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明るい男女のカップルと

大人しい男女のカップルー

双方のカップルの彼女が入れ替わってしまったー…!


麻奈美になった紗有里は、大人しい啓太に

苛立ちながらも、素直で純粋な啓太の性格に触れ、

その考えを少しずつ改めていくー


一方で、紗有里になった麻奈美は、

紗有里の彼氏・哲哉に入れ替わったことを相談するも、

突然、その態度を豹変させた…。


☆前回はこちら↓☆

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ど、、どういうことだよ…?」

哲哉は、楽しそうにお祭りの屋台の方に向かう

紗有里(麻奈美)に困惑した様子で声を掛けるー。


「ーーだから言ったでしょ?演技!ふふっ…」

紗有里(麻奈美)は、笑いながら言うー。


ついさっきー

”わたし、実は麻奈美で…”と、

入れ替わりのことを切り出したはずの紗有里(麻奈美)が

突然、”入れ替わった演技をしていただけ”と、

言い始めたのだー。


振る舞いも、さっきまでの”おかしな様子”から、

いつもの紗有里のような振る舞いに戻っているー。


「ーーーー…あ、、あれ…」

笑みを浮かべていた紗有里(麻奈美)の表情から、

再び急に笑顔が消えるー。


”あ、、あれ…今、わたし…

 自分が神原さんだと思って…”


再びー

麻奈美としての自我を取り戻し、

表情を歪める紗有里(麻奈美)ー


それだけじゃないー。


「ーーえ…なんで…?」

紗有里(麻奈美)が険しい表情で呟くー。

紗有里の彼氏である哲哉は「お、、おい…大丈夫か?」と

とても不安そうにしているー。


「ーー…わ、、わたし…神原さんのこと…

 なんでわかるの…?」

紗有里になった麻奈美は戸惑っていたー。


”なぜか”紗有里のことが分かるのだー。

自分は麻奈美のはずなのにー

入れ替わった直後は、何も分からなかったはずなのにー


”今、紗有里ならどう行動するか”も明確に浮かんでくるし、

紗有里の過去も明確に浮かぶようになったー


「ーーあ、、あの…佐々木くん…」

紗有里の彼氏を”佐々木くん”と呼ぶことに強い違和感を感じるー


自分は麻奈美なのにー

なぜか”哲哉”と呼ぶことのほうが、自然なことのように思えるー。


「ーー……助けて…」

紗有里(麻奈美)が不安そうに呟いたー


「ーど、、どうしたんだよ!?まず落ち着けって!」

哲哉は困惑した様子で叫ぶー。


何が起きているのか、さっぱり理解できないー。


お祭りにやってきた紗有里の様子がおかしいと思っていたら、

”実は中身が入れ替わっていて、中身は麻奈美”と言い出したりー

急にいつもの紗有里のような振る舞いに戻ったりー

挙句の果てに、今度はまた不安そうな顔をして”助けて”と言ってきたりー。


紗有里になった麻奈美は、

困惑まみれの哲哉の方を向いて言い放ったー。


”自分に何が起きているのか”

ハッキリ理解したー


”このままじゃ、わたしがわたしでなくなっちゃうー”


「ーーーわたし……記憶が…混ざってきてる…

 早くしないと………わたし、自分が麻奈美だってこと…

 分からなくなっちゃうー…」


紗有里(麻奈美)の言葉に、哲哉は「はぁ?!ま、マジで!?」と、戸惑うー。


「ーー……早く…”朝倉さん”のところに行かないとー」

紗有里(麻奈美)が、哲哉の腕をつかみながら不安そうに呟くー


哲哉は激しく混乱しながらもー

「お、、おぅ…わ、、わかった」と、答えたー。


今、紗有里(麻奈美)は”朝倉さん”と言ったー。

”朝倉”とは、麻奈美の苗字だー。

紗有里の中身が麻奈美なら、自分の身体のことを”朝倉さん”と

呼ぶのは不自然な気がしたー。


既にー

”紗有里になった麻奈美は、紗有里の身体に飲み込まれつつある”ー?


そんな風に思った哲哉は、「い、、急ぐぞ!」と、

紗有里(麻奈美)の手を引っ張って、麻奈美(紗有里)と、啓太を探し始めたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


”麻奈美ちゃんは、うまくやってるかなー?”

