Home Artists Posts Import Register

Content

女子大生の神月 汐梨(こうづき しおり)が、

彼氏の言葉に首を傾げたー。


大学の昼休みー

仲良しカップルの二人は、いつものように

穏やかな時間を過ごしていた。


その最中、彼氏の山内 祐樹(やまうち ゆうき)が、

”今度、1日だけ入れ替わってみないか?”と、提案してきたのだー。


何でも、祐樹が、製薬会社の研究施設で働いている伯父から

”入れ替わり薬”なる薬を貰ったとのことで、

それを一緒に使って、入れ替わってみないか?ということだったー。


「--確かに面白そうだけど…

 その薬、大丈夫なの?」

汐梨が、祐樹の持つ入れ替わり薬を指さしながら呟くー。


汐梨の疑問は、当然の疑問だったー。

祐樹は頷くー。


「だよなー。俺も最初はそう思ったけどー、

 でも、ちゃんと入れ替われるし、ほら!」

祐樹は、そう言うと、伯父から貰った名刺を汐梨に見せたー。


そこには、有名な製薬会社の名前が刻まれているー。


「--怪しい会社じゃなくて、伯父さんは、ちゃんとした

 会社に勤めてる人だからさ、心配いらないよ。

 入れ替わる相手以外、誰にも言わない約束で、

 1つだけ貰ったんだー。

 

 汐梨さえ良ければ、今度入れ替わってみないか?」


祐樹の言葉に、汐梨は「確かに面白そうだけどー」と、ほほ笑むー。


汐梨と祐樹はとても仲良しで、

お互いに強い信頼関係で結ばれているー。


「-ちゃんと元に戻れるの?」

汐梨の言葉に、祐樹は「あぁ、それなら大丈夫。そっちもちゃんと

準備できてるよ」と、ほほ笑んだー。


「でも、本当に入れ替わりなんて、現実にできるの?」

と、不思議そうにしている汐梨に、祐樹は熱心に説明したー。


祐樹が言うには、なんでも

”医療用”に入れ替わり薬が開発されているのだとかー。

例えば、医師が一時的に患者の状態を身をもって体験し、

診察に役立てたり、

どうしても注射を怖がる子供と、一時的に入れ替わって代行したりー

そういう用途が、計画されているー…。

そう、祐樹は説明したー


一通り祐樹の説明を聞き終えた

汐梨は、少しだけ迷ってから「うん!楽しそう!やってみる!」と頷くー。


祐樹は「じゃあ~そうだな、今度の日曜日とか、どうかな?」と

”日曜日に入れ替わる”ことを提案するー。


大学の日に入れ替わると、万が一何かあったら大変だし、

日曜日なら、お試しで入れ替わってみて、

ちょっとこれはきついな、ということになったら

月曜日になる前に、また元に戻ればいいー。


そんな理由からだったー。


「うん!そうだね!じゃあ、日曜日に!」

汐梨が言うと、祐樹は笑いながら

「あ、俺の身体であんまり変なコトはし過ぎないでくれよ!」と呟くー


「--祐樹こそ、わたしの身体であんまりエッチなこと

 しちゃだめだからね!」

汐梨に言い返されて、祐樹は「ははは」と笑うと、

「じゃ、日曜日に」と、そのまま立ち去って行ったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


そしてー

日曜日がやってきたー。


「--お待たせ」

祐樹が、汐梨の家に足を踏み入れるー。

汐梨は、少し緊張した様子だったー。


信頼している彼氏との入れ替わりとは言えー、

”他人の身体になる”という”初めての経験”は

やはり、緊張するー


祐樹も、少し緊張した様子に見えるー。


「ーーーふぅ…なんだか、ドキドキするなー

 あ、いや、変な意味じゃなくて、

 人間って生まれてからずっと自分の身体で生きるわけだしー

 他の人の身体になるって、なんかこうー…

 未知の体験って感じだしー」


祐樹の言葉に、汐梨は「わたしも緊張するー」と言いつつ、

「-でも、どんな感じか、ワクワクする気持ちも強いかな」と

ほほ笑んだー。


祐樹と汐梨は、今一度”入れ替わり後”の注意点について話し合うー。


「さ、こんなところかな」

祐樹はそう言うと、入れ替わり薬を2つのコップにそれぞれ

半分ずつ注いだー。


「-あ、そうだー」

祐樹は少しだけ笑うー。


「-伯父さんが言うには、子供の頃飲むような

 風邪薬の味みたいな味がするらしいからー

 まずいかも」


その言葉に、汐梨は「--ふふ」と、笑うと、

入れ替わり薬を口にしたー。

祐樹もすぐに入れ替わり薬を口にするー。


入れ替わり薬を同時に飲んでー

お互いが、手を握るなり、キスをするなり、

相手の身体に触るとー


「--あ、なんか変な感じがー」

祐樹の手を握った汐梨がすぐに声を上げるー。


「--俺も、、なんか、頭がぐわんぐわんってー」

祐樹はそう言うと、ビクンと震えて、そのまま気を失うー。


汐梨も「あっ!」と、ピクッと震えるとー

そのままその場に倒れたー。


しばらくの沈黙が流れるー。


やがてー

祐樹の身体のほうが、先にピクッと動くとー

祐樹が目を覚ましたー


周囲を見渡す祐樹ー

そして、自分の手を見つめるー。


「--わっ!?本当に祐樹になってる!」

祐樹はー

そう言葉を口にしたー。


”入れ替わり成功ー”

祐樹の中身は、正真正銘、彼女の汐梨になっていたー。


「--わぁ…手おっきいし、なんかすごい…!

