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アパートで暮らす男子大学生の喜多雄には、

菜穂という可愛らしい隣人がいたー。


だが、喜多雄の隣人は”なぜか”数か月で必ず引っ越してしまい、

決まって、”美人女性”が入居するのだー。


ある日ー

菜穂も”いつも通り”引っ越していきー、

代わりに汐織という女性が引っ越してきたー。


だがー

喜多雄は知らないー。

”隣人”の女性たちの”中身”は、全員同一人物であることをー。

本当の隣人は、女性たちではなく、

人間を皮にして”コレクション”している

危険な紳士風の男であることをー。


★前回はこちら↓★

<皮>人間コレクター①~隣人~

立派な髭を蓄えた紳士風の男が、自分の部屋で、優雅に紅茶を 口にしていたー。 そんな優雅な時間を彩る音楽を聴きながらー 音は、部屋の中のクローゼットの扉を開けるー。 するとー そこには、数々の”服”が、しまわれていたー。 「ーーーー」 紳士風の男は、口元をニヤリと歪めるー そこにあったのはー ”服”などではなか...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


彼は、昔から”コレクション”が大好きだったー。


小さいころは、昆虫標本を集めていたー。

毎日、毎日、標本をひとつひとつ見つめては撫でていたー。

毎日、欠かさずだー。

集めたものを、ひとつひとつじっくりと愛でるー。


それこそが、至福の時間ー

1日1日、同じ昆虫標本でも”手触り”が違うー。

言葉では言い表すことのできない、常人には分からないであろう”違い”

それを手で感じ取ることができたその瞬間に、

彼は喜びを見出すー。


少し大きくなったころにはー

彼の収集欲は”トレーディングカードゲーム”に向かったー。

お小遣いの全てをトレカに費やし、

ありとあらゆるカードを集めたー。

毎日、学校から帰宅すると、トレカの山を1枚1枚確認し、

全てのカード名を呟きながら、コレクションを眺めたー。

同じカードでも、同じものは一つとして存在しない。

カード裏面についている傷ですら、彼にとっては愛おしかったー。


そしてー

今ー


「ーーーー」

紳士風の男は、クローゼットの中に”コレクション”している

人間の皮を見つめるー。


小さいころから、強い収集欲を持つ彼は、今やー

”人間コレクター”と化していたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーー」

喜多雄は、不安になって妹の萌々美に連絡を入れるー


”昨日、萌々美がそっちに行ったはずだけどー”

