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女子生徒の綺麗な髪を奪っていく謎の”亡霊”の噂ー。

そんな噂に興味を持った女子生徒・純玲は、

あえて、放課後、亡霊が現れるという時間まで

図書室で待機していたー


そこに現れる幽霊のような姿をした女ー。

かつてこの学校で自殺した女子生徒・リサの亡霊でもあると噂される

その女幽霊は、純玲を洗脳し、純玲の髪をすべて奪ったー。


翌日ー

純玲が学校に来ていないことに違和感を感じた親友の麻央はー…


★前回はこちら↓★

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・・・・・・・・・・・・・・・・・・


昨日まで元気だった純玲が学校を休んだー。


もちろん、ただの風邪かもしれないー。

”前の日、元気だったのに、次の日には体調を崩している”

なんてことは、別に珍しいことではない。


しかしー

どうしても、麻央は気になってしまうー。


昨日、純玲から聞かされた”髪を奪う幽霊”の話がー。


遠い昔、この高校で自殺した女子生徒・リサが、

夜になると、綺麗な髪の子を狙い、その子から

髪を奪っていくー…という都市伝説を。


既に、麻央のクラスでも祐子というクラスメイトが

ここ最近、ずっと休み続けているー。


そんなことはないー、

そう思いながらも、

「まさか、純玲ちゃんも”髪”を奪われたんじゃー?」

と、幼馴染の大介が口にした冗談も引っかかってしまうー。


朝から純玲にLINEを送っている麻央ー。

しかし、その返事は、返ってこないー。


「ーー純玲…」

麻央は、不安そうに、表情を曇らせたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


職員室ー


いつものように、名坂先生が、

教え子たちの集合写真を見つめているー


教育熱心ー…な、わけではない。

彼は合法的に女子高生と一緒に過ごせる職業ー

と、いうことで教師を目指した変質者だー。


眼鏡の女性教師・市川先生が、

今日もあきれ顔でため息をつくー。


「ーー生徒をあんまり変な目で見ないでくださいよ?」

苦言を呈する市川先生に、

名坂先生は「当たり前じゃないですか。僕は大人ですよ。

どこまでが合法で、どこからが違法かぐらい、弁えているつもりです」

と、笑いながら答えるー。


「はぁ…」

市川先生は、そうため息をつくと、話題を変えるー。


「ーそういえば、A組の香原さんーー」

市川先生は、昨日、幽霊と遭遇し、洗脳され、髪を奪われた

純玲のことを話題に出すー。


「ーーあぁ、今日は欠席してるらしいですね」

名坂先生が言うと、市川先生は小声で呟いたー


「またー”例の髪を奪う幽霊”の仕業だって噂ですー」

とー。


”髪を奪う幽霊”の噂は、先生たちの間でも広がっていたー。

そして、祐子や他数名の女子生徒は、その幽霊に

髪を奪われたことで、学校に登校できない状態なのだとー。


そういう”噂”も広がっていたー。

だが、校長先生をはじめ、あまり”その話題”に触れたがる人間は

少なかったー。


「ーーーはははははっ!そんな話、信じてるんですか?市川先生」

名坂先生は笑いながら言うと、

「髪の綺麗な子を狙う女幽霊なんて、いるわけないでしょう」

と、うすら笑みを浮かべながら呟くー。


「ーーそ、それはそうですけどー」

市川先生は戸惑いながら、少し恥ずかしそうに自分の髪を触るー。


「ーーまァーーーー

 少なくとも、”幽霊”なんて、いないと思いますよー」

変態教師・名坂はそう呟くと、静かに笑みを浮かべたー


・・・・・・・・・・・・・・・


それから数日が経過しても、

純玲は学校にやってこなかったー。


「ーーさすがに、少し心配だな…」

麻央の幼馴染・大介がそう呟くと、

「うん…」と、麻央はスマホを握りしめながらうなずくー。


「ーー連絡は取れたのか?」

大介の言葉に、麻央は頷きながら、

「連絡は取れたんだけど…」と、

純玲とのLINEの会話画面を見せるー。


確かに、純玲から返事は返ってきているー。


しかし、返事はそっけないものがほとんどで、

”放っておいて”

