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「ーーご苦労様でしたー」

目黒警視正が、電話を終えて、その電話を切るー。


ニュースでは、先ほどの火災の続報が伝えられているー。


警察内部の闇ー

西園寺警察庁長官を中心とする”暗部”は、警察内部に深く、

根付いていたー。


それを排除するためー

目黒警視正は、あらゆる手段を尽くしたー。


そして、今、それが終わるー。


全てを、闇にー。


電話で、モルティングの親玉である”泉谷 聖一”の死を

報告された目黒警視正は、

「ーー今頃、治夫くんはーーー」と呟くー。


先ほど、治夫の彼女・松永亜香里がいる部屋の周辺に

展開させていた捜査員たちに撤収を命じたー。


目黒警視正の読みが正しければ、治夫に執着していた

黒崎陣矢は、あの周辺で、松永亜香里を乗っ取るチャンスを伺っていたはずー。


捜査員を撤収させた今ー

おそらく、松永亜香里はーー


今頃は、長瀬治夫と、乗っ取られた松永亜香里が対峙しているに

違いないー。


「ーーー治夫くんー

 あなたには、本当に感謝していますー」


治夫のようなー”若き警官の正義感”

それが、目黒警視正には必要だったー


おかげで、西園寺長官の一派は壊滅状態ー

さらには、モルティングもほぼ全滅状態ー


目黒警視正は、テレビのニュースで、

目黒警視正を背後からサポートしていた、前警察庁長官・

”大瀬良長官”の焼死体が発見されたと報じられているのを見て、

満面の笑みを浮かべたー


「ーーまぁ、これも私の”想定通り”ですー」


とー。


・・・・・・・・・・・・・


登場人物


長瀬 治夫(ながせ はるお)

若き警察官。”皮”にまつわる事件に巻き込まれていく


松永 亜香里(まつなが あかり)

治夫の彼女。現在同居中。


長瀬 聡美(ながせ さとみ)

治夫の妹。かつて臼井隼人に皮にされた件で、現在入院中。


目黒 圭吾(めぐろ けいご)

警視正。計算高い性格の持ち主で、出世欲も強い。


黒崎 陣矢(くろさき じんや)

指名手配中の凶悪犯罪者。”モルティング”のひとり。


泉谷 聖一(いずみや せいいち)

治夫の中学時代の恩師。モルティングたちに”皮にする力”を与えた黒幕。


大門 久志(だいもん ひさし)

目黒警視正が亜香里を警護するため派遣した捜査官。


・・・・・・・・・・・・・・


★あらすじ★


帰宅した治夫を待っていたのはー

凶悪犯・黒崎陣矢に乗っ取られて、

悪女に変わり果てた亜香里の姿だったー。


彼女の亜香里を乗っ取った黒崎陣矢に対して

激しい怒りを燃やす治夫ー


しかし、治夫は亜香里に攻撃することができないー


そんな治夫を弄ぶかのようにー

凶悪な笑みを浮かべた亜香里は、

嬉々として治夫をいたぶり続けるー。


亜香里の振るう鞭に叩かれながら

治夫はただ、耐えることしかできなかったー


★前回はこちら↓★

<皮>モルティング~人を着る凶悪犯~㉞”支配”

モルティング対策班本部ー。 その場所には既に、捜査官たちの姿はないー。 「ーーーーー」 目黒警視正は、薄暗い部屋で、テレビをつけると笑みを浮かべたー。 矢神明信もー 三枝真綾もー 堂林幸成もー もう、いないー。 モルティングもー 警察組織の闇もー そしてーー ”事情を知る人間も”全てー 闇に葬り去るー 目黒警視...

・・・・・・・・・・・・・・


「は~~~~~~~…

 ゾクゾクするー」


亜香里が自分の髪を触りながら、笑うー


ボロボロになった治夫が、苦しそうに

亜香里のほうを見つめるー。


「ーーこの女の心臓ー」

亜香里は、そう言いながら、自分の胸のあたりを指でつつくー


「ーー今、ものすごくバクバクしてるんだぜ?