実家からのそんな連絡に、喜多雄は強い不安を覚えていたー。


何故ならー

”萌々美は来ていない”からだー。


高校生の妹・萌々美は、実家を出て一人暮らしをしている

兄・喜多雄の家によく”抜き打ち調査”として、遊びに来ているー


その都度、喜多雄は色々、萌々美に文句を言われるのだがー…


昨日は、来ていないのだー。


「ーー萌々美…」

スマホで電話をかけてみても、萌々美は電話に出ないー。


LINEもー

メールも応答がないー。


「ーーくそっ…萌々美…」

結局ー

その日も、喜多雄の家に萌々美はやって来なかったー。

そして、実家にもー。


昨日”お兄ちゃんの家に行ってくる”と、実家を出た萌々美ー。

てっきり両親は、萌々美が喜多雄の家に泊まっているーと

思っていたようだが、ようやく両親も異常事態に気づいた様子で

ただちに警察に相談し、本格的な捜索が始まったー


「ーーどこにいるんだ…萌々美ー」

深夜になってから、アパートを飛び出す喜多雄ー。


萌々美がどこにいるのかは分からないー。

けれど、家でじっとしていることなんて、できなかったー


「ーーあ、こんばんはですー…

 どうかされましたか?」

隣人の眼鏡をかけた穏やかそうな女性・汐織が声を掛けてくるー。


つい数日前に引っ越してきた女性で、

その前までこの部屋に住んでいた、菜穂と同じように、

綺麗な女性だー。


いやー

不思議なことに、喜多雄の”隣人”は、決まっていつも綺麗な女性で、

しかも、なぜか毎回、数か月で引っ越して行ってしまうー。

この前までここに住んでいた菜穂もそうだったし、

その前も、その前の人もー何度も何度もー。


この、高野汐織という女性も、やはり、数か月で引っ越すのではないかー

そんな風に喜多雄は思っていたー。


「ーー実は…妹が昨日から行方不明でー」

喜多雄が言うと、

汐織は「えぇ!?それは大変ですね…」と心配そうな表情を浮かべるー。


「ーーどんな子ですか?」

汐織の言葉に、喜多雄は”引っ越してきたばかりの人に

こんな話して申し訳ないな…”と思いながらも、スマホで

妹・萌々美の写真を見せるー


「ーー可愛いですねー」

汐織が微笑むー


「え、えぇ…」

少し照れくさそうに喜多雄が言うと、汐織は

「ーもしも見かけたら、すぐにお知らせしますね!」とほほ笑んだー


「ありがとうございます!」

そう叫びながら、アパートの階段を駆け下りる喜多雄ー。


「なんかー」

喜多雄は、萌々美の無事を祈りながら夜の街を走るー


「なんか、まるで、内田さんと話しているみたいだなー」

喜多雄は、ふとそう呟いたー。


数日前に引っ越してきたばかりの、高野汐織ー…

彼女と話していると、まるで、少し前に引っ越した、内田菜穂と

話をしているような、そんな気持ちになるー。


「ーーーあ~…あれか」

喜多雄は、ふと、自虐的に笑うー


”恋愛経験ないと、少し優しくされただけで、

 誰でも好きになっちゃう”みたいな話聞いたことあるしなー…


喜多雄は、自分が”隣人女性”のことをいつも、内心で

どこか好きになっているのだと、自虐的に笑うー。


「ーこんなんだから、モテねぇのかなぁ、俺ー」

萌々美が行方不明であることに対する不安を打ち消すように

そう呟くとー

「って、そんなこと言ってる場合じゃねぇ!」と一人呟き、

萌々美のいそうな場所を、手当たり次第、捜索し始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーークククー

 見つかるわけがないだろうー?」


冷たい笑みを浮かべる隣人の汐織ー


自室に入った汐織は、自分の後頭部に手を持っていくとー

”自分”を乱暴に脱ぎ捨てたー


汐織の皮が、床に崩れ落ちるー。

汐織は、不気味な笑みを浮かべたまま、

着ぐるみのような状態になっているー。


中から出てきたのは、紳士風の男ー。


改造したクローゼットを開けるとー

そこには、ずらりとハンガーにかけられた”服”が

並べられているー


否ー

人間の”皮”がー。


「ーんっん~~~~…」

一つ一つの”皮”を撫でまわすようにして、触る紳士風の男ー


「ーー美しいー」

紳士風の男は、そう呟いたー


”美”はいつかは失われるー。

紳士風の男は、それを良く知っているー


だからこそー

こうして、”美しいものを永遠に美しいまま”

コレクションしているのだー。


「ーーーー」

紳士風の男は”最近”手に入れた皮を

手に持つと、それを着こむー。


「ーーーーーお兄ちゃんー」

皮を着こんだ紳士風の男は、

その女の声で呟いたー


「ーわたしは、ここにいるよー

 ”お洋服”になってー♡

 ふふふふふふふふーーー」


喜多雄の妹・萌々美の皮を着た紳士風の男は、

萌々美の顔で不気味な笑みを浮かべながら、

そう、呟くー


いつもはーー

”実家暮らしの人間”は狙わないー。

何故なら、実家から姿を消せば、当然すぐに騒ぎになるからだー。

一人暮らしの人間を狙うのとは、勝手が違うー。


だがー

今回は、どうしても、我慢できなかったー。


時折、隣人の男子大学生を訪ねてきている

妹の萌々美ー。

ずっと、ずっと”コレクション”に加えたいと、そう思っていたー


だからー”実行”したー。


「ーーーークククククー萌々美は私のものだー」

身体中をイヤらしい手つきで触る萌々美ー


「ーーこんなに近くにいるのにー

 気づいてもらえないなんてー

 寂しいね?」


鏡に向かって、萌々美は静かにそう囁いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーはぁ…はぁ…どこ行っちゃったんだよ…萌々美ー」


