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”「ーーこんばんは お届けモノですー」”


女性の配達員がそう呟くー

顔はよく見えなかったが、若そうな女性で

口調から、優しそうなイメージを受けたー


「あ、は~い!お待ちください~!」


治夫の帰りを待つ彼女・松永亜香里は、

そう返事をすると、荷物を受け取るために、

疑いも抱かずに玄関の方に向かうー。


”人を皮にする凶悪犯”の存在は治夫から聞かされているー

自分が狙われている可能性があることもー。


しかし、その一方で、

やってきた人物が女性であったこと、配達員であったことー


そして、何よりも

治夫から”上司が派遣した警護の捜査官がいるから安心だよ”と、

告げられていたことが災いしたー。


目黒警視正が派遣した警護の捜査官・大門らはー

先ほど、目黒警視正の突然の”命令”で、撤収しているー。


目黒警視正はー

このタイミングで、大門らを撤収させればー

黒崎陣矢に、治夫の彼女・亜香里が狙われてしまう可能性は

当然、承知していたー。


なのにー

”あえて”大門らに撤収を命じたー。


「ーーご苦労様です」

そんなこと知らずー、亜香里が玄関の扉を開けるとー

配達員の格好をした女ー西園寺梓ー…


”人を着る凶悪犯”黒崎陣矢に、乗っ取られている梓が

邪悪な笑みを浮かべたー


「ーーー!!」

亜香里が玄関の扉をとっさに閉めようとしたが、

もう手遅れだったー


「くくくくくくく…!」

梓が顔を歪めながら亜香里を部屋の奥に突き飛ばすー。


「ーー今日からお前は、”俺”の芸術品ー

 ”黒崎”亜香里になるんだー」


梓が舌を出しながら笑うー。


「ーーな、、な、、な、、何を言ってるの!?」

亜香里が困惑した表情を浮かべるー


そんな怯えた亜香里を見つめながらー

梓は狂気的な笑みを浮かべるとー

次の瞬間、梓が真っ二つに割れたー


中から出てくる黒崎陣矢ー


人を皮にする注射器を手にー


「ーー最高の”芸術”を咲かせてくれー」

と、笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・


登場人物


長瀬 治夫(ながせ はるお)

若き警察官。”皮”にまつわる事件に巻き込まれていく


松永 亜香里(まつなが あかり)

治夫の彼女。現在同居中。


長瀬 聡美(ながせ さとみ)

治夫の妹。かつて臼井隼人に皮にされた件で、現在入院中。


目黒 圭吾(めぐろ けいご)

警視正。計算高い性格の持ち主で、出世欲も強い。


黒崎 陣矢(くろさき じんや)

指名手配中の凶悪犯罪者。”モルティング”のひとり。


泉谷 聖一(いずみや せいいち)

治夫の中学時代の恩師。モルティングたちに”皮にする力”を与えた黒幕。


大門 久志(だいもん ひさし)

目黒警視正が亜香里を警護するため派遣した捜査官。


・・・・・・・・・・・・・・


★あらすじ★


モルティングの親玉でもあり、恩師でもある

泉谷聖一とついに対峙した長瀬治夫ー。


泉谷から、行動の真意を聞かされるー。


もう、引き返せないー

泉谷聖一は、話を終えると、銃を治夫に向けるのだったー。


一方、不穏な動きを見せる目黒警視正は

今回の件を”全て”闇に葬ろうと暗躍ー、

モルティングの一人、ジェームズ結城を闇に葬り去ると、

治夫の彼女である亜香里が、黒崎陣矢に狙われるのを

防ぐために派遣していた大門ら捜査官に”撤収”を

命じるのだったー


★前回はこちら↓★

<皮>モルティング~人を着る凶悪犯~㉜”役目”

「ーーーーーー」 綺麗な爪をかじりながら、 アパートの明かりのついた一室を見つめる女ー 何度も何度も指を口元にあてては、 その部屋を見つめるー 女が見つめているのはー 治夫の彼女である亜香里が治夫の帰りを待つ部屋ー 「ーーークククククー」 人を着る凶悪犯”モルティング”の一人である黒崎陣矢に着られ、 支配さ...

