<皮>姫の中に潜む魔物④~根源~(完) (Pixiv Fanbox)
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オークに皮にされる場面を目撃してしまったメイドのリリア。
なんとかしてルミナ姫を助け出そうと奔走していたリリアは
騎士団長の一人・ユリウスに協力を得ることに成功する。
そんな中、同室のメイド・メイから
「姫様を助ける方法を見つけたと告げられたリリアは、
メイと共に地下室へと向かうー。
だが、既にメイは、オークに乗っ取られていたー。
ルミナ姫から乗り換えたオークに…。
そうとも知らず、地下に誘われるリリア。
そして、地下に向かうリリアとメイの姿を
軽口が目立つ騎士団長・レビンが見つめていたー。
★前回はこちら↓★
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地下牢に入ったリリアは、
灯を手にしながら、不安そうな表情を浮かべて、
地下への階段を進むー。
先に進んでいるメイが、邪悪な笑みを浮かべているー。
オークに着られてしまったメイは、
もはや何も抵抗することなどできないー。
オークの意のままに身体を動かされー、
身も心も完全に支配されてしまっているー
(俺…お前…地下に誘う…!)
メイが、口元を歪めるー。
「ぐふふふふふふ…」
思わず、小声で笑ってしまうメイー。
「---メイ…?」
リリアが不安そうにメイの名前を呼ぶと、
メイは「姫様の役に立てるのが、嬉しくてー」と、
リリアの方を振り返ってほほ笑んだー。
「--ーーー…うん」
”ルミナ姫を助けたい”という思いは、同じー。
メイは、リリアの反応を確認すると、
さらに奥へと進んでいくー。
「-ねぇ、リリア、そろそろ聞かせて…?
どうやって姫様を助け出すの?」
”姫様を助ける方法を見つけた”
その言葉は信じたいー。
だが、どうしても、地下牢にそんな方法があるとは思えなかったー。
「-ーレビン様に何を聞かれたの?」
リリアが不安そうに言うー。
メイは”姫様が皮にされている”と、王国の重鎮たちの前で
言い放ったあと、”事情聴取”と称して
騎士団長のレビンの部屋に連れられていったー。
その後、数日間、メイは消息不明の状態だったー。
レビンに何を聞かれたのかー
あるいは”何か”されたのかー。
「---…いいから、あたしについてきて」
メイは答えなかったー。
「---…メイ…?何で隠すの?」
リリアが不安そうに言うー。
メイはイライラした様子で振り返るー。
乗っ取った相手の記憶を読み取ることが出来る故に、
ある程度冷静に振舞えているがー、
ルミナ姫を乗っ取り、メイに乗り換えたオークは、
元々ごく普通のオークー。
怒りをコントロールできるほどの知性を持ち合わせていなかったー。
「---いいから」
メイが怒りの形相でリリアを見つめるー。
「--姫様、助けたいでしょ?」
メイの言葉に、リリアは首を振るー。
「助けたいけど…なんかメイ…変だよ…
こんな地下に来て…何をするつもりなの?」
リリアは涙目でメイの方を見て叫んだー。
メイとは、共にメイドとして姫を支えて来た間柄ー
だから、リリアには分かるー
今のメイは、”様子がおかしい”とー。
「---いいから来い!」
メイが乱暴な口調で、リリアの腕を掴むー
悲鳴をあげるリリアー
メイに抵抗することもできず、
リリアは地下牢の奥深くに引っ張られていくー。
そしてーーー
地下牢の深部にたどり着いたー
メイが、リリアを容赦なく突き飛ばすー。
「---メイ…!どうしちゃったの!?メイ!」
地面に手をつきながら、泣きながら叫ぶリリアー。
「ぐふふふふふふふふ」
メイが口から涎を垂らしながら笑うー。
野蛮な、笑い方ー
「----!!」
メイが何も言わずとも、直感的に、リリアは悟ったー
「まさか…メイ…あのオークに!」
リリアは叫んだー。
メイは凶悪な笑みを浮かべながら、
斧を手にすると、リリアに襲い掛かって来たー。
「--お前…邪魔…!