 わたしの手とは大違いー」

祐樹(汐梨)は、祐樹の手を物珍しいモノを

見るかのような目で見つめるー。


「--!」

続けて祐樹(汐梨)は胸のあたりを見つめるー。


”胸”がないー。

いや、あるにはあるのだろうけれどー、

全く膨らんでいないその状況は、祐樹(汐梨)にとっては

物凄く違和感のある状態だったー


「う~ん…なんというか、家の中を整理して、

 このスペースが空いた!みたいな感じ」

一人、謎のたとえをすると、祐樹(汐梨)は、

股間のあたりを見て、ドキドキしたような表情を浮かべたー


そしてー


「-って…祐樹?そろそろ起きなよ~!」

祐樹(汐梨)が、倒れたままの汐梨(祐樹)を見つめるー。


入れ替わってから意識を取り戻すまで、

人によって個人差があるのだろうかー。


そんな風に思いながら

「祐樹~?」と声を掛けるー。


自分の口から「祐樹の声」が出ることにも違和感があるしー

「祐樹の声で、祐樹~、と呼んでいる」状況にも違和感があるー。


なんとなくそんなことにどきどきしながらいるとー、

汐梨(祐樹)が突然、苦しそうにうめき始めたー


「--え?ちょ、ちょっと!?大丈夫!?」

意識を取り戻す様子がなく、うめく汐梨(祐樹)-


”うめいている自分を他人の身体で見る”という

奇妙な経験をしながらも、不安でいっぱいになった祐樹(汐梨)は、

「ねぇちょっと!?大丈夫なの?!」と不安そうに言葉を

口にしたー。


数分してー

心配は杞憂だったのか、ようやく汐梨(祐樹)が目を開いたー


寝起きかのように、周囲をキョロキョロとする汐梨(祐樹)-


「---……祐樹!入れ替わり成功だよ!

 なんか…やっぱり他の人の身体ってすごいよね!」

祐樹(汐梨)が嬉しそうに言うー。


だがー

それでも、汐梨(祐樹)は大した反応を示さず、

不思議そうな顔を浮かべていたー。


「---あ、、あれ?まだ寝ぼけてるの?」

祐樹(汐梨)が言うとー

汐梨(祐樹)は不思議そうな顔をして、

祐樹(汐梨)を見つめたー。


そしてー

信じられない言葉を、口にしたー。


「--……あの……どちら様…ですか?」

とー。


「え?」

祐樹(汐梨)は思わず唖然としてしまうー。


時計の針の音だけが聞こえるー。

汐梨の部屋が、静寂に包まれるー


「-ちょ!?ちょ、、何言ってるの~?もう!

 ドッキリにしちゃ悪質だよ~!」


ようやく、沈黙を破って祐樹(汐梨)が言うと、

汐梨(祐樹)はビクッとした様子で

「あ、、あの…すみません……お、、…あれ…?

 わ、、わたし? 何も分からなくて…」

と、言葉を口にしたー。


「---え」

祐樹(汐梨)は今一度唖然としたー。


”何も分からないー”

汐梨(祐樹)はいったい何を言っているのかー。


落ち着かない様子で長い髪を、指でくるくるさせながら、

汐梨(祐樹)は続けるー


「--あ、、あの…あなたは…?」


その言葉にー

祐樹(汐梨)は恐怖を感じたー


汐梨(祐樹)は”真顔”だったのだー。


「--ーや、、やめてよ、もう~!

 そういうドッキリいらないから!」

祐樹(汐梨)はそう言うと、汐梨(祐樹)の肩を叩いたー


ビクッ!!