一方、麻奈美になった紗有里は、まだ特に違和感は

感じていなかったー。


当初の予定通り”麻奈美のフリ”をしながら、

お祭りデートを終えて、

そこから紗有里になった麻奈美と合流して、

元に戻る方法を模索していくつもりだったー。


「ーー次は、あれ、いいかな?」

啓太が「お化け屋敷」の方を指さすー。


「ーーえっ!?えっ!?お化け屋敷!?」

麻奈美(紗有里)が声を上げるー


「ーーうん。朝倉さんもそういうの好きだし、

 僕も行ってみたいし」


その言葉に、麻奈美(紗有里)は

「え、、えっ…う~ん……」

と、表情を歪めたー。


麻奈美になっている紗有里はーー

”お化け”や、そういうものが、苦手だったー。


お祭り会場にある縁日系のお化け屋敷は

遊園地などのテーマパークにあるもののような

大規模なものではないもののー


それでも、紗有里にとっては恐怖だったー


「ーーえへ…麻奈美ちゃんって、そういうの好きなんだー」

麻奈美(紗有里)が、麻奈美になりきることも忘れてしまい、

そう呟くー。


「ーーえ…?」

啓太が思わず、戸惑いの表情を浮かべるー。


「ーど、どういうこと…?」

啓太の言葉に、麻奈美(紗有里)は「あ、いや、なんでもないなんでもない!」

と、叫ぶと「よ~し!お化け屋敷、頑張るぞ~!」と、

わざとらしく元気そうに振舞うー。


啓太は、そんな様子を見てー

”麻奈美ちゃん”という言葉が引っ掛かっていたー


今ー

まるで、麻奈美が、自分のことを別人扱いするような

発言をしていたー。

それに、今日の麻奈美は、なんだか様子がおかしいー。


啓太は、戸惑いながら、

「あのさーー…」と、言葉を口にしたー。


その時だったー。


「ーーーー!」

麻奈美(紗有里)が表情を歪めるー。


”麻奈美の記憶”が流れ込んできたのだー。


”え…どういう…こと?”

入れ替わった直後は、そんなことなかったがー

今は、麻奈美の記憶が”読める”ようになっているー。


知らないはずの、麻奈美の過去や、

今、麻奈美だったらどう考えるか、といった感情的な部分ー

それらが、分かるようになってきたー。


そして、急に、

啓太と手を繋いだことを、恥ずかしく思うようになって、

急に顔を赤らめたー。


”なにこれ…?え、わたし、麻奈美ちゃんのこと…?”


