<他者変身>過保護なお父さん~娘に近づく男は排除する~① (Pixiv Fanbox)
Content
「-ー最近はどうだ?」
娘に語り掛ける父親ー。
娘の麻衣(まい)は、「うん!特に何もないよ!」と、
笑顔で答えるー。
如月(きさらぎ)家は、三人家族ー
父親の省吾(しょうご)、
母親の野枝(のえ)、
そして、娘の麻衣(まい)の三人だー。
一人娘であるからか、父親の省吾は、
娘の麻衣を溺愛していて、
とにかく可愛がっていたー。
一方の麻衣も、思春期真っ最中の高校生ではあるものの、
父親とも、母親との関係も良好で、
如月家は、平和的な”家族”と言えたー。
だがーーーー
「---ねぇ、これ以上、わたしに近づかないで」
夜ー。
麻衣に呼び出された同級生の健郎(たけろう)は、
困惑の表情を浮かべたー。
最近、麻衣と仲良くしている健郎ー。
お互いに付き合っているわけではないのだが、
一緒に勉強するために、と、麻衣が、一度だけ
健郎を家に読んだこともある間柄だー。
当然、勉強目的だったために、
何か”他のこと”をしたわけではなかったがー
両親から見れば”まるで付き合っているように”も、見えたー。
そんな健郎を、麻衣は夜に呼び出したのだー。
「--ど、どういうこと?」
真面目そうな男子高校生・健郎が戸惑うー。
「--これ以上わたしに馴れ馴れしくしないでって言ってんの」
麻衣が、普段とは全く違う、険しい表情、きつい言葉を
健郎に投げかけるー
「え…??え?僕、何かした?」
戸惑う健郎に対して、麻衣はさらに続けたー。
「--ーーあんた、馴れ馴れしすぎるんだよー。
女子との距離感考えろっての」
麻衣が乱暴な口調で呟くとー
健郎は「ご、、ごめん…」と、戸惑いながら謝罪の言葉を口にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
翌日ー
「ーーー大丈夫?なんか今日、元気ない気がするけど…?」
麻衣が、健郎の様子がおかしいことに気づき、
健郎に声を掛けるー。
「--ーーーべ、、別に…」
健郎はそれだけ言うと、麻衣から逃げるようにして立ち去っていくー。
「---え…?わ、わたし何かした?」
麻衣が首を傾げながら言うとー
健郎は「ごめん」と、だけ口にして、足を止めることなく、
そそくさと立ち去って行ったー。
「--わ、わたし、何かしちゃったかな…?」
その日からー
健郎は露骨に麻衣を避けるようになったー。
そして、そのまま健郎と麻衣は自然と疎遠になったー。
別に、彼女と彼氏の関係ではなかったがー、
もし、あのまま順調に親しい間柄でいれば、
もしかしたらそうなる未来もあったかもしれないー。
けれど、”そうなるかもしれない”未来は
引き裂かれたー。
健郎からすれば、当然の行動とも言えたー
元々、気の弱いタイプの健郎からすれば、
「--ーーあんた、馴れ馴れしすぎるんだよー。
女子との距離感考えろっての」
と、麻衣本人が言ったのだから、
言われた通りにしただけだー。
女子とトラブルになるのも嫌だし、
正直、あの日の麻衣は怖かったー。
しかも、その上、あの日以降、麻衣が
何事もなかったかのように、”どうしたの?”などと
聞いてくることにも、健郎は腹を立てていたー
”どうしたも何も、君が僕に距離感考えろって言ったんじゃないか”
とー。
とは言え、
またキレられても怖いしー、と
そのまま距離を置き、疎遠になる、という結末を選んだのだったー。
がーー
麻衣からしても健郎の行動は”理解不能”だったー。
自分は、何も健郎を怒らせるようなことをしたつもりも、
避けられるようなことをしたつもりも、ないー。
それなのになぜ、あんな風に自分を避けるのか。
麻衣には全く理解できなかったー。
それもそのはずーー
あの日ー
健郎に”わたしに馴れ馴れしくするな”と
警告した人物はー
”麻衣の姿”をしていただけで、
麻衣本人ではないのだからー
「-------麻衣ーーー」
娘の写真を見つめる男が、静かに呟くー。
「--お前のことは、父さんが守ってやるからなー」
父・省吾は、一人娘の麻衣を溺愛していたー。
”何があっても麻衣を守るー”
例え、この命を賭けてでもー。
そうー
あの日、健郎に”警告”したのはー
父の省吾だー。
父の省吾はー
娘の麻衣を守りたい一心で、
ネットである力を手に入れたー。
それが”他人の姿に変身する能力ー”
その力で、娘の麻衣に変身してー
