<入れ替わり>アサシン☆JK①~悲劇~ (Pixiv Fanbox)
Content
「ーーーやめてくれ…助けてくれ!」
雨が降る夜ー。
裏路地に追い詰められた男が悲鳴を上げるー。
悲鳴を上げている男の前から、ゆっくりと近づいてくる男は、
全身を黒っぽい服装で包みー
冷たい目つきで男を見つめていたー。
「ー恨みはないが、これが俺の仕事だー。」
男は、低い声でそう呟くとー
容赦なく、悲鳴を上げる男の首筋にナイフを突き立てて、
そのままその男の息の根を止めたー。
彼は裏社会で生きる”暗殺者”
依頼を受け、報酬と引き換えに、ターゲットを抹殺するー。
そうして、彼は生きてきたー。
だがー
「ーーーぁ… ぁ…」
背後で、声が聞こえたー。
暗殺者の男が振り返るとー
そこにはーー
高校の制服を着た少女がいたー。
「ーーぁ… ぁ…」
震えている女子高生ー。
手に持っていた傘が、その手から零れ落ちて、
地面に転がっているー。
彼女は、生徒会活動で帰りが遅くなりー
今、ちょうど下校している最中だったー。
偶然、裏路地の入口で男の悲鳴が聞こえたために、
彼女は、この裏路地に入ってきてしまったのだー。
「ーーい、、、…ぁ…」
悲鳴を上げようとしたが、声すら出なかったー。
人はあまりの恐怖に直面すると、
声を出すことができなくなってしまうー…
彼女は今、それを身をもって体験していたー。
「ーーー見たな?」
暗殺者の男は、低い声で彼女の方に近付いていくー。
逃げようとする彼女ー。
だが、男は、彼女を逃がさなかったー
髪を掴みー
裏路地の奥の方へと引きずりこみー
壁に叩きつけるー。
「あ…ぅ…ひっ…!」
声が出ないー。
雨が降る中ー
男は「見られたからには仕方がないー」と、
少女を乱暴に掴みー
そのまま刃物を首筋に突き立てようとするー。
地面に落ちた少女のかばんから
数冊の教科書と、生徒手帳が飛び出すー。
「ーーーー」
男は、生徒手帳のほうをチラリと見つめるー
そこには、
近くの高校の名前と、
「寺坂 麻優美(てらさか まゆみ)」という
この少女の名前が書かれていたー。
「ーー死ね」
男は冷たい言葉を少女に投げかけー
そしてー
そのまま少女の息の根を止めようとしたー。
しかしー
少女にとって”奇跡”が起きたー。
いやー、
それは”悪夢の始まり”というべきかもしれないー
空が光り、轟音が轟くと同時に、
激しい衝撃が、麻優美と、暗殺者の男を襲ったー。
先ほどから少し鳴っていた雷ー。
”落雷”が二人を直撃したのだー
吹き飛ばされる暗殺者の男ー
麻優美も悲鳴を上げて、その場に倒れ込むー。
”ーー雷…!?バカな…”
暗殺者の男は薄れゆく意識の中で、
そう思いながら、そのまま、気を失い、
その場に倒れ込んだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーーーー」
薄れていた意識が戻ってくるー。
何も、感じなかったー。
”つい”数秒前に雷に打たれたような、そんな気がするー。
これが”死”かー。
暗殺者の男は、そう思ったー
夢すらも見なかったー。
本当に、一瞬のうちに、気づいたときにはー
病院の天井を見上げていたー。
おそらく、死ねばこういう風にー
”何も感じない世界”が待っているのだろうー。
暗殺者の男はそう思いながらー
この世界に戻ってこれたことをー
”自分の強運”に感謝したー。
永遠の闇に飲み込まれることなくー
こうして、意識を取り戻すことができたのだからー。
天井ー
おそらく、ここは病院だろうー。
(だが、ここにいるわけにはいかないなー)
暗殺者の男は、そう思ったー。
”裏社会で報酬と引き換えに依頼を受け、
多くの命を奪ってきた暗殺者”
彼の仕事は完璧で、証拠も何も残していないためー
指名手配されているわけでも、警察にマークされているわけでもないー
だがー
このまま病院にいれば、身元もばれてしまうし、
裏社会の関係者が”落雷によって負傷した愚かな暗殺者”として
自分を始末しようとするかもしれないー
「ーー早々に病院からは抜け出す必要がー
