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「憑依薬」ー

そんな、禁断の”力”を手に入れてしまった男が

書き残した日記ー


そこには、”憑依薬”という未知なる力との出会い、

そして、その力を使い、他人の身体を乗っ取り、

乗っ取ったあとの欲望に満ちた日々が、生々しく記されていたー。


そんな日記から、見えて来る、真実とはー…?

(最終回)


☆前回はこちら↓☆

fanbox post: creator/29593080/post/2698720

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「うるせぇえええええええ!

 この身体は俺のものだ!」


乗っ取られているコスプレイヤーの瑠理香は

鬼のような形相で叫んだー。


警察に拘束されている状態の瑠理香ー。

瑠理香に憑依している新井は瑠理香の身体のまま、

険しい表情を浮かべているー。


計画は”完璧”だったはずだー。

拘束された状態の瑠理香は、歯ぎしりをしながら

今までのことを思い起こすー。


友人の沼田にさりげなく憑依薬の話題を出しー

目論み通り、沼田はそれに乗ってきたー。

沼田が憑依薬を使いー

新井は”安全性”を確認ー

その上で、沼田を始末して、この瑠理香という女の身体を奪ったー


計画は、完璧だったー…はずだったのにー


「そ、その女…その女が嘘をついてるのよ!

 わたしはほら、、正気よ!」

瑠理香のフリをして叫ぶ新井ー。


チャイナドレス姿のまま拘束されている瑠理香の言葉に、

警察の男は”残念ながら、あなたはもう終わりですー”と、呟いたー。


「ーーお、、おわり…!?

 わ、わたしは…わたしは何も知らないのー」

さっき一度、感情的になって怒鳴り声をあげてしまったがー

瑠理香のフリをし続ければきっと解放されるはずだー。


なんとか、なるはずだー


「ーだ、大体、あなたたちこそ何なんですか!? 

 警察が、わたしみたいな一般女性をこんな目に遭わせてー」


そもそも、こいつらは本当に警察なのだろうかー。

瑠理香に憑依している新井は、そう思いながら叫ぶー


”男、でしょう?”

警察官の男は、呟いたー。


「ーー…わ、、わたしは女よ!ほら!ついてないし、

 おっぱいだってあるし!」


瑠理香が叫ぶー


”ーそうですね。身体は女性のものだー。

 でもー

 私は中にいるあなたの性別を聞いているのですよ”


警察官の男は淡々と呟くー


「ー知らない!わたしは瑠理香、わたしは瑠理香、わたしは瑠理香ー」

瑠理香は、必死にそう叫び続けたー


せっかく憑依薬を手に入れてー

楽園のような人生を手に入れられるところだったのにー


”まぁ、あなたの気持ちは分からないでもありませんー

 ですが、このまま野放しにしておくわけにもいかないー”


男の言葉に、瑠理香は表情を歪めるー


”「憑依」ー

 そんなものがもし、明るみに出てしまったら、

 どうなるかあなたもわかるでしょう?

 世間は大混乱に陥り、大パニックが起きるー。


 だからこそ、それを、表に出すわけにはいかないー”


「ーーだ、、だから、何の話なんですか!」

瑠理香に憑依している新井は、あくまでも、”憑依”のことを

知らない風を装っていたー


この施設の何らかの影響で、

”瑠理香の身体”から抜け出すことができないー。


だが、ここを一瞬でも出てしまえばー、

この瑠理香という女の身体を捨てて、また別の人間に憑依すればいいー

ただ、それだけのーーー


だがーー


突然、瑠理香が拘束されている椅子のようなものに

電流が流れ始めたー


「ーーぎ、、ぎやあああああああああああああああっっ!?」

瑠理香とは思えないような汚らしい叫び声をあげるー。


すぐに電流は止みー

瑠理香は、男がいると思われる上部のガラス張りの部屋のほうを見つめるー


「な、、な、、な、、なにを…するの!?」

瑠理香のフリをすることは忘れない新井ー


しかしー

間髪入れず、再び椅子に電流が流れ始めるー


「ーがぁっ…あっ…うあああああああっ…」

瑠理香が悲鳴を上げて、

チャイナドレス姿のまま、ひくひくと身体を震わせるー。


”どこから、憑依薬を手に入れたのですか?”

男の声ー。


電流で女を拷問するなんてー

絶対に警察じゃないー…

新井はそう思ったー


「あ、、あなたたちは、、誰なの!?」

苦しそうに息をしながら叫ぶ瑠理香ー


”警察ですよ。

 ただ、警察は、あなたたちが見ているような”光”

 だけではないー。

 それだけのことです”


そう言うと、再び男は、瑠理香に対して電流を流したー


”こ、このままじゃ殺されるー”

新井は、そう思いながら、

瑠理香の声で「わ、、わかった…いう…いうから」と、

苦しそうに呟くー。


”賢明な判断ですー。

 憑依薬を手に入れたルートは?”


自称・警察の男にそう聞かれた瑠理香は

洗いざらいすべてを話したー


自分が、会社での仕入れルートなどを駆使して

海外から取り寄せたものであることをー


”なるほどー

 あなたの本当の名前もお聞かせ願えますか?”


自称・警察の男の言葉に、瑠理香は歯ぎしりをしながら、

「ーー俺は…新井…」

と、自分のフルネームから、住所まで、すべてを話したー


このままでは、本当に殺されてしまうー

そう、思ったからだー


”わかりましたー”


そう言うとー

信じられないことに、男は再び電流を流し始めたー


「ぎ、、ぐあああああああああああああっ!!!」

あまりの衝撃に涙と涎ー

あらゆるものを噴き出しながら、髪がボロボロに乱れた状態で、

瑠理香は、ガラス張りの部屋のほうを見つめるー。


「-な、何…を…するんだ…」

ビクンビクンしながら、瑠理香は呟くー


「ーこの女…死ぬぞ……それでも…いいのか…!?」

瑠理香は、目から涙を流しながら叫んだー


「ーーあ、、あんたら、本当に警察なのかー?

 お、、俺は何も嘘はついていないー

 もう、全部話したー…


 早くーー…

 早く、ここからー」


その言葉をかき消すかのように、電流が流されるー


”申し訳ありませんが、

 それはできませんー。

 あなたをここから出せば、あなたは必ず、その女性の身体を捨てて

 どこかへと逃げるでしょう。

 そうなれば、我々があなたを見つけることは困難になってしまいますー。”


男はそれだけ言うと続けたー


”あなたは、この世にあってはならない”憑依”の世界に

 触れてしまったー。

 だが、世間は余計なことを知らなくていいー

 余計なことを知れば、必ず混乱が起きるー。

 

 私の使命は、表にできない事件を”闇”に葬り去ることー”


その言葉に、

瑠理香は叫ぶー


「この女ごと殺す気か!?!?

 あんたら、それでも、、警察なのか!?!?!??!?!」


とー。


”えぇ…

 正真正銘ー

 警察ですよ”


それだけ言うと、上部のガラス張りの部屋の手前に男がやってきたー


スーツ姿の男が、微笑むー


”あなたはこの世の深淵を覗いてしまったー

 ”憑依”という深淵をー”


警察を名乗る男が笑うー


”目黒(めぐろ)警視正ーそろそろお時間です”

部下の声がマイクを通じて聞こえたー。


そしてー


”深淵には蓋をするー

 それが、社会を守るためですー”


それだけ言うと、

その男は、瑠理香に容赦なく電流を流し始めたー


「ぐあああああああああああああああああああっっっ!」

激しく身体を貫く電流ー

新井は、瑠理香の身体ごと電流を浴びてー

そして、そのまま、ピクピクと痙攣をしながら、

やがてー動かなくなったー


「ーーーー」

男は、瑠理香が動かなくなったのを確認すると

「かわいそうですが、憑依を明るみに出すわけにはいきません」と

呟いたー


この世にはー

決して明るみに出してはいけない”深淵”があるー。


憑依やー

皮ー

入れ替わりー

そんな、事象も”裏”では少なからず起きているー


だが、それは、開けてはならないパンドラの箱なのだー


誰もが憑依を知りー

誰もが憑依できー

誰もが憑依される可能性のある社会など、到来させてはいけないー。


動かなくなった瑠理香を”表向き”どう処理するかを部下に命じると、

目黒警視正は、静かにその部屋から立ち去って行ったー。



憑依薬を手に入れ、日記に記した男ー

そして、賢く立ち回り、憑依薬を奪ったつもりの男ー


二人は、”闇”へと葬られてしまったのだったー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


「憑依薬を手に入れた男の日記」の最終回でした~!


次週からの土曜日枠は、

また別のお話(寄生された少女の日記(仮称))

を考えているので、ぜひそちらもお楽しみくださいネ~!


お読みくださり、ありがとうございました!!


※毎週土曜日の更新(コンパクト枠)とは?

(いつもと同じ説明デス↓ 既に知ってる方は読まなくて大丈夫デス!!)

毎週土曜日(以前は火曜日でした!)は、

私が仕事の都合で書く時間を確保できないので、

本来更新は難しいのですが

少しでも皆様にご恩返しということで、他の6日間で毎日

少しずつ執筆して、土曜日にも、作品をお届けしています!

そのため、いつもより少し文章量が少ないため

毎週土曜日の作品は、100円プランでも読めるようにしてあります!

(※土曜日枠のお話は必ず完結まで100円プランで読めるようにします!

  途中から上がったりはしませんので、安心してください)


 

(Fanbox)


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