香のことは、ある程度は聞いているー

啓二や、麻理恵に裏切られてー

その後、両親も亡くなったとか、なんとかー。

この同級生は、そこまで詳しくは知らなかったがー

とにかく、柚香のプライベートで立て続けに

不幸なことが起こっていたことは、知っていたー。


「ーー啓二にー

 麻理恵に、裏切られてーーー」


柚香は目から涙をこぼしながら呟くー


「お父さんと、お母さんが、殺されてー


 でも、警察も、大学も、誰も、信じてくれなくてー


 退学になってー、バイトもクビになってー」


柚香の言葉に、その同級生は「柚香ーー…」と呟くー。


だがー


「ーーでもね…わたし、”人を自由に操る力”を手に入れたのー

 だからわたしは、歪んだこの世界に、復讐するのー」


柚香は、ニヤリと笑みを浮かべるー。


「ーふ、復讐って…そ、そんなー…

 か、関係ない人巻き込んで…こ、、こんな光景を作るのが、

 柚香の願いなの!?」


同級生が、周囲を指さしながら言うー。


周囲は、”あまりにもひどい”の一言ー。

そんな、光景が広がっているー。


「ーーわたしは…」

柚香は、自分が洗脳で作り出した”地獄”を見て、

一瞬、戸惑いの表情を浮かべたー


けれどー


「ーーだって、こんな世界、いらないもんー」

柚香はそう言うと、その同級生にも”命令”したー


「ー消えてー。この世界からー」

柚香がそう言うと、ビクンと震えて、同級生の子が

必死に抵抗しながらー

柚香のほうを見つめたー


「ーゆ、、柚香…!歪んでるのは…歪んでるのは…

 あ、、あなたよ!」


そう叫びながらー

ついに、完全に洗脳されてしまった同級生は、

そのまま笑いながらこの世界から”消えるため”に

走り去っていったー。


静まり返った商店街ー。


全てを失った女子大生たった一人が、

このような力を手に入れるだけで、

世界は、簡単に、壊れてしまうー。


「ーーー……わたし…」

誰もいなくなった商店街に、ひとり座り込む柚香ー


「ーーわたし……」

頭の整理がつかないー。

”わたしは、どうしてこんなひどいこと、してるんだろうー?”

ふと、そんな思いが頭をよぎるー。


その時だったー


「ーーごくろうさま」

背後から、聞き覚えのある声がしたー


柚香が放心状態で振り返ると、

そこには柚香が”島崎くん”と呼び、慕っている

近所に住む吉影の姿があったー。


「ーーーやっぱりー、

 すごいね、この”力”はー

 なんでも、できるんだー」


吉影がそう言うと、

柚香は「え…?」と首をかしげるー。


「ーー”人を洗脳する力”ー。

 僕のじーちゃんがさ、死んだときに蔵を整理してたら

 見つけたんだー。

 じーちゃん、海外を飛び回っていて、色々海外から

 怪しいものも持ち帰っててさー、

 その中に、”洗脳水”ってのも、蔵に残ってたんだー」


吉影の言葉に、柚香は「ど、、どういうこと…?」と

不安そうに呟くー


柚香に”洗脳”の力を授けたのは、

柚香の両親を殺した謎のレインコートの女だー。

吉影と、何の関係があるというのかー。


「ーー柚香ちゃんは、僕を裏切ったー

 だから、柚香ちゃんの全てを、僕が壊したんだー。」


吉影の目はー

正気を失っていたー。


柚香が慕っていた”近所のお兄ちゃん”の面影は、もうないー。

社会人になった吉影は、パワハラとブラック企業勤務で、

精神崩壊を起こしていたのだー


そしてーーーー

吉影は、柚香のことが昔から好きだったー


”同じ大学に通う男子と付き合い始めた”


柚香から、そう報告を受けたときー

吉影の精神は、完全に、壊れたー。


「ーーーこの世はー、色々、辛いもんなー」


前に、吉影と話したとき、

そう呟いたときだけ、吉影の”目”に影が宿っていたのを思い出すー。


「ーー僕、柚香ちゃんのこと、ずっとずっと、好きだったんだよー。

 それなのにー

 それなのにー

 柚香ちゃんはーー

 ”お前”はーーー

 大学で彼氏を作ったなどと、ぬけぬけとこの僕に!!!」


豹変する吉影ー


「ーだからー

 お前の彼氏の啓二と、お前の親友の麻理恵を洗脳して、

 それぞれ浮気させてやったんだ!


 あのレインコートの女は、隣町の女子大生だ!

 あいつも、俺が洗脳して、お前の家族を殺させた!


 全部、全部、俺が仕組んだんだよ!」


吉影の言葉に、柚香は「うそ…」と、放心状態で呟くー


「ー嘘じゃない!裏切ったお前が悪いんだー!


 そして、あの日、公園で”洗脳水を混ぜたお茶”をお前に飲ませて、

 洗脳の力をお前に与えたー!

