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妹・史香とパワハラ上司の根本が入れ替わってしまったー。


妹の身体になった根本部長との共同生活に困惑しながらも

基之は、なんとかそれを乗り越えていくー。


”根本部長がパワハラに走る理由”も聞かされたー


気持は分からないでもないけれど、やはり、基之からすれば

単なる”八つ当たり”であり、そう簡単に気持ちの整理は

つかないのだったー。


そんな中、会社に出勤する基之ー。

基之と根本部長(史香)を見つめる不気味な視線に

二人はまだ、気づいていなかったー。


☆前回はこちら★↓

<入れ替わり>俺の妹がパワハラ上司に!?④~理由~

男性会社員・基之の上司はパワハラ上司だったー。 ある日、実家暮らしで現在大学に通う妹・史香が 遊びに来ることになった基之は、史香の到着を待っていたものの、 あろうことか、家に向かう途中で、階段から転落し、 史香とパワハラ上司の根本が入れ替わってしまったー…! 史香になった根本部長と共同生活をする羽目に...

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


昼休みー


昼休みには誰も使うことのない会議室で、

根本部長の身体になった史香と、基之は話をしていたー。


「ーそれにしても、部長さんって本当に嫌われてるんだねー…

 だって、わたし、ほとんど何もしてないけど

 仕事は普通に進んでるしー…」

部長(史香)が困り果てた様子で言うとー


「ーーまぁ…だからゴリスメント部長なんだよ」

と、基之は呟くー


「まぁ…あの人にも色々あるみたいなんだけどな…

 それでもー…

 ”パワハラされてる側”からすれば、俺も含めて

 いい気分にはなれないよ」


基之はそこまで言うと、

「っていうか、史香、部長の身体でちゃんと生活できてるのか?」

と心配そうに尋ねるー。


「あ、うん。一人暮らしだから、問題ないよー…

 ちょっと寂しいっていうのはあるけどー

 でも、スマホで友達とLINEとかはできるしー」


と、部長(史香)は言うー


「あと、ほら!こんな機会滅多にない機会だから!

 男の人としてトイレしたり、お風呂に入ったり!

 あと、力も私より全然あって、モノが簡単に持てたりして!

 結構これでも楽しいかも!」


部長(史香)の様子にー

戸惑いながらも、今の状況を前向きに楽しんでいるー、という

雰囲気が伝わってきた基之は少し安堵するー


「ーでもまぁ…なんとか元に戻る方法を見つけないとなー。

 いつまでもこれじゃまずいし、

 俺だって”妹がパワハラ上司”とか、イヤだしー」


その言葉に、部長(史香)も

「うん!わたしもそろそろ女子大生に戻りたくなってきたところ!」と、

笑いながら微笑んだー。


「ーーーーーーーー」

二人は会議室の扉が少しだけ開いていてー

”何者”かが、中の様子を見つめていることに

気づいていなかったー


”妹がパワハラ上司ー!?”