 何故だか分かるか?長瀬治夫ー」


亜香里が笑みを浮かべながら言うー。


”黒崎陣矢”の言葉を喋らされている亜香里ー

黒崎陣矢に”着られて”思いのままにされている亜香里ー


治夫は歯ぎしりをしながら、亜香里のほうを睨むー


「ーー大好きな彼氏を鞭で叩いてー

 興奮してるんだよぉ… くふふふふふふっ♡」


亜香里がゾクゾクしながら言葉を発するー。


黒崎陣矢に着られて、乗っ取られた亜香里の身体は、

治夫をいたぶり、興奮している黒崎陣矢の意思に従って

激しく興奮していたー。


「ーーークククー

 そんな睨むなよー。

 俺は、お前に感謝してるんだぜ?長瀬治夫ー」


亜香里は、自分の指を見つめながら笑みを浮かべるー。


「ーー言ったろ?俺は凶悪犯じゃなくてー

 芸術家だとー。

 お前のおかげで俺は”黒崎 亜香里”っていうー

 最高の芸術品を手に入れることができたんだー。


 感謝しても、感謝してもー足りねぇぐらいだー…

 ククク…ははははははっ!」


笑う亜香里ー


亜香里を傷つけることはできないー

だが、このままでは一方的に黒崎陣矢の”芸術”の餌食になるだけー


治夫は、咄嗟に動いたー。


「亜香里!ごめん!」

治夫はそれだけ言うと、亜香里の足を引っかけて転倒させるー。


亜香里が頭を打ち付けないように、手で頭をガードする

配慮も見せながら、治夫は手錠を手にしたー


黒崎陣矢に乗っ取られた亜香里を行動不能にして拘束するー。


転倒して驚いている亜香里の腕を掴みー

治夫は亜香里に手錠をかけようとしたー


しかしー


「ーーえ…は、、治夫…?い、、、いたいよ…」

亜香里が目に涙を浮かべながら、怯えた表情をしているー


「ーーあ、、亜香里ー?」

治夫は、亜香里の反応に戸惑ってしまうー


黒崎陣矢が、亜香里の意識を表に出したのかー!?

そんな風に思いながら、治夫は、慌てて”事情”を説明しようとするー


しかしー


「ーバカな治夫ー」

亜香里が邪悪な表情を浮かべて、治夫の顔面を殴りつけるー。


黒崎陣矢が”亜香里のフリ”をして、治夫の動揺を誘ったのだー。


治夫から手錠を奪うと、亜香里はそれを

ベランダの窓を開けて、外に放り投げるー。


「ーー残念だったなぁ!長瀬治夫!」

亜香里が嬉しそうに笑いながら言うー。


「ーーーくっ…」

表情を歪める治夫ー。


亜香里はそんな治夫を見つめながら

ペロリと唇を舐めると

「そろそろ究極のショーの”第2章”に行くかー」と、

不気味な笑みを浮かべたー。


治夫が、身構えると同時にー

近付いてきた亜香里はー

治夫に隠し持っていたスタンガンを当てたー


電流が走り、悲鳴を上げる治夫ー。


大好きな治夫が苦しんでいるのにー

乗っ取られている亜香里は、凶悪な笑みを浮かべながら囁くー


「おやすみ、治夫ー」


とー。


治夫の意識は、そこで途切れたー。


・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーーここはーー?」

目を覚ますと、治夫は何もない黒い空間にいたー。


「ーーーこれはこれはー」

聞き覚えのある声がして、治夫が顔を上げると、

そこには、死んだはずのモルティングの一人・

天才詐欺師の臼井隼人がいたー。


治夫の妹・長瀬聡美を皮にして乗っ取りー

最後にはモルティング対策班のアウトロー風の刑事・明信に射殺された男だー。


「ーーー臼井隼人ー」

治夫が歯ぎしりをすると、臼井隼人は笑みを浮かべたー


「ーーどうかね?素晴らしい光景だろうー?」

臼井隼人が、周囲を見渡しながら言うー


治夫は、座り込んだまま

「ここはなんだー?」と、不満そうに呟くー


臼井隼人は答えるー


「決まっているだろうー?ここは、地獄ー」


とー。


「ーーー!」

治夫が周囲を見渡すと、いつの間にか臼井隼人の姿は消えー

代わりに、黒い喪服を着た女ー

モルティングの中曽根佳純が、治夫の周囲を歩いていたー


「あなたも、分かったでしょう?長瀬治夫ー」

佳純が笑うー。


「ーー世界は”地獄”ー 

 世界は”苦しみ”に満ちているのー」

クスクスと言いながら、佳純は言うー。


「ーーあなたも、もう疲れたでしょうー?」

中曽根佳純が治夫に顔を近づけて微笑むー。


「ーーーあなたも、眠りなさいー永遠にー」


そんな中曽根佳純の顔を払いのけると、

中曽根佳純が光の粒のようになって消えていくー。


”君は、マリオネットだー”

