<他者変身>過保護なお父さん~娘に近づく男は排除する~③(完) (Pixiv Fanbox)
Content
娘の麻衣を溺愛する父親の省吾。
省吾は、麻衣に彼氏ができたことを知り、
”これまでもそうしてきたように”
娘の姿に「他人に変身する力」を用いて変身、
麻衣の姿で彼氏の俊に接触し、”わざと”俊から嫌われるような行動を
繰り返したー。
全ては、麻衣から彼氏を引きはがすためだー。
そんな最中、不良に絡まれた麻衣の姿をした省吾は、
彼氏の俊を見捨てて逃亡するー。
一方、そんな様子を見ていた麻衣の親友・星来は、
映画館から出て来て、歩いていた”本物の麻衣”に対して、
「彼氏を見捨てて逃げるなんて!」と激怒、
まさか”父親が自分の姿に変身して彼氏を追い払おうとしている”
などと夢にも思わない本物の麻衣は、星来に事情を問いただすのだった…。
☆前回はこちら↓☆
fanbox post: creator/29593080/post/2509534
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--俊くん、大変なのよ!!
一人で逃げて、よくそんな顔してられるね!?!?」
親友の星来が叫ぶー。
「え?ちょっと待って…何言ってるの?」
本物の麻衣は、状況が飲み込めずに、困惑するー。
「-急に映画館から俊くんを外に連れ出して、
ラブホが何だの言いだして…
絡まれたら、俊くんを置き去りにして逃げるなんて…」
星来が信じられない、という様子で言うー。
だが、星来が見ていたのは、
麻衣の父親が変身した麻衣ー、つまり”偽物だー。
本物の麻衣からすれば、
今、星来が口にした言葉なんて、全く記憶にないー。
「---…あ、、、あの、星来、落ち着いてー…
全く話についていけないんだけど…!」
麻衣が言うと、
「-あ~!そうやってとぼけるんだ!?」と、
星来が呆れ顔で言うー。
「-そんなんじゃ、男子に嫌われて当然でしょ!
だから、仲良くなった男子がみんな
遠ざかっていくんだと思うよ!」
怒りっぽい口調で続ける星来ー。
「--ちょ!ちょっと!何のこと!?
ちゃんと説明してよ!」
”理不尽に親友から怒られた”麻衣は、
少し腹を立てて、そう言い返したー。
星来は呆れた様子で今までの出来事を簡単に話したー。
映画館でいきなり麻衣が
「映画を見るのはやめよう」と言い出して俊を連れ出したことー
俊に高圧的な態度を繰り返していたことー
星来は、距離があったため上手く聞き取れなかったものの、
ラブホがどうこう、麻衣が言ってたことー
それが原因で不良に絡まれて、俊を見捨てて
麻衣が一人で逃げ出したことー
そして今、何食わぬ顔で、麻衣が普通にこの場所を
歩いていたことー
星来は説明し終えると、
「自分が一番よくわかってるでしょ」と、言い放つー。
「--…う、、う~ん…全然分からないー…
わたし、俊に映画館で置き去りにされて
さっきまで一人で映画見てたんだけど…」
と、麻衣は困り果てた様子で呟くー。
「--はぁ?そんな嘘ー」
星来が声を荒げると、麻衣は「ホントだってば!」と、
映画館から出る直前に、おみやげでキーホルダーを買ったことを
思い出して、そのレシートを見せたー。
「---え…」
星来は唖然とするー。
レシートの時間は、確かに、さっき俊と麻衣が一緒にいた時間帯ー。
「---…わたし…ホントにずっと映画館にいたんだよ!
映画が始まる前に、トイレに行ったんだけど、
トイレから出てきたら、俊、急に消えちゃうし…」
麻衣の困り果てた表情を見て、
星来は「ご、、ごめん…」と、麻衣に謝るー。
麻衣は「いいけど…」と、困り果てながら言うと、
星来も麻衣も、ほぼ同時に、同じ言葉を口にしたー
「--じゃあ、俊と一緒にいた麻衣は誰ー?」
「--星来が見たわたしに似てる人は、誰ー?」
とー。
麻衣と星来が顔を見合わせるー。
星来は”そういえば、俊くんと映画館から出て行った麻衣はー…
トイレじゃない方向から出てきてたー”と、頭の中で考えるー
「--俊は今、どこにいるの?」
麻衣がハッとした様子で叫ぶー。
星来の話通りなら、俊は不良に絡まれたままだー。
「--あ、、えっと、案内する!ついてきて!」
そう言うと、星来は慌てた様子で走り出したー。
麻衣も慌てて星来についていくー。
「ところで星来、なんでわたしと俊の行動、
全部知ってるのー?」
麻衣が純粋な疑問を口にするー
「えっ!」
ギクッとしながら、星来は「そ、それはー…」と呟くー。
親友の麻衣の”初めての彼氏”との”初めてのデート”が
心配で、探偵ごっこの如く、尾行していたなんて言えないー。
「---そうなんだ…ありがと!」
麻衣が笑うー
「え!?今、わたし、考えてたことが口に出てた!?」
星来が言うと、
麻衣は「うんー。」と苦笑いしたー。
2人は、そんな話をしながらー
俊が不良に絡まれている現場を目指すー
・・・・・・・・・・・・・・・
「----…」
娘・麻衣に変身した父親の省吾は
麻衣の姿のまま、不良に絡まれた現場から
離れた場所までやってくると、
ため息をついたー。
”これで、麻衣によりつく野獣は排除したー”
とー。
「--これは、全部麻衣のためなんだー」
全てはー
大事な大事な娘に
変な男が寄り付かないようにするためー。
「----」
麻衣の姿に変身して
”わざと嫌われる”ような行動をしー、
そして、麻衣から男を遠ざけるー。
父・省吾は今までにも、何度も何度もそうしてきたー。
だがー
「--------」
「--彼女を見捨てることなんてできないー。
彼女を守るのは、彼氏の役目だー」
不良に絡まれた麻衣の姿をした俊のことを思い出すー。
麻衣の姿で、嫌われるような言動を繰り返した省吾ー
俊も、当然イヤな気持ちをしただろうー。
だがー
それでも、俊は、”彼女である麻衣”を助けるためー
不良たちから麻衣を庇ったのだー。
「あいつ、今頃、不良にボコボコにされてんのかな?」
麻衣の姿をした省吾は呟くー。
「--ま、知ったこっちゃねぇか。
これで、麻衣からあの彼氏も離れるだろー」
そう呟いて、変身を解除しようとする麻衣の姿をした省吾ー。
しかしー
「--------」
髪をぐしゃぐしゃとかきむしると、
「-でも、あいつ、いい奴だったな」と、呟くー。
認めたくはないがー
正直、娘の麻衣に出来た”初めての彼氏”である俊は
とても良い男だったー。
麻衣のことが好きだというのが伝わって来たし、
麻衣のフリをして、どんなに失礼な行動を繰り返しても、
俊は、麻衣を助けようとしたー。
「--くそっ!」
そわそわした様子で呟くと、麻衣の姿をした省吾は、
さっきまでいた場所に向かって走り出したー
”女子高生”として振舞う気もなくー、
猛ダッシュで街を駆け巡るー。
周囲が驚くのもお構いなしー。
そしてー
「--もうやめろ!!!!」
麻衣の姿のまま、省吾は、そう叫んだー
三人組の不良が、驚いて、麻衣の姿をした省吾の方を見つめるー。
不良たちに殴られた彼氏の俊も驚いているー
「なんだぁ?さっきのラブホに行きたがってた女じゃねぇか!」
不良の一人が笑うー。
「やっぱ俺たちと行く気になったのか?」
ニヤニヤする不良ー。
”彼女のため”にボロボロになった俊の方を見つめる麻衣の姿をした
省吾ー。
「-----」
俊のことを見つめると
”君はそこまで娘のことを想っているんだな”と、心の中で呟くー。
そして、不良たちの方をキッと、見つめたー
さっきは、身体の変化に驚いてしまったー。
今までにも麻衣の姿に変身して、男を追い払ったことは何度もあったが
不良に絡まれるのは初めてで、
身体自体の力や体力の違いに、驚いてしまったがー、
”それが分かっている”今は、話は別だー。
”麻衣の姿でも、こいつらを追い払うことぐらいはできるー”
麻衣の姿をした省吾が、不良たちと戦いを繰り広げ始めるー。
麻衣の姿をした省吾が、髪を振り乱しながらー
俊敏な動きで、不良たちの攻撃をかわすー。
”娘の姿で、相手に暴力を振るうのはまずいからなー”
そう思いながら、相手の攻撃をかわしたりー
相手の攻撃をうまく避けて、同士打ちさせたりー、
”自滅”を狙っていく麻衣の姿をした省吾ー。
”す、、すげぇ…”
俊は唖然としながら、麻衣の姿をした省吾の方を見つめるー。
可愛らしい容姿の麻衣が、
まるで、ヒーローのように戦っているー
そんな姿に、俊は、感動のような感情を覚えたー。
「---!」
麻衣の姿をした省吾が、不良たちの攻撃を喰らいながらも、
なんとか、不良たちを追い込んでいくー。
そこにーー
本物の麻衣と、親友の星来が駆けつけたー
「俊!」
本物の麻衣が叫ぶと、俊は「え…?麻衣…?」と
混乱した様子で、
本物の麻衣と、不良と戦っている”偽物”の方を見比べたー
本物の麻衣と共に駆け付けた星来も唖然としているー
「え…麻衣が二人…?
何これ…?
