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異性耐性0の男子・誠太郎は、

人気者の女子大生・涼香と入れ替わってしまったー


元に戻る方法が分かるまで、お互いの家で

生活することになったものの、

涼香(誠太郎)は、何もすることができないまま、

ついにトイレにも行けずに、お漏らしをしてしまうー。


翌日、様子を見に来た誠太郎(涼香)から、

お互い様だから気にしないで、と言われた涼香(誠太郎)は

誠太郎(涼香)に連れられてお風呂に向かうことに…


☆前回はこちら↓☆

fanbox post: creator/29593080/post/2448287

・・・・・・・・・・・・・・・・・


お風呂で涼香(誠太郎)の身体を洗いながら

誠太郎(涼香)は苦笑いするー。


涼香(誠太郎)はずっと目を瞑ったままー


「--なんか…自分で自分の身体を、他人として洗うって…

 すごく不思議な気分…」

誠太郎(涼香)は、そう呟くー。


自分自身の身体を洗うー。

それは、同じなのだが、

いつもは、涼香として涼香の身体を洗っているー

だが、今日は誠太郎として涼香の身体を洗っているー。


その違いは、入れ替わりを経験したことのある人間でしか

分からない、とても不思議な感覚と言える。


「ーーー…ごめん」

涼香(誠太郎)が目を瞑りながら呟くー


「え?今、別に謝るタイミングじゃないでしょ?

 まぁ、本当は自分で洗ってくれたほうが一番いいけど、

 安藤くん、異性耐性がないみたいだし…」

誠太郎(涼香)の言葉に、

涼香(誠太郎)は再び「ごめん…」と言葉を口にするー


もはや、

”謝る”のが癖になってしまっているー。


「---決めた!」

誠太郎(涼香)が手を叩くー。


「--え?」

涼香(誠太郎)が不思議そうに、思わず目を開いてしまい、

涼香の裸が目に入って「わ?!ごめん」と再び目を瞑るー。


「-目、開いて」

誠太郎(涼香)が言うー。


「--え…えぇ!?

 む、、無理だよ…藤崎さんの身体を見るなんて…そんな」

涼香(誠太郎)の言葉に、


「--だーめ!」

と、誠太郎(涼香)は言うと、「目を開けるの!」と、続けたー


「えぇぇ?!そんなぁ…!」

なおも抵抗する涼香(誠太郎)に対して、

誠太郎(涼香)はため息をついてからー


「ねぇ、安藤くんー」

と、続けたー。


諭すような口調で、誠太郎(涼香)は言うー。


「わたしたち、いつ戻れるか分からないし、

 安藤くんがずっとそのままじゃ、わたしも困っちゃう…


 安藤くんは、優しいから、きっと、わたしのことを

 気遣って、目を瞑ってくれているんだと思うんだけど、

 でも、それじゃ、逆にわたしが困っちゃうのー…


 わたしの身体でいる間はー、大丈夫だからー…


 お風呂も、トイレも、着替えも、

 わたしの身体を触ってもー

 大丈夫だからー…


 だからーーー

 少しずつでもいいから、頑張ろう?

 わたしもサポートするからー」


誠太郎(涼香)の言葉に、ようやく少しずつ目を開く

涼香(誠太郎)-


自分が涼香になっていてー

お風呂にいる自分は、当然裸だー


女の裸を見るのも、これが初めてだー。

顔を真っ赤にしながら涼香(誠太郎)は「ごめん…」と呟くー。


「--そんなに謝らないでー。

 元に戻れるまでは、お互い様だから!」

誠太郎(涼香)はそれだけ言うと、

「--安藤くんが、少しでも女の人に慣れることができるように、

 わたしも色々サポートするから、頑張ろ!」


さっきの”決めた”とは、

誠太郎になった涼香が、涼香になった誠太郎が

普通に過ごすことが出来るように、色々”指導”しようと決めた!

