<入れ替わり>わたしの身体でそんなに謝らないで④~特訓~ (Pixiv Fanbox)
Content
異性耐性0の男子・誠太郎は、
人気者の女子大生・涼香と入れ替わってしまったー
元に戻る方法が分かるまで、お互いの家で
生活することになったものの、
涼香(誠太郎)は、何もすることができないまま、
ついにトイレにも行けずに、お漏らしをしてしまうー。
翌日、様子を見に来た誠太郎(涼香)から、
お互い様だから気にしないで、と言われた涼香(誠太郎)は
誠太郎(涼香)に連れられてお風呂に向かうことに…
☆前回はこちら↓☆
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お風呂で涼香(誠太郎)の身体を洗いながら
誠太郎(涼香)は苦笑いするー。
涼香(誠太郎)はずっと目を瞑ったままー
「--なんか…自分で自分の身体を、他人として洗うって…
すごく不思議な気分…」
誠太郎(涼香)は、そう呟くー。
自分自身の身体を洗うー。
それは、同じなのだが、
いつもは、涼香として涼香の身体を洗っているー
だが、今日は誠太郎として涼香の身体を洗っているー。
その違いは、入れ替わりを経験したことのある人間でしか
分からない、とても不思議な感覚と言える。
「ーーー…ごめん」
涼香(誠太郎)が目を瞑りながら呟くー
「え?今、別に謝るタイミングじゃないでしょ?
まぁ、本当は自分で洗ってくれたほうが一番いいけど、
安藤くん、異性耐性がないみたいだし…」
誠太郎(涼香)の言葉に、
涼香(誠太郎)は再び「ごめん…」と言葉を口にするー
もはや、
”謝る”のが癖になってしまっているー。
「---決めた!」
誠太郎(涼香)が手を叩くー。
「--え?」
涼香(誠太郎)が不思議そうに、思わず目を開いてしまい、
涼香の裸が目に入って「わ?!ごめん」と再び目を瞑るー。
「-目、開いて」
誠太郎(涼香)が言うー。
「--え…えぇ!?
む、、無理だよ…藤崎さんの身体を見るなんて…そんな」
涼香(誠太郎)の言葉に、
「--だーめ!」
と、誠太郎(涼香)は言うと、「目を開けるの!」と、続けたー
「えぇぇ?!そんなぁ…!」
なおも抵抗する涼香(誠太郎)に対して、
誠太郎(涼香)はため息をついてからー
「ねぇ、安藤くんー」
と、続けたー。
諭すような口調で、誠太郎(涼香)は言うー。
「わたしたち、いつ戻れるか分からないし、
安藤くんがずっとそのままじゃ、わたしも困っちゃう…
安藤くんは、優しいから、きっと、わたしのことを
気遣って、目を瞑ってくれているんだと思うんだけど、
でも、それじゃ、逆にわたしが困っちゃうのー…
わたしの身体でいる間はー、大丈夫だからー…
お風呂も、トイレも、着替えも、
わたしの身体を触ってもー
大丈夫だからー…
だからーーー
少しずつでもいいから、頑張ろう?
わたしもサポートするからー」
誠太郎(涼香)の言葉に、ようやく少しずつ目を開く
涼香(誠太郎)-
自分が涼香になっていてー
お風呂にいる自分は、当然裸だー
女の裸を見るのも、これが初めてだー。
顔を真っ赤にしながら涼香(誠太郎)は「ごめん…」と呟くー。
「--そんなに謝らないでー。
元に戻れるまでは、お互い様だから!」
誠太郎(涼香)はそれだけ言うと、
「--安藤くんが、少しでも女の人に慣れることができるように、
わたしも色々サポートするから、頑張ろ!」
さっきの”決めた”とは、
誠太郎になった涼香が、涼香になった誠太郎が
普通に過ごすことが出来るように、色々”指導”しようと決めた!