お前…殺せと…言われた!」
メイが、オークの口調でしゃべりながら、
はぁはぁ言いながら斧を振るー。
メイの身体には、重すぎる斧だったがー
オークが強引に、メイに斧を振らせていたー。
リリアが悲鳴を上げながら必死に、メイの斧を避けるー。
狭い地下牢ー。
さらに奥に向かってリリアが逃げ出すー。
「--待て…お前…殺す!」
メイが、腕をギシギシと言わせながら、斧を掴み、リリアを追いかけるー。
リリアは逃げながら思うー。
”お前…殺せと…言われた”
乗っ取られたメイの言葉ー
いったいー、どういうこと?
とー。
オーク一人で、ルミナ姫を乗っ取るなんて、
大それたことが出来るはずもないし、
オークの知能では、そんなこと思いつくわけがないー。
”誰かが”オークに入れ知恵をしているー?
誰かが、あのオークを利用しているー?
だがー
魔物たちの王は遠い昔に討伐され、
現在、アクア王国周辺に生息している魔物はー
”下級”の魔物のみー。
他の魔物を統治できるような、存在はいないはずー
と、なればー
リリアは逃げながら、4人の騎士団長の顔を浮かべるー。
軽口のレビン、メイドを見下すフォボス、
気難しい女性騎士団長のアテナ、そしてユリウスの4人ー。
「-----!」
リリアは、軽口の騎士団長・レビンの顔を浮かべるー。
”メイは、レビンに連れ去られて行方不明にー”
そうこう考えているうちに、地下牢の”一番奥”に
たどり着いたリリアは、表情を歪めたー。
「---姫様!」
そこにはー
”皮にされたルミナ姫”が、椅子の上に置かれていたー。
ルミナ姫を乗っ取っていたオークは、今はメイの中にいるー。
そのため、ルミナ姫は”脱皮した昆虫の抜け殻”のような
無残な状況だったー。
「---ぐふふふふふ…もう…逃がさん」
斧を持ったメイが、後から入って来るー
手をガクガクと震わせているメイー
メイの身体には、この斧は重すぎるー。
だが、なりふり構わず襲い掛かって来るメイー。
リリアは泣き叫びながら必死にそれを回避するー。
やがてー
メイの身体が限界を迎えて、冷や汗をかきながら
斧を落としたー。
「ぐぅ…人間…非力…!」
メイが怒りの形相で叫ぶー。
リリアは、怯えながらメイの方を見つめたー。
その時だったー。
「---!」
リリアは、目を見開いたー。
地下牢最深部の部屋にー
リリア、メイに続きーーー
見覚えのある人物が入って来たのだー
「--よぉ、リリアちゃん」
入って来たのは、軽口の騎士団長・レビンー
「レ…レビン…さま」
リリアが震えているとー、
レビンは、メイの方を見て笑ったー。
そしてー
突然メイの頭を掴むと、容赦なくメイの頭を引き裂くようにしてー
中のオークを引きずりだしたー。
「--メイ!」
リリアは”メイが殺される”と思ったー。
「--やめて…!やめて!!!!!!!!!」
リリアが大声で叫ぶと、
レビンは「おいおい」と笑うー。
「--オークを庇うのか?リリアちゃんー」
レビンは、メイの皮を引きはがして、中身のオークを
引きずり出し、オークを殺そうとしていたー。
「----…え」
リリアが泣きながらレビンの方を見ると、
「--あ、もしかして、リリアちゃん、俺が”黒幕”だと思ってる?」と
いつもの調子で軽口を叩いたー。
「--悪いけどさぁ、俺じゃないんだよなー
黒幕ー」
レビンはそう言うと、「出て来いよ」と、笑みを浮かべたー。
リリアが驚いて振り返ると、
背後に、カメレオンのように姿を消していた人物が
姿を現したー。
そしてー
その人物も、リリアにとって見覚えのある人物だったー。
「---ゆ、、、ユリウス…さま?」
リリアが驚くー。
リリアが”一番信頼できる”と、”姫が皮にされたこと”を
相談し、協力を快諾してくれていた騎士団長ー
ユリウスが姿を現したのだー。
「-お前かー。」
レビンが苦笑いしながら言うと、ユリウスは真剣な表情で
