Home Artists Posts Import Register

Content

娘を溺愛する父親・省吾は、

娘の麻衣に俊という名前の彼氏ができたことを知り、

発狂したー。


”男はみんな獣だ”

その持論を元に、娘を守るため”他人に変身する能力を使い、

娘の姿に変身し、娘に近づく男を、これまで何人も”撃退”してきた父・省吾。


娘に初めて彼氏ができたことを知った省吾は

早速行動に出たー。


麻衣と俊のデートの最中ー

映画館で麻衣がトイレに行ったタイミングを見計らいー

麻衣に変身した父・省吾は、麻衣のふりをして、映画館から

彼氏の俊を連れ出したー。


そんな様子を、麻衣を応援するために麻衣を尾行していた

親友・星来は不思議そうに見つめていたー


”トイレに入ったはずの麻衣が、トイレじゃない方角から出て来たー”

と思いながらー


☆前回はこちら↓☆

fanbox post: creator/29593080/post/2490304

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「あれ…?俊、どこに行ったの‥?」

映画館のトイレから出て来た麻衣は、困惑していたー。


”ここで待ってる”と言っていたはずの彼氏・俊の姿が

無くなっていたからだー。


「---え…?俊…?どこ?」

戸惑う麻衣ー。

しかし、周囲を見渡しても、俊の姿が見当たらずー

麻衣は、”先にシアターの方に移動したのかな?”と、

映画が上映される3番ホールへと向かうー。


だがー

座席にも俊はおらずー、

「どこ行っちゃったんだろう…?トイレかな?」と

思いながら、麻衣は”映画もう始まっちゃうよ!”と、

俊に対してスマホでメッセージを送るのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「--急にどうしたんだよ?」

一方、彼氏の俊も、麻衣と同じように戸惑っていたー。


麻衣の父親・省吾が娘の麻衣の姿に変身して、

麻衣のふりをして、俊を映画館から連れ出したのだー。


省吾の”変身”は完璧だったー

顔も、声も、体格も、服装も、

完全に相手と同じものに変身できるー。


絶対に、他人が、”目の前にいる麻衣は偽物だ”と

気付くことは出来ないー。


「--映画とかさ、わたし、ホントは見たくなかったの!」

クスッと笑う麻衣ー。


「え?でも、麻衣から行こうって言いだしたんじゃ…?」

戸惑いながら、俊はそう言い返すー。

確かに、麻衣から映画館に行きたいと言い出したのだー。


それなのに、どうしてー?


「ーー男ってさ、口先だけのやつが多いから、

 ホントにわたしに尽くせるかどうか、試してあげたの。

 わたしが「映画館に行きたい」って言ったら

 ちゃんと連れてってくれるかどうか…

 それを、試したの。」


”我ながらイヤな女だな”と思いつつも、

麻衣に変身した父・省吾は、”彼氏”の俊に嫌われるために

イヤな女を演じるー。


麻衣の名誉を傷つけることにもなってしまうかもしれないが、

それでも、麻衣に男が寄り付くよりかは

”100倍”いや、”1000倍”マシと言えたー。


俊のような優しい彼氏だって、麻衣を傷つけるかもしれないー

麻衣の身体目的かもしれないし、

麻衣と喧嘩するかもしれないー。


”男から娘を守るのが、父さんの仕事だ!”

歪んだ愛情を正当化し、麻衣に変身して、麻衣のフリを続ける省吾ー


「--そ、そうなんだー」

俊は明らかに引き気味の表情で笑ったー。


「--俊は、まぁ合格ってとこね。

 わたしとのデートする権利を得たってところかしら」


上から目線で呟く偽物の麻衣ー。


「---…」

俊の表情から笑顔が消えたー。


”よしー。

 麻衣からとっとと離れるんだ。

 何なら、別れの言葉でも切り出すか?”

邪悪な笑みを浮かべる麻衣に変身した省吾ー。


とにかく、この彼氏が麻衣から離れてさえくれれば、

それだけでいいー。


”ほら、イヤな女だろ?とっとと別れよう、な?”

麻衣の姿をした省吾がそう思いながら、俊のリアクションを見るー


その背後から、二人を尾行している

探偵姿の少女は、麻衣の親友、星来ー。


星来は、麻衣にとっての初めての彼氏、ということで、

俊との関係が上手く行くことを願い、

今日の初デートにこっそりついてきていたのだー。


”-ちょっと ちょっと ちょっと 何してんの!?”

心の中で不満を口にする星来ー。


映画館でトイレに行ったと思ったら、トイレとは違う方向から

出て来た麻衣ー。


しかも、急に映画館から俊を外に連れ出して、

少し距離があるから、はっきりと会話の内容は聞こえないが、

なんだかものすごく失礼なことを俊に対して言っている気がするー。


”--あぁぁ~~~…もう…じれったい…”

星来は、ウズウズしながら二人の様子を見つめるー。


「ーーわかった」

星来が見つめる先で俊が笑みを浮かべたー。


「--合格できてよかった。で、本当はどこに行きたい?」

俊が笑顔で言うー。


「--!」

麻衣に変身している省吾は、表情を歪めたー。


”なんだこいつ?賢者みたいなやつだな”


いきなり映画館から連れ出されてー

上から目線の発言をされたのにも関わらず、

笑顔で受け答えする俊を見て、麻衣に変身している省吾は

さらなる手段を思いついたー。


「--わたし…ラブホに行きたいの」

麻衣の姿で、俊に対してそう言い放つ麻衣ー。


優しい俊も、さすがに表情を歪めたー。


本物の麻衣から、この前聞いた話によればー

俊は、エッチな話題がニガテで、そういう話をしている

男子からは距離を置いているタイプらしいー。


そんな俊をラブホに誘えば、さすがに俊も引くだろう、と、

そう思って、そう言い放ったのだー


「--そ、、そういうのは、ちょっとー」

俊が困ったような表情を浮かべながら頭をかきむしるー。


「--え~~~?どうして~~~~~~?」

わざと煽るような口調で呟く麻衣ー。


「-わたし~ラブホで俊とヤリたいの~!」

麻衣の姿でとんでもないことを言ってのける父・省吾ー


”これで、この彼氏も離れていくだろうー”

省吾はそんな風に思いながら、

”これも麻衣のためだー”と、ドヤ顔をするー。


「------……ごめん…それは…ダメだよ。

 麻衣のこと、大切にしたいし…

 それに…」

俊は、困り果てた様子でそう呟いたー。


「--ふ~ん…俊って思ったより意気地なしなんだね」

麻衣の姿をした省吾がいじわるそうに微笑むー。


「---…」

俊の表情がみるみる曇っていくー


”幻滅している”

そんな感じだー。


”いいぞー。娘からとっとと離れるんだ

 娘は誰にも渡さない

 娘には男を寄り付かせない”


麻衣の姿をした省吾が勝ち誇った表情で、

険しい表情を浮かべている俊を見つめるー。


これまで、何人もの男を遠ざけて来たがー

”彼氏”が出来たのは初めてだったー。

さすがに彼氏、なかなか手ごわい感じだったが、

これで終わりだー


「--彼女がラブホ行きたがってるのに拒むとか、

 男として最低!


 なに?なにその顔?

 わたしのこと嫌いになった?」


”麻衣も、その気になればこんな”イヤな女”みたいな

 声、出せるんだな…”


と、本物の麻衣が絶対に出さないような声を

出している事実に、父・省吾は少し興奮しながら

俊の反応を待ったー


俊は、険しい表情で考え込んだあとに、

口を開こうとしたー。


しかしー


「-(ちょっと、麻衣ってば何言ってるの?)」

物影から麻衣たちの様子を見ていた親友・星来は

”ラブホ”がどうこうというワードが聞こえてきて、

呆れ顔をしていたー。


「(俊くん、引いてるじゃん!

