Home Artists Posts Import Register

Content

男が、情けない悲鳴を上げるー。


いかにも、金持ちの息子ー

という感じが、雰囲気からも伝わってくるその男はー

女に腕を掴まれて、

無理やり、ある場所へと連れて来られていたー


突き飛ばされる男ー


彼は、西園寺警察庁長官の息子・

西園寺正之ー


治夫の恩師であり、復讐のため”人を皮にする凶悪犯”=モルティングを

集めた泉谷聖一の”教え子”をひき逃げした男ー


警察庁長官の息子であるが故に、その罪は隠蔽され、

今でものうのうと暮らしていた西園寺正之ー


彼も当然、

泉谷の”天誅”の対象だったー。


「ーーー久しぶりだな。俺を覚えているか?」

泉谷が、正之に声を掛けるー。


泉谷の目の前で、教え子の雄作は轢き殺されたー。

その時に、泉谷と、西園寺長官の息子・正之は顔を合わせているー


「ーーーあ?テメェなんて、知るかよ!

 っていうか、あ、、梓!急にどうしたんだよ!?」


正之は、西園寺長官の娘・梓ー、

つまり自分の妹である梓が、モルティングの一人、ジェームズ結城に

皮にされているのを知らないー


「ーーーーー」

梓は冷たい”殺人鬼”の目で、兄を見つめるー


「ーーひっ…」

怯える正之に向かって、泉谷は

「ーお前だけは、俺の手で八つ裂きにしてくれる」と、

言い放つと、そのまま正之の方に向かって歩き出したー。


・・・・・・・・・・・・・


登場人物


長瀬 治夫(ながせ はるお)

若き警察官。”皮”にまつわる事件に巻き込まれていく


松永 亜香里(まつなが あかり)

治夫の彼女。現在同居中。


目黒 圭吾(めぐろ けいご)

警視正。計算高い性格の持ち主で、出世欲も強い。


堂林 幸成(どうばやし ゆきなり)

目黒警視正率いる「モルティング対策班」のメンバー。その正体は…?


黒崎 陣矢(くろさき じんや)

指名手配中の凶悪犯罪者。”モルティング”のひとり。


中曽根 佳純/ジェームズ・結城

”人を皮にする凶悪犯”通称・モルティングたち。


泉谷 聖一(いずみや せいいち)

治夫の中学時代の恩師。モルティングたちに”皮にする力”を与えた黒幕。


西園寺 零(さいおんじ れい)

警察庁長官。警察の”暗部”を司る人物。


・・・・・・・・・・・・・・


★あらすじ★


西園寺警察庁長官と、モルティング対策班の仲間・三枝真綾が

モルティングの一人、ジェームズ結城に襲撃されたー。


真綾の死に悲しむ治夫は、モルティングとの戦いをー

警察の闇との戦いを終わらせなくてはいけないと改めて決意するー。


一命を取り留めた西園寺長官を対策班の仲間・堂林幸成に任せ、

治夫は、逃走したジェームズ結城の追跡を始めるー。


しかしー

治夫はすぐに病院に引き返し始めたー。


”どうして、西園寺長官の潜伏場所が漏れたのかー”