という意味のようだー。


涼香(誠太郎)はドキドキしながらも頷くー。


そしてー

その日から、涼香になった誠太郎と、誠太郎になった涼香のー

”特訓の日々”が始まったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


誠太郎(涼香)は元に戻る方法を探しながらー

涼香(誠太郎)の”特訓”を続けていたー。


「--うん、ここをそう、こうしてーー…

 ほら!目を瞑らない!」


下着のつけ方の指導をする誠太郎(涼香)-

涼香(誠太郎)は顔を真っ赤にしながらも、

連日の特訓で、最近は目を瞑らずに、何とか

お風呂に入ったり、トイレに行ったり、服を着替えたり

することが出来るようになったー。


「--わたしも、ちゃんと”特訓”しなくちゃねー」

もちろん、一方的に涼香になった誠太郎が指導を

受けているわけではないー。


誠太郎になった涼香に、

髭剃りの使い方を教える涼香(誠太郎)-


「--あ、そうなんだ~!へ~…」

誠太郎(涼香)は笑いながら

「こういうの、生きてる間に使うことになるなんて

 思わなかったなぁ~」と、呟くー。


「ぼ、僕だって…生きている間に…こんな…

 

 と、いうか、女の人とこんなに喋ることになるなんてー」


と、涼香(誠太郎)が言うー。


誠太郎(涼香)は髭剃りを持ちながら、

そんな涼香(誠太郎)を見て、微笑んだー


「--最近は、やっとちゃんと喋ってくれるようになった!」

とー。


最初は、謝ってばかりだった涼香(誠太郎)も、

既に3週間、入れ替わり生活を続けて、

ようやく、誠太郎になった涼香にもある程度普通に

話しかけてくれるようになったー。


”思ったよりも、普通だったー”

昨日は、涼香(誠太郎)はそんなことを言っていたー


思わず”え?”と反応してしまった誠太郎(涼香)-

そんな反応に、涼香(誠太郎)は、また、謝ってばかりだったものの、

誠太郎が言うには、”自分が女子になってみて、女子も同じ人間なんだな…”

と、思えたのだと、そう言っていたー。


異性との関わりが皆無で、異性耐性0だった誠太郎はー

女性に対し、必要以上に壁を作り、

まるで別の生き物であるかのような、そんなイメージすら

抱いていたー

身体に関しても、そうー。

過剰に神秘的なイメージを抱いてしまい、

絶対に自分が関わってはいけない、触ってはいけないー

”神”のようなイメージを勝手に作り出してしまっていたのだー。


それこそー

”トイレにもいかない”

”あくびもしない”