警察庁長官・西園寺 零のあざ笑う声が聞こえてくるー。


「ーーーー俺は…俺はーーー」

治夫は悔しそうに呟くー。


浮かんでくる亜香里の笑顔ー。


浮かんでくる黒崎陣矢に乗っ取られた亜香里の凶悪な笑みー


「ーーー俺は…亜香里を助けられなかったー」

悔しそうに涙を流す治夫ー


「ーーもう、疲れたー」

そんな、気持ちになるー 


だがー


「ーーあれぇ~?ハルくん~ もう諦めるの~?」

聞き覚えのある声がして振り返るとー

光が差し込んでいたー。


モルティング対策班の仲間たちがそこにいるー。


ギャル風の三枝真綾ー

好青年風の堂林幸成ー

アウトロー風の矢神明信ー。


「ーーー…」

堂林幸成は、治夫と出会った時点で、中曽根佳純に皮に

されていて、本当の幸成と治夫は話したことがないー


けれど、幸成は静かに治夫のほうを見て頷くー


「ーーーーー俺との約束、守れよー?」

ガムを噛みながら、明信が治夫に近付いてくるー


「ーーー守れー。大切な人をー。」

明信の真っすぐな目ー。

治夫は、そんな明信を見て、かつて、明信の過去を知った際に、


「--お前の大切な人を、死ぬ気で守れー。

 絶対に、手を離すなー


 いいな?

 死ぬ気で彼女を守れー。

 絶対に奴らに手を出させるな」


と、言われたことを思い出すー。


「ーーーーーそうでしたね……矢神さんー」

治夫は、そう言って微笑むと、

「三枝さんー…堂林さんー…ありがとうございます」と、

2人に対しても頭を下げてから、光の方に向かって歩き出すー。


”治夫ーー

 たすけてーー”


