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この世界では、突如として次元を引き裂いて出現した

魔物の軍勢と戦いが続いていたー


自らを”次元王”と名乗るバルス率いる軍勢は、

平和だったはずの王国を猛烈な勢いで侵略していたー


王国に所属する騎士団も立派に戦ったー


だがー

王国騎士団の精鋭部隊は、たった一夜にして

次元王バルスが自ら率いる軍勢に、壊滅させられてしまったのだー。


王国の民衆たちはー

いや、王国の生き残った騎士団も、王宮の臣下たちも

誰もが”絶望”の二文字を頭の中に浮かべたー。


このまま人間は”滅びの時”を待つしかないのではないかー、と。


しかしー

そこに”希望”が現れたー


その希望とは、王国の姫自身ー

王女・メリッサー。


メリッサは、王家代々伝わる”光の継承者”であり、

その力は、次元を引き裂いて出現した次元王バルス率いる

魔物を圧倒したー。


メリッサ姫は、自ら立ち上がりー、

王国騎士団所属の幼馴染・マックスー

素性不明の仮面の傭兵・カイー、

そして、メリッサ姫の護衛であり、親友でもある女騎士・サーシャの

三人と共に、次元王バルスを倒すべく、旅立ったのだったー。


次元王バルスとの戦いは険しい道のりだったー。


仲間以外には”姫”という身分を隠し、

一人の女魔導士として、各地の街を渡り歩いたー。


往く先々の街で、問題を解決して、感謝されたりー

険しい森を超えたりー

砂漠を超えたりー


その冒険の最中に、次元王バルスを倒すためには、

”5つのエネルギーストーン”を集める必要があることを知り、

各地のダンジョンに挑んだりもしたー。


”流水の監獄”

”雷の地底湖”

”深緑の洞窟”

”樹氷の谷”


どこも、非常に過酷な戦いだったー。


だがー

メリッサ姫らは、その全てを乗り越えー、

いよいよ、残る一つのエネルギーストーンのありかを

突き止めたのだったー。


「ーーっかし、本当に長い闘いだったなー」


夜ー

野宿をしながら、幼馴染であり、騎士のマックスが言うー。


仮面の傭兵・カイは、無言で周囲を警戒しているー。


「ーーえぇ…でも、もう少しで、戦いは終わるー。

 この王国を守るためー

 あと少しだけ、みんなの力を貸してー」


メリッサ姫が言うと、


「ーーそんなこと、言われなくても、

 わたしたちは姫様のおそばにいますよ」


と、親友でもあり、護衛のサーシャが微笑んだー。


「みんな、ありがとうー

 みんながいてくれたからこそー

 わたしはここまで戦ってくることができたー」


最後のエネルギーストーンを回収しー

次元王バルスが待ち構える本拠地”次元城”へと乗り込むー。


「ーーーみんな、必ず生き延びるわよ!」

メリッサ姫の言葉に、

幼馴染のマックス、仮面の傭兵カイ、そして親友のサーシャは

それぞれ決意のまなざしで頷いたー。


翌日ー

最後のエネルギーストーンが封印されている

”亡者の廃墟”に立ち寄った四人は、

複雑な仕掛けを解き明かしー

その奥底に待ち構えていた”幻影亡者ファントラー”を倒しー、

最後のエネルギーストーンを手に入れたのだったー


「ーーやったーー…」

メリッサ姫が嬉しそうに微笑むー。


「やりましたね!姫様!」

親友でもあり、護衛でもあるサーシャが微笑むー。


「ーーやったな!」

幼馴染のマックスは、喜びながらメリッサ姫の肩を叩くー。


「ーーこら!あんた!もうメリッサは”姫様”なんだからね!」

サーシャの言葉に、マックスは「わりぃ」と、苦笑いするー


マックスとサーシャは、メリッサが”王女”として、

王国を背負う立場になる前から、

それぞれメリッサのことを知っているー。


そのためー

マックスは今まで通りため口で話すことが多いー。


サーシャは自らの立場を自覚し、

”姫様”と”護衛の女剣士”として接しているものの、

心の奥底ではー昔のままー。


「ーーーーそろそろ行くぞ」

仮面の傭兵・カイが、不愛想に言うと、

メリッサ姫は「そうねー」と、微笑んだー。


5つのエネルギーストーンを集めた今ー、

これを封印の神殿に捧げればー

強大な力を手に入れることができるー。


その力があれば、次元王バルス率いる軍勢を

壊滅させることができるー。


”ちっぽけな虫けら共めー”

以前、次元王バルスと対峙した際に、そう言われたことがあるー。


「人間の底力、見せてあげましょうー」

メリッサ姫の言葉に、他の三人は頷いたー。


そしてー

亡者の廃墟の外に出る4人ー


その時だったー


亡者の廃墟から出たその先の草原にーーー


”次元王バルス”が立っていたのだー


「ーーエネルギーストーンの回収、ご苦労だったなー」

次元王バルスが拍手をしながら笑うー。


「ーーー…次元王バルス!」

騎士マックスが叫ぶー。


メリッサ姫は表情を歪めるー。

5つのダンジョンを攻略している最中ー

次元王バルスの軍勢は、確かに攻撃してきていたが、

それほど激しい攻撃ではなかったー。


”エネルギーストーンを先に5つ集められてしまう”ということは

次元王バルスにとって敗北を意味するはずー。

普通であれば死に物狂いで守るーー

はずなのだが、次元王バルスは”静観”していたー。


「ーーなるほど…エネルギーストーンをわたしたちに

 集めさせて、一気に奪い取ろうってことねー?」

メリッサ姫が言うと、

次元王バルスは笑みを浮かべたー。


「ーーでもねー

 わたしたちも、簡単に奪われたりはしないわー!」


メリッサが、光の力を開放するー。

次元王バルスが、メリッサたちに簡単に手出しを

できないのは、”王家に代々伝わるこの力”が

あるからだったー。


メリッサたちも、次元王バルスを倒すことはできないがー

次元王バルスも、メリッサたちを簡単に倒すことはできないー


そういう、一進一退の状況だったのだー


しかしー

「ーーーエネルギーストーンは、我々だけでは

 集めることは不可能だったー

 貴様らが攻略したダンジョンのいくつかには

 ”結界”が貼られていたー。

 故に、我々では、回収したくても回収することはできなかったー」


エネルギーストーンは王国の先祖たちが残した

”究極の石”ー

魔物の手に渡り、悪用されないよう、それぞれのダンジョンには

結界が貼られていたのだー


そのためー

次元王バルスは、その力に目をつけながらも、

回収することができずにいたー。


「ーーだが、貴様らのおかげで、全てが揃ったー」

次元王バルスが笑みを浮かべるー。


「ーーエネルギーストーンは、あなたたちには渡さない!」

メリッサ姫が叫ぶー


「マックス、カイ、サーシャ!みんな!いくわよ!」

メリッサ姫が仲間に呼びかけるとー

三人の仲間は頷いたー。


次元王バルスと、メリッサ姫たちの戦闘が始まーーーーー


…る、ことはなかったー。


「ーー奪うつもりはないー。

 お前が我に”渡す”のだー」


次元王バルスの目がーー

赤く光ったー


メリッサ姫はー

その光を見たとたんーー

頭の中が、ゾワゾワとしてーーー

何も考えられなくなってしまうー


「ーーーさぁ…姫よ。

 エネルギーストーンを我の手にー」

次元王バルスが言うー。


マックス、カイ、サーシャの三人が、

「!?」と、メリッサ姫のほうを見るとー


「ーーーはい…」

メリッサ姫は虚ろな目になってー

そのまま、次元王バルスの方に向かって歩き出したのだー


「ーーククク

 人間とは、つくづく愚かよなー。

 上位の生命体である我が、人間を意のままに操ることなどー

 造作もないことー」


次元王バルスが笑うー


「ーーなっ!?まさか…!め、、メリッサ!」

騎士マックスが叫ぶー


だがー

メリッサ姫は、完全に洗脳されて、

ゆっくりと次元王バルスの方に向かっていくー


「ーーそ…そんな…!姫様!」

サーシャも叫ぶー。


だが、メリッサ姫に仲間の言葉は届かないー。


「ーーーククククククー

 王国を守ろうとここまで必死に戦ってきた

 お姫様が…滑稽よな」


次元王バルスの近くにやってきたメリッサは、

そのまま、バルスの前に膝を折って、

エネルギーストーンを差し出そうとするー


「ーーご主人様…こちらをお受け取り下さいー」

メリッサ姫がそう呟くー


「ククククー

 お前たちを滅ぼすことはたやすいー

 だが、滅ぼす前に、貴様らの先祖が残したこの力は

 手に入れておきたかったー。

 本当に、ご苦労だったなー」


次元王バルスは笑うー。

メリッサたち4人を”あえて”泳がせたのはこのためだとー。

先に人間を滅ぼしてしまえば、各ダンジョンの結界に阻まれー

次元王バルスたちでは、エネルギーストーンの回収が