  も~~!距離感とか分からないの?)」

今、見つめている麻衣が”偽物”だとも知らずに

麻衣の態度に不満を抱く星来ー


その時だったー


「--へへへへへっ可愛いねぇ~!」


男の声が響きわたったー。


三人組のいかにもガラの悪い男が

俊と麻衣の姿をした省吾の方に近づいてくるー。


「--お嬢ちゃん、ラブホに行きたいんだぁ~。

 なら、俺たちと行こうぜ?」


「--へへへへ 俺たちなら存分にイカせてやれるからさぁ」


俊と麻衣の会話を聞いていた不良たちが、

2人に絡んで来たのだー


俊は「なっ……」と、戸惑った様子ー。

麻衣の姿をした省吾は”お前らみたいなやつにも娘は渡さん”と

心の中で思いながらー


「--そういうのは、お断りします」

と、堂々と言い放ったー。

省吾は、学生時代に柔道や空手も習っていて、

体術に自信があるー。

この程度のチャラチャラしたやつらなら、いざとなれば

どうにでも出来るー。


「-はぁ~?なんだよ~!ラブホ行きたいって言ってたじゃん!」

「俺らとはいけねぇってのか?」

3人組が不満そうな表情を浮かべるー。


「----知らない人とラブホに行く趣味はないんで

 好きな人が相手だから、行きたいの」


それだけ言うと、俊の手を掴み、

麻衣の姿をした省吾は、俊と共に立ち去ろうとしたー。


しかしー


ガッ!と、不良の一人が、麻衣の姿をした省吾の手を掴んだー。


「---触るな!」

麻衣が大声で叫んで、不良の手を振り払----


えなかったーー。


「--え」

麻衣の姿をした省吾は唖然とするー

相手の不良の力が、思った以上にーーー

強いー。


いやーー


「-へへへ なんだよお嬢ちゃん。

 そんな華奢な身体で俺たちを追い払えるつもりか~?」

不良の一人が笑うー。


乱暴に麻衣の姿をした省吾の手を掴む不良ー


「麻衣!」

彼氏の俊が叫ぶー。


「ーーくっそ…調子に乗るな!」

麻衣として振舞うことも忘れ、父・省吾は、不良の一人に

足を引っかけて倒すと、残りの二人の攻撃をかわして、

反撃しようとしたー。


けれどー

”麻衣の姿”では、そううまくはいかなかったー。


「--(しまった!麻衣の身体じゃーー…)」


”麻衣”に変身している現在の状態ではー

父・省吾は、いつもの実力を発揮することはできなかったー。

運動神経も、身体自体も、省吾とは、差があるのだー


「おらぁ!」

不良の一人が、麻衣の姿をした省吾を殴りつけるー


「ぐあっ!」

麻衣の姿をした省吾が地面に倒れるー。


不良3人が、麻衣の方に迫りながらー

「気の強い女だぜ。滅茶苦茶にしてやりたくなってきたー」

「へへへ ホテルで、あんあん喘がせようぜ」

「--けけけ」

と、それぞれが邪悪な笑みを浮かべるー。


麻衣の姿をした省吾は、背後を振り返るー。

そこには、彼氏の俊がいるー。


”くそっ…ここで変身を解除すれば、こんな雑魚ども

 簡単に追い払えるんだが…”


彼氏の俊に見られているこの状況でー

いきなり男にー

父である省吾に戻るわけにはいかないー


父親としても終わるし、

色々とやばいー。


”でも、このままじゃ…”

迫りくる不良たちを前に、悔しそうな表情を浮かべる麻衣の姿をした省吾ー。


”麻衣、かわいいからなぁ…

 やっぱ、変な男共が寄り付いてー”


そんな風に思ったその時だったー。


「---やめろ!!!!!!!!!!」

彼氏の俊が大声で叫びー、

両手を広げて、地面に手をついたままの麻衣を

守るようにして、麻衣の前に立ったー。


「--あん?」

不満そうな表情の不良ー。


「---あ、、あんた…いや…俊…」

麻衣の姿をした省吾は、そう呟くと、

「--早く逃げて」

と、俊は優しくほほ笑んだー。


「---…え…」

唖然としている麻衣の姿をした省吾に対してー

俊は続けたー


「--彼女を見捨てることなんてできないー。

 彼女を守るのは、彼氏の役目だー」


俊の言葉に、

麻衣の姿をした省吾は、一瞬、表情を歪めてからー


「ありがとう」

と呟いたー


そして、背後を振り返って笑みを浮かべたー


”ここで、こいつを見捨てればー

 ”酷い女”だと思って、さすがにこいつも麻衣から

 離れるだろうー”


とー。


ちょうどいいタイミングだったー。


麻衣の姿をした省吾は少しだけ考えると、

そのまま走り出したー。


「(ちょ、、ちょ、、何この状況ー)」

物影から様子を見ていた親友・星来は困惑するー


麻衣がラブホがどうとか言い出してー

不良に絡まれてー

挙句の果てに俊が麻衣を庇って、麻衣が一人逃げ出したー。


(た、、助けを呼ばなくちゃ)ー


そんな風に思いながら、星来は、麻衣が逃げた方向とは

反対側に走り出したー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「----もう!!!!!」

本物の麻衣は映画を見終えて、目に涙を浮かべながら

そう叫んだー


結局、映画が終わるまで彼氏の俊は帰ってこなかったし、

連絡の返事もないー


「--何なの…」

がっかりした表情を浮かべる麻衣ー。


映画館から出て

”もう帰るから!”とLINEを送った麻衣は

不貞腐れた表情でそのまま歩き出したー。


「わたしがトイレに行ってる間に…

 帰っちゃうなんて、酷いよ…」


そう呟きながら道を歩いているとー

親友の星来が慌てた様子で反対側から走って来たー。


「----えっ…ま、、麻衣!?」

慌てた様子の星来ー。


麻衣は首を傾げながら「--え…星来…?」と

目の涙を隠しながら星来の方を見つめるー。


”なんで探偵の格好してるの?”とツッコミたかったが、

そんな間もなく、星来は叫んだー。


「--俊くん、大変なのよ!!

 一人で逃げて、よくそんな顔してられるね!?!?」


星来の必死の叫びに、

状況を全く理解できない麻衣は

「え?ちょっと待って…何言ってるの?」と、

慌てている星来に事情を問いただしたー。



③へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


娘に変身している父親と

何も分からず混乱している娘の運命は…?


次回が最終回デス~!


今日もお読み下さりありがとうございました!

(Fanbox)


Files

Comments

No comments found for this post.