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「指名手配中の浜崎 俊(はまざき すぐる)の潜伏地点を見つけたー

 やつは現在、空港方面に向かって逃亡中ー

 決して奴を逃がすなー」


現場に急行中のパトカーに向かって、そう連絡が入るー。


浜崎 俊ー。

年齢を感じさせるような渋い風貌にサングラスー

ちょっと悪そうな渋いおじさんーという感じのその男は、

数々の密輸や密売に手を染めている男で、

警察が長年の調査の末に、ついにその存在にたどり着いたー。


俊は非常に用心深く、慎重な男で、

これまで”裏社会の大量の密輸に関与している人物がいる”ことまでは

突き止めながらも、

その人物の正体に警察はなかなかたどり着けずにいたのだー。


だが、執念深い捜査で、ようやく浜崎 俊という男の

存在にたどり着くことに成功したのだったー。


浜崎 俊の目撃情報があった通りを走り去っていくパトカー


「ーーーチッー」

裏路地からパトカーが通り過ぎたのを確認したその男こそー

浜崎 俊だったー。


「ーーついにこの俺にたどり着きやがったかー」

整った髭にサングラスをかけたその男はー

数日前、警察が自分自身の存在にたどり着いたことを察知したー。


慎重な俊はすぐに”国外逃亡”を決断したー。


いつの日かー

こうして追い詰められることは計算していたー。


だからこそ、

もしも自分の正体がバレたらすぐに国外逃亡できるよう、

準備をしていたのだー。


「一旦中東にでも飛んで、そこを拠点にしばらく

 ビジネスするかー」


そう呟くと、吸っていた海外製の派手な煙草を

地面に捨てて、それを踏みにじるー。


警察の動きは予想以上に早かったー。

だが、空港には既に”仲間”を待たせてありー

共に国外逃亡する手はずを整えてあるー。


空港にまでたどり着けばー

こちらのものだー。


「ーー」

パトカーの音が再び聞こえるー。


だが、パトカーは俊のいる方向とは別の方向に向かっていくー。


「ーークククー

 当然”こっち”も警戒はされていると思うがー」


俊はそう呟くと、サングラスを少しだけ下ろして

鋭い目つきで、別の方角に向かっていくパトカーを見つめたー


陽動作戦で、

”別の空港に向かっている浜崎 俊”の目撃情報を

警察に流したー。


”裏社会の協力者”に俊とよく似た服装・容姿をしてもらい、

別方面の空港に向かっているフリをしてもらっているのだー。


もちろん、俊自身が目指している空港もある程度

警戒はされているー。

しかし、警察は、もう一方の空港を重点的に、追跡を行っていたー


”浜崎 俊を絶対に国外逃亡させてはならないー”

その強い思いが、裏目に出ていたー。


「ーー俺様を誰だと思っていやがるー」

40代半ばの俊は、年齢を感じさせない鋭い目つきで笑みを

浮かべると、そのまま空港に向かって走り出したー。


”空港まで到着すれば、康司(やすし)が待ってるからなー

 俺様を捕まえようなんざ、100年早いぜ”


そう思いながら、俊が曲がり角を抜けようとした

その時だったー


「ーーーー!」

偶然、曲がり角を歩いてきた

白と黒の清潔感ある服装のー

スタイルの良い女子大生とー

ぶつかってしまったー


「ーーーっ…!バカ女が!気を付けやがれ!」

転倒した俊は怒りに任せてそう叫ぶー。


だがーー


「ーーー!?」

俊はーー

いやー、女子大生は表情を歪めたー


「ーーーっ…!バカ女が!気を付けやがれ!」

と、叫んだのはー俊のはずだったがー

その口から出たのは、可愛らしい女の声だったー。


「ーーーーあ???」

俊は、自分の身体を触るー

長い髪に、胸にーーー


「ーーな、、なんだ?なんで俺がスカートなんか…?」

自分の身体を見下ろすと、胸の谷間や、

黒いスカート、そしてタイツに包まれたスタイルの良い足が見えるー。


驚きながら目の前を見ると、

目の前に、”自分”が、手をついていて、起き上がろうとしている

最中だったー。


「ーーな…なんで俺がもう一人ー!?」


周囲に人が集まってくるー


「ーーだ、大丈夫ー?」

通りがかりのおばあさんが、俊に手を差し伸べるー。


いやー

おばあさんは、俊に手を差し伸べたのではないー

”女子大生”に手を差し伸べたのだー


「ーーーえ…あ、、、???」

差し出された手を掴もうとしてー

自分の手が綺麗な色白の手であることに気づくー。


”ま、、まさかー”