 ついでにお前のことも洗脳して

 ”この世に憎しみを抱くように”仕向けた!」


叫ぶ吉影ー


「ーーー!!」


「ーーまずは、ほら、リラックスしないとー」


公園で、吉影にお茶を差し出されたことを思い出すー

あのお茶に、洗脳水が盛られていたのだー


レインコートの女は”演出”で、柚香はあの時点から

洗脳の力を使えるようになっていたのだというー。


「ー僕を裏切ったお前の全てを奪ってー

 そして、名誉も奪ってやろうと思ってー

 お前にこんなことをさせたんだ!」


吉影は笑うー


柚香は”こんな世界、壊さなくちゃ”と暴走したのはー

吉影が柚香に対しても”世界に憎しみを持つように”

洗脳したためー


「ーーそ、、そんな…嘘…島崎くん…?」

柚香がその場で泣き崩れるー。


「ーーお前は、洗脳の力で”何人”殺したと思うー?」

吉影が笑いながら周囲を指さすー。


「ーお前は、史上最悪の極悪犯罪者だ!」

吉影は顔芸とも言える凶悪な笑みを浮かべるー。


彼氏を奪いー

親友を奪いー

家族を奪いー

名誉まで奪うー


吉影の”逆恨み”による復讐ー


「ーーなんで…なんで…こんな…」

柚香が言うと、吉影は泣きながら笑ったー


「ーー僕、柚香ちゃんのことー

 本当に、好きだったのにー


 お前が、大学で彼氏なんて作るから!

 僕を、、裏切るから!!!


 お前の彼氏よりも、僕は、柚香ちゃんで抜いてるんだ!

 毎晩、毎晩、柚香ちゃんで抜いてるんだ!


 なのに、、なのにぃぃぃいいい!!!!」


吉影は一人、そう叫ぶと、

柚香のほうを見つめたー


全てを知った柚香は、絶望していたー


吉影は、柚香は大学の同級生・啓二と付き合い始めたことを

逆恨みしー

祖父の蔵に残っていた洗脳水を自ら用い、

啓二を洗脳、啓二を浮気に走らせ、

柚香の親友・麻理恵を洗脳、親友の彼氏と浮気させる嫌な女に豹変させたー。

その上で、見ず知らずの大学生を洗脳”レインコートの女”として、

柚香の彼女を殺害させ、演出でその女を、”柚香に洗脳の力を与えた女”として

柚香に接触させたー。

洗脳の力を手に入れた柚香が、レインコートの女を始末するのも、予定通りー。


柚香には、公園出会った際に、洗脳水入りのお茶をさりげなく飲ませ、

洗脳の力を習得させたうえ、

この世に憎悪を抱くよう、”洗脳”したー。

だから、柚香はここまで残虐に暴れまわったのだー


「ー……ーー島崎くんーー」

柚香の言葉に、吉影は「さぁ仕上げだ!」と、呟くー


「365日毎日、柚香ちゃんで抜いていた僕を、裏切った罰だ!

 暴れて暴れて暴れて、歪んだこの世界を壊してー

 そして、最後は自ら罪を公表して、死ね!

 お前は凶悪犯として、歴史に名前を残すんだ!

 不名誉な形で、永遠に柚香という名前は歴史に刻まれるんだ!」


吉影が叫ぶー


それと同時にー

柚香も叫んだー


「ー歪んでいるのは、島崎くん…あなたのほうよ!」

とー。


吉影は笑みを浮かべながらー

怒鳴り声をあげたー


「うるさい!僕を裏切ったお前が悪いんだ!

 さぁ、僕の命令に従え!」


吉影が、柚香を強い力で洗脳しようとするー


柚香は、目をとろんとさせてからー

「こんな世界、壊さなくちゃー」と、今一度呟くー


しかしー


柚香は、最後の力を振り絞ったー


”もう、もうーーこんなことーー終わりにしたいー”


「ーーーし、、島崎くん……わ、、わ、、わたしを

 殺してーーそれから、、島崎くんも、一緒にーー」


洗脳されているはずの柚香が、意に反する行動を取り始めたことに

吉影が目を見開くー


「ーーわたしと、、いっしょにーー」


柚香は目から涙をこぼすー


”自分”と”島崎くん”を止めるには、これしかないー


「ーー死んでー」


吉影をそう、”洗脳”した柚香ー


「ーーや、、や、、や、、やめろ…!

 やめろ!な、、なんてことを…!」


吉影は鬼のような形相でそう叫びながらもー

柚香に”洗脳”されてー

それを、”実行”したー


・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”悲劇”はおわったー


多くの犠牲者が出たー


柚香が住んでいた周辺地域を中心に、

吉影に暴走させられた柚香によって、

多大な犠牲者が出たー


けれどー

”それ”は、柚香の決死の行動によって

全国規模の悲劇になる前にー

食い止められたー。


柚香が最後に振り絞った力によってー

逆に洗脳された吉影はー

柚香の命を奪いー

直後、自らの命にも、幕を下ろしたのだったー。



この世界は、歪んでいないー。

世界が、歪んでいるというのであればー

歪みを生み出しているのは、吉影のような、人間たちなのかもしれないー。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


ダークな洗脳モノでした~!

人を選びそうな感じですネ~…!


ここまでお読みくださり、ありがとうございました!


明日は「人間コレクター②(皮)」を送りします~!


来週には、長編入れ替わり「崩壊都市」もスタート予定デス!

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