そんな、イメージ的なものを持ってしまっていたー。


けれどー

自分が涼香になってみて、違うところはたくさんあっても

”案外”同じなんだなー、と誠太郎は思えたー


トイレも行くしー

お腹も壊すしー

だらしない姿をすることもあるしー


自分が、”女性”に対して、必要以上にハードルを上げていたことを

誠太郎は、涼香の身体で、実感したー。


「--入れ替わってみると、案外色々なことが分かっていいのかもねー」

誠太郎(涼香)が微笑むー。


心配なのは”大学”での振る舞いー。

涼香との修行で、誠太郎は、だいぶマシな状況になりー

今では安心して、涼香の身体での一人暮らしを任せられる状態になったー。


お風呂も入れるし、トイレも行けるしー

そしてー誠太郎のような誠実な男子であれば

涼香の身体で悪さをする心配も、ないー


だが、大学では、やはりと言うべきか、

まだ涼香としてうまく振舞うことは出来ておらず、

涼香の親友・由紀子も首を傾げているー


スマホで、誠太郎(涼香)が由紀子にメッセージを送り、

上手くごまかしているものの、

やはり、違和感はあるのだろうー。


誠太郎になった涼香自身も、やっぱりうまくいかないことは

色々と、あるー。


「--それでねー」

誠太郎(涼香)が、髪を整えている涼香(誠太郎)に対して言うとー、

涼香(誠太郎)は、話を聞く姿勢になったー。


「--戻る方法、色々調べたんだけどー

 わたしの親戚に、脳神経外科をやってる先生がいてー

 その人に、ダメ元で相談してみたのー」


「--えぇっ!?」

涼香(誠太郎)は驚くー


「-入れ替わりのこと、信じて貰えたの?」

とー。


「--うん。見てくれるって」

誠太郎(涼香)が言うー。


ネットで色々なことを調べたしー

自分たちで色々なことを試したー。

けれど、一向に元に戻れる方法は見つからず、

正直なところ、涼香自身にも、誠太郎自身にも、

もう、自分たちだけで、どうにかする、ということは

難しい状況だったー。


だから、誠太郎(涼香)は、親戚の先生に連絡を取り、

なんとか見てもらえないかと、お願いしたのだー

当然、最初は信じてもらうことが出来なかったけれどー、

必死に説得をするうちに、診察してくれることになったのだというー。


不安そうにする涼香(誠太郎)-

誠太郎(涼香)は「だいじょうぶ。きっと、元に戻れるよ」とほほ笑むー。


「--もし…もし、元に戻れなかったら…

 その…ごめんなさい」

涼香(誠太郎)が言うと、

誠太郎(涼香)は「そんなに謝らなくていいの!」と、笑いながら言うー。


「--お互い健康な身体なんだし、どっちかの家庭環境が悪い!とか

 そういうことでもないんだしー!」


「--でも…藤崎さんの身体を僕が使って、藤崎さんが

 僕の身体なんて…

 やっぱり、ごめんー」


繰り返し謝る涼香(誠太郎)に、誠太郎(涼香)は

苦笑いしながらー


「-女と男で、どっちが上とか、下とか、そんなのはないんだよ?

 身体1個と身体1個を交換しただけ。

 

 安藤くんが謝るなら、

 わたしも「安藤くんの身体を使ってごめんなさい」って

 謝らないと!」


その言葉にー

涼香(誠太郎)は少しだけ顔を赤らめてからー


「--入れ替わったのが、藤崎さんで本当によかったー」

と、微笑んだー。


「--え…」

誠太郎(涼香)が戸惑うー。


「--だって…他の子だったら、僕なんかと入れ替わったら

 怒ってただろうしー」

涼香(誠太郎)はそう言うと、


”明るい子なんて、みんな裏では僕みたいなやつのこと

 キモイ!って言ってるのかなぁ、って思ってた”と

付け加えたー。


「--ちょ!すっごい偏見!

 わたし、そんなこと全く考えたこともないよ~?」

笑う誠太郎(涼香)-


「まぁ-、

 そういう子もいるかもだけどー」

と、笑いながら”あと少し頑張ろう”と、

”元に戻れる日まで”頑張ることを、改めて二人で誓ったー


・・・・・・・・・・・・・・


それから1週間ー


涼香(誠太郎)は、涼香の身体で

「こうしたほうが可愛いかなぁ…」なんてことまで

考えるほど、余裕が出来たー


先日は、一緒に服を買いに行ったー。


お互い”好み”が違うー

入れ替わり生活が長引いている以上、

お互いの好みの服も、必要だったー。


誠太郎(涼香)はー

まるで、”子供”のように服を見比べている涼香(誠太郎)を見てー


”安藤くんにとっては、おしゃれをするの楽しい!って

 感じるのが、はじめてなのかもー”

と、思いながら、その様子を微笑ましく見つめたー。



そしてーー

涼香の親族の病院に行く日がやってきたー。


小さな開業医としてー

現在は脳神経外科をやっているー。


「---久しぶりだね、涼香ちゃんー」

小さいころは、よく遊んでくれていた親戚でー

最近も、メッセージのやり取りはしていたー。


「--ってーーー…

 今は、こっちが涼香ちゃんなんだっけ?」と

困ったような笑みを浮かべながら、誠太郎(涼香)の方を見たー


誠太郎(涼香)は、入れ替わってから今までの事情を説明するー。


「-とりあえず、まずは脳に異常がないか、検査してみよう」

涼香の親戚の医師は、そう言うと、

2人にMRIの検査を行ったー。


「-----」

結果の脳の写真を見つめながら、涼香の親戚は戸惑いながら呟くー。


「うーーーーーーーん…」

頭をかきながら涼香の親戚がその写真を見つめるー


”脳”に謎の薄い筋のようなものがあるのだと言うー。


「--それって…病気ってