<皮>姫の中に潜む魔物③~地下牢~ (Pixiv Fanbox)
Content
メイドのリリアは、
ルミナ姫がオークに皮にされる場面を目撃してしまったー。
”姫様が皮にされて乗っ取られた”
そんなこと、誰にも信じてもらえるはずがない、と困惑するリリア。
そんな中、話を偶然聞いていた同室のメイド・メイが、
王国の重鎮や騎士団長たちがいる前で、そのことを告げるー。
だが、リリアの予想通り、話を信じるものは少なく、
メイも、姿を消してしまうー。
それでも”何とかしないと”と、奔走するリリアは
騎士団長のユリウスに、”姫が皮にされた件”を相談しようと
決意するー
☆前回はこちら↓☆
fanbox post: creator/29593080/post/2486471
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メイドのリリアは、騎士団長のユリウスの部屋にたどり着いていたー。
ルミナ姫が”皮”にされて、オークに乗っ取られたことを伝えるー。
ユリウスは、椅子に座ったまま「-まことに、そのようなことが?」と
表情を歪めるー。
「--はい。信じられないと思いますが、本当なんですー。
このままだと、姫様はー」
リリアが涙ながらに言うと、
騎士団長の一人、ユリウスは困惑の表情を浮かべたー。
先日、謁見の間で、リリアと同室のメイド・メイが、
既に騎士や大臣が集まる場で”姫様は皮にされて乗っ取られています”と、
伝えた際に、周囲は一時騒然となったー。
ユリウスはその場にはいなかったが、その時の話は聞いているー。
騎士団長のレビンが、詳しく事情を確認するとのことで、
その場はいったん落ち着いたようだったが、その後、進展はないというー。
事情を深く確認しようにも、
”姫が皮にされている”と言い放ったメイも、
レビンが安全確保のため、誰にも居場所を伝えず、匿っているのだというー。
「--ーしかし、我々としても確証がなければ動けない」
申し訳なさそうに言うユリウスー
リリアが悲しそうに表情を曇らせると、
ユリウスは優しそうな笑みを浮かべてー
「そんな顔をするなー。
協力しないとは言っていないーー。
私も色々と調べてみよう。
”姫様がオークに乗っ取られている”という確証を得ることが出来れば
私の騎士団を動かすことも出来るし、
他の3人の騎士団長とも連携することが出来るー」
と、穏やかな口調で続けたー。
「--ありがとうございます」
リリアが頭を下げるー。
「--ーあまり、無理はしないようにな」
ユリウスは、それだけ言うと、椅子から立ち上がって
「-そろそろ騎士団の演習の時間だから、私はこれで失礼するよ」と、
頭を下げて立ち去って行ったー。
「---」
リリアは、もう一度、深々と頭を下げたー。
これでー
なんとか、ルミナ姫を助け出せるかもしれないー
とー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--んっ…♡ あっ…♡ あっ♡ あっ♡」
リリアの同室のメイド・メイが手首を縛られて拘束された状態で
喘ぐような声を上げていたー。
地下牢ー
そこで、ルミナ姫が、メイの身体をあちらこちら触りー、
笑みを浮かべているー。
「--人間の女……いい鳴き声…出す!」
ルミナ姫が汚らしい笑みを浮かべて、メイの胸をペロペロと舐めるー
身ぐるみをはがされた状態のメイは、
苦しそうに、けれども、時々気持ちよさそうに喘ぎながらー
ルミナ姫の方を見つめるー
「ーー姫様から…出ていきなさい!」
と、メイは、強気に叫ぶー
こんな風に、拘束されて好き放題されている状態でもー
メイは、ルミナ姫を助けたい一心だったー
「--わたしに向かって何て口の利き方をするのかしら」
ルミナ姫がクスッと笑うー。
オークがルミナ姫の記憶を読み取って、ルミナ姫として
振舞っているー
メイはルミナ姫をキッ、と睨みつけるー。
こうなってしまうまでの出来事を思い出しながらー。
「姫様は皮にされている」
そのことを伝えたメイは、騎士団長のレビンが
”事情を聞く”と、メイを自分の部屋へと連れ込み、
色々と事情聴取のようなことを行ってきたー
「-っていうと、メイちゃんは、姫様の中にオークがいて、
姫様を好き勝手動かしているー
って、いいたいんだな?」
レビンの言葉に、メイは「はい、そうです」と、
ハッキリとした口調で答えたー
「ははっ」
軽口の騎士団長・レビンは思わず笑いをこぼすー。
少ししてから「いや、わりぃ」と、メイに言うと、
「--まぁ、あれだ。メイちゃんも疲れてるんだろ?」と
笑みを浮かべながら言ったー。
メイは「違います!」と必死に叫んだー
なんとか、信じてもらおうとー。
だがー
レビンは信じてはくれなかったー。
メイは、なんとかしなくちゃ、と、レビンの部屋から外に出て、
メイドたちが寝泊まりしている離宮に戻ろうとしたー。
その最中にーー
「--お前……邪魔…!」
オークに乗っ取られたルミナ姫と遭遇してーーー
こうなってしまったのだー。
拘束されてしまったメイー。
あれから、既に数日間経過していてー
その間、メイはずっと、オークに乗っ取られたルミナ姫に
弄ばれ続けているー。
そろそろ、精神的にも肉体的にも限界だったー
「--わたしが、ルミナ姫よー
分をわきまえなさい!」
ルミナ姫が、睨みつけるような目をしているメイを見て
怒りの声を上げるー。
「-あんたは姫様なんかじゃないー!
