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凶悪犯罪組織「デビル・コブラ」。

その捜査のため、警察内に組織された特殊班”オメガ”に所属する

捜査官・正樹は、デビルコブラのボスの妻・繭に変身して、

デビルコブラの実情を探るべく、組織に潜入したー。


しかし、その最中、正体は露呈してしまい、

デビルコブラのボス・九条王牙は、本物の妻との交換を

要求するー。


班長の我妻は、”2人目の偽物”を送り込むも、それも露呈してしまいー

いよいよ打つ手はなくなったー。


本物の繭を九条王牙に引き渡しー

捕らえられた正樹ら三人ー。


「ーー最後の晩餐だー。

 味わいたまえー。」


九条王牙の冷徹な声が、部屋の中に響き渡ったー


★前回はこちら★↓

<他者変身>メタモル・ミッション④~命懸け~

犯罪組織・デビルコブラへの潜入ー。 デビルコブラのボス・九条王牙の妻、繭の姿に変身し、 繭のフリをして組織に潜入した捜査官の正樹は ”毒の牙作戦”という恐ろしい計画を耳にするー。 それでも、デビルコブラの内情を探る正樹ー ”ある決意”を固めた正樹はー 王牙にその正体を見破られてしまうー。 「ーーー残念ーー ...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「これから君たちの身体から、絞りだすことになるー

 真っ赤な血液の色をイメージしたワインだー。

 美しいだろう?」


九条王牙は、椅子に座りながら、

ワイングラスを手に、微笑むー。


我妻班長に差し出したワインの色は”赤”ー


九条王牙は、この場で捜査官を皆殺しにするつもりだったー。


部屋にはー

デビルコブラのボス・九条王牙ー。

その妻である本物の繭ー。

そして、特殊捜査チーム”オメガ”の班長である我妻ー


他に、”繭の姿”に変身して潜入捜査を行っていた

正樹と、後から潜入を試みた捜査官の鷲見が

二人とも、繭の姿のまま、拘束された状態で膝をついているー。


九条王牙らの座るテーブルの横には、男が4人ー

”人質交換の際”に、姿を現した4名が控えているー。

全員、銃を持って武装している状態ー。


我妻班長は、震えながらワインを口にするー。


”最後の晩餐になるのはどちらかー”

”身体からこのワインのような赤い血を噴き出すのはどちらかー”


そう、思いながらー。


部屋に緊張感が走るー

九条王牙は、いつ仕掛けてくるのかー。


こちらはー

”いつ”仕掛けるのかー。


タイミングを間違えれば、

最悪の結果を招くことになりかねないー。


「ーーーーーーー」

オメガの本部で、我妻班長らの無事を願う

”ハニートラップの魔女”の異名を持つ女性捜査官・那奈ー。


それぞれー

緊迫した時間を過ごすー。


「ーーーーそれにしてもー」

”本物”の繭がうんざりした様子で呟くー。

拘束された”偽物”二人ー

正樹と鷲見の方に近付いていくと、

「ーーわたしが全部で三人とか、悪趣味よねー」

と、繭はうんざりした様子で二人を睨みつけるー。


そしてー

本物の繭は、正樹をー

鷲見をビンタし始めたー。


順番に、何度も何度もー


「ーー汚らわしい!汚らわしい!汚らわしい!」

繭が怒り狂って、正樹と鷲見をビンタし続けるー


事情を知らない人間が見れば、繭が繭を殴っているようにしか見えないー


そんな、異様な光景ー。


「ーーーーーー」

ワインを口にしながら、我妻班長は

”二人とも、耐えてくれー”と心の中で思うー。


ワインに入ったワインが残り半分になるー。


我妻班長は、部屋の扉のほうを見つめるー。


扉の前にも部下が数名いたー。

そして、九条王牙が銃を握りしめたまま、ワインを飲んでいるー。


今、行動を起こすのはリスクが高いー


”合図”はまだだー。


「ーーーやめておけ」

九条王牙が、新しいワインを手に、笑みを浮かべるー。


「ーー貴様らは、ボトルの中のワインだー。

 この意味が、分かるかね?」

王牙が笑みを浮かべるー。


「ーー…どういう意味だ?」

我妻班長が手を震わせるー。


”打つ手なし”という演技をしているつもりだったがー

いつの間にか、”毒蛇”に睨まれているかのような

圧倒的な殺意に、我妻班長は気圧されていたー。


「ーーボトルの中のワインはーーー」

王牙は、そう言うと、グラスにワインを注ぎー

グラスを少し揺らして、グラスの中のワインを

波打たせたー。


「ーーどこにも、逃げることはできないー。

 ただー人間に、飲まれるのを、待つのみー」


そう言うと、王牙は笑みを浮かべてから

ワインを飲み干すー。


「ーーー貴様らも、同じだー。

 どこにも逃げることはできないー。

 