そして、今までの対策班内の不可解な出来事を思い出しー

治夫は一つの”解”にたどり着いた。


治夫の予感は的中してしまったー。

病院に戻った治夫が目にしたのは、西園寺長官を殺そうとしている

堂林幸成の姿だったー


雨が降る病院の屋上で、幸成を追い詰めた治夫ー。


そこで見たのは、信じられない光景だったー


”堂林幸成”と治夫は、そもそも一度も話したことがなかったのだー


何故ならー

治夫と出会った時、既に、幸成は

モルティングの一人、中曽根佳純に”皮”にされていたのだからー。


★前回はこちら↓★

fanbox post: creator/29593080/post/2733427

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


病院の屋上ー

雨が降り注ぐ中、治夫と黒い喪服の女・中曽根佳純が対峙しているー。


「ーーー堂林さん…」

治夫は、病院の屋上で”皮”になった堂林幸成の姿を見つめるー。


曲者揃いの対策班本部の中で、唯一、幸成は

当初から治夫に親しげに接してくれていたー。

治夫もそんな幸成を信頼して、ここまでやってきたー


それなのにー


「ーーあなたが”堂林幸成”だと思って、話していたのは、

 最初から、ずっとわたしだったの」


クスッと笑う中曽根佳純ー


治夫は以前、対策本部内でモルティングたちの写真が

掲示されていた際に、幸成が中曽根佳純の写真を

妙に凝視していたのを思い出すー。


あれはー

”堂林幸成が中曽根佳純そのものだったからー”だったのだー。


「ーモルティング対策班の情報を盗み出すため、

 ちょうどいい若い刑事を見つけて、”皮”にしたのー


 この男を皮にして、堂林幸成となったわたしはー

 うまく目黒警視正と接触して、

 モルティング対策班の一員となって、今日までー

 対策班の情報を泉谷さんに伝えてきたー」


雨に濡れていく黒い喪服ー。


治夫は、中曽根佳純のほうを見つめながら

悔しそうな表情を浮かべると、銃を向けたー。


中曽根佳純は微動だにせずに微笑むー。


「ーわたしは、西園寺長官を始末しないといけないのー。

 邪魔をしないでもらえる?」


佳純の言葉に、治夫は「させるものか…!」と、銃を

握る手に力を込めるー。


中曽根佳純が、銃を持っている気配はないー。


だがー

佳純は、治夫に銃を向けられているこの状況でも、

全く動揺の色も、何も、見せなかったー。


「ーーーどうして、あの男を庇うの?

 あなたもわかっているはずー。

 西園寺警察庁長官は警察内部の”闇”の象徴ー


 そんな人間を、どうして守るの?」


西園寺警察庁長官は、あらゆる不正に手を染めてきたー。

人を皮にする力を生み出し、それを潜入捜査などの分野で

活用できるよう、実用化を目指していたー

”人を皮にする力”の実用化を目指すあまり、権力に固執し、

数々の不正を行い、時には”剛”を使って邪魔者を始末してきたー。

自身の息子である正之が事故を起こして、泉谷の教え子の命を

奪った件をもみ消したのも、

息子の不祥事が明らかになれば、自身が失脚し、

人を皮にする力の実用化が遅れると考えてのことー

つまりは”自己保身”のためだったー。


「ーー人の命を守り、真実を明らかにするのが、俺の仕事だからー」


治夫は目を瞑るー。

目の前で命を狙われている人間がいればー

それを助けるのが警察官の仕事ー。


そしてー

西園寺警察庁長官には、まだ聞かなければならないことがあるー


”君はマリオネットだー”

西園寺長官の言葉を思い出すー


警察内部の”闇”は、その、深淵はー

さらに深いところにあるような気がするー

治夫は、そんな風に思っていたー。


「ーー…俺からも一つ聞きたい」

治夫が言うと、中曽根佳純が「どうぞ」と、微笑みながら呟くー。


「ーどうして、泉谷先生の”天誅”に協力しようと思ったー?」

治夫が言うー。


泉谷は、命を奪われた教え子の復讐のためー、

そして、自分のような被害者が出ないように、警察の闇を

暴こうと躍起になっているー。

そのためなら、どんな犠牲が出ても構わないという

復讐の鬼になってしまっているー


そんな泉谷が集めた”モルティング”たちー。

黒崎陣矢や臼井隼人、春山正義らが、”人を皮にする力”に

魅力を感じて泉谷の仲間になったのは、なんとなく想像ができるー。


裏社会のヒットマンとされるジェームズ結城は金で雇われているのだろうー。


だが、この中曽根佳純は、人を皮にすることを楽しんでいる様子も

なければー、金に執着するような様子もないー


いやー

それどころかー

中曽根佳純の”目”は、”何もかも失っている”