「ーーそうか…なるほどなー」

会議室を覗いていた人物は、そう呟くと、そのまま静かに

立ち去って行ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーー部長さんinわたしとの生活はどう?」


仕事を終えて、会社から離れた場所で

部長(史香)が呟くー。


「ーーなんだそのチーズinハンバーグみたいな言い方は…」

基之はそう呟きながらも、

「まぁ…でも、一緒に生活してみると、会社でいっしょにいるよりは

 全然、マシな感じかなー。

 部長のパワハラの理由とかも聞けたしさ」

と、少しだけ自虐的に笑うー。


「そっかー。

 なんだかんだでうまく生活できてるんだね」

部長(史香)はそう言うと、

「ーーは~~…本当だったら、わたしがお兄ちゃんを

 独り占めするはずだったのに~」と、呟くー


「ーーー!」

部長(史香)が周囲を見渡すー。


部長になった史香が、女言葉で基之と話を続けていたため、

周囲から変な目線で見られていたー


「あはは…じゃ、そろそろわたしは行くね!」

部長(史香)の言葉に、基之は

「すぐに元に戻してやれなくてごめんな」と、呟くー


部長(史香)は「いいのいいの!」と、そのまま

笑顔で立ち去って行ったー。


「ーーーーー」

基之は”早く、元に戻してあげないと”と、意を決して

歩き出すー。


帰宅した基之ー


史香(部長)が「お疲れさん」と、呟くー。


部屋であぐらをかきながら

洋画を見ている史香(部長)ー


「ーな、なんだか、史香がおっさんになった気分ですよ」

基之が苦笑いしながら言うとー

「ーーー俺をおっさん扱いしてるのか?」と

不愉快そうに史香(部長)は呟いたー。


「ーーいや、違いますけど、

 俺の気持ちにもなってみてくださいよ。

 妹が、そんな恰好で洋画を見てたらー…」


「ーーー……」

近くの鏡にふと、胡坐をかいた史香(部長)の姿が映るー


「ま、、まぁ…確かにそうかもなー」

史香(部長)がそう言うと、

「あ、いや、別に俺しかいない場所ではいいんですけどね」と、

基之が呟いたー。


そんな時だったー。

根本部長のスマホにメッセージが届くー


そこにはーーー


”身体が入れ替わったことを会社にバラされたくなければー

 すぐに指定する場所に来い”