・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーっ…」

亜香里の家の警護をしていた

目黒警視正配下の捜査官・大門は舌打ちをするー


「ーお前たちは先に戻っていてくれー」

他にも潜んでいた捜査官たちにそう呟くと、

大門は背後を振り返るー。


「ーーーーーー」

舌打ちをする大門ー


目黒警視正の指示は絶対だー。


だがー

今、あの場所を離れれば、治夫の彼女である亜香里が

狙われる可能性は高いー。


「ーーー(注意は促しておくかー)」

目黒警視正の指示は絶対だー。

しかし、亜香里が狙われているのは事実ー。

絶対に家から出ないよう、注意を促しておき、

戸締りについても催促しておこうー。

大門は、そう考えてー

治夫と亜香里が住む

アパートの方に戻り始めるー。


”一言、言っておくぐらいなら、目黒警視正も納得するだろうー”


”自分は、どうして警察官になったのかー”

大門は、そんな問いを自問自答しながら、亜香里のいる

アパートの方に再び戻り始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・


20:00-


夜の埠頭ー

ライトが二人を照らす中、

モルティングの親玉でもある泉谷聖一は笑みを浮かべたー


泉谷の持つ銃は、治夫の方に向けられているー


「ーー”天誅”の仕上げだー」

冷たくそう言い放つ泉谷ー


「ーーせ、先生…」

治夫は悲しそうな表情で泉谷のほうを見つめるー。


そしてー

泉谷は、スマホを手にすると、笑みを浮かべたー


「ーーここには、死んだ臼井が集めた

 警察内部の”悪事”の全貌が保存されているー

 これが”天誅”の仕上げだー」


泉谷は言うー。


「ーー教え子の仇を取りー

 警察内部の闇に関わる西園寺長官らも葬り去ったー。


 あとはーー

 全ての”闇”を暴くのみだー」


泉谷のスマホには”送信”というアイコンが表示されているー


「ーー人が皮にされる瞬間の映像も、全世界に放たれるー」

泉谷が言うー。


どこに送信するつもりなのかは分からないがー

泉谷は警察内部の”人を皮にする力の存在”、

”それを作り出したのは警察であること”

”剛という都合の悪い事実を闇に葬るための存在”

そういったー、あらゆる”闇”を世間に向けて一斉に

発信しようとしていることだけは分かったー


「ーーま、待ってくださいー」

治夫は叫ぶー。


治夫とて、警察内部の”闇”をそのままにするつもりはないー

”罪”は”罪”として受け入れる必要があると思っているー。


しかしー

泉谷のような強引すぎるやり方では、世間は大混乱に陥るー。


”人が皮にされる瞬間の映像”が拡散されー

それを警察が作ったなどと知られればー

世の中は、崩壊するー


目黒警視正のように”全てを闇に葬り去る”つもりはないー

しかし、泉谷聖一のように”闇雲に全てを暴露する”つもりもないー


”両極端”

目黒警視正のやり方では、また闇が生まれるだけだし、

泉谷聖一のやり方では、警察は再起不能になり、秩序が崩壊するー


「ーー待つ?何故だ?」

泉谷はそう呟くと、スマホをポケットの中にしまい、治夫のほうを見つめるー


銃は相変わらず、握られたままー。

治夫も銃は持っているが、それを泉谷に向けて撃とうとすればー

泉谷は迷わず、治夫を撃つだろうー。


それにー

どんな形であれ、相手は治夫が尊敬していた恩師ー

できることなら撃ちたくない、という思いも、治夫の中にあったー。


泉谷聖一を逮捕しー、

罪を償ってもらいたいー。


治夫は、そう願っていたー。


「ーーーーーー長瀬」

泉谷はそう呟くと、銃を一旦下に向けて、再び煙草に火をつけたー。


”今なら撃てるー”

だが、治夫は、撃たなかったー


泉谷は鋭い目つきで治夫のほうを確認すると、

言葉を続けたー


「ーーお前は、”自分の意思”でそこに立っているのかー?」

泉谷は問うー。


治夫は、警察組織の闇を司る西園寺警察庁長官から

”君はマリオネットだ”と、言われたことを思い出すー。


既に西園寺長官は死亡していて、その真意を聞くことはできないー


だが、治夫は目を閉じてから、よく考えー

そして、まっすぐ泉谷のほうを見つめたー。


”自分は誰かに利用されているのかー”

”誰かに、いいように操られているのかー”