薄汚いオークよ!」
メイはそう言うと、拘束された状態での”必死の抵抗”としてー
唾をルミナ姫に向かって吐き捨てたー。
「---ぐぐぐぐぐぐぐ… 貴様…
俺を……馬鹿にした…!」
感情的になるルミナ姫ー。
「--俺を…!!俺を…!!!俺を…!」
ルミナ姫が怒りの形相で叫ぶー。
ルミナ姫として振舞うのも忘れて、
オークは怒りを爆発させているー。
その様子を見てー
メイはさらに続けたー
「-あんたみたいな汚いやつが姫様の身体に入る資格なんてないの!
ただのオークの癖に、調子に乗るのもいい加減にしなさい!」
メイが叫ぶと、
ルミナ姫はメイを思いっきりビンタしたー
「うがああああああああああああああああ!!!!」
奇声を上げながらルミナ姫は、メイを狂ったようにビンタ
し続けるー。
「---がああああっ!!はぁっ!!はぁぁぁぁぁっ!!!!」
ルミナ姫を乗っ取っているオークは
所詮は”低級”なオークだったー。
現在、アクア王国周辺に残っている魔物は”下級”なランクに位置する
魔物ばかりで、数千年前、アクア王国の当時の女王・アリシアが、
戦っていた時のように、高等な知識を持つような魔物は、
現代では存在しないー
ルミナ姫を乗っ取り、ルミナ姫の記憶を読み取ろうともー
中身は所詮、低級なオーク。
挑発行為に対し、理性で我慢するようなことも、できなかったー
「人間!!!! 俺を…怒らせたぁ!」
ルミナ姫が口から涎を垂らしながら、正気を失った目で叫ぶ。
ピキッーーー
ルミナ姫の後頭部にヒビのような亀裂が入るー。
そして、ルミナ姫の後頭部がぱっくりと割れて、
中からオークの顔が露出するー
オークの目は血走り、怒りに震えているのが分かるー。
メイは「--醜悪な姿ね…」とあざ笑うようにして
オークを見つめたー。
拘束されて、服も脱がされている状態でも、メイは
オークに屈しなかったー。
あまりの怒りに、ルミナ姫の頭の部分が脱げた状態の
オークが雄叫びを上げるー。
「----おい」
「--!?」
メイが表情を歪めるー
地下牢の入口の方から声がしたからだー。
「---安っぽい挑発に乗るな」
入って来た人物は、ルミナ姫の皮の脱げた部分を掴むと、
強引にオークに被せたー
「ぐぐぐ…ぐ…すまない」
ルミナ姫の姿に戻ったオークは、怒りで「ふー、ふー、」と
荒い息をしながら、そう呟いたー
「--あ、、あなたはーーー」
メイが信じられない、という顔で、地下牢に入って来た人物を見つめたー。
「---」
ニヤッと笑みを浮かべるー
メイは、理解したー。
オークが一人で、姫を皮にして乗っ取るなんてことを思いつくわけがないー
オークの背後には、最初からこの人がいたのだとー。
「-ーそうだ。お前に頼みたいことがあるー」
メイに対して、そう笑みを浮かべるとー
その人物は、ルミナ姫に合図をして、無気味な笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「--あの!」
メイドのリリアは、同室のメイド・メイのことを心配していたー
騎士団長のレビンが”メイから事情を聞く”という名目で
連れ去って以降、メイは行方不明になっているのだー。
「--ん?リリアちゃんじゃないか。どした?」
レビンはいつものように軽口を叩くー。
「---メイは…メイは、今、どこにいるんですか?」
リリアが言うと、
レビンは「はは、仲間のことを心配する気持ちは、大事にしろよ」と、
そのまま立ち去って行こうとするー。
「--レビン様!」
リリアが叫ぶと、レビンは少しだけ面倒臭そうに振り返ったー。
「-ーーーメイちゃんなら、俺がちゃんと安全な場所に
身を隠させてあるから、心配すんな」
レビンは、そう言うー。
リリアは、そんなレビンの方を心配そうに見つめるー。
「----」
レビンは”嘘”をついているー。
リリアはそう思ったー。
「--まぁ、リリアちゃんも、この件には首を突っ込むなー。」
レビンはそれだけ言うと、
リリアに顔を近づけたー
「--綺麗な顔が、汚れちゃったら、勿体ないぜー」
笑うレビンー
そしてー
レビンはそのまま立ち去って行ったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーー以上です。皆さん、よろしくお願いしますー」
謁見の間では、定期的に行われている”王宮会議”が
行われていたー
騎士団長の4名ー
フォボス、レビン、ユリウス、アテナも参加しているー。
「----」
ユリウスがレビンの方を見つめるー。
レビンはうすら笑みを浮かべると、謁見の間の外に出て、
立ち去っていくー。
「-----(レビン様は、何かを隠している)-」