入れ替わった状態ー。

精神は自分のものでも、身体は相手のものー。

記憶を保存する脳も、相手のものー。


入れ替わった直後は、相手の身体が”他人の精神”を異物と

判断し、排除しようとするもー

次第にそれが馴染んでしまいー

やがて、同化するー。


そうして、身体に受け入れられた精神にはー

脳の記憶が流れ込みー

やがてー強い精神力を持っていないと、取り込まれるー。


麻奈美になった紗有里は

精神は紗有里でも、身体も、使っている脳も、麻奈美のものー。

記憶は、脳に保存されるー。

自分の身体から離れている時間が長くなることで、

紗有里は、紗有里としての記憶が薄れていきー

そして、麻奈美の身体に保存されている記憶に取り込まれていくー。


入れ替わりが長期化すればーー

やがて、相手そのものになってしまうー。


「ーー…ど、どうかした?」

啓太が言うと、

麻奈美(紗有里)は、困り果てた様子で呟いたー


「ごめん…わたし、麻奈美じゃないの」

とー。


冷静に喋っていたが、

麻奈美(紗有里)は激しく動揺していたー。


自分が、自分で無くなってしまうー。

そんな、感覚に、焦っていたー。


「ーーえぇっ!?」

啓太が驚いた表情を浮かべるー。


そして、笑い始めたー。


「あははっ!そんなこと言わなくても、

 お化け屋敷が嫌なら、やめておくよ?」

啓太の言葉に、

麻奈美(紗有里)は「そうじゃないの!!!」と叫ぶー。


早口で事情を説明する麻奈美(紗有里)ー


その上で、さっきから麻奈美の記憶や感情が

流れ込んでいて、

自分が紗有里だということを、急速に忘れそうになっていることを

説明したー。


笑っていた啓太も、必死に説明する麻奈美(紗有里)を見て

どんどん青ざめていくー。


「そ、、それって…本当…なの?」

不安そうな啓太ー。


麻奈美(紗有里)は

「ーーだから、わたし…今日…、変だったでしょ?」

と、呟くー。


麻奈美(紗有里)の明るい雰囲気がなくなりー

”いつのも麻奈美”のような振る舞いになっていくー


恥ずかしそうに言う麻奈美(紗有里)に対してー

啓太は「ーーか、、神原さん…!じゃあ…早く、

神原さんと佐々木くんを探さないとー!」と、叫ぶー。


入れ替わりが本当ならー

麻奈美は、紗有里の身体で、紗有里の彼氏である哲哉と

一緒にいるはずー。


「ーーーうん……本当に、ごめんねー」

麻奈美(紗有里)が言うー。


”振る舞い”が、

明らかに麻奈美そのものになりつつあるー。


「ー神原さんー…大丈夫?」

啓太は、麻奈美(紗有里)を、紗有里の名前で呼ぶー。


「ーー神原さん…?…」

麻奈美(紗有里)は「わたしは、朝倉だけど…」と呟くー。


「ーー………!」

啓太は困り果てた表情を浮かべるー。


既に、紗有里は、自分を認識できなくなりつつあるー。

紗有里になった麻奈美より、異変が起き始めるのは遅かったけれどー

逆に、その進行はものすごく早くー…

紗有里は、麻奈美そのものになりつつあったー


「ーーしっかりして!」

啓太が叫ぶー。


「ー君は、神原さんでしょ!」

啓太の言葉に、麻奈美(紗有里)は、

「ーーー……あ、、うん……そう…早く、元の身体にー」と、

表情を曇らせながら呟いたー。


そしてー


「ーいた!!!!」

哲哉と、紗有里(麻奈美)が、啓太と麻奈美(紗有里)を発見して

駆け寄ってくるー。


「ーーどうやって元に戻るんだ!?」

哲哉が叫ぶと、

紗有里の姿をした麻奈美は「ーーわかんないけど…!やるしかないでしょ!」と

叫んだー。


既に、麻奈美も、紗有里の身体で、ほとんど紗有里に

なりきってしまっていたー。


「ーーー…麻奈美ちゃん!ごめんね!」

紗有里(麻奈美)がそう叫ぶー。

既に、自分と相手の区別がついていないー


「ーー……神原さんー」

麻奈美になった紗有里は、そう呟くー。

紗有里もまた、自分が麻奈美で、相手が紗有里だと思い込んでしまっていたー


”入れ替わったこと”を自覚しながらもー

それすら、忘れてしまいそうなぐらいにー


「ーーー!!」

哲哉と啓太が唖然とするー。


紗有里(麻奈美)が、麻奈美(紗有里)に突進してーー

階段から転がり落ちたのだー。


元に、戻るためー。


入れ替わったことを、認識できているうちにー

元に、戻るためー。


唖然としながらも、啓太と哲哉は、

それぞれの彼女の元に駆け付けるとー

騒然とする中ー、

麻奈美と紗有里は目を覚ましたー。


哲哉に抱えられた紗有里はー

「ーー…やった…!間に合った…!よかった…!」と

嬉しそうに哲哉の方を見て呟いたー。


啓太が駆け寄ると、麻奈美も

穏やかな表情で

「ーー…よかった…わたしの身体…」と、

自分の手を見つめながら、嬉しそうに微笑むのだったー。


二人はー

階段から転落したことで、病院で軽い治療を受けることになりー

結局、お祭りデートは、途中で終わってしまったもののー…

大人しい彼氏の啓太も、騒がしい彼氏の哲哉も、

安堵の溜息をつくのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


数か月が経過したー。


麻奈美も、紗有里もすっかり元通りー。


啓太は、麻奈美と相変わらず、

穏やかな日々を過ごしていたー。


「ーーあ、明日だけど、11時待ち合わせでいいのかな…?」

麻奈美の言葉に、啓太は「うん。朝倉さんに問題がなければ」と

微笑むー。


大人しい二人は、相変わらず、名前呼びではなく、

苗字でお互いを呼んでいて、奥手なのも変わりなかったー。


「ーーうん。わたしは大丈夫。じゃあ、11時に行くね!」


明日のデートの約束の確認を終えると、

麻奈美は「あ、そうだ!委員会のことで職員室に呼ばれてるんだった!」

と、微笑みながら、そのまま職員室の方に向かっていくー。


教室の隅では、哲哉と紗有里が騒がしく楽しそうに、話しているー。


「ーーーーー」

けれどー

啓太は思うー。


あのお祭りの日からー

麻奈美は”少しだけ積極的”になった気がするー。

紗有里との入れ替わりを経験した影響かー

それとも付き合い初めて時間が経ったからかー


理由は分からないー


でもー

啓太には、どうしても気になることがあったー。


それはー

麻奈美が、怖いものを見ると、怖がるようなそぶりを

見せるようになったことだー。


前と変わらず、お化け屋敷や、怖い話が好きなのは変わらないー。


だが、前のようにニコニコして見ていた麻奈美とは、

少し違う気がするー。


今は、楽しそうにしながらも、すごく怖がっていてー

”喜びながら苦しんでいる”ようにも見えるー


”もしかしたらー”

啓太は、そんな不安を最近は抱いているー。


あの時ー

お祭りで”階段から転がり落ちて”

元に戻った二人ー


でも、実はー

”元に戻ってなくて”

階段から降りた二人が、

自分が自分であったことを認識できなくなっただけなのではないかー、と

そう思ってしまうー。


麻奈美の中には、今も紗有里がいてー

紗有里の中には、今も麻奈美がいるー


けれど、紗有里は自分を麻奈美だと思い込んでいてー

麻奈美は自分を紗有里だと思い込んでいる状態ー


二人は”もとに戻った”と言っているけれどー

実は戻れていないー

そんな状態なのではないかとー。


だからー

無意識のうちに「麻奈美」になった紗有里は、

麻奈美として生活しながらも、

無意識のうちに、少し積極的になったりー、

怖い話を怖がったりするのではないかー、とー。


「ーーー」

啓太は教室の外を見つめるー。


けれどー

それを確かめる方法はーー

もう、ないー。


あれから数か月も経過してしまったー。

もう、どうすることもできないー。


”どうすることもできない不安”を払拭するかのように、啓太は

首を振るとー


「朝倉さんは、朝倉さんだー」

と、自分に言い聞かせるかのように、静かにそう呟いたー。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


お祭りが舞台の入れ替わりモノでした~!

結局、二人が元に戻れているのかは、謎のまま…☆!

色々妄想してみてください~☆笑


お読みくださりありがとうございました~!☆

(Fanbox)


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