 我が妻を侮辱した罪は重いー。

 貴様も、そこの偽物たちも、

 全員ー

 生かしては返さんー」


それだけ言うと、王牙は、片手に銃を持ったまま、

「さぁ、飲みたまえ」と、笑みを浮かべながら

我妻班長の、残った半分のワインを指さしたー。


「ーーーぐあっ!」

繭の姿をした正樹が悲鳴を上げるー。


本物の繭が、繭に変身した正樹の上に馬乗りになって、

ビンタを続けるー


「ーーわたしの夫を騙していたなんてー

 許せないーーーー!」


数日間、潜入捜査で王牙を欺いていた正樹に殺意を向ける繭ー。


”繭が、繭に馬乗りになってビンタをしているー”

そんな、状況ー。


変身を解除するためには、本部にある装置を使わなくてはならずー

今、繭の姿から正樹の姿に戻ることはできないー。


「ーーー繭ー、そのぐらいにしておけ」

王牙が笑みを浮かべるー。


「ーーー…ふん」

繭の姿をした正樹に蹴りを食らわせると、繭は怒りの形相で

王牙の方に向かってきて、

「ーーあなたもー。偽物に数日気づけなかったなんてー。

 あとで、たっぷりお詫びしてもらうわ」

と、呟くー


「ーーククー、まぁ、仕方あるまいー」

王牙はそう言うと、繭にキスをしたー。


キスをしている間も、銃を握りしめている王牙ー


ゴトッー

キスに夢中になっていた繭が、テーブルにぶつかり、

乗っていた高級ワインのボトルが落下しそうになるー。


「ーーおっとーーー」

咄嗟に王牙が、ワインが落ちないようー

それを、手にしたーーー


銃から、一瞬、手を放してーーー


「ーーーー今だ!!!!!!」

我妻班長が叫んだー


「ーーーー!?!?」

王牙が、すぐに銃の方に手を伸ばすー。


我妻班長は、ここに来る前に武器の類は全て取り上げたはずー

拘束している繭に変身した二人ー、正樹と鷲見には何もできないはずー


王牙は、頭を高速回転させながら、そう考えたー。


しかしー

直後ー

複数の銃声が響き渡ったー。


「ーーーーき、、ぎゃぁぁあっ!?」

王牙の横に立っていた妻の繭が銃弾に貫かれて、背後の棚に吹き飛ばされるー


崩れ落ちる繭は、額からも血を流していてー

既に絶命しているー


王牙も激痛を感じて、銃弾が飛んできた方向を見るとー

そこには”護衛につけていた4人の男たち”がいたー。


「ーーーき…貴様ら…!」

”裏切者”と、叫びながら王牙が銃を構えようとするー。


しかしー

4人の構成員が放った銃弾の方が早くー

我妻班長は椅子の方に吹き飛ばされて、

そのまま床に無残に転がりまわったー。


「ーーーがっ」

仰向けになって、血を吐く九条王牙ー


「ーーーど…どういう…」

王牙が言うと、同時に部屋の外にいた構成員たちと、

4人の男の銃撃戦が始まるー


我妻班長は、倒れている王牙を見つめながら呟くー


「ーー最初の”交換”のときー」


我妻班長は言うー


最初に繭に変身して潜入していた正樹は

”あえて”正体がバレるように途中から行動したのだとー。

そうすれば、九条王牙は、必ず”本物の妻”との交換を持ち掛けてくるー。

何故なら九条王牙は、妻の繭を心から愛しているからー。


そして、実際に王牙は、”正樹と繭”の交換を持ち掛けてきたー


デビルコブラが指定した地下駐車場でー

”本物の九条繭”の引き渡しが行われたあの時ー

デビルコブラの構成員4名が、繭の受け取りにやってきたー


その時に、”繭に変身した鷲見”を、受け渡したがー

それは、カモフラージュ。


あの場で我妻班長らは、やってきた四人を即座に射殺しーー

オメガの捜査員4人を、車に積み込んだ変身装置を使い、

殺害した構成員にそれぞれ変身させたー。


”「ーーボス…、奥様をお連れしました」

4人の構成員が頭を下げると、

「ご苦労ー」

と、九条王牙は、繭を出迎えたー”