汐梨(祐樹)が、身体を震わせて、

怯えるような形で「ひっ!?」と言葉を口にしたー


祐樹(汐梨)に触られたことに、汐梨(祐樹)は

激しく驚いたのだー。


「--ちょ…ちょっと…ほ、、ホントに…?」

”信じられない”という様子の祐樹(汐梨)は、

戸惑いながら「ホントに何も覚えてないの?」と

不安いっぱいな気持ちで確認したー。


汐梨(祐樹)は「---はい…」と

申し訳なさそうに言葉を口にしたー。


汐梨と入れ替わった祐樹はー

入れ替わり薬の副作用で、記憶喪失になってしまったのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・


「---え~…っと、どう説明すればいいのかな…」


祐樹が記憶喪失になってしまったと確信した

祐樹(汐梨)は

”記憶喪失の相手に「入れ替わり」とかいきなり言うと、余計に混乱

 しちゃうかも”

と、入れ替わりのことは伏せて、

自己紹介をするー。


自分は祐樹で、あなたは汐梨ー、と。

間柄が彼氏と彼女であることも説明し、

同じ大学に通っていることも、説明したー。


たぶん、記憶はすぐに戻ると思うし、

万が一しばらく戻らないとしても、落ち着いたタイミングで

入れ替わりのことを言えばいいー。


まだ、汐梨(祐樹)も記憶喪失になったばかりでパニックになっているだろうから、

今、入れ替わりの話題を持ち出すことは、良くない、と

そう考えたのだったー


胸のあたりを興味深そうに見つめている汐梨(祐樹)-

座り方も、男っぽくて、足を開いた感じになってしまっているー。

記憶喪失になったとは言え、”男”であった自分の仕草が

表に出ているのだろうー。

最も、今、本人にその自覚はないのだろうけれどー。


「---あ、、、あの…」

汐梨(祐樹)が、不思議そうな顔をしながら

祐樹(汐梨)の方を見つめるー。


「--なぁに?」

祐樹(汐梨)が、冷蔵庫から取り出したお茶を飲みながら

汐梨(祐樹)の方を見つめるとー


「--祐樹さんって…オネェ系の方なんですか?」

と、汐梨(祐樹)が聞いてきたー


「ぶーーーっ!」

お茶を吹き出す祐樹(汐梨)-


「--お、、お、、おネェ系????」

祐樹(汐梨)は

”あ、でもそっかー。

 入れ替わりのことも分からないならー

 今の祐樹から見れば

 わたしは、女子っぽい喋り方をしている

 男子大学生にしか見えないってことかな…”

と、心の中で同時に考えながら

「あ、えっと、そうじゃなくてー」と、

顔を赤らめながら言い訳を答えるー


さっきから、ナチュラルに

女言葉を祐樹の身体で使ってしまっていたー。

今の汐梨(祐樹)から見れば

確かにそう見えるかもしれないー


「--わ、、わたしは、、いや、、お、おれはーーー

 そ、そういうのじゃないな~

 はははは」


必死に誤魔化す祐樹(汐梨)-

汐梨(祐樹)が”不審者を見る目”で、祐樹(汐梨)を見つめるー


”ってか、この状況やばくない?

 ここ、わたしの家だし、

 もし、わたしになった祐樹が、わたしのこと

 不審者だと思って助けを求めたら、わたし、アウトだよね?”


身体は祐樹ー

ここは、汐梨の家ー。


今、汐梨(祐樹)が「きゃ~~~!」とでも言いだしたら、

祐樹(汐梨)は圧倒的に不利な状況になってしまうー。


「--あ、ごめんなさい。ちょっとトイレにー」

汐梨(祐樹)がトイレの方に向かうー。


「あ、、うん」

祐樹(汐梨)は”記憶喪失なんて聞いてないよ~!どうすればいいの?”と

思いながら、汐梨(祐樹)がトイレに向かうのを見つめるー。


「--------」

何分経過しても、汐梨(祐樹)がトイレから戻ってこないー。


心配になった祐樹(汐梨)がトイレの方に向かうとー。

汐梨(祐樹)は、無意識のうちに立ったままトイレを済ませようとしてー

盛大に失敗し、どうしていいか分からず、

目に涙を浮かべて途方に暮れていたー。


身体は汐梨のものだが、

記憶喪失になってしまった祐樹は、

”自分が女の身体 なのに 感覚は男の感覚”のまま

記憶を失っていてー

何も考えずに”いつものように”立ちションをしてしまってー

失敗したのだったー。


「---あ……」

汐梨(祐樹)が涙目で、祐樹(汐梨)を見つめるー


「あの……わたし……トイレの記憶も…なんか、、変みたいでー」

汐梨(祐樹)が泣き出すのを見て、

祐樹(汐梨)は

「あーーー、わた、、いや、俺が、片づけておくからー

 し、シャワー浴びてきた方がいいよ!」と、慌てて声を掛けるー。


汐梨(祐樹)が浴室に向かったのを確認してから、

祐樹(汐梨)はトイレを掃除し始めるー


「--どうしよう…泣きたいのはわたしなんだけど…」

祐樹(汐梨)は愚痴を呟きながら、

「これじゃ、元に戻る方法も分からないじゃん…」と

不安な表情を浮かべたー



②へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


入れ替わった相手が記憶喪失に…!?

大変なことになってしまいましたネ~!★


続きはまた次回デス!

お読み下さりありがとうございました!

Files

Comments

飛龍

記憶を失った状態で無意識に男のように行動しちゃって困惑するのも面白いですね~! 続きが楽しみ!

無名

コメントありがとうございます~! 記憶を失ったならではの行動ですネ~! 次回もぜひ楽しんでくださいネ~!