娘の麻衣に近づく男を、次々と遠ざけていたのだー。
「--麻衣…男は野獣だー。
お前に近づく男は、父さんが一人残らず追い払ってやるからなー」
麻衣の写真を見つめながら、父・省吾はそう呟いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「--え~?そうなんだ~!」
麻衣の親友・星来(せいら)が声をあげるー。
「うんー。最近は何だか避けられてて、もう全然話してなくて」
麻衣が言うと、星来は「そっか~」と残念そうに呟いたー。
最近疎遠になった男子・健郎の話をしている二人ー。
星来が「最近、健郎くんと一緒にいること無くなったけど、
何かあったの?」と心配そうに尋ねて来たためー、
麻衣が事情を話したのだー。
最も、麻衣は、どうして健郎に避けられているのか
全く理解できていなかったけれどー。
「--わたしって、なんかこう、よくないところがあるのかも」
麻衣が呟くと、
星来は「そんなことないよ~!」と笑うー。
「-だって~…」
麻衣の言葉に、星来も少しだけ表情を曇らせるー。
星来は中学時代からの付き合いで、麻衣のこともよく知っているー。
確かに、麻衣は”男運”がないー。
恋愛的な意味だけではなく、普通に友達として仲良くなったりしても、
必ず”疎遠”になるー。
何故かは分からないー
仲良しな男子が出来たりすると
必ずしばらくすると、今回の健郎のように、
何故か、疎遠になってしまうのだー。
「--ま、、まぁ、でも、麻衣に悪いところなんてないと思うし、
たまたま相手が悪かっただけじゃないかな?」
星来が、麻衣を慰めようとそう言うと、
麻衣は「それならいいけど…」と、暗い表情で返事をしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから、半年の月日が流れたー。
麻衣には、人生で初めての”彼氏”が出来ていたー。
生徒会の選挙管理を手伝った際に、一緒に活動したことがきっかけで
親しくなった、同級生の男子生徒・俊(すぐる)-。
俊はとても優しい性格の持ち主で、
積極的ではないが、細かな気配りが出来るタイプだったー。
「---俊くんとは、順調?」
昼休みー。
星来が微笑むー。
「--あ、うん!順調順調!
彼氏とか初めてだから、色々戸惑ったりもしてるけど!」
麻衣が言うと、
星来は「困ったことがあったらわたしが教えてあげるから安心して!」と、
笑いながら言ったー。
「うん!頼りにしてる~!」
麻衣からは、とても幸せそうなオーラが流れているー
けれどー
星来は少しだけ不安に思っていたー
これまでも、”麻衣と距離を縮めた男子”は、
少しすると、何故か疎遠になってきたー。
今回も、そうなるのではないかー、と。
「---(麻衣-。わたし、麻衣のために一肌脱ぐよ!)」
星来は心の中でそう思うとー
その日の放課後からー
探偵のような虫メガネを手に
「--探偵星来ちゃん、出撃!」と、麻衣のことを尾行し始めたー。
「---ふむふむ ふむふむ」
彼氏の俊と一緒に帰宅する麻衣の様子を、尾行しながら見つめる星来ー。
「--(麻衣、ファイト!)」
俊と麻衣はとても楽しそうに会話をしているー。
2人は、とても相性ぴったりと言う感じだー。
親友の星来からしても、このまま二人が幸せになってくれれば
嬉しいー
そんな風に思っていたー。
「--お!麻衣!」
前方で声がしたー。
「--!」
星来が、麻衣たちの方を見ると、
どうやら仕事帰りの父親と遭遇したらしく、
麻衣が、笑いながら、その父親と会話しているー。
そして、麻衣が彼氏の俊を、父・省吾に紹介していたー。
「(お父さんも、娘に彼氏が出来て嬉しいだろうなぁ~)」
星来がそんな風に思いながら、少し離れた場所から
麻衣・俊・父の省吾の様子を見ているとー
「---!!!」
あることに気づいたー
「--(あれ?あのお父さんは、顔は笑っているけど、目は笑ってないー)」
鋭い洞察力を発揮した星来は、心の中で少しだけ不安を感じたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
「--さっきの彼氏、いい子そうだな」
父の省吾が、帰宅後に麻衣に言うと、
麻衣は「うん!」と呟いたー。
「--ははは!でも、男はみんな野獣だから
気を付けるんだぞ~!」
省吾が、仕事に持って行っている鞄の
整理をしながら言うと、
麻衣は「俊は、そういうことしないから大丈夫!