俊はー

ようやく、自分が”女子大生”の身体になってしまったことを

理解するー。


そしてー

目の前にいる俊が起き上がって、

「えっ…!?!?!?」

と、普段は鋭い表情を浮かべている顔に、

困惑の色を浮かべるー。


「ーーわ、、わたしが…!?どうして…!?」

”俊”が叫ぶー。


それを見て、女子大生の身体になってしまった俊は

確信したー


”ま、まさか、この女と俺様が入れ替わっちまったってのかー?”


一瞬、険しい表情を浮かべた女子大生(俊)ー。

しかし、すぐに”いや、待てよー”と、笑みを浮かべたー。


「ーーき、急にあの人がぶつかってきてー」

女子大生(俊)が叫ぶとー

俊(女子大生)は「え…な、、何を言ってるんですか!?」と叫ぶー。


”女子大生になった俊”は、あえて”女子大生のフリ”をしたのだー


自分の身体を触ったり、

目の前にいる”自分自身”を見て、

俊になった女子大生は激しく混乱している様子だー。


そこにー

パトカーのサイレンの音が聞こえてきたー


「ーーー浜崎 俊!」

警察官がパトカーから出てくるー。


「ーーえっ…!?えっ…!?」

俊になってしまった女子大生は、突然のことに混乱するー。


警察官が俊(女子大生)に近付いていくのを見てー

女子大生(俊)は”マジかよー”と心の中で思いながら、

邪悪な笑みを浮かべたー。


そしてー

手を差し伸べてくれたおばあちゃんに、「俺ー、あ、いや、わたし、

大丈夫だから」と、呟くと、

そのまま立ち去ろうとしたー。


だがー


「ーちょっと!手は、大丈夫なのかいー?」

と、おばあさんは心配そうに女子大生になった俊を呼び止めるー。


「ーー!」

ぶつかって転倒したときに、手を擦りむいたのだろうかー。


綺麗な手の平から、そこそこの出血をしているのが見えたー。


「ーーーあ、こんなん、舐めておけば治りますから」

女子大生(俊)はそれだけ言うと、ペロリと手を舐めて

にこっ、と笑って見せてからー

そのまま足早に立ち去っていくー。


「ーちょ、、ちょっと!?待ってください!?

 え、ど、どういうことー!?」


その様子を見ていた俊になってしまった女子大生は叫ぶー。


”自分の身体”になった何かが、そのまま走り去っていこうとしているー


しかもー

何故か、警察官がこっちに向かってきているー


”う、、嘘…!?何なのこれ…!?”

戸惑いながらもー

俊になってしまった女子大生は、”このまま捕まっちゃったら元に戻れない”

ような気がして、そのまま自分の横にあった裏路地に駆け込んでー

そのまま逃走を始めたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーマジかよーーーやべぇじゃねぇかー」

デパートのトイレに駆け込んだ女子大生になった俊は

笑みを浮かべていたー。


”かなり美人じゃねぇか…”


黒いタイツに包まれた足を見つめながら

笑みを浮かべる女子大生(俊)ー


「まさか、こんなことになるとはな…」

女子大生(俊)はそう呟きながら、

鞄を探ると、その中から学生証が出てきたー


「ほぅー」

そこには、この身体の持ち主が

女子大に通っている女子大生であること、

そして、北森 菜月美(きたもり なつみ)という名前で

あることが記されていたー


「ーーへぇ、菜月美ちゃん、ね。ククー」

菜月美(俊)は笑みを浮かべながら、唇に指をあてるー。


「ーー今まで以上に、色々やりやすそうな”身体”だなー

 クククククー」


これだけの美人の身体であればー

色々使い道はあるー

菜月美(俊)は、そう考えながら、悪女のような笑みを浮かべると、

そのまま、綺麗な足を動かして、女子トイレから

立ち去っていくー。


「ーーーー」

可愛らしいスマホを手にすると、「チッ」と舌打ちする菜月美(俊)ー


菜月美のスマホの暗証番号が分からないー。


そう思いながら、学生証で住所を確認すると、

そのまま菜月美の家の方に向かいながらー

その途中で見つけた公衆電話で、空港で待つ仲間・康司に

連絡を入れるー


「ーー俺だ」

菜月美(俊)が低い声で言うとー

”は?誰っすか?”

と康司が返事をするー。


「ーーーまぁ、この声じゃ分かんねぇのも無理はねぇか」

菜月美(俊)は、可愛らしい声のまま、

乱暴な言葉を口にするー


”え、、え~っと…、俺、生き別れの妹もいないし、

 年齢=彼女なしなんですけど…マジで誰っすか?”


と、康司の困り果てた声が電話の向こうから

聞こえてきたー。


「ーーー俺だ。俊だー」

菜月美(俊)が言うと、

康司の笑い声が聞こえてきたー


”はっ!?あはっ!ちょ、、マジっすか!?

 えぇ、冗談きついっすよ。

 で、誰なんすかー”


康司の返事にー

菜月美(俊)は”二人の間で決めている暗号”を

口にしたー。


”マ、、マジっすかー”

康司は、暗号を聞いて信じたのか、困惑の声を出したー


「ーー俺も信じられねぇけどよ、マジなんだー。

 スタイルの良い女子大生の身体で今、お前に電話してるんだぜ」


菜月美(俊)は、足を交差させながらそう呟くと、

”マ…マジかぁ…”と、康司は混乱したような声を出すー。


「ーー中東に飛ぶのは一旦延期だー。

 パスポートがなきゃ飛べないしなー

 一旦お前は引き揚げろー」


菜月美(俊)の言葉に、

”え…でも、JDの身体になったなら、海外に逃亡する必要

 なくないっすか?”と、康司は首を傾げたー。


「ーーいやーー

 入れ替わったってことは、この女は俺の身体になってるってことだー。

 俺みたいなおっさんの身体になった女子大生が

 大人しくしてると思うか?」


菜月美(俊)の言葉に、

”そ、そりゃまぁ、そうっすけど”

と、康司が呟くー。


しかし、康司はすぐに続けて反論したー。


”でも、おっさんの身体になった女子大生が、

 ”わたしは入れ替わっちゃったんです!”なんて言って

 警察が信じるんですかね?”


とー。


「ーーーチッ」

菜月美(俊)は舌打ちをすると、

「テメェ今、俺のことおっさんって言ったな?」

と、女子大生とは思えないぐらいに恐ろしい声で康司を脅したー


”えぇっ!?自分で先に言ったんじゃないっすか!?”

康司の戸惑う声を聞きながら、

菜月美(俊)は少し笑うと、

「とにかく国外逃亡の準備は進めるー。

 この女が俺の身体で騒ぎ出せば、いずれ警察も

 疑いの目を持つぐらいはするかもしれない。

 そうなる前に、早めに準備しておくに越したことはねぇだろ?」

と、続けたー。


”そ、そうっすね…でも、人の身体でー

 女子大生の身体で勝手に国外逃亡するとか、ヤバくないっすか?”


康司の言葉に、

菜月美(俊)は自分の綺麗な髪を片手でいじりながら続けたー


「ー俺は元々、ヤベェ奴だろうがー」

とー。


笑みを浮かべる菜月美(俊)ー


「ーそうだ。お前も今からこの女の家に来いー。

 たっぷり遊ばせてやるぜ?」


菜月美(俊)がそう言うと、

康司は”マジっすか!?いきます!”と大声で叫んで、

そのまま電話を切ったー


「ーーークククー…

 まずはこの女のパスポートを準備するかー」

菜月美(俊)はそう呟くと、学生証に書かれた住所を頼りに、

”菜月美の家”へと向かったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーど、どういうこと…?

 どういうことなのー?」


なんとか警察を振り切った俊(菜月美)は混乱していたー。


どうして、自分がこんな悪そうなおじさんの身体にー。


近くの建物に反射した自分の姿ー

ジャケット姿の、整えられた髭と鋭い目つきの悪そうな

中年のおじさんー

身体は鍛えられているのか、中年太りするようなこともなく、

整った体形だー。


「ーーど、、どうしよう…?

 この人…警察に追われてたから…悪い人ってことだよね…?」


不安そうにそう呟く俊(菜月美)は、

”とにかく今、警察に捕まったらおわり”だと感じて、

そのままさらに遠くに向かって移動を始めたー。


何が起きているのかも、分からないままー



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


国外逃亡を企てる男と女子大生の入れ替わりデス~!

大変な組み合わせですネ…☆!


続きはまた次回のお楽しみデス~!

今日もありがとうございました~!

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