という意味のようだー。
涼香(誠太郎)はドキドキしながらも頷くー。
そしてー
その日から、涼香になった誠太郎と、誠太郎になった涼香のー
”特訓の日々”が始まったー。
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誠太郎(涼香)は元に戻る方法を探しながらー
涼香(誠太郎)の”特訓”を続けていたー。
「--うん、ここをそう、こうしてーー…
ほら!目を瞑らない!」
下着のつけ方の指導をする誠太郎(涼香)-
涼香(誠太郎)は顔を真っ赤にしながらも、
連日の特訓で、最近は目を瞑らずに、何とか
お風呂に入ったり、トイレに行ったり、服を着替えたり
することが出来るようになったー。
「--わたしも、ちゃんと”特訓”しなくちゃねー」
もちろん、一方的に涼香になった誠太郎が指導を
受けているわけではないー。
誠太郎になった涼香に、
髭剃りの使い方を教える涼香(誠太郎)-
「--あ、そうなんだ~!へ~…」
誠太郎(涼香)は笑いながら
「こういうの、生きてる間に使うことになるなんて
思わなかったなぁ~」と、呟くー。
「ぼ、僕だって…生きている間に…こんな…
と、いうか、女の人とこんなに喋ることになるなんてー」
と、涼香(誠太郎)が言うー。
誠太郎(涼香)は髭剃りを持ちながら、
そんな涼香(誠太郎)を見て、微笑んだー
「--最近は、やっとちゃんと喋ってくれるようになった!」
とー。
最初は、謝ってばかりだった涼香(誠太郎)も、
既に3週間、入れ替わり生活を続けて、
ようやく、誠太郎になった涼香にもある程度普通に
話しかけてくれるようになったー。
”思ったよりも、普通だったー”
昨日は、涼香(誠太郎)はそんなことを言っていたー
思わず”え?”と反応してしまった誠太郎(涼香)-
そんな反応に、涼香(誠太郎)は、また、謝ってばかりだったものの、
誠太郎が言うには、”自分が女子になってみて、女子も同じ人間なんだな…”
と、思えたのだと、そう言っていたー。
異性との関わりが皆無で、異性耐性0だった誠太郎はー
女性に対し、必要以上に壁を作り、
まるで別の生き物であるかのような、そんなイメージすら
抱いていたー
身体に関しても、そうー。
過剰に神秘的なイメージを抱いてしまい、
絶対に自分が関わってはいけない、触ってはいけないー
”神”のようなイメージを勝手に作り出してしまっていたのだー。
それこそー
”トイレにもいかない”
”あくびもしない”
そんな、イメージ的なものを持ってしまっていたー。
けれどー
自分が涼香になってみて、違うところはたくさんあっても
”案外”同じなんだなー、と誠太郎は思えたー
トイレも行くしー
お腹も壊すしー
だらしない姿をすることもあるしー
自分が、”女性”に対して、必要以上にハードルを上げていたことを
誠太郎は、涼香の身体で、実感したー。
「--入れ替わってみると、案外色々なことが分かっていいのかもねー」
誠太郎(涼香)が微笑むー。
心配なのは”大学”での振る舞いー。
涼香との修行で、誠太郎は、だいぶマシな状況になりー
今では安心して、涼香の身体での一人暮らしを任せられる状態になったー。
お風呂も入れるし、トイレも行けるしー
そしてー誠太郎のような誠実な男子であれば
涼香の身体で悪さをする心配も、ないー
だが、大学では、やはりと言うべきか、
まだ涼香としてうまく振舞うことは出来ておらず、
涼香の親友・由紀子も首を傾げているー
スマホで、誠太郎(涼香)が由紀子にメッセージを送り、
上手くごまかしているものの、
やはり、違和感はあるのだろうー。
誠太郎になった涼香自身も、やっぱりうまくいかないことは
色々と、あるー。
「--それでねー」
誠太郎(涼香)が、髪を整えている涼香(誠太郎)に対して言うとー、
涼香(誠太郎)は、話を聞く姿勢になったー。
「--戻る方法、色々調べたんだけどー
わたしの親戚に、脳神経外科をやってる先生がいてー
その人に、ダメ元で相談してみたのー」
「--えぇっ!?」
涼香(誠太郎)は驚くー
「-入れ替わりのこと、信じて貰えたの?」
とー。
「--うん。見てくれるって」
誠太郎(涼香)が言うー。
ネットで色々なことを調べたしー
自分たちで色々なことを試したー。
けれど、一向に元に戻れる方法は見つからず、
正直なところ、涼香自身にも、誠太郎自身にも、
もう、自分たちだけで、どうにかする、ということは
難しい状況だったー。
だから、誠太郎(涼香)は、親戚の先生に連絡を取り、
なんとか見てもらえないかと、お願いしたのだー
当然、最初は信じてもらうことが出来なかったけれどー、
必死に説得をするうちに、診察してくれることになったのだというー。
不安そうにする涼香(誠太郎)-
誠太郎(涼香)は「だいじょうぶ。きっと、元に戻れるよ」とほほ笑むー。
「--もし…もし、元に戻れなかったら…
その…ごめんなさい」
涼香(誠太郎)が言うと、
誠太郎(涼香)は「そんなに謝らなくていいの!」と、笑いながら言うー。
「--お互い健康な身体なんだし、どっちかの家庭環境が悪い!とか
そういうことでもないんだしー!」
「--でも…藤崎さんの身体を僕が使って、藤崎さんが
僕の身体なんて…
やっぱり、ごめんー」
繰り返し謝る涼香(誠太郎)に、誠太郎(涼香)は
苦笑いしながらー
「-女と男で、どっちが上とか、下とか、そんなのはないんだよ?