レビンを見返したー。
「ーー私の邪魔をするつもりか?」
とー。
「--ど、どういうことですか!?」
リリアが叫ぶと、レビンが口を開いたー
「そいつが、”黒幕”だよー。
オークに指示を出して、姫様を乗っ取らせた。
でー、リリアちゃんが、姫様を助けようと
しつこく嗅ぎまわっていたから、
メイちゃんを乗っ取るようにオークに指示をして、
リリアちゃんをここで殺そうとしたんだよ」
レビンが言うと、ユリウスは本性を現して、
ニヤッと笑ったー。
「-ー”姫様”は私のものだー」
騎士団長のユリウスは笑うー。
かねてから、ユリウスは、ルミナ姫に一方的に
好意を抱いていたー。
だが、ルミナ姫と結ばれることはかなわず、
ルミナ姫に求婚したところ、断られてしまったのだー。
失意のユリウスは、偶然、”人を皮にして乗っ取る能力”を持つ
オークを見つけたー。
魔物の中にも、この世界の力”エナジー”による能力を持つ魔物はいるー。
このオークは、偶然、
”人を乗っ取る力”を持っていたのだー。
下級のオークで、始末することは、造作もないことだったし、
野放しにしておいても、知能もロクにないため、大したことも出来ないー
だがー
ユリウスは”オークの力”を利用することを思いついたー。
オークと接触し”いい思いをさせてやる”と持ち掛け、
ユリウスは、オークにメイドのアリスを与えて、”皮”にさせたー。
そして、アリスの姿でルミナ姫に接触、
オークはルミナ姫を乗っ取ったのだー。
オークに乗っ取られたルミナ姫と毎晩のようにエッチなことを
楽しみー、オークはルミナ姫の身体で人間としての快感を味わったり、
ルミナ姫として贅沢な生活を送りー
騎士団長のユリウスは、ルミナ姫を手中に収めることに成功したー
レビンは、メイから事情聴取をしたあと、
”オーク以外にも誰かが関わっている”と察知、
メイを解放したあとから、調査を続けていたー。
部屋から返したあとに、メイがユリウスらに捕まってしまったのは
誤算だったがー
他に誰かを巻き込まないためにも、そのことは隠していたー。
他の人間からメイの行方を聞かれた際にも、はぐらかしていたのは
そのためだー。
「--私は、姫様を手に入れたんだ!」
ユリウスが普段の真面目そうな顔立ちを歪めて笑うー。
「--下らねぇ理由だな」
レビンが蔑むようにしてユリウスを見つめるー。
「--ほざけっ!」
ユリウスが剣を手に、レビンに向かうー。
ユリウスが、剣から炎を放つー
「先祖代々受け継ぐ、我が炎のエナジーを喰らうがよい!」
ユリウスが、自らの力を解放し、炎の剣を、レビンに向かって振るうー
だが、レビンが呆れた様子で笑ったー。
「--先祖様も、お前みたいな醜い子孫を見たらー
悲しむだろうよー」
レビンは、そう言うと、突然、周囲にオーロラのようなものが
出現するー
「----!」
ユリウスが表情を歪めるー。
「--俺の能力さー」
騎士団長レビンの”エナジー”による能力
”バトル・オーロラ”
「--綺麗なオーロラだろ?」
レビンが言うと、
「貴様にオーロラなど…似合わんな」
と、ユリウスが歯ぎしりしながら答えるー。
リリアが唖然とする中ー
「--俺もそう思うよ」と、
レビンがユリウスをオーロラで包み込もうとするー。
ユリウスが炎の剣で反撃しようとしたが、
炎は弾かれ、ユリウスの身体は吹き飛ばされたー
「ぐがぁあああああああああ!」
レビンの背後から、姫を乗っ取っていたオークが飛び掛かって来るー。
「だめ!!」
メイドのリリアは、咄嗟にオークに突進したー。
そしてー
必死にオークを、華奢な手で叩くー。
「---く、、くくくく」
起き上がったユリウスが、ルミナ姫の皮を手にするー。
「--皮になった姫様を私が着ればー
もしかしたら私が姫様になれるかもなぁ!」
追い詰められたユリウスが狂気の笑みを浮かべたー
”人を皮にする能力”を持たないユリウスが