あの時ー

やってきたのは”偽物の繭”と”偽物の構成員4名”ー


”本物を返す”と言っておいて、あえて”2人目の偽物”を送り込むことで、

九条王牙は”繭”に気を取られて、結果ー

”4人の構成員”が偽物とすり替わっていることに気づけなかったー。


そしてー

本物の繭と、九条王牙を一気に殺害しー

正樹と鷲見を救い出すためー

こうして、我妻班長は命がけでここにきたのだー


そう、王牙に説明したー。


「ーーーく、、、、くくくく」

苦しそうに息をしながら九条王牙は笑うー


「ーー”毒の牙”作戦ー」

王牙は言うー。


繭の姿で潜入した正樹が、王牙から聞いた作戦だー。

”捜査関係者とその家族を皆殺しにする”という、

デビルコブラが考えた恐ろしい計画ー。


だがー

正樹の調査によれば、デビルコブラは

”九条王牙”に依存しており、九条王牙さえ始末してしまえば、

瓦解に向かうはずー

とのことだったー


「ーーハッタリはよせー。

 お前は、ボトルの中のワインに飲み込まれたんだー」


我妻班長がそう呟くと、

九条王牙は、笑みを浮かべたー。


「ーーーお前は、”蛇の牙”を知らーーーー」


それ以上は、言葉にならなかったー。

九条王牙はその場に崩れ落ちー、

部屋の周囲にいた構成員たちも、全て一掃されたー。


繭の姿をした正樹と鷲見を開放した我妻班長はー

「本当にご苦労だったなー」と、笑みを浮かべたー。


「ーーー…全て上手くいく保証なんて、どこにもありませんでしたけどー…

 うまく行って良かったですー」


ボロボロの繭の姿をした正樹はそう呟くと、

倒れた九条王牙のほうを見て、安堵の笑みを浮かべたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


”毒の牙作戦”が本来であれば決行されるはずだった日ー。


オメガの捜査員の面々は、何事もなく

捜査本部で笑顔を浮かべていたー。


「みんな無事で、本当によかったー」

我妻班長が言うー。


デビルコブラの構成員に変身していた4人の捜査官や、

繭の姿に変身していた正樹と鷲見が笑みを浮かべるー。

女性捜査官の那奈も、穏やかな笑みを浮かべながら、

我妻班長の話を聞いているー。


”デビルコブラ”の構成員は、半数を逮捕ー、

残り半数は逃亡したが、時間の問題で逮捕できるはずだー。


正樹が、繭の姿に変身して潜入捜査をしていた際にー

”デビルコブラは九条王牙への依存が高く、

 九条王牙がいなければ、瓦解する”ということを

突き止めたおかげでもあるー。


「ーー奴ら、何をするにも必ず”九条王牙”に確認を

 取っていましたからねー」


正樹が言う。

正樹は昨日、本部に戻ったあとに、装置を使い、

繭の姿から元の姿に戻ったー。


顔には殴られた痛々しい痣が残っているものの、

それでも、デビルコブラに壊滅的打撃を与えたことで、

安堵の表情が浮かんでいたー。


「ーーそれにしてもーー

 他人に変身できるってすごいよなぁ~」

捜査官の鷲見がー”繭の姿”のまま笑うー。


「ー鷲見さんはいつまでその姿でいるんですか?」

正樹が笑うと、

繭の姿をした鷲見はー

「だって、この女、身体だけはイイ女じゃねぇか!

 性格は最悪だったけどさ!」と、繭の声で笑うー


「ははは、ほどほどにしとけよ」

我妻班長はそう言うと、ご機嫌そうに笑うー


「ーーあ、そうそう、これお土産です~!

 ま~た妹が色々買ってきてわたし、食べきれないので!」

”ハニートラップの魔女”の異名を持つ女性捜査官・那奈が

いつものようにおみやげを配り始めるー。


「お~!うまそうな大福だな~!」

鷲見が、繭の姿のまま笑うー


「ーいつも、那奈ちゃんのお土産楽しみにしてるんだよ!