実家の両親と連絡を取り合いながら、

必死に一晩中、萌々美を探し回った喜多雄ー。


だが、萌々美は見つからなかったー。


実家の両親に電話をかける喜多雄ー。

だが、両親も外を探し回っていて、家の電話では連絡がつかず、

すぐに母のスマホに連絡を入れるー。


”ーーこっちもダメね…”

母は、そう呟いた。

その声からは、焦りが感じられるー。


「ーーー…萌々美…」

喜多雄は、そう呟きながらも、

仕方なく、自分のアパートの部屋に戻るー。


これ以上、探していても、今日はもう見つかりそうにないー。


喜多雄には、萌々美の無事を祈ることしかできなかったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーふふっ」

モデルかのように、セクシーポーズを取りながら、

自撮りを繰り返している汐織ー。


「ーーーんっ…♡」

悩める表情をしながら、唇に手を当てて、写真を撮るー。


それが済むと、汐織はニヤリを笑みを浮かべながらー

笑ったまま”皮”になって、脱ぎ捨てられるー。


紳士風の男が汐織の中から出てくると、

続けて男は、菜穂の皮を着るー。


ついこの間まで”メインの皮”として使っていた女だー。


紳士風の男は”外出時に利用するメインの皮”を定期的に変えているー。

アパートの部屋から”いつも違う女”が出てきたらさすがにおかしいからだー。


だから、数か月程度に1回、”メインの皮”を切り替えるタイミングで

一度引っ越しを”した”ことにし、また別の名義で”入居”するのだー。


「ーーーーふふっ♡」

菜穂の皮を着た紳士風の男は、今度は菜穂で、

挑発的なポーズを取りながら、自撮りを繰り返すー。


男は”コレクション”たちの”自撮り写真”を毎日撮影しているー。


菜穂での撮影が終わると、菜穂を脱ぎー

今度は、喜多雄の妹・萌々美の皮を着るー。


萌々美の姿で、お尻を突き出したセクシーポーズを取り、

自撮りをするー。


「ーお兄ちゃんー

 わたし、今、幸せだよー♡」


エッチなポーズを取りながら、萌々美が囁くー。


「ーだって、ほらー

 わたし、こ~んなに笑ってるー」


満面の笑みを浮かべて、セーラー服に着替えた萌々美が、

まるで彼氏に微笑みかけるような笑みを浮かべて自撮りを繰り返すー。


「ーーふふ…ふふふふふふ♡」


皮にして、着てしまえば、どんな人間も

”思いのまま”の姿を見せてくれるー。


こんなことをさせられていると知れば、

萌々美本人は、泣き出してしまうだろうー。


それなのにー

萌々美は今、笑っているー


「ーーあぁぁぁ…たまらないー

 これだからー

 やめられないー…」


萌々美は興奮した様子のまま、後頭部に手を触れるとー

自分の頭をぺりっとめくって、そのまま自分を脱ぎ捨てるー


紳士風の男は、洗濯物を干すかのように、萌々美を

部屋の中のハンガーに引っ掛けるとー、

次の皮を身に着けていくー


昔は、”昆虫標本”だったー

そのあとは”トレカ”


そして今は”人間”