双子ー…?」
”本物”と”偽物”がいるー
それは、さっきの、本物の麻衣との会話で理解していたがー
いざ、こうして、”同じ場所に二人揃っている”状況を目にすると
非常に不思議な感覚だったー
偽物の麻衣に、攻撃を避けられて、
不良の一人のパンチが、別の不良に命中するー。
不良たちは、既にボロボロだったー。
麻衣の姿をした省吾は、一度も攻撃していないのだがー
攻撃を避けられた際に、仲間に攻撃があたったり、
躓いたりしているうちに、ダメージが蓄積されていたのだー
「くそっ!なんなんだこの女ー」
「--もういい、帰るぞ!」
”遊び半分”のつもりで絡んだやつらに、こんなに痛い目に
遭わされるとはー。
”わりに合わない”
そう思った不良たちは、逃げるようにして
退散していったー。
「---ど、どういうこと…なんだ?」
俊が戸惑いながら言うと、
麻衣は「わたしも、よく分からないんだけど…」と、苦笑いしながら
俊の身体を心配するー。
俊が「大丈夫」と、安心した様子で言うと、
麻衣も安心した様子で立ち上がってー
”偽物の麻衣”の方に向かって歩き出したー。
麻衣の親友・星来も、”偽物の麻衣”の方を見つめているー。
「--あなたは、いったいー」
本物の麻衣が言うと、
振り返った偽物の麻衣は、表情を曇らせたー
「-----麻衣のこと…大切にするあまりー
守ってやらないと…って思ってー
今までもこうして、麻衣から、男を遠ざけて来たー」
偽物の麻衣が言うと、
本物の麻衣は、悲しそうな表情を浮かべるー
本物の麻衣と偽物の麻衣、二人が向き合っていると
本当に”双子”のように見えるー
「男は野獣だから、お前に近づけちゃいけないーーって」
偽物の言葉に、本物の麻衣は、「もしかして、お父さんー…?」と、
驚いた様子で呟いたー。
「---ーーー」
無言でうなずく偽物の麻衣ー。
「-でも、ちがったー」
偽物の麻衣が、変身を解除して、自分の姿ー
麻衣の父親である省吾の姿に戻るー。
「--!?」
「---!!」
彼氏の俊も、親友の星来も驚くー
「--野獣は俺だったー。
お前を守ろうとするあまり、
俺は、俺自身がお前を傷つけていることに気づけなかったー
本当に、すまなかったー」
省吾が、麻衣の方を見つめながら頭をさげたー
「---お父さん……」
麻衣は、それだけ呟くと、
省吾の方を見て叫んだー
「--じゃあ、わたしの姿になって、今までも
同じようなことしてたってこと!?
それと、わたしの姿で変なこともしてたってこと!?」
その言葉に、省吾はー
「へ、変なことはしてない!絶対に!」と、
慌てて叫ぶと
他のことはすべて認めたー。
誠吾は「もう二度としない」と、変身するための薬も力も
捨てることを約束したー。
麻衣は、呆れた様子で頷くとー
「-お父さんのバカっ!」と、省吾の頬を思いっきりビンタしたー。
そして、ビンタしたあとにー
「--でも、そんなに心配してくれてー
そこは、ありがとうー」
と、少しだけ照れ臭そうに呟いたー。
「--でも、もう、こんなこと絶対にしないでねー。
みんなにも、色々迷惑かけちゃってるしー」
麻衣の言葉に、省吾は「そうだな…」と、申し訳なさそうに言うと、
麻衣は、父の省吾の手を引き、
唖然としている星来と俊に対して、
「お父さんが迷惑かけて…わたしからも、ごめんなさいー」
と、本当に申し訳なさそうに謝罪したー。
省吾も謝罪の言葉を述べるー
そして、俊の方を見てー
「本当に申し訳なかったー
どうか、娘のこと、よろしくお願いしますー」と、
深々と頭をさげたー。
父・省吾は、娘の彼氏のことを、認めたのだったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その日以降ー
父・省吾は娘に変身することはしなくなったー
親友の星来の誤解も解け、
星来との関係も、相変わらず良好ー。
彼氏の俊とも良好な日々が続いていたー
しかし、ある日ー
「--ごめん。やっぱり、自分の気持ちに嘘をついたまま
付き合い続けることは、麻衣にも失礼だと思うからー」
昼休みに俊に呼び出された麻衣は、
俊に振られてしまったー
”他に好きな人が出来た”
とー。
麻衣はショックを受けながらも、それを承諾したー。
俊はー
どうしてもー
どうしても、自分の気持ちが抑えられなくなってしまったー
このまま”あの人”のことを思い浮かべながら
自分の気持ちを騙して、麻衣と付き合い続けることはできないー。
俊は、その日の放課後ー
”意中の人”を呼び出したー。
「----俺ーーーー
あなたのことが忘れられないんですー!
あの日、俺のために戻ってきて
不良と戦うあなたは、かっこよかったー!
どうかー
どうかー
俺と、、俺と付き合ってください!」
その言葉にー
俊を”新たな意中の相手”
麻衣の父親・省吾は、思わず間抜けな声で「は?」と呟いたー。
”麻衣に変身した省吾”が
不良を撃退するために戦っている姿を見た俊はー
惚れてしまったのだー
”かっこいい麻衣”にー。
「----は???え????? ん?????」
まさかそんなことになるとは思っていなかった
麻衣の父・省吾は、状況を飲み込むのに、
この後、何分も時間を要するのだったー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
ハッピーエンドかと思いきや、
お父さんの返答次第では、あまり良くない方向に
進みそうな感じもしますネ~笑
お読み下さりありがとうございました!!