いやー

違うー。


目黒警視正が、自分を利用しようとしていることは分かっているー

治夫を利用して”警察内部の闇”も”モルティング”も全てを

闇に葬るつもりだー。

だが、最終的に見つめている”ゴール”は違えど、

モルティングと警察の闇をどうにかしたい、という願いは同じー。


しかしー

決して、操り人形になっているわけではないー。


治夫は今、自らの意思で、ここに立っているー


少なくとも、治夫自身はー

そう、思っているー


”警察の闇”まで、全て”なかったこと”にしようとしている

目黒警視正のやり方には、治夫は賛同できないー。


治夫は、治夫のやり方で、全てに決着をつけるためー

ここに立っているー。


治夫は、もう迷わなかったー


「ーーこれが、俺の選んだ道ですー

 先生ー、あなたの選んだ道もー

 目黒警視正の選んだ道もー

 俺は、間違っていると思っていますー


 だからー

 俺は、俺のやり方でー

 この事件に関わった当事者の一人としてー

 自分の信じた道を、進みますー」


 ”自分の信じた道を進め

 信じた道を進めなくなった時、未来への扉は閉ざされる”


中学時代に”先生”だった泉谷から教わった教えー


治夫は進むー

自分の、信じた道をー

自分の意思でー。

誰に操られているわけでもないー。

己の足でーここにいるー


「ーーーーーー」

泉谷は、治夫の真っすぐな目を見つめるー


前にー

対峙したときよりも、治夫はさらに成長したー。


過酷な事件と向き合い、急速に成長したのだろうー


その目には一点の迷いもなくー

強い決意の色が、浮かび上がっているー


「ーーーー成長したな」

泉谷はそう呟くとー

煙草の煙を大きく吐き出しー

それを手放したー。


銃を治夫から逸らし、

スマホを再び取り出すー。


”泉谷が見せた、隙ー”


だが、治夫は撃たなかったー

いや、撃てなかったー。


「ーーーー長瀬ー…お前は成長したー…


 だがーーー

 まだ、甘いー。


 ”命拾い”したなー」


泉谷が呟くー


「ーーどういう意味です?」

治夫が銃を構えたまま、泉谷に問いかけるー。


「ーー目黒警視正が”もしも”まだ生きていたならー

 お前は、死ぬところだったー」


泉谷の言葉に、治夫は表情を歪めるー


泉谷らは、目黒警視正がまだ生きていることを知らないー

泉谷の命令で、ジェームズ結城が目黒警視正の乗る車を爆破した際に

目黒警視正は”死”を偽装したー

実際には、警視正はその車に乗っていなかったのだー


その後は、治夫や捜査官の大門ら、一部の人間とのみ接触していたため

泉谷らは”目黒警視正が死んでいる”と思っているー


「ーーーやつは、”全て”を闇に葬り去ろうとしていたー

 その意味が、わかるか?」


泉谷が言うー


「ー全てとはーー

 俺らモルティングや、西園寺長官ら警察の闇だけじゃないーー


 長瀬ー

 お前も”含まれて”いるー」


泉谷の言葉に、治夫は凍り付くー。


「ーーー全てが終われば、必ずやつは、

 お前も、お前の周囲の人間も、消すーーー

 ”すべてを闇に葬る”ためにー」


「ーーーーっ」


治夫は、目黒警視正がまだ生きていることを

口走りそうになったー


だがー

それを口にする前に、泉谷は笑ったー


「ーーーー俺は、”わざと”お前に隙を見せたー

 俺を射殺しようと思えば、できたはずだー

 でも、お前はそれをしなかったー」


泉谷はそこまで言うと、”警察の闇”を送信しようとしていたスマホをー

背後の海に向かって投げ捨てたー


音を立ててー

スマホが沈んでいくー。


「ーーー最初から、データを送信するつもりなどないー

 俺の目的はもう達成されたー

 これ以上は、何も、ないー」


泉谷は、治夫を試していたー。

”自分を撃つことができるかどうか”