皮を着ればどうなるか、ユリウスにも分からなかったが、
このままではやられるー、と思ったユリウスは
凶行に走ろうとしたー。
「やめろ!」
レビンが叫ぶー。
だがー、
オークを叩いていたリリアは、咄嗟に、
そんなことさせない!!!と、ユリウスに突進したー。
吹き飛ぶユリウスー
”ユリウスに着られるぐらいならー”と、
リリアは咄嗟にルミナ姫の皮を自分が身に着けるー
「---ーーー…あなたなんかに、姫様は、好きにはさせません!」
ルミナ姫の声でー
リリアは、必死にそう叫んだー。
”自分が姫を守るー”
その一心で、ユリウスに奪われそうだった姫の皮を
守るために、リリアが着たのだー
「--はは、やるなぁリリアちゃん」
レビンはそう言うと、追い詰められたユリウスを見つめたー。
「ーーーくそっ…!私は、私はただ、ルミナ姫を、この手にー」
ユリウスが悔しそうに叫ぶー。
レビンは憐みの目でユリウスを見つめたー。
「---どんなに表面上真面目でもー
お前のそういう本性を、姫様は見抜いていたんだろうさー」
レビンが言うと、ユリウスは
レビンを睨みつけたー。
もう、ユリウスは何も語らないー
「--あの世で、ご先祖様に詫びて来るんだなー」
レビンはそう言うと、静かに目を閉じて、
ユリウスにとどめを刺したー。
「---ふぅ」
レビンが一息つくー。
地下牢最深部の部屋には、ルミナ姫の皮を着たリリアと、
皮にされたままのメイド・メイがいるー。
「---あ、、あの、レビン様ー」
ルミナ姫を着たリリアが言うとー
レビンは「ん?」と答えたー。
「--姫様とメイを、どうやって元に戻せばいいのでしょうか?」
不安そうなルミナ姫ー
「--そりゃあ、あいつにーー」
レビンはそう言いながらー
オークの方を見ると、
オークは、リリアに突進された際に、壁に頭を打ち付けて
既に死んでいたー
「--って、死んでんじゃねぇか!」
レビンが思わず叫ぶと、
「ご、、ごめんなさい!わたし、必死でー」と、
ルミナ姫の姿でリリアが叫ぶー。
「---突進でオークを殺すなんてー
たいしたメイドさんだな」
レビンはそれだけ言うと、
「でも、姫様たちを元に戻す方法が
こうなると分かんねぇな…」と、
戸惑いの表情を浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
後日ー
王宮の重鎮が謁見の間に集まり、
ルミナ姫が、騎士団長ユリウスの悪事と、
ユリウスの死を発表したー。
残る三人の騎士団長、
レビン、フォボス、アテナの三人も
その場に居合わせているー。
ルミナ姫が堂々とした様子で、
臣下たちにいつものように、話を終えると、
王宮会議は終わりー、解散となったー。
廊下を歩くルミナ姫ー
「--お疲れ様でした 姫様」
レビンが少しふざけた様子で言うー。
凛とした表情をしていたルミナ姫が
急に弱弱しい表情になって、
「レビンさま~!…わたしには、やっぱ無理です~…」と、
戸惑いながら言葉を口にしたー
「ははは、でも、リリアちゃん、姫様っぽく振舞えてるぜー。
ずっと、姫様の御側にいたんだー。
やっぱ、さすがだな」
レビンはそれだけ言うと、
「姫様たちを元に戻す方法、探してるから、
それまでは、王国の混乱を防ぐために、姫様として、頼むぜ?」
と、笑いながら立ち去って行ったー
「そ、、、そんなぁ~~~~」
ルミナ姫の皮を着て、”元に戻す方法が分かるまで”という条件で、
メイドのリリアは、ルミナ姫として振舞うことに
なってしまったのだったー。
おわり
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コメント
ファンタジー世界を舞台とした皮モノでした~!
しばらくは姫様の皮を着たメイドのリリアが、
頑張ることになりそうですネ~!
お読み下さり、ありがとうございました!