そんな声が、聞こえた気がしたー


「ーーごめんーー亜香里ーー

 今、助けるからー

 もう少しだけ、待っててくれー」


治夫は、光の出口に向かっていくー。


出口付近で、恩師の泉谷が、治夫に声を掛けたー。


「ーー長瀬ー

 信じた道を、最後まで進み抜けー」


治夫は、無言で泉谷のほうを見て、力強く頷くと、

そのまま光の外へと向かったー



「ーーーーう…」

スタンガンで気絶していた治夫が目を覚ますー


「ーークククー…ようやく起きたかー。

 あまりにも痙攣してるから、死んだかと思ったぜ」


亜香里の声ー。

その口調から、亜香里がまだ、黒崎陣矢に乗っ取られたままで

あることはすぐにわかるー。


「ーー!」

治夫は、気絶している間に、自分がロープで椅子に

縛り付けられていることに気づくー。


「ーくそっ!」

治夫がそう呟くと、

背後から亜香里の声がするー。


「ーーークククー

 俺にもっともっと、最高の芸術を見せてくれー」


そう言いながら、後ろから治夫の前にやってきた亜香里の姿を見てー

治夫は思わず声をあげたー


「ーークククー治夫?どうしたの?」

そう言いながら笑う亜香里はー

コルセット風のランジェリー姿に着替えていたー


今にもー

エッチをするかのような、そんな服装だー。


「ーー貴様…!ふざけるな!亜香里を…亜香里を

 どこまで弄ぶつもりだ!」

治夫が大声で叫ぶと、

亜香里はニヤニヤしながら、自分の太ももあたりの

ガーターベルトを触るー。


「ーーくくくくく…

 エロすぎて、興奮しちゃうでしょ?」

亜香里はそう言いながら、縛られている治夫に近付いてくるー。


「ーーククー…

 彼女のこ~んな姿を見て、興奮してるのか?」

亜香里は、そう呟くと、イヤらしい姿のまま、

治夫のズボンのあたりを見つめるー。


「ーーーふざけるな!」

治夫は怒りの形相で、亜香里を睨むー。


だがー

それでもー

治夫の身体は、無意識に反応してしまいー

ズボンが少し膨らんでいるのが分かるー


別に治夫は、下心を持っているような人間ではないしー

亜香里のことも、決して身体目的などではないー


それでも、身体が反応してしまうことにー

治夫は唇をかみしめて、血が出るほどー屈辱を感じていたー。


「ーーふふふ わたしのこの格好を見て、興奮してるんだ?」

亜香里がバカにしたようにして笑いながら、

治夫のズボンの上から、指でソレを触っていくー。


「ーしゃぶってやろうか?この綺麗なお口でー」

亜香里は笑いながら、自分の唇を指でなぞるー。


「ーーきさまぁああああああああ!」

治夫は、抵抗できない状況のまま大声で叫ぶー。


「ーーーくっはははははははははっ」

亜香里はそう言いながら、治夫から離れるとー

「最高のショー第2幕の開幕だ!」と、両手を広げながら叫んだー。


「ーお前の”フューリー(怒り)”を見せてくれー」

亜香里はクスクスと笑いながらー、

自分の胸や、アソコを触りだすー。


治夫は怒りの形相で雄たけびを上げるー。


「ーーんっ…♡ ぁん…♡」

亜香里が甘い声を出すー。


「ーく、、くくく…

 どうだぁ?大好きな亜香里ちゃんの甘い声はー?

 興奮するだろ?

 へへへへっ…


 んっ…♡」


乗っ取られている亜香里はー

誰よりもつらいはずなのにー

目の前で笑っていてー

気持ちよさそうにしているー


「ーー黒崎陣矢…お前だけは…絶対にーーー許さない!」

治夫が叫ぶー。


だがー

治夫は抵抗できない状態ー

縛られたままー


「ーーははははははっ!」

亜香里はそんな治夫を馬鹿にしたような目つきで見つめるとー

突然、亜香里の後頭部がぱっくりと割れたー


笑みを浮かべたまま、脱ぎ捨てられた服のようになって、

亜香里が床に横たわるー。


「ーーじゃ~~~ん」

黒崎陣矢が笑いながら中から出てくるー。


「ーー長瀬治夫ー

 ほら、今なら俺を殺すチャンスだぜ?ほら!おい!来いよ?」


治夫は拘束されていて動けないー

それを分かった上での黒崎陣矢の”挑発”ー


そしてー

黒崎陣矢は、治夫が気絶している間に机の上に用意していた

”人を皮にする注射器”と”皮にした人間を元に戻す注射器”を手にするとー


元に戻す注射器を、亜香里に打ったー。


「ーーーあ…ぅ…?」

亜香里が人間の姿に戻るー


「亜香里!!」

治夫は叫んだー。


亜香里は困惑しながら、自分の服装を見つめて悲鳴を上げるー。


「ーーーへへへへ…どうだい?

 彼氏を散々苦しめた気分は?」

黒崎陣矢が亜香里に言うと、

亜香里は涙を流しながら治夫のほうを見たー


「は、、治夫…わ、、わたしはいいから…逃げて…!治夫!」

亜香里が泣きながら叫ぶー。


「ーーくくくー

 自分より彼氏のことかー。いいねぇ」

黒崎陣矢はそう言うと、亜香里に馬乗りになって、再び亜香里に

”皮にする注射器”を打つー。


「ーーぁ…」

亜香里が苦しそうにうめきながら再び皮になっていくー


「ーーー」

黒崎陣矢は、さらに亜香里に”元に戻す注射”を打つー


亜香里は苦しそうに「やめて…」と、嘆願するー


「ーー長瀬治夫クンに一言!」

黒崎陣矢が、亜香里の髪を乱暴に掴んで、亜香里の顔を

治夫の方に向けるー。


「ーーは、、治夫……ごめんね…ごめんね…」

亜香里は泣きながら、謝罪の言葉を何度も何度も口にするー


「ーーいいんだ…亜香里!俺こそごめんな…こんな、、

 こんな目に遭わせてー

 必ず、必ず助けるからー」


「ーーーーはる… ぁ」

黒崎陣矢が亜香里に”皮にする注射器”を打つー。


「ーほら?彼女、苦しんでるぞ?

 助けて見ろよー」


黒崎陣矢は、何度も何度も、亜香里を皮にしたり、元に戻したりを

繰り返しているー


亜香里はぐったりとした様子で、「ーーーや、、めて…にげて…」と、

何度も何度も呟くー。


黒崎陣矢の残虐な振る舞いに、治夫は、怒り狂った様子でもがくー。


「ーははははははっ!何もできねぇよな?