だがー

治夫は泉谷を撃てなかったー


「ーー長瀬ー

 先生からの、最後の授業だー」


泉谷は優しく、そう微笑んだー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーやめてっ!こないで!」

亜香里が部屋の中を逃げまどうー


「ーーくくくくくく…」

黒崎陣矢が笑みを浮かべながら

台所に置かれていたカレーに視線を向けるー。


「ーーーこれから帰ってくる大好きな彼氏のために

 カレーを作ったのか?」


ニヤニヤしながら言う黒崎ー。

亜香里は涙を流しながら後ずさるー。


「ーーでも残念だったなぁー

 お前は、俺の”お洋服”になるんだー

 俺が生み出すー最高の芸術を表現するためになー」


黒崎陣矢の凶悪な笑みにー

亜香里は悲鳴を軽く漏らすー


床には、先ほどまで黒崎が着ていた西園寺梓の皮が横たわったままー


「ーーーお前のその綺麗な手でー

 長瀬治夫を血に染めるんだー」


黒崎陣矢はそこまで言うと、

逃げようとする亜香里を見て、笑うー


「俺の好きな動画、知ってるか?」

黒崎陣矢が突然呟くー


亜香里は涙を流しながら、身体を震わすことしかできないー


「ーー水槽の中の大きい魚が、小さい魚を丸呑みする動画だよー」

黒崎陣矢は狂気的な笑みを浮かべたー。


自分のスマホを手に、その動画を再生して見せるー。


水槽に1匹だけ大きな魚がいてー

残りの魚たちを順番に、捕食していくー

そんな動画だー。


逃げ場がないのに、逃げまどう小さな魚たちー

どんなに抵抗してもー

逃げることなどできず、最後には、全ての魚が飲み込まれたー


「ーーお前は、この魚だー」

逃げまどう小さな魚を指さす黒崎陣矢ー


「ーー意味もないのに、必死に”光”にしがみつこうとする姿ー

 最高の芸術だーーー

 ゾクゾクするーー!」


黒崎陣矢はー

”常軌を逸して”いるー


亜香里はとっさに机の上に置いてあった自分のスマホを手に取るー


身体を震わせながら

「治夫…治夫…治夫…」と、治夫に助けを求める連絡を入れようとするー


手が震えて、うまく操作ができないー

緊急時はーー

大事な記憶すらも、とっさに思い出すことができないー


慌てて連絡先一覧を開いてー

”長瀬”の文字を見つける亜香里ー


亜香里は、「助けて…」と叫びながらー

連絡を入れたー


しかしー


プスッー


首筋にイヤな感触がしたー


「ーーー優秀な芸術家は模倣し、偉大な芸術家は盗むーーー

 ピカソの言葉だー」


笑う黒崎陣矢ー


亜香里の身体から力が抜けていくー

連絡を入れたところでーー

スマホを力なく落とす亜香里ー


「あ…ぁ…やめ…て…やめ…」

亜香里の目から涙が噴き出すー。


「ーーだから偉大な芸術家である俺は盗むーー

 お前の身体も、何もかも、全てーーー」


黒崎陣矢は、そう呟くと、亜香里の首筋をペロリと舐めたー


亜香里が、床に崩れ落ちるー

黒崎陣矢は静かに笑みを浮かべたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーーーー亜香里さんー?」


病院ー

臼井隼人に皮にされて、救出されて以降、

入院中の治夫の妹・聡美が

スマホを不思議そうに見つめるー。


”亜香里さんー”

スマホにはそう表示されているー


”こんな時間に、どうしたのかな…?”


そんな風に思いながら、電話に出たもののー

亜香里から返事は何もなかったー。


不安に思う聡美ー


黒崎陣矢に襲われた亜香里が、

皮にされる直前にかけた電話はー


”長瀬 聡美”

”長瀬 治夫”の

順番に並んでいた連絡先の

聡美の方にかけてしまっていたー。


もうー

そこまで考える余裕がなかったのだー


「ーーーー…」

聡美は、妙な胸騒ぎを感じながら、病室の外を見つめたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


埠頭付近の倉庫ー


泉谷は海を背に笑うー


「”自分の信じた道を進め

 信じた道を進めなくなった時、未来への扉は閉ざされる”」


泉谷は、”先生”として今一度、そう呟いたー


そしてー


「ーー”決断するべき時は、迷うなー”」

泉谷は、そう呟いたー


「ーーえ…」

治夫が戸惑うー」


「ーー俺がもし、本気で長瀬、お前を殺すつもりだったらー?

 本気で、すべてを世界中に拡散させるつもりだったらー?