永遠にできなくなってしまうー。


だからー

メリッサたちに”回収”させたー。


「ーーメリッサ!やめろおおおおおおお!」

幼馴染の騎士・マックスがメリッサ姫の方に向かっていくー。

次元王バルスの前に膝を折り、次元王バルスに今ー

5つのエネルギーストーンを献上しようとしているー。


「ーークククー

 無駄だー」


エネルギーストーンが、次元王バルスの手に渡るー。


「ーーさせるか!」

マックスが、次元王バルスに斬りかかろうとするー。


しかしー

メリッサ姫がその前に立ちはだかるー


「ーご主人様に手出しする愚か者はー

 わたしが許さないー」


敵意をむき出しにメリッサが、マックスを睨みつけるー


仮面の傭兵・カイと、

メリッサの護衛であり親友であるサーシャが表情を歪めるー。


「ーーめ、、メリッサ…目を覚ませ!俺だ!」

マックスが叫ぶー


それでもー

その声はメリッサ姫には届かなかったー。


「ーー貴様らは、自分たちを”物語の主人公”とでも

 思っていたのかね?」


次元王バルスがあざ笑うようにして笑うー。


「ー我の操り人形となったこの愚かな姫は

 さしずめ主人公と言ったところかー。


 だがなー

 現実に”主人公補正”など存在しないのだー」


次元王バルスはそう言うと、

「ーー見よ」と、笑うー。


メリッサ姫が、クネクネと奇妙な踊りを踊り始めるー


姫としての威厳も尊厳も踏みにじられてー

奇妙な踊りを、涎を垂らしながら踊る姫ー


「やめろ…!やめろ!」

マックスが叫ぶー


「クククー

 踊れ踊れ踊れ踊れ踊れ踊れ踊れ!」


次元王バルスが笑うー


メリッサ姫はー

狂ったように身体を動かしー

踊っているー。


「ーーどうだ?これが貴様らが慕っていた姫の姿だー」


無様な姿を晒すメリッサ姫ー


マックスは怒り狂って次元王バルスに襲い掛かるー。


「ーーーお前たちの”役目”は終わったー

 エネルギーストーンを手に入れた今ー

 お前たちはー”必要”ないー」


その言葉の直後ー

マックスに痛みが走ったー


「ーーーがっ!」

血を吐くマックスー


メリッサ姫が、剣を手にマックスを背後から刺していたー


「ーーメリッサ……」

マックスが苦しそうにその場に倒れるー。


「ーークククー

 無様よな」


次元王バルスは、そう言いながら、

残り二人ー

サーシャと仮面の傭兵・カイのほうを見つめるー。


マックスがメリッサのほうを見て「目を覚ませ!」と

苦しそうに叫ぶー


「ーーークククー

 貴様たちの姫は、もはや俺のものだー

 見るがいいー」


次元王バルスは”姫を完全に支配したこと”を

改めて3人の仲間に知らしめるためにーー

命じたー


「ー脱げー。

 全ての服を脱げ。

 無様な姿を晒すのだー」


次元王バルスが言うと、メリッサは「はい…」と呟いたー


メリッサは何の躊躇もなく、全ての服と装備を脱ぎ捨てて

その身体を晒したー


「ーーやめろ…やめてくれ…!」

苦しみながら叫ぶマックスー。


サーシャが唖然としているー。


そしてー

仮面の傭兵・カイはいつの間にか姿を消していたー


「ー!?」

それに気づきながら、サーシャは、再び

洗脳されてしまったメリッサのほうを見つめるー。


「ーークククー

 バカな姫だー。

 精一杯己のバカさを表現して、

 仲間たちに言ってやれー


 王国なんてどうでもよくなっちゃったと」


次元王バルスに命じられたメリッサは、

セクシーなポーズを取りながら、

ギャルのような口調で叫んだー


「ーわたしぃ~王国なんて

 どうでもよくなっちゃったぁ~♡

 きゃははははははははっ」


とー。


そんな姫の姿にー

苦しむマックスも、護衛のサーシャも、

絶望することしかできなかったー



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


”RPGゲーム的なお話で、主人公自体が洗脳されてしまったら?”を

イメージして考えた洗脳モノデス~!

今のところバッドエンド直行な雰囲気ですが、

ぜひこの続きも楽しんでくださいネ~!


今日もお読みくださりありがとうございました~!

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