メイドのリリアは、謁見の間から出て来たレビンを尾行し始めたー。
だがーー
「--何をしている?」
背後から声が聞こえたー。
「---ひっ!?あ、、アテナ様…!」
リリアは思わずびっくりして振り返るー。
そこには、4人の騎士団長の中で唯一の女性・アテナの姿があったー。
高い実力を誇り、特殊な力”エナジー”により、弓を模したエネルギー弾を
放った戦闘を展開できるー。
「---メイドがここに何のようだー」
一方で気難しい性格のアテナに対し、リリアは「申し訳ありません」と
頭を下げるー
”何と説明すればいいかー”
リリアはそんな風に思いながら困惑していたー。
そこにメイドを見下している騎士団長のフォボスもやってきて、
リリアはつまみ出されてしまったー
「---メイ…姫様…」
自分の部屋に戻ったリリアは、
姫とメイを助けようとあれこれ試案するもー
”メイド”という立場上、何もできずにいたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「--私のほうでも色々と調べてはいるのだがー
君の同室のメイドの行方も、姫様の件についても
まだ何も分かっていないー」
翌日ー
騎士団長・ユリウスの部屋を訪れたリリアは
「そうですか…」と頭を下げるー。
「--昨日は、フォボス殿とアテナ殿につまみ出されたそうだな?」
苦笑いするユリウスー
「あ、、いえ……申し訳ありません」
リリアが言うと、ユリウスは「いいんだ」と言いながらも、
リリアの方を心配そうに見つめてー
「ーでも、あまり無茶はしないほうがいいー
何か分かったら君にも知らせるー
この件は、私の騎士団で責任をもって対処するからー
君は、しばらく大人しくしていたほうがいい」と、
穏やかな口調で言い放ったー。
「--でも、わたし、姫様のことをどうしてもー」
姫様を助けたいー
姫に恩義のあるリリアは、その一心だったー。
ユリウスはそんなリリアを見つめると、少しだけ笑って、
「それは、私も同じだー」と、リリアの肩を叩いたー。
ユリウスと情報交換を終えたリリアは、
そのまま頭を下げてユリウスの部屋から出るー。
確かに、”ただのメイド”でしかないリリアがあれこれ行動するのは危険だー。
行方不明になっているメイと同じ運命をたどる可能性もあるー。
でもー
「-わたしは、それでも姫様を助けたい…」
リリアはそう呟くと、
王宮の中を早足で歩き始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
「---!」
自室で寝ていると、扉が開いたー
「---リリア!」
聞き覚えのある声ーー
「--め、、メイ!?無事だったの!?」
リリアが驚いて言うと、メイは「しーっ」と指を口の近くに当てたー。
「---姫様をオークから助ける方法を見つけたのー
でも、あたし一人じゃどうにもできないー
だから、あんたにも手伝ってほしいの」
メイが言うと、リリアは「ホントに!?うん…わかった!」と頷くー
リリアは、メイのことを信頼しているー
だからーー
簡単にー
”引っかかって”しまったー
「----馬鹿な…小娘… 俺‥楽でいい!」
リリアを先導するように、王宮内を歩きながらメイは
そう呟くと口元を歪めたー。
ルミナ姫を皮にして乗っ取っていたオークが
今度はメイを皮にして乗っ取っているのだー。
「---こっちよ!」
メイが、地下牢への入口の方を指さすー
リリアは不安そうに
「この先に何があるの…?」と、尋ねると、メイは
「-姫様を救う方法よ!」と答えるー。
リリアは表情を歪めるー
「-地下に行って…何をするの?」
とー。
メイは、少しの間、歯軋りをしていたが、
すぐに口を開いたー
「--姫様を救いたくないの?
救いたいでしょ?
いいから、手伝ってー」
強引なメイー。
リリアは困惑しながらも、メイの言うがままに、
メイと共に、地下室へと向かう階段を降り始めたー。
リリアの背後から歩くメイが邪悪な笑みを浮かべるー
強気なメイも、皮にされて着られてしまえば
身も心も乗っ取られて、されるがままになってしまうー。
今のメイは、リリアを罠にはめるために、
リリアを地下牢に誘導している悪女になり果てていたー。
「----」
地下牢に向かう階段の入口が閉じるー。
そこに、リリアとメイが入っていくのを目撃した
騎士団長のレビンは、静かに笑みを浮かべたー
④へ続く
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コメント
次回が最終回デス~!
姫様を救うことができるのかどうかを
ぜひ見届けてくださいネ~!
お読み下さりありがとうございました~!