と、書かれていたー


「ーーーー!!!」


そんなメッセージが届いたとは知らず、基之は

トイレに向かうー。


そしてー

基之がトイレから戻ってきたときにはー

史香(根本部長)の姿が消えていたー


「ーーえ…?ちょっ!」

基之は、史香(部長)が外に出て行ったことに気づき、

慌ててそのあとを追ったー。


「どこだー…?どこにいったんだー?」

そんな風に思いながら、日が暮れた街を走る基之ー。


「ーーー!」

近くの林の方に走っていく人影が見えたー。


それが、史香(部長)とは限らないがー

なんとなく胸騒ぎを感じて、そのあとを追う基之ー


夜の林の中を少し走ったその先ではーー

覆面を被った男が、史香(部長)を襲おうとしていたー。


「ーー大人しくしてりゃ、つけあがりやがってー!」

覆面の男が叫ぶー


「ーーひっ!?」

史香(部長)が落ち葉の上に尻餅をついたまま、

悲鳴を上げるー。


「ーーやめろーーーーーーーーーー!!!!」

史香を守りたかったのかー

部長を守りたかったのかー

いや、両方かー。

基之には分からなかったが、とにかくその覆面の男に突っ込んだー。


覆面の男が持っていたロープと一緒に吹き飛ぶー。


「ーーー!!!!!」

覆面が吹っ飛んだ男の姿を見て、基之は表情を歪めー

そして、叫んだー


「ーー烏丸先輩…!」


「ーーチッ…邪魔をするな!葉山!」

会社の先輩ー…

基之が根本部長からのパワハラを受けていることを知りー、

何かと心配してくれていた烏丸先輩ー。


「葉山は、そうならないでほしいけど…

 あまり無理はするなよ」


そんなことも言っていた烏丸先輩が、何故ー。


突き飛ばされて、地面に座り込んだ烏丸先輩は

首を振るー。


「ーー全部…全部そいつのせいなんだー」

烏丸先輩が悔しそうに史香(部長)のほうを指差すー


「ーーお、、俺の妹に何があるって言うんですかー?」

基之が叫ぶー。


烏丸先輩は”入れ替わり”のことを知らないと思ったからだー。


だがー

烏丸先輩は続けたー


「ーー違う…!根本部長のことだー!」

とー。


「ーーー!」

基之も、史香(部長)も表情を歪めるー


観念したのか、烏丸先輩は全てを白状したー。


”入れ替わり”を仕組んだのは自分であるとー。


海外から輸入した”入れ替わり薬”を、退勤直前の

根本部長の飲み物に混ぜて、それを飲ませたー。

その入れ替わり薬は、”触れた相手と身体を入れ替える”薬ー。

根本部長と史香が入れ替わったのは、

階段から転落したからではなくー、

入れ替わり薬を盛られた根本部長が”最初に触れた”のが

史香だったため、入れ替わったのだったー。


「ーーー根本部長に消えてほしかったー…

 あんたみたいなパワハラ野郎、会社からいなくなればいいと思ったー!」


烏丸先輩はそう叫ぶー。

”誰か”と入れ替われば根本部長は会社に来れなくなるはずだー。

そう考えて入れ替わり薬を盛ったー。


だが、入れ替わっているはずなのに、根本部長は会社に来続けたー。


その結果ー

烏丸先輩は自棄になって、直接、史香になった根本部長の

命を狙ったのだったー


「入れ替わる相手は…誰でも良かったー

 なのにまさか、葉山の妹さんと入れ替わっちまうなんてー

 くそっ…」


烏丸先輩もまたー

基之と同じくー、

根本部長のパワハラに苦しみ続けていた男だったのだー。


それも、基之よりも、はるかに、長くー。


烏丸先輩は、そのまま自ら警察を呼び、逮捕されたー。

表向きは”女子大生である史香を襲った”ということでー。


「ーーーー」

烏丸先輩を乗せたパトカーを見つめながら、基之は思うー。


烏丸先輩は、30代前半ー

ずっとパワハラを受けてきたのだとしたらー。


もしも、基之が烏丸先輩の立場で、同じようにずっと

パワハラを受けてきてー

”入れ替わり薬”を見つけたとしたらー


もしかしたらー

自分も烏丸先輩のようになっていたかもしれないー


そんな風に基之は思いながらー

逮捕される直前に、烏丸先輩から手渡された、

入れ替わりの薬を握りしめたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


根本部長の身体になった史香を呼んだ基之ー


基之の家に、

基之、史香(部長)、部長(史香)の三人が集まったー


「そうだったんだー」

部長(史香)が事の真相を聞き、そう呟くー


「ー全部、俺のせいだー。すまなかったー」

史香(部長)はそう呟き、頭を下げると、

「ーちょ、ちょっと!謝るのは元に戻ってからにしてくださいよ~!」

と、部長(史香)が笑うー。


「それじゃ、わたしが謝ってるみたいですよ!」

とー。


「ーそれもそうだな…」

史香(部長)はそう言うと、

烏丸先輩から手渡された入れ替わり薬を見つめるー。


これを飲んで、再び史香と接触すれば、元に戻ることができるー。


「ー葉山ーー…

 俺は間違っていたー。

 過去に”部下”から妻を奪われたーって言っても、

 お前や、烏丸…、他のやつらには、関係ないことだもんなー。


 それを俺は、勝手に”部下”たちに”俺の妻を奪った部下”を

 重ねてー

 八つ当たりしていたー…


 烏丸があんなことをしたのも、

 お前が苦しんだのもー

 入れ替わりに妹さんを巻き込んだのもー

 全部、俺のせいだー。


 すまなかったー」


史香の姿のまま再度謝る部長ー

部長(史香)は「も~!わたしの身体でまた謝って~…」と

呟きながらもー

心の中で静かに微笑んだー


”お兄ちゃんの家に、わたしになった部長さんを行かせたのはー…

 一緒に生活してみれば

 お兄ちゃんも、部長さんも少しは分かり合えるかな~…って

 思ったけどー…

 ちゃんとわかり合えたみたい”


部長(史香)は、そんな風に思いながら

満足そうに二人を見つめるー


”お兄ちゃんと一緒にいれば、

 会社では分からないお兄ちゃんの姿が部長さんにも伝わるだろうしー

 そうすればきっと、パワハラ部長さんも、考えを変えてくれると

 思ったからー


 それに、お兄ちゃんも部長さんのこと、色々知るきっかけにも

 なっただろうしー”