身体1個と身体1個を交換しただけ。
安藤くんが謝るなら、
わたしも「安藤くんの身体を使ってごめんなさい」って
謝らないと!」
その言葉にー
涼香(誠太郎)は少しだけ顔を赤らめてからー
「--入れ替わったのが、藤崎さんで本当によかったー」
と、微笑んだー。
「--え…」
誠太郎(涼香)が戸惑うー。
「--だって…他の子だったら、僕なんかと入れ替わったら
怒ってただろうしー」
涼香(誠太郎)はそう言うと、
”明るい子なんて、みんな裏では僕みたいなやつのこと
キモイ!って言ってるのかなぁ、って思ってた”と
付け加えたー。
「--ちょ!すっごい偏見!
わたし、そんなこと全く考えたこともないよ~?」
笑う誠太郎(涼香)-
「まぁ-、
そういう子もいるかもだけどー」
と、笑いながら”あと少し頑張ろう”と、
”元に戻れる日まで”頑張ることを、改めて二人で誓ったー
・・・・・・・・・・・・・・
それから1週間ー
涼香(誠太郎)は、涼香の身体で
「こうしたほうが可愛いかなぁ…」なんてことまで
考えるほど、余裕が出来たー
先日は、一緒に服を買いに行ったー。
お互い”好み”が違うー
入れ替わり生活が長引いている以上、
お互いの好みの服も、必要だったー。
誠太郎(涼香)はー
まるで、”子供”のように服を見比べている涼香(誠太郎)を見てー
”安藤くんにとっては、おしゃれをするの楽しい!って
感じるのが、はじめてなのかもー”
と、思いながら、その様子を微笑ましく見つめたー。
そしてーー
涼香の親族の病院に行く日がやってきたー。
小さな開業医としてー
現在は脳神経外科をやっているー。
「---久しぶりだね、涼香ちゃんー」
小さいころは、よく遊んでくれていた親戚でー
最近も、メッセージのやり取りはしていたー。
「--ってーーー…
今は、こっちが涼香ちゃんなんだっけ?」と
困ったような笑みを浮かべながら、誠太郎(涼香)の方を見たー
誠太郎(涼香)は、入れ替わってから今までの事情を説明するー。
「-とりあえず、まずは脳に異常がないか、検査してみよう」
涼香の親戚の医師は、そう言うと、
2人にMRIの検査を行ったー。
「-----」
結果の脳の写真を見つめながら、涼香の親戚は戸惑いながら呟くー。
「うーーーーーーーん…」
頭をかきながら涼香の親戚がその写真を見つめるー
”脳”に謎の薄い筋のようなものがあるのだと言うー。
「--それって…病気ってことですか?」
誠太郎(涼香)が言うと、
「いいやー…命に別状はないんだー」と
涼香の親戚は首を振ったー
「--でも…涼香ちゃんから連絡を受けてから
色々調べてみたんだけどー。
これまでに、数件だけ、世界で同じ症例があったんだー。
やっぱり、君たちと同じように、ぶつかったはずみで
入れ替わってしまった、っていう症例が、ねー。」
涼香の親戚がそれだけ言うとー、
涼香(誠太郎)は緊張した様子で、
「--それでーーその人たちは今、どうしてるんですか?」と呟くー
スカートを履いている涼香(誠太郎)-
もう、入れ替わった直後のように、気にする素振りは、ないー。
「------結論から言うとー」
涼香の親戚の医師は、二人を見つめて、
神妙な面持ちで呟いたー
「--君たちはもうー
元には、戻れないー」
とー。
⑤へ続く
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コメント
次回が最終回デス!
2人にはどのような未来が待ち受けているのでしょうか~?
今日もお読み下さり、ありがとうございました!!