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「ーーークククク…ついに完成したぞー」


”異端児”の異名を持つ詐欺師・鵜川 丈(うがわ じょう)は、

笑みを浮かべるー。


彼が”異端児”と裏社会で呼ばれているのには、理由があったー。


”形式に囚われない”

彼はこれまでいくつもの斬新な手口で、

”金”をだまし取ってきたー。


「ーーー完成したのか?鵜川ー」

スーツ姿の男が背後からやってくるー。


「ーーーえぇ。ご覧くださいー」

鵜川 丈は笑みを浮かべるー。


”人から金をどのようにして、奪うかー”

丈は、それのみをひたすら追求し、

裏社会でのし上がってきたー。


常に、同業者たちの一歩先に進むためには、

”他のやつらが使っている手段”など使っていては、話にならないー


故に、鵜川 丈は語るー


”常に新世界の扉を開かなくてはならない”


とー。


それが、裏社会で暗躍する詐欺師・鵜川 丈の美学であり、

行動指針だったー。


「ーーそれは?」

透明なケースの中に充満いた煙のようなものを見つめながら

スーツ姿の男が言うと、丈は、笑みを浮かべるー。


「ーーーガス、ですよー」

鵜川 丈とスーツ姿の男が二人並んで、

ガスが充満している透明なケースの中を見つめるー。


「ーーおいおい、今度は人の命でも奪うつもりか?」

スーツ姿の男は笑うー。


「ーーいえ、私は命は盗りませんー。

 取るのは”金”だけですー」


鵜川 丈が、手袋をはめた手で眼鏡の位置を直すー。


「ーーーでは、このガスで、どのように金を盗る?」

スーツ姿の男が言うと、


「ーーーこのガスで、男を女にしますー。」


と、鵜川 丈は答えたー。


「ーーー何だって?」

スーツ姿の男が、首をかしげるー。


「ーこのガスを吸った人間は、”女”になりますー。

 いきなり男から女になれば、日常生活で色々不便も

 出てくるでしょうー。


 そんな人間たちに、”コレ”を売るのですー」


そう言うと、丈は、近くにあったケースから

カプセルを取り出すー。


「まぁ、解毒薬とでも言っておきましょうー。

 女体化した男に”元に戻る方法はこれしかない”と告げて

 これを売りつけるのですー。


 もちろん、高値でねー」


丈の言葉に、スーツ姿の男は笑うー。


「ははははは!さすがは”異端児”

 お前の発想には、いつも驚かされるー」


スーツ姿の男はそこまで言うと、

丈のほうを鋭い目つきで見つめたー。


「ーー成功確率はー?」


その言葉に、丈は静かに笑みを浮かべるー。


「ーーもちろんー”100”ですー」

とー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


♪~~~~


数日後ー

一人暮らしの男子大学生・良太(りょうた)が、

部屋でのんびりしていると、

インターホンが鳴ったー。


「ーーお届けものです」

届いたのは宅配便ー。


”何か買ったっけな?”

そんな風に思いながら、良太は届いた荷物を受け取るー


ひとまず、荷物を開封する良太ー。


その時だったー。


「ーーー!?!?!?!?!?」

ダンボールを開けると、その中から出てきたのは

ピンク色の今まで見たこともないようなガスー


「な、、なんだこれ!?」

慌てて口を塞いで、そのまま窓を開けようとするー。


しかしー

それが間に合わずに、身体に今まで感じたことのない違和感を感じるー


”ど、、毒…!?”