そんな目にも見えたー。


「ーーーわたしと”同じ”だったからー」

佳純が呟くー。


雨に打たれたまま、佳純は空を見上げるー


「わたしは、医師として、紛争地帯に赴いてー

 そこの伝染病で、目の前で子供たちが死んでいくのを

 目の当たりにしたー


 助けて、助けて、助けて、苦しいよ、苦しいよー」


佳純が言うー。


「子供たちの叫び声が、ずっとずっと、聞こえてくるのー。

 そんな子供たちに、わたしがしてあげられたことはー

 ”楽”にしてあげることだけー」


前にもそれは聞いたー

治夫は、佳純のほうを見つめながら、警戒を続けるー。


「ーーーこの世は、”地獄”

 わたしは気づいたのー。

 苦しむ人々を”地獄”から解放してあげるのが、わたしの使命だとー」


帰国した中曽根佳純は、医師をやめて、海外から安楽死の薬を

取り寄せて、死を望む人間を次々と安楽死させていたー、と

聞いている。

そんな最中に、泉谷と出会い”モルティング”になったのだとー


「ーあの人は、わたしと同じだったー」

中曽根佳純が呟くー。


「同じ…?」

治夫が言うと、佳純は「あの人の”目”は、わたしと同じだったー」

と呟くー


「あの人の目には、何も映ってなかったー

 わたしと同じようにー

 映っているけど、何も、見えていなかったー」


中曽根佳純は笑うー。


「ーーー”壊れちゃった”人間の、目ー」


佳純は言うー。

泉谷が”自分と同類”であると悟りー

協力を決意したのだとー。


自分が生きること、自分が死ぬことにすら

興味を失ったー

”無”の状態ー

己の使命だけに生かされている、そんな状態ー


だから、佳純は泉谷に協力したのだとー。


「あの人の”天誅”を支えてー

 すべてが終わったら、わたしも、泉谷さんもー

 ”死”を受け入れるー」


佳純の言葉に、治夫は

「ーーふざけるな!泉谷先生は、お前なんかとは違う!」と叫ぶー


中学時代の恩師であり、尊敬していた泉谷先生のことを

治夫はまだ、心のどこかで尊敬していたー。

その泉谷が、中曽根佳純と一緒なわけがないー


「ーーまぁ、いいわー」

佳純はそれだけ言うと、治夫に向かって歩み始めたー。


病院の屋上に降り注ぐ雨がさらに強くなるー


「動くな!」

治夫が銃を構え治すー


だが、中曽根佳純は、ニヤリと笑いながら、

そのまま近づいてくるー


「ーーわたしにとってはー

 この身に降り注ぐ、雨ですらー

 ”無”なのー


 何を食べても

 何を見てもー

 何をされてもー

 わたしは、何も感じないー」


中曽根佳純が一歩、また一歩と近づいてくるー


「ーーー!」

治夫は銃を佳純の足元に向かって放つー。


だが、佳純は止まらないー

恐怖の感情すら、微塵も感じないー

黒い喪服を揺らしながら、治夫に1歩、また1歩と近づいてくるー


「止まれ!」

治夫が叫ぶー


雨の音がさらに強くなる中ー

治夫はやむを得ず、中曽根佳純の手を撃ち抜いたー。


「ーーーー」

しかしー

佳純は無反応だったー

血は流れているー

けれどー

痛がるそぶりも、何も見せずー

そのまま治夫に近付いてくるー


「ーー!!」

治夫は銃を握りしめるー。


前に対策本部で対峙したときも、佳純は撃たれても

無反応だったー


「”痛い”

 ”怖い”

 ”辛い”」


中曽根佳純が呟くー。


「ー”死”すらどうでもよくなるとねー

 そんなもの、全部消えちゃうのー」


中曽根佳純は、狂気的な笑みを浮かべたー


”中曽根佳純の心は、とっくに死んでいるー”


治夫は、表情を歪めて、今一度銃を佳純に向けたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ぐああああああああああっ!」


とある倉庫内に悲鳴が響き渡るー。


西園寺長官の息子・正之が、

泉谷から”拷問”を受けていたー


「ーお前は、俺の教え子を、目の前で轢き殺したー

 覚えてるよな?」

泉谷が言うー。


正之は悲鳴を上げながら、「申し訳ありませんでした!」と

何度も繰り返しているー


「ーーお前は喋るのか」

泉谷はそう言いながら、正之を殴りつけたー。


「ー俺の教え子はー、俺の家族は、

 言葉すら奪われたー

 死んだ人間は、喋ることすらできないー。

 なのに、お前は喋るのか。」


泉谷の言葉に、正之は泣きながら「助けて下さい…助けて下さい…」と叫ぶー


「命乞いをするか」

泉谷もー”心は既に死んでいるー”

中曽根佳純と同じー


「ーー…た、、助けて下さいー」

西園寺正之の悲鳴ー


その様子を妹の梓は、冷たい目で見つめ続けているー。

実の妹である梓ー


しかし、ジェームズ結城に皮にされて身も心も乗っ取られている梓は、

冷徹な目で、兄が拷問されているのを見つめているー。


いつもは穏やかで優しい梓が、

無表情で暴力を見つめているー。


「ーー俺の教え子は、命乞いすらできないー

 お前に、すべてを奪われた。


 なのにお前は、命乞いをするんだな?」


そう言いながら、泉谷はスタンガンのようなものを

正之に突き付けたー。


悲鳴を上げる正之ー


「ーーた、助けてくれ、梓…!」

妹が皮にされていることを知らない正之は、

情けない声で妹に助けを求めるー


「ーーー」

泉谷は、その様子を見つめると

「ー俺は一旦、黒崎と連絡を取るー。

 しばらくはお前に任せる」と、

梓に耳打ちをするー。


「ー最後に奴を殺すのは俺だ。いいな」

泉谷がそう言うと、梓は「承知した」とだけ呟きー

立ち去っていく泉谷に背を向け、そのまま兄・正之のほうを見つめたー。


「ーーあ、、梓…助けてくれ…な?」

正之の言葉に、梓は、グーで正之を殴りつけたー。


無表情のまま、実の兄を拷問し続ける梓ー。


「ーーあ、、梓…梓…!」

泣きながら正之は命乞いをするー


「ーーーこの女は、梓などではないー

 今のこの女は、冷徹な殺人マシンだ」


それだけ言うと、梓は、再び実の兄に暴行を加え始めたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーくっ!」