 ありがとな!」

繭の姿をした鷲見が”完全に男口調”で喋っているのを見て

我妻班長や他の捜査員も苦笑いしながら、

那奈のお土産を受け取ったー。


那奈が妹がよく買いすぎちゃって…と、定期的に捜査本部内で配る

おみやげは、”ナナみやげ”として、特殊捜査班・オメガの中では

捜査員たちの癒しとなっているー。


「ーーまぁ、明日からは残党の処理も行わないとなー。

 ようやく”蛇”との戦いは終わりだー」

我妻班長が言うー。


「ーーってか、

 那奈ちゃんの妹さん、お土産買いすぎだろ~!」

鷲見が繭の姿で笑いながら言うー。


「ーほんと、困っちゃうんですよ~!

 だから、ほら、あ、皆さん、ご家族の分もどうぞ!」


捜査本部の中には、安堵の笑みが広がっていたー


・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー


”異常事態”が起きたー


捜査本部にやってきた正樹ー。

だが、捜査員は誰も出勤していないー。


「ーーーー??」

我妻班長や、鷲見、那奈に連絡を入れる正樹ー


だが、誰も返事がないー


”毒の牙作戦は 明後日 決行だー”

九条王牙がそう言っていたのを思い出すー


「ーーまさかーーー」

正樹は表情を歪めるー。


慌てて捜査本部の外に走り出した正樹ー


だが、もう遅いー

我妻班長も、鷲見も、他の捜査員もー

家族もー

既に、この世にいないー


毒の牙作戦は結構されたのだー


”特殊な時限式の毒”を込めたー

”お土産”によってー

既に、捜査本部の人間には”毒”が植え付けられていたー


いつでも”殺せる”ようにー。


そしてー

昨日、”毒”を開放したー。


ハニートラップの魔女の異名を持つ那奈が

お土産を配り続けていたのは、そのためー。

一度でもお土産を口にした人間は、”那奈がその気になれば”

いつでも、始末できるー。


”ご家族の分もどうぞ”

那奈はいつもそう言っていたー。


捜査員の家族たちも、一度は那奈のお土産を口にしたことが

ある人間ばかりでーー

全員、死亡したーー


「ーーーなんで…!」

正樹は走るー


正樹は”人から貰ったもの”を小さいころから

食べられないタイプの人間でー

申し訳ないと思いつつ、那奈のお土産を今まで一度も

口にしたことがなかったー


だからーーー

無事だったー


正樹は走るー


”毒の牙作戦”が決行されたー

九条王牙は死んだはずなのにー



”毒蛇の牙は2本ー”


「ーーーー”九条王牙”は、ひとりじゃないのー」


まるで悪の女王のような笑みを浮かべながら、

デビルコブラの別の本部で、ワインを口にする那奈ー


那奈の正体はー

”九条王牙”


九条王牙とは、コードネームであり、本名ではないー


デビルコブラはいざという時のために

”九条王牙”をふたり、常に用意しておりー

一人が死んでも、指揮系統が乱れないように、調整しているー

二人同時に殺されることは、まずありえないことだからだー。


そうして、組織を維持しているー


「ーーーあなたたちの、負けよー」

那奈=”九条王牙”のコードネームを持つもう一人の悪魔は、

ワイングラスを床に叩きつけて、それを踏みにじるー


昔から警察に潜入を続けている

もう一人の九条王牙ことー、

ハニートラップの魔女・那奈は

”あのワインバカ、死んじゃったから、別の九条王牙を用意しないとねー”と

微笑むー


もっと早く、時限式の毒を起動して始末することも

できたのだがー

那奈は”ゾクゾクするような命の奪い合い”が大好きだったー。


だから、放っておいたー。

結果、ワインバカの九条王牙は死んだが、そんなことはどうでもいいー。


「ーーーデビル・コブラは”牙”が1本でも残っていれば、死なないー」


那奈は、

静かに笑みを浮かべたー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


メタモル・ミッションの最終回でした~!


ミッションに失敗……☆

でも、捜査員の正樹が残っているので、

もしかしたら逆転もあるかもですネ~!


お読みくださりありがとうございました!


※毒蛇の毒牙は左右に1~2本ずつあると言われているようデス!

 2本じゃない毒蛇もいるようですが、あまり深くは気にしないでください~!

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