良太は焦るー。


胸部のあたりに、内側から何かが突き出してくるような、

異様な感覚を感じるー


「やばい…やばいこれ… うっ…うぐぐぐ…」

苦しそうに胸のあたりを押さえる良太ー。


胸から突き出すような感覚を、

”心臓に何か異常が起きた”と、感じた良太は

恐怖を感じていたー。


しかしー


「ぐぁっ!?」

さらに強い感触ー

胸が突き破られるような感覚と共にー


「えっ…!?」

心臓のあたりを押さえていた良太は、驚きの表情を浮かべるーー


自分の胸が、突然膨らんだのだー。

それと同時に、胸を突き破るような感覚が消えるー


「え…な、、なんだこれ… えっ…!?」

”なんだこれ”と言っている途中から、自分の声が女子のような声に

なっていき、良太は困惑するー


「ちょ!?ちょっと待って!?俺、女に…!?」

自分の身体が女の身体になりつつあることを認識した良太は

さらに慌てた様子で髪を触るー。


すると、短髪だったはずの自分の髪が、今、まさに伸びている

最中だったー。


「ーーお、、おいおいおいおいおい!」

慌ててズボンを脱ぎ捨てる良太ー。


”男である証”を良太は確認しようとしたのだー。


「ーーあ、、あった…よかった!」

良太は思わず、喜びの声を上げたー。


しかしー

その直後ー

突然、ソレが急激に小さくなっていくとー、

股間のあたりに猛烈な違和感を感じー

くすぐったいような、痛いような、もはや言葉では

言い表しがたい感触に苦しんだ末にー


「ーーーー…お、、、お…」

良太は、唖然としながら自分の身体を触るー。


髪ー

胸ー

股間ー

色々な場所を触るー。


「あ…あ、、、あ~~~」

声を何度か出してみるー。

どう考えても、女の子の声だー。


「ーーま、、まじかー…」

良太は、謎のお届けモノから噴き出したガスによって、

あっという間に”女”になってしまったのだー。


唖然としている良太ー。


これこそー

”異端児”の異名を持つ詐欺師・鵜川 丈の狙いー。


女体化ガスを、特殊な容器に入れて発送しー、

それが開封されたら、空気に触れることで容器が破裂ー、

ガスをその部屋にまき散らす仕組みになっているー。


丈は事前に、ターゲットを選定しー

”女体化ガス”を、多数の家に送り付けていたー。


丈がターゲットを選ぶ際に、重要視したのは、3つー。


・一人暮らしであること

・本人、あるいは実家が金持ちであること

・ダンボールを開封させる口実が作れる人間であること


この3つだー。


この条件に当てはまってしまった良太はー

女体化ガスの餌食になり、女になってしまったー。


そして、女体化したことを自覚したであろうタイミングで、

”異端児”の異名を持つ詐欺師・丈は、

ターゲットである良太に連絡を入れたー


”男に戻る方法”を提示した上で、

”金”を要求するのだー


要求する金額は、絶対に支払うことができない金額ではなくー

ターゲットが「ギリギリで払うことができそうな金額」を

要求するー


”期限は1か月”を提示し、

あえてある程度の余裕を持たせることで、

回収率を高めることを狙う丈ー。


”誰かに助けを求めても、無駄ですー。

 余計な行動をすれば、あなたは二度と男に戻ることはできないー。

 そのことをお忘れなきようー。”