男は毎日、”コレクション”を一つ一つ大切に愛でているー。


大胆に足を晒した服装で、挑発的なポーズを取る里香ー。

自撮りをしながら、里香は満足そうな笑みを浮かべるー。


里香はー、

喜多雄の隣に住んでいた”菜穂”の前に隣に住んでいた隣人ー

つまり、紳士風の男のその時の”メインの皮”だー。


まるでファッションショーのモデルのように歩きながら、

ひとり、ひとりの姿を堪能していくー。


「はぁぁぁ~」

里香の皮を脱いで、次の皮に着替えるー。


今日も、最高の時間だー。

紳士風の男はそう思いながら、笑みを浮かべたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


1週間が経過しても、萌々美は見つからなかったー。


「ー大丈夫ですか…?」

隣人の汐織が、心配そうに声を掛けてくるー


「ーーはい…心配かけてすみません」

喜多雄は、”引っ越してきたばかりの人にこんな話を

聞かせてしまうなんて”と、申し訳なく思いながら

「ーー内田さんも、ありがとうございますー」と、呟くー


「ー内田?」

汐織が首をかしげるー。


眼鏡をかけた可愛らしい汐織の姿を見て、

「あ!すみません!高野さん!」と、慌てて訂正するー


”内田”は、前に住んでいた菜穂の苗字だー。

どうしてもー

汐織と話していると菜穂と話しているような感じになってしまうー。


「ーーふふ、大丈夫ですよ」

笑う汐織ー。


汐織は、妹の萌々美が行方不明と聞いて、色々心配してくれているー。

その感謝の気持ちを喜多雄は口にしたのだったー。


「ーでも、これだけ見つからないとなると、

 あとは警察の方にお任せするしかないですよねー」

汐織が呟くー


「ーー」

汐織の言うことは確かに正しいかもしれないー


だがー


「ー俺は、絶対あきらめませんよー。

 今も、どこかで萌々美は、俺のことを待ってるかも

 しれないんですー。

 1か月経っても、1年経ったとしてもー

 俺は必ず萌々美を見つけますー」


「ーーーーーー」

喜多雄の言葉に汐織が少しだけ表情を曇らせるー。


そして、呟くー


「ーー気持ちはわかりますけど、でも、あとは警察の方にー」


「ーーいえ、絶対見つけますー。

 もし、誰かが萌々美に何かしたならー

 俺は、そいつをーー

 絶対許しませんー」


喜多雄の強い決意ー。

汐織は「ーーー…妹さんを、本当に大切にしてるんですね」と呟くー。


「ーーはい…あ、ごめんなさい。感情的になって」

喜多雄はそう言うと、「今日は実家に行くつもりなんで」と、呟くー


「実家にー?」

汐織が言うと、喜多雄は「ええ…両親と直接情報交換しようと思って」と

笑いながら、頭を下げるー


アパートから外に出て、母親のスマホに連絡を入れるー


”ーーあ、喜多雄!ごめんね!今、お父さんの実家のほうにいるの!

 萌々美のことで色々相談してて”


母の言葉に、喜多雄は「あ、なんだ、そうだったんだー」と呟くー。


実家に向かおうと思っていたが、両親は今、父方の実家の方にいるらしいー


「ーーじゃあ、電話でー」

喜多雄は直接会って話をしようとしていたことを、電話で伝えるー。

萌々美についての情報交換ー。


”あんたも、大学で大変だろうから、あまり無理しちゃだめだよ。”

母の言葉に、喜多雄は「あぁ、わかってるよ」と返事をすると、

そのまま歩き出したー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーーーーーーーー」


紳士風の男が皮を脱ぎ捨てると、

萌々美の皮を身に着けて、静かに囁いたー。


「今も、どこかで萌々美は、俺のことを待ってるかも

 しれないんです …?


 くくー」


萌々美は静かに呟くー


「ーごめんねお兄ちゃんー

 わたし、”コレクション”になっちゃった♡


 お兄ちゃんのことなんて、

 まってませ~~~~ん♡」


萌々美は、いじわるそうな笑みを浮かべると、

”でも、あいつー

 邪魔だなー”

と、喜多雄のことを思いながら、

静かに舌打ちをし始めたー


思った以上にー

妹をしつこく探し回っていて、

諦める気配がないー


ヘタをすればー

”隣人”である、自分も疑われるかもしれないー


「ーー手を、打つかー」

萌々美の皮を着たまま、男はそう、呟いたー


③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


隣人が”危険人物”だと気づく日は来るのでしょうか~?

続きはまた次回デス!

今日もありがとうございました~!

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