だからわたしも付き合い始めたんだし!」と、ほほ笑むー。
麻衣が言うには、
俊は、エッチな話題がニガテで、そういう話をしている
男子からは距離を置いているタイプなのだというー。
麻衣と意気投合したのも、お互いにそういう下心を
感じない、自然体だからのようだー。
「--そうかそうか。つまり安心なやつなんだな」
父・省吾はそう言うと、静かに笑みを浮かべたー
自分の部屋に入る省吾ー
「エッチなことがニガテなタイプーか。」
省吾はそう呟くと、
「麻衣は俺が守るー」と、言いながら、麻衣の姿に変身したー
「---麻衣…」
麻衣の姿になった自分を抱きしめて、顔を赤くするとー
部屋の入口に耳を当てたー。
麻衣がお風呂の方に向かうのを”足音”で確認した省吾は、
麻衣の姿のまま、自分の部屋から飛び出し、
麻衣の部屋に向かうー。
「---あら、麻衣ー
お風呂に入るんじゃなかったの?」
廊下で妻の野枝とすれ違うー
「あーー、う、うん!これから入るよ!」
麻衣の姿をした省吾が言うと、野枝は「そう」と、ほほ笑みながらー
そのまま立ち去って行ったー。
麻衣の姿をしたまま、麻衣の部屋に入る父・省吾ー
机の上にあるスマホを見つけると、
”指紋認証”を解除して、娘のスマホを操作し始めたー。
娘・麻衣の姿に変身している省吾はー
”指紋”も娘の麻衣と全く同じ状態ー
だからこそ、指紋認証を解除することが出来るのだー。
麻衣に”パスワード”の危険性を説きー
そして、指紋認証を導入させたー。
そのおかげで、父・省吾はこうして麻衣の姿に変身しー
難なく、麻衣のスマホを覗くことが出来るのだー。
「麻衣ー
これも、父さんが麻衣を守るためだー」
麻衣のスマホを見つめながら
彼氏・俊の情報を探る省吾ー
そしてーーー
”今週の土曜日 麻衣と俊がデートする”
ことを、父の省吾は知ってしまったー
「--で、、、ででで、、、ででででででで
でーーとぉぉぉぉぉぉぉ?」
麻衣の姿をした省吾はその場に崩れ落ちたー
まるで、この世が終わったかのようにー
片手で顔の半分を多い隠しながら
麻衣の姿をした省吾は震えたー
「----排除せねばーーー」
麻衣の声で呟く省吾ー
「-------娘に近づくやつはー排除してしまわなければー」
父・省吾が自分に変身しているー
そんなことを夢にも思っていない麻衣は、
のんきにお風呂に入っている最中だったー
・・・・・・・・・・・・・・・
土曜日ー
デートの日がやって来るー
麻衣と俊が、映画館に入るー。
「----」
その様子を少し離れた場所から見つめる人物がいたーー
「-ーーー麻衣ーーわたしが、チェックしててあげるからね!」
探偵のような格好をした親友の星来ー。
”男運がない”親友・麻衣のために、
今日も星来は麻衣の尾行を続けていたー
麻衣と俊を応援している星来はー
2人の様子がどうしても気になって、こうして尾行していたのだったー。
「--映画始まる前にトイレに行っておこうかな~!」
麻衣が言うと、
彼氏の俊は「あ、うん。じゃあここで待ってるよ」と、ほほ笑むー。
トイレの方に向かう麻衣ー。
俊は、その間、映画のグッズが売られているコーナーを
見つめているー。
その時だったー
「--俊~!」
麻衣が姿を現すー。
「--あれ?早かったね!」
俊が笑うー。
姿を現した麻衣は心の中でニヤッとするとー
「ねぇ、俊、ちょっと映画より、一緒に行きたい場所
思いついちゃったんだけどー」
と、言うと、強引に俊を映画館の外に連れ出したー
「--!?
--!?」
2人を尾行していた星来は表情を歪めたー
”えーーーー????
今ーーー????”
星来は思うー
”トイレに入ったはずの麻衣が、トイレじゃない方角から出て来たー”
とー。
それもそのはずー
彼氏の俊を連れ去った麻衣は、”父・省吾が変身している偽物”だー。
「-と、とにかく尾行しないと!」
星来は、麻衣が偽物だと知らず、
映画館の外に、彼氏の俊を連れ出した麻衣のあとを追うのだったー。
数分後ー
「---お待たせ…って、あれー?」
トイレから出て来た本物の麻衣は、
俊の姿が見当たらないことに気づきー
困惑の表情を浮かべたー
②へ続く
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コメント
過保護…というより、狂気すら感じるお父さん…!
怖いですネ~笑
(ついでに、親友の子も、ちょっと過保護モードに…笑)
今日もお読み下さりありがとうございました~!
次回もぜひお楽しみくださいネ~!