丈は、そう告げて、通話を終了したー


「おい!待て!!おい!!!」

女体化してしまった男子大学生の良太は、可愛い声で

何度も何度もそう叫んでからー

女体化した自分の胸に手が触れてしまって、

顔を少しだけ赤らめたー。


・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーどうだ?」

スーツ姿の男が、丈のアジトにやってくるー


「-猪上(いのがみ)さんー。

 首尾は上々ですよ」


丈は、笑みを浮かべながら言うー。


当然ー

発送元や、電話の発信源、万が一女体化した人間が警察に

通報した場合の対策なども万全だー。


「しかし、まさか男を女へと変えて、

 元に戻るために金を要求するとはなー。

 さすがは”異端児”ー

 お前のアイデアには、いつも驚かされるよ」


スーツ姿の男・猪上は、

巨大犯罪組織の幹部を務める男ー。

”異端児”丈は、その犯罪組織に所属しているわけではなかったがー

巨額の報酬と引き換えに、以前からその犯罪組織に

何度か力を貸しているー。


「ーー既に50件ほど、女体化ガスを送り込みましたー

 ”金”の回収も、順調に進むでしょうー」


丈は、満足げに自分のアジトに設置されている

モニターの数々を見つめるー。


「ーーうちの奴らにも、その手口を使わせていいんだな?」

スーツ姿の男・猪上が言うー。


いつもー

猪上は、丈が考えた”斬新な手口”を、丈から”購入”して、

自分が所属する犯罪組織の者たちにも使わせているー。


そのおかげで、組織内でトップの稼ぎ頭となり、

猪上自身もこうして、幹部の座に出世しているのだー。


「ーーえぇ。もちろんです。

 そこのアタッシュケースに女体化ガスの原液と、解毒薬を

 1000人分用意してありますー。」


ずらりと並べられたアタッシュケースを指さす丈ー。


「さすが、仕事が早いな」

そう言うと、スーツ姿の男・猪上は札束の入った

アタッシュケースを机の上に置くー。


その金額は、相当なものだったー。


だがーそれでも、丈の”女体化ガスによる送り付け商法”を

利用することができれば、

丈に支払う報酬分以上、はるかに稼ぐことができるのだー。


「ーーーしかし、斬新な手口を考えて独占すれば

 お前はもっと稼げるはずだが、

 どうして”組織”に、手口を売ったりする?」


スーツ姿の男・猪上は純粋な疑問を口にしたー。


確かに猪上は”多額の報酬”を丈に渡し、

丈が作り出した手法をいつも購入しているー


これまでにも何度も丈のアイデアを購入し、

その都度、多額の利益を上げたー。


しかしー。

丈なら、あえて外部組織に自分の”斬新な手口”を売る、ということを

しなければ、一人でもっと稼げるはずなのだー


「ーー”搾取”し続けるためには、クリエイターにならねばならないー」

丈は笑みを浮かべるー。


「ーー私の師匠である臼井(うすい)という天才詐欺師から

 教わった言葉ですー。

 前にあなたに提供した手口も、今では世の中で注意喚起されているように

 この女体化ガスもそのうち注意喚起が世間で始まるでしょうー


 これは、どんな手法でも同じことです。

 故に私は作らねばならないー。

 常に新しい手口をー。


 新しい手口で稼ぐには”スピード”との勝負ですー。

 ですが私は一人の人間ー。

 作業量にも限界があるー。


 だからこうして、私の”作品”を、外部に売りー、

 少しでも輝かせようとしているのですー」


丈の言葉に、「クククー…やはりお前は”異端児”だな」と

笑みを浮かべースーツ姿の男・猪上はアタッシュケースを

車に回収、そのまま立ち去って行ったー。


丈は、自分自身が考えた新しい手口を”作品”と呼びー

愛しているー

まるで、我が子のようにー。


女体化ガスによる”送り付け女体化商法”も、

そんな丈の、作品の一つー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「うっ…うぉぉおおおおおおお!?」

屈強な男が、丈から送り付けられてきた

ダンボールを開封すると同時にガスに包まれるー


「あ、、ぁ…」

最初に女体化した男子大学生・良太のように、

胸が突き破られるような感じを覚えたあとにー

女体化してしまうー


小柄で華奢で大人しそうな少女に女体化した

屈強な男は、「な、、なんだこれ!?」と

戸惑いながら、自分の腕の力の弱さに驚くー。



やせ細った一人暮らしの男もー

丈の女体化ガスにより、女体化するー。


「ーーーえッ…うぉぉ!?!?あっ!?!?」


女体化した際にー

ぽっちゃりした系の女子に女体化したため、

着ていた服がアニメのように破れて、

身体が露出している状態になってしまうー


「な…なんだこれ…?」

戸惑う女体化したやせ細った男ー。



さらに別の場所では、

女装を楽しんでいた男が、女体化ガスにより女体化ー


「え…マジ!?!?マジか!?」

女装趣味のあった男は、自分が女体化したことに

歓喜の笑みを浮かべるー。


「ーーお、、お、、お、、俺は…

 わ、、、わたしは女よ!♡」


嬉しそうに叫ぶ女装男子ー。


各地で、丈の女体化ガスによる女体化は進んでいたー。



丈は、それぞれに連絡を入れるー

”1か月以内に指定の金額を用意するように”告げー、

それと引き換えに男に戻してやる、とー。


連絡を終えた丈は、椅子に腰かけて笑みを浮かべたー


「ーーーさァ…今回はどのぐらいの利益が出るかな?」


自身が創造した女体化ガス送り付け商法による

利益が出るのを楽しみにしながら、

鵜川 丈は、手袋をはめた手で、自分の眼鏡の位置を指で調節したー。


②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


広がる女体化送り付け商法…

恐ろしいですネ~…!

心あたりのない荷物が届いたら、

ちゃんと注意しましょう~☆


今日もお読みくださりありがとうございました~!

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