”ごめん”

”うん…”

”こわい…”

など、要領を得ないものも多かったー。


「ーー……純玲ちゃんらしくないなぁ…」

と、大介は困惑の表情を浮かべるー


「ーーやっぱり、本当に”髪を奪う幽霊”にやられたんじゃ…?」


その大介の言葉に、さらに不安になった麻央は、

純玲の家に足を運び、純玲に会うことを決意したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


♪~~~


純玲の家のインターホンを鳴らすー。


応答したのは、母親だったー。


「ーーー…あ、、あの…花村です…

 お久しぶりです」


純玲の母親と、麻央は面識があるー。

丁寧にあいさつをすると、

純玲の母親は、インターホン越しに

”麻央ちゃん…”と、呟いたー。


「ーー純玲ちゃんが…心配で…」

そう呟きながら、かばんから、

学校で先生から預かったプリント類も取り出すー。


「ーー学校のプリントも持ってきましたー」

その言葉に、純玲の母親は、”少し待っててね…”と呟くと、

純玲本人に確認に行ったのか、数分待たされた末にー

”ーーー…どうぞ”と、返事が返ってきたー。


「ーーお邪魔します…」

不安そうに、純玲の家に足を踏み入れた麻央は

階段を登りー、

そして、純玲の部屋をノックしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


麻央が純玲の家に足を運んだ同時刻ー


女が、空き教室に入ると、

空き教室の中を乱暴に荒らし始めるー。


「ククククク…」

その女は、笑いながら何かを取り出すとー

幽霊のような白装束と、幽霊のような髪を演出するかのような、

長い黒髪のウィッグを取り出したー


「ーわたしは…幽霊…くふふふふふ」

女はそう呟きながら笑うと、

近くに隠してあった”黒髪”を手に、その匂いを嗅いだー


「ん~~…女子の髪…」

そこには、少し前に奪った純玲の髪が隠されていたー


純玲の切り取られた髪の匂いを嗅いで、

嬉しそうに微笑む女ー。


女は、満足そうに微笑むと、

そのまま夜の校舎を徘徊し始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーす、、純玲…」

純玲の部屋の中に足を踏み入れた麻央は、

思わず、戸惑いの声をあげたー。


純玲は、頭を帽子で隠していて、

目も虚ろー。

すっかり、元気がなくなり、別人のようになってしまっていたー。


あの日ー

”洗脳”されて、髪を自ら切り落とした純玲は

正気に戻っていたものの、

強い精神的ショックを受けて、部屋に引きこもっていたー。


「ーー…………麻央…」

純玲は、ようやく口を開いたー。


帽子をかぶってはいるものの、そこからは

髪が見えずー、

髪の長かった純玲が”髪を失って”いることが、

一目でわかったー


「ーーな、、何が…あったの…?」

麻央が震えながら聞くと、

純玲はガクガクと身体を震わしながら「幽霊…」と、呟くー


目から涙をこぼしながら、

はぁ、、はぁ、、はぁ…と過呼吸のような状態になってしまう純玲ー。


「す、、純玲…ごめん!大丈夫…落ち着いて!」

麻央が純玲を慌てて慰めようとすると、

ひどく怯えた様子で「触らないで!」と、叫ぶー。


麻央はビクッとしてしまうー


そしてー

麻央を振り払った際に、純玲の帽子が落ちるー。


純玲の髪はー

ほとんどなくなっていてー

ショッキングな光景が、そこには広がっていたー。


「ーーあぁ…ぅぅぅぅぅ…」

純玲がその場で顔を覆って泣き出してしまうー。


「ーー純玲…!大丈夫…!大丈夫だから…!