 俺が隙を見せた時に撃たなかったお前は死んでいたし、

 警察の闇は全て、世界中に拡散されていたー。


 お前は、優しいー

 だがーー

 忘れるなー。


 決断するべき時に、決断できなければー

 ”破滅”を招くことになるー」


泉谷はそれだけ言うと、静かに微笑んだー


「ーー長瀬ー

 俺が、家族のように思っている教え子のお前をー

 殺せるわけが、ないだろうー?」


昔のような、穏やかな笑みー

泉谷聖一は”教え子”の一人である治夫のことを

撃つことなど、できなかったのだー


最初から殺すことなど、できなかったのだー


「ーー俺は、俺の信じた道を進んだー

 そして、ここが俺の終点だー。


 お前の信じる道は、まだ先へとつながっているー


 進め長瀬ー

 お前が信じた未来をー」


泉谷は、そう呟くと、銃を自分に向けたー


「ーーーー!!!泉谷先生!!!!」

治夫はとっさに叫んだー


昔のようにーーー


「ーーーお前は、先生の誇りだーー」


”目黒警視正は、まだーーーー”

咄嗟にーそう叫んだー


だがー

銃声が、その声をかき消しー

自分を撃った泉谷は、満足そうに、背後の海に転落しー

そのまま姿を消したー


「ーーーー先生!!先生!!!!」


治夫は、恩師でもあった泉谷聖一の死に、

その場で涙を流したー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


♪~~~


インターホンを鳴らすー


目黒警視正配下の捜査官・大門は、

亜香里の家に戻ってきていたー。


実際にモルティングが、この周辺に何度か姿を現したのは事実なのだー


撤収が目黒警視正の指示とは言えー

大門は、”今、この場を離れれば”亜香里が狙われることは

安易に想像できたー


”警視正は何故、あのような指示をー?”


モルティングは既に殲滅されたー、ということだろうかー。

大門ら捜査官には”曖昧な情報”しか目黒警視正から伝えられておらず、

事件の全貌は知らないー


大門は思うー


目黒警視正の指示である以上、これ以上ここに留まることは

できないが、亜香里に警告ぐらいはしておく必要があると思うー。


狙われていることを本人が自覚しているか、していないのか、

事情を知っているのか、知らないのかすら、大門らには

伝えられておらずー

大門は、ここを立ち去る前に、亜香里に”身を守るように”

伝えておこうと考えー、

ここに戻ってきたー。


長瀬治夫が帰宅すれば、この子を守ることができるはずだー。

大門も、目黒警視正に状況を確認し、まだモルティングが

残っているのであれば、なんとか警視正に許可を取り、

改めて、ここに戻ってくるつもりだー


そう考えているうちに、

インターホンを鳴らしても、返事がないことに不安を感じた

大門は部屋をノックするー


「松永亜香里さんはいらっしゃいますか?」


だがー

それでも返事はないー


「ーー」

扉の鍵が開いていることに気づいた大門は、

銃を手にすると、そのまま警戒しながら中に入っていくー。


「ーー松永亜香里さんーいらっしゃいますか?」

部屋の中に入った大門は、警戒しながら奥に進んでいくー


部屋の明かりはついているー


”留守”ではないー


「ーー警察ですー

 あなたと同居している

 長瀬治夫さんから警護をお願いされて、あなたを警護している

 大門久志と申しますー」


大門は片手で警察手帳を示すー


”急に入ってきたから警戒されているのかもしれない”

そう思ったのだー


「松永亜香里さんーーーー」

大門が再び亜香里の名前を呼ぶと、背後から気配を感じて、

大門はとっさに振り返ろうとしたー


その直後ー

大門をナイフが襲うー


切り付けられた大門はとっさに銃を放とうとしたが、

銃を蹴り飛ばされて、

そのまま押し倒されてしまったー


「ーーー!」

大門は襲ってきた相手が松永亜香里であることに気づき、驚くー


「ーーふふふふふふ」

大門を押し倒した亜香里は髪を乱しながら笑みを浮かべたー


「ーー松永亜香里はいらっしゃいませ~ん♡」

亜香里はバカにしたようにして笑みを浮かべるー


「ーーな、、なんだと?」

大門が苦しそうに亜香里のほうを見つめるー


亜香里はクスッと笑うとー

言葉を続けたー


「わたしは、もうー”黒崎”亜香里ーー♡」


とー。


目を見開く大門を、亜香里は容赦なく殴りつけたー



㉞へ続くー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


ついに乗っ取られてしまった彼女…!

第1話から続く黒崎陣矢との因縁の決着も、

ぜひ見届けて下さいネ~!

続きはまた次回デス~!


今日もありがとうございました!

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