 つらいよな?」


黒崎陣矢は笑みを浮かべるー


「ーー俺もさーそうだったんだよー

 妹の早苗がさー、

 突然入ってきた奴にー

 今のお前みたいに、そうやって縛られてさー

 クククー

 いたぶられてさ、死んでったんだよー。


 本当にー

 本当に、美しかったよー」


黒崎陣矢は笑うー


治夫は、中曽根佳純から黒崎陣矢の過去を聞いているー。

純粋な学生だった黒崎陣矢は、

突然家に入ってきた男に、拘束されて、

目の前で妹を殺されたのだとー。


今ー

黒崎陣矢が治夫にしているのはー

”その時の再現”なのだとー


「ーー妹さんがーー今のお前を見たら…!

 どう思うか考えたことはあるのか!!!!!!!!!」


治夫が大声で叫ぶー。


「ぁ…」

再び亜香里が皮にされるー

散々、亜香里を皮にしたり、戻したりを繰り返した黒崎陣矢は、

再び亜香里を着るとー

亜香里の姿で笑みを浮かべるー。


「ーー死んだ人間は、もうこの世にいねぇー

 2度と、会えないー

 今の俺の姿を、早苗は見ていないー。


 どう思うかー?

 んなこと知るかよ」


亜香里の声でそう言うと、

亜香里は、奥からさらに何かを取り出したー


「ーーじゃ~~~ん

 ほら、これ見ろよー」


亜香里が笑いながら持ってきたものはーーー


”婚姻届”


そこにはー

”黒崎 陣矢”

”松永 亜香里”の文字ー


黒崎陣矢が、亜香里を乗っ取る前に自分の字を書きー

亜香里を乗っ取ったあとに、亜香里の身体で、

亜香里の”手”の感覚を利用して、亜香里の筆跡で書いた婚姻届ー


「ーー結婚しちゃうことだって、できちゃうんだぜ?」

亜香里がニヤリと笑うー


「う…うぅぅぅぅ… 

 黒崎陣矢あああああああああああああああああァ!」


怒り狂った治夫の雄たけびー


「そうだー

 怒れーー

 憎めーーー

 俺をゾクゾクさせてくれよォ」


亜香里がクスクスと笑うー。


”ーーーあの注射器ー”


だがー

治夫は、怒り狂っている”演技”をしていたー


”婚姻届”は、治夫を挑発するためのものだー。

治夫はそれを理解しているー

黒崎陣矢の目的は、亜香里と結婚することではないー

ただ、この場を楽しんでいるだけー。

もし、ここで治夫が亜香里を助けられなければー

亜香里は遊ばれつくした挙句ー”処分”されるー。


治夫は、部屋に転がっている

捜査官・大門や、黒崎陣矢がここまで着ていた西園寺 梓の

皮を見つめながら思うー


亜香里も”処分”されるー

そんなことは、絶対にさせないー


今一度、机の上の注射器をさりげなく見つめる治夫ー。


黒崎陣矢が、さっき使った注射器が2本、机の上に置かれたままー

”もとに戻す注射器”を、亜香里に打ち込めばーーー


「ーーー」

治夫は、悟られないように、縛られた手のロープを、

少しずつ、少しずつ、背後の突起部分で、なんとかほどこうとしていたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーー長瀬、聡美さんー」


病院ー。

以前、臼井隼人に皮にされて、入院中の治夫の妹・聡美の病室に

看護師の女性がやってくるー


「ーーー…!?」


だがー

病室に聡美の姿がなくなっていたー。


「ーー長瀬さん??長瀬さんー?」

病室の付近を捜す看護師ー


入院中だった長瀬聡美が、

病室から、姿を消したーーー


㊱へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


当初から頭の中で描いていた終盤を実際に書いていると、

もう終わりも近い…というのを私自身も実感できますネ~★


長編は、半年以上連載することも多いので、

終わりが近づいてくると、私もちょっぴり寂しい気持ちデス~!


お読みくださりありがとうございました!!

続きはまた次回デス!

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Comments

キョロ

聡美ちゃんの絡みないと思ってたので、また皮にされる展開あると思うとゾクゾクですね!

無名

コメントありがとうございます~! どんな結末が待っているか、ぜひ楽しみにしていてくださいネ~!