部長(史香)がそう思っていると、

「ーーすまなかったな。さぁ元に戻ろうー」と、

史香(部長)が入れ替わりの薬を差し出したー。


「ーーえ…わたしが飲むんですか?」

部長(史香)が言うと、

史香(部長)は

「得体の知れない薬だし、君に何かあったらまずいだろう。

 飲むのは”俺の身体”だー」

と、史香に対する気遣いを口にしたー


「ーー…すみません。ありがとうございます」

部長(史香)は頭を下げると、そのまま「まずそ~…」と

呟きながら入れ替わり薬を口にしたー。


そして、二人は”接触”して、元の身体に戻ったのだったー


「ーーやった~!かわいいわたしがふっか~つ!」

一人でハイテンションになっている史香を苦笑いしながら

見つめる二人ー。


「ーー葉山ー。

 俺は、異動願いを出そうと思うー」


根本部長が言うー。


「ーえ?」

基之が言うと、部長は続けたー


「ーー俺はさ、あんなこと言ったけどー

 やっぱり、部下を見れば俺の妻を奪った部下のことを

 思い出して不機嫌になるだろうし、

 いつかまたパワハラもしてしまうかもしれないー


 いけないことだと分かってても

 今は心から謝罪していてもー

 今と同じ場所にいれば、また、同じことを繰り返すかもしれないー


 それに葉山ー

 お前だって”俺が過去に妻を部下に奪われているから”って

 言われても、”はいそうですか”とはならないだろ?」


部長の言葉に、

基之は少し考えてからー


「ーーはい」

と素直に答えたー。


「ーー正直、部長を見ると腹立つこともありますし、

 これから先も、部長にどこか怯えながらー…

 っていう感情になってしまうのは…否めません」


基之の言葉に、部長は「だよな」と呟くー。


人間は、そう簡単に人を赦せるものではないしー

気持の整理をつけられるほど器用な生き物でもないー。


根本部長は、そう思いながら


「ーーちょうど会社で、海外の関連会社に出向する人間を

 募集していたからさー

 俺はそれに応募しようと思うー。


 部下も何もいない、1からの再出発だー。

 俺みたいな人間には、それがちょうどいいと思ってなー。


 どうせ一人暮らしだー。

 どこにいようと、うまくやっていけるさ」


と、基之に言い放ったー


多くの人間をパワハラで傷つけた根本部長は

後日、基之に約束した通り「異動願い」を出して、

海外の関連会社に出向していったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーじゃ、またー」


それから1週間ー

妹の史香はまた、実家の方に戻る日になったー。


大学が中間地点ぐらいにあるため、

実家と兄の家を史香は行き来しているのだー


「ごめんな。色々巻き込んでー」

基之が言うと、史香は


「ううん!楽しい経験ができたしー

 ほら、男の人の立場と女の立場、両方経験できる

 人間なんて、めったにいないでしょ!

 だから、ほら、わたしレアなの!」


と、笑いながら答えたー


「ははは…レアな妹を持ててうれしいよ」

基之が言うと、史香は「でしょ!」と、笑うと、

「ーまた来るからね!ばいばい!」と、

手を振りながら立ち去っていくー


史香の後ろ姿を見つめる基之は

安堵の溜息をつきながら、

静かに自分の部屋の中へと戻って行ったー。



翌日ーーー


「ーーちょっとぉ~~!ホコリついてるんだけどぉ~~~?」

化粧の濃いキツそうな女が部署に入ってくるー


「ーー…?」

基之が見慣れない女性を目にして首をかしげていると、

その女は、根本部長が座っていた座席のところにやってきて

”根本”と書かれたプレートをゴミ箱に捨てると自己紹介を始めたー


「ーー根本部長の後任の、名坂(なさか)よ。

 よろしく」


新たにやってきた女部長の名坂が自己紹介をするとー

すぐに、ガミガミと他の社員たちに何かを言いはじめー

仕事を押し付け始めたー


”おいおい…またパワハラ上司かよー”


パワハラ上司との戦い”第2章”が幕を開けー

基之は、とほほ…な気分になりながら、頭を抱えるのだったー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


パワハラ上司と妹の入れ替わりモノでした~!


彼の苦難の日々は、まだまだ続きそうですネ…★


お読みくださりありがとうございました!

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