 わたし、何があっても、純玲の友達だから…大丈夫!」

麻央が、”髪のことは笑わない”という意味も込めて、

必死に慰めるー。


そんな麻央の様子に、少しだけ安心したのか、純玲が

「ーーあの日…」と、弱弱しく呟いたー。


図書室で”髪を奪う亡霊”の都市伝説を確かめるために

時間をつぶしていたことー。


最終下校の時間が近づいて、

図書室から外に出た時に”幽霊”が現れたことー


幽霊と会話しようとしたものの、幽霊はこちらの言葉が

通じる様子ではなかったことー


そしてーー


「気づいたら…わたし…こんな風に…」

純玲は、洗脳されている間の記憶がないー。

気づいたら、髪が無残な状況になっていたのだー。


「ーーー…純玲…」

麻央は、純玲を慰める言葉を何度も何度もかけると、

再び震えだした純玲を見て、立ち上がるー


「また来るから……急に来てごめんね」

麻央はそれだけ言うと、純玲の部屋の外に出て、

純玲の母親と少し会話を交わしてから、

純玲の家の外に出たー。


「ーーおじゃましました」

純玲の母親に頭を下げるー。


自分の家に向かいながらもー

麻央は、身体の震えを抑えることができなかったー。


”幽霊”ー

そういう話が苦手な麻央にとって、

純玲の話を聞くだけで、恐怖を感じてしまうー。


しかしー

その一方で、いつも明るい純玲が

あんな状態になってしまっていることに

激しく同情すると同時に、

”幽霊”に対して激しい怒りも感じたー。


麻央は、家に帰ってからも、

純玲のことー

”髪を奪う幽霊”のことを考え続けたー。


「ーーーーーーー……」

髪を奪われる前の純玲によれば、

”幽霊”は、昔に自殺した女子生徒・リサのものだと

噂されているらしいー。


麻央は、その”リサ”という子のことを知らないー。

その子が自殺したのは遠い昔のことだから、

当然と言えば当然だー。


色々なことを考える麻央ー。


そしてー

あることを決意したー。


意を決した麻央は、スマホを手にすると、

深呼吸をしてから、行動を実行に移したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


翌日ー。


麻央は、図書室で一人、放課後に勉強を続けていたー。


身体が恐怖で震えるー。

冷や汗が垂れてくるー。


それでも、麻央は逃げなかったー

親友の純玲や、それ以前から”謎の欠席”を続けている

祐子や、他の生徒たちのためー。


そしてー

麻央は、最終下校時間が近づいてくると、

緊張した様子で図書室の戸締りを終えてー

外に出ようとしたー。


その時だったー


「お前の、綺麗な髪が、欲しいー」

白装束に、長い髪で顔の隠れた幽霊のような女が

姿を現したー


「ーーー!」

麻央は、恐怖におびえながら、図書室の方に引き返していくー


女幽霊が、図書室に入り、

「髪が、欲しいー」と

麻央に声を掛けるー


麻央は「あ、、あ、、あなたは、、あなたは、、誰…?」と

震えながら、ようやく声を絞り出すー。


「お前の、髪がー欲しい」

しかしー

幽霊の格好をした女は、麻央の問いかけには答えずー

麻央の方にゆらゆらと近づいてくるー。


「ーーり、、り、、リサさんですか!?」

麻央が叫ぶー。


かつて自殺した女子生徒・リサの名前をー。

面識はないが、もし目の前にいる幽霊が、

そのリサならー


「ーーーお前の、髪がーーー欲しい」


だがー

幽霊の格好をした女は、反応を示さなかったー。


「ーーー!」

麻央は、ふと図書室の入口の方から、

赤い光のようなものが差し込んできたのに気づくー


「ーーーぁ…」

それを見た麻央はーー

虚ろな目になってー

意思を失った人形のように、立ち尽くすー。


「さぁ、髪をよこせ」

幽霊の格好をした女が呟くー


麻央は、幽霊の格好をした女から、ハサミを

受け取ると、そのまま自分の髪にはさみを向けるー。


その時だったー


「ーーやめろ!!!!!!!」

図書室に、幼馴染の大介とー

大介に腕を掴まれた男が、

飛び込んできたのだったー。


幽霊のような恰好をした女は、無反応ー

麻央は、ハサミを手に持ったまま、動きを止めるー。


”わたしが幽霊と会うから、大介に”見張り”をお願いしたいのー”

麻央から、事前にそう相談を受けていた大介はー

”すべて”を見ていたのだったー



③へ続く


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次回が最終回デス~!

果たして”髪を奪う亡霊”の真相は…?


今日もお読みくださりありがとうございました~!

(Fanbox)


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