ーーー!?」
意識を取り戻してから、初めて言葉を発した暗殺者の男は、
思わず言葉を止めたー。
自分の口から出た声がー
自分の声ではなかったからだー。
いやー
男の声ですらないー
口から出たのはー
可愛らしい女の声ー。
「ーー…!?」
鏡を見つめるとー
そこには入院患者のような恰好をして、
何か所かに包帯を巻いたー
少女の姿が映っていたー
「ーーな、、なんだこれは…!?」
戸惑う男ー
自分は”裏社会で生きる暗殺者の男”だー。
間違いなくそうだし、記憶も、自覚もあるー。
それなのにー
身体がー
少女の身体になってしまっているー
「ーまてよ?」
鏡に近付き、顔を触りながら少女の顔を
じーっと見つめるー。
見覚えのある顔ー。
「ーーー…!」
少女になってしまった暗殺者の男は
「こいつはー!」と、その顔を思い出したー。
雨に濡れていたことと、
顔をじっくり見つめたりはしなかったから、
うろ覚えだったがー
雷に打たれる直前に
男自身が殺そうとした女子高生だったー
「ーー……俺が…女子高生になってしまった…ってことか?」
さすがに動揺する男ー
「ーーーー!」
病室の扉が開くー
そこには”知らないおばさん”がいたー。
「ーー誰だおmー」
”誰だお前”と言いかけたその時ー
そのおばさんが有無を言わさずに抱き着いてきたー。
「麻優美ー…よかった…ほんとによかったー」
泣きながら麻優美(暗殺者の男)を抱きしめる母親ー。
麻優美になった暗殺者は、表情を歪めながらも
”この女の母親か”と、すぐにおばさんが誰なのかを
理解したー
”ーーーーーー”
男は、自分がどうするべきなのか、フル回転で試案するー。
雷に打たれて、意識を取り戻した女子高生ー、
というこの状況ー
そして今、自分はその女子高生・麻優美の身体の中にいるー。
麻優美本人がどうなったのかは分からないー。
この身体の中にいるのか、
それともー…
”俺の身体はどうなった?”
麻優美(暗殺者の男)は、そう思いながら、
「ーちょ!ちょっと!落ち着いて!」
と、叫ぶー。
麻優美になった暗殺者の男は、
今、この状況、自分がどういうアクションを取るべきか
瞬時に計算して、答えを出したー
「ーごめん…あの、、、わたし…ちょっと…
色々なこと、思い出せなくてー」
麻優美(暗殺者の男)がぎこちない口調でそう言うと、
母親は、泣きそうになりながら「ま、、麻優美…?」と、
麻優美(暗殺者)の方を見つめたー。
麻優美になった男は”雷で記憶喪失になった少女”を
装ったー。
そうすることで、”麻優美”としての記憶がないこともー
”麻優美”とは振る舞いが異なってしまっても、
少なくとも、周囲から不審がられる心配はなくなるー。
雷に打たれたのだから、記憶を失っていても、
不思議ではないだろうー。
病院の先生と話をしたりー
検査を受けたりー
”面倒な作業”を終えた麻優美(暗殺者)ー。
「まさか、女子高生の身体で入院生活を送ることになるとはなー」
女子トイレでそう呟きながら、麻優美になった男は、
少しだけ笑みを浮かべると、麻優美の胸に手を振れたー。
「ーーククク……思ったより柔らかいんだなー」
麻優美(暗殺者)は、そう呟くと、邪悪な笑みを浮かべながら
両手で両胸を揉み始めたー
「ーー”武器”にも使えそうだなー」
麻優美(暗殺者)は、
ふと”この身体なら”女”を武器に暗殺もやりやすくなるかもしれない”と、
麻優美の身体を悪用し始めることを思いつくー。
そしてー
「ーと、俺の身体はどうなったのか確認しないとな」
と、呟くと、胸から手を放し、そのまま病院を歩き始めたー。
「ーあの、すみませんー」
麻優美(暗殺者)が声を掛けると、
病院の女性看護師が振り返るー
「ーわたしと一緒に雷に打たれた男の人ー…
どうしているか、知らないですか?」
女子高生っぽく喋る男ー。
男が、こんな喋り方をしたのは、何年ぶりだろうかー。
他人の身体とはいえ、男は強い違和感を感じながら、
女性看護師の返事を待ったー。
「ーー……え~っと、あ、あの人かしら!」
女性看護師はそう言うと、少し離れた場所の病室を指さしたー。
「ーー…まだ、意識は戻っていないみたいだけどね」
そう呟く女性看護師ー
「ーー意識は戻ってないけど、生きてるってことですね?」
麻優美(暗殺者)が確認するー。
「ーそうね。一応、病室も覗けるけど、見る?」
その言葉に、麻優美(暗殺者)は頷くと、
”自分の身体”がいる病室を静かに覗いたー。
そこにはー
雷に打たれて昏睡状態の”自分”が眠っていたー。
「ーーーー」
冷たい目で自分の身体を見つめる麻優美(暗殺者)ー
おそらくー
この、麻優美という女子高生の意識は、
”俺の身体”に移動したのだ、と、男は思うー。
そうー
雷に打たれた際の衝撃で、
自分と麻優美の身体が入れ替わってしまったのだと、
男はそう考えたー。
「ーーー……」
最初でこそ驚いたが、男は今の状況を喜び始めていたー。
”女子高生”という立場と身体を使えばー
今まで以上に”暗殺”がやりやすくなるー
そう、思ったからだー。
別に、自分の身体に未練などないー。
このまま死んでもらっても、かまわないー。
「ーーお前の身体は俺が有意義に使ってやるー」
麻優美(暗殺者)は、低い声でそう呟くと、
そのまま眠ったままの自分の身体を置いて、病室を後にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
麻優美になった暗殺者は、数日後、退院したー。
結局、自分は意識を取り戻さないままー。
だがー
面白い変化が現れたー。
”麻優美の記憶”が、男の中に流れ込んできたのだー。
麻優美になってから、時間が経過するにつれて、
麻優美のこれまでの人生や、考え方、
そういったものが、男の中に少しずつ流れ込んできたー。
まるで、一人の女子高生の人生を、ダイジェストかのように
全て追体験したー
そんな感覚を覚えたー。
そして、退院したころには、
麻優美のすべての記憶を引き継いでいたー。
記憶が流れ込んでくる過程で、男は一瞬、
自分が”寺坂 麻優美”だと思ってしまいそうになったが
なんとかそれを抑え込んだー。
結果ー
今は”寺坂 麻優美の記憶や思考”を完全に持ちながらも
”俺は俺だ”と自覚し、元々の自我も記憶もちゃんと
持っている状態ー…
に、なっていたー。
「ーーただいま~」
麻優美の家に初めて足を踏み入れる男ー
しかし、麻優美の記憶を持つ男は
その構造を完璧に把握していたー
部屋に戻ると、麻優美の部屋には、
麻優美が可愛がっていたハムスターがいたー。
「ーぽむちゃん!ただいま~♡」
麻優美(暗殺者)は、麻優美っぽく振る舞うー。
”可愛い”
という気持ちが溢れてくるー。
だが、それと同時にー
幼少期から”命を奪う”ことに異様な執着を示しー
結果的に暗殺者の道に走った男は、
麻優美の身体で笑みを浮かべたー
「ー可愛いけど…
殺したくなっちゃう♡」
麻優美(暗殺者)は不気味な笑みを浮かべるとー
ハムスターをケージから取り出してー
そのままー
綺麗な手でハムスターを握るとー
「ククククククー
ごめんね
わたし、お前の知ってる麻優美じゃないんだぜ」
と、低い声で囁いてー
ハムスターを握りしめる手に、力を込めたー
麻優美の顔に狂気的な笑みが浮かぶー
綺麗な手に、力を込めていく麻優美(暗殺者)の男ー
やがて、”綺麗な手”で命の灯を消したことを実感すると
麻優美(暗殺者)はゾクゾクしながら、
自分の身体を抱きしめたー
JKの記憶と身体を持つ冷徹な暗殺者ー
最悪の存在の存在が、生まれた瞬間だったー。
未だに意識を取り戻さない暗殺者の身体になった麻優美ー。
麻優美の身体を手に入れて、狂気的な笑みを浮かべる暗殺者ー。
女子高生の身体を手に入れ、それを武器にしようとする男と、
困惑する”少女”ー
二人の”狂気の日々”は、今、始まったばかりだったー。
②へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
女子高生の身体と記憶を持つ暗殺者…!
恐ろしい存在が誕生してしまいました…!
続きはまた次回デス~!
今日もお読みくださりありがとうございました!!