病院の屋上ー


銃を蹴り飛ばされた治夫は、

中曽根佳純の猛攻をなんとか防いでいたー。


体術で治夫を圧倒する

中曽根佳純ー


”痛み”もー

”恐怖”もー

”死への恐れ”もー


何もない中曽根佳純は、

超人的な力を発揮していたー


”死をも恐れぬ人間”は、

何よりも恐ろしいー


「ーーーふふふ…あなたも”楽”になりなさいー」

中曽根佳純が、安楽死の注射器を手にするー


押し倒された治夫は、必死に注射器を持つ佳純の手を押さえるー


「ー”死”は救済ー

 病気で苦しんでいたあの子たちはねー、

 わたしが安楽死させてあげたときー

 ”ありがとう”ってわたしに言ったのー」


佳純が笑いながら、治夫に注射器を射そうとするー


「ーこの世界は”地獄”ー

 あなたの先生も、すべてを終えたら、”楽”になりたがってるのよー」


「わたしはー

 苦しんでる人たちを”救済”してるのー

 この世界は地獄ー

 ”死”こそ救済なのよー」 


佳純の言葉に、治夫は首を振るー


「その子たちは、あんたにこんなことしてほしいって望んでるのかー?」

治夫が言うと、佳純は、笑顔を消して治夫のほうを見つめるー


「ーーその子たちが、今のあんたを見たらどう思うんだ?」

治夫の言葉に、佳純は微かに瞳を揺らしながら

あの時の子供たちの笑顔を思い出すー。

苦しみながら「たすけて…」と呟く子供たちを思い出すー。

”注射”したときに、楽になって穏やかに「ありがとう」と言いながら

死んでいった子供たちを思い出すー


「ーーーー!」

治夫は、その一瞬の隙を見逃さなかったー


中曽根佳純の注射器を蹴り飛ばし、反撃を始めるー


佳純が必死に治夫の攻撃をガードするー。


「ーーあなたには分からないー

 ”地獄”を見ていないあなたにはー


 人がー

 何もできずに目の前で死んでいく地獄を見ていないあなたにはー」


中曽根佳純が、治夫の腕を掴んで、治夫を殴りつけるー

治夫が必死に歯を食いしばって、中曽根佳純の足を引っかけて

転倒させるー。


屋上の水たまりに転倒した中曽根佳純は

喪服を濡らしながら立ち上がるー。


わたしもー

泉谷さんも、地獄を見たー


中曽根佳純はー

紛争地域の子供たちが、何もできずに病気で死んでいく”地獄”をー


泉谷は、

教え子が目の前で跳ね飛ばされて、無残な姿になって死んだ”地獄”をー。


「ーー地獄を経験すれば、あなたにだって、分かるー

 この世界は、地獄だとー」


佳純の言葉に、治夫は叫んだー


「ー俺だって見たさ!地獄を!

 お前たちのせいで!」


とー。


「ーーー」

佳純が表情を歪めるー。


「ーー塚田先輩も、宮辺さんも、由愛ちゃんも!

 矢神さんも、三枝さんも…!

 みんな、助けられなかった!」


治夫が悔しそうに涙をこぼしながら言うー


交番の先輩たち二人が、無残な姿になっているところに駆けつけた治夫ー


「--ーーたすけてくれて…ありがとう…」

女子高生・由愛は、そう言いながら治夫の目の前で死んでいったー


「俺だって!助けたい人に”ありがとう”って言われてー

 目の前で死なれたんだよ!

 お前たちのせいで!」


治夫が泣きながら叫ぶー

中曽根佳純は答えないー


「矢神さんも…三枝さんも…!

 俺の目の前で死んでいったんだよ!」


対策班の仲間のことを思いだすー。


「ーーそれでも、俺は前に進むんだー…

 立ち止まってるお前たちとはー

 逃げてるお前たちとは違って!」


治夫の言葉に、

中曽根佳純は「そう…」と呟いて空を見上げるー


「ーーあなたももう、”地獄”に足を踏み入れているのねー」


治夫は中曽根佳純をまっすぐと見つめたー


モルティングたちー

そして、警察内部の闇ー


治夫は戦うー

恩師・泉谷から教わったー

”信じた道を進め”という言葉を胸にー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーあぁぁぁぁ…♡いい」

メイドの理沙が笑みを浮かべながら、

治夫の彼女・松永亜香里が帰宅するのを遠くから見つめていたー


「きれいな髪ー

 整った顔立ちー

 美しいスタイルー

 そして、長瀬治夫の彼女ー


 すべてが100点満点だ」


黒崎陣矢に皮にされている理沙は、そう呟きながら

拳を握りしめてしゃぶり出すー


「あぁぁぁ…最高の芸術品だ…」


黒崎陣矢は、そう思いながら周囲を見つめるー


治夫に頼まれた目黒警視正が派遣した

”護衛”が、亜香里を徹底的に警護していて、

近付くことはできないー


「ーーーーーチッ」

理沙は、舌打ちをすると

”長瀬治夫ー必ずお前の彼女を俺の芸術品にしてやるからな”

と、呟くと、泉谷からの連絡が入ったことを確認しー

その場をいったん離れていったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


足音が聞こえるー。


撃たれて入院中の西園寺警察庁長官が

その音に反応して、意識を取り戻したー


ジェームズ結城に撃たれ、

病院で中曽根佳純に殺されかけたが、

治夫が駆け付けたことにより、

西園寺長官は未だ存命だったー。


意識を取り戻した西園寺長官が、

自分のすぐそばに人影があるのに気づくー


「ーーーお前はーー」

西園寺長官がそう呟くと、相手は笑顔を浮かべたー


優しくー

けれども、冷徹な笑顔ー


「ーー”剛です”

 ーーーとでも、名乗っておきましょうかー」


相手はそう言うと、西園寺長官の口を塞いだー


㉙へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


長編の最新話でした~!☆


終盤戦…☆

”ラスボス”が誰なのか、登場人物たちはどうなっていくのか、

なども想像しながらぜひお楽しみくださいネ~!


今日もありがとうございました~!

(Fanbox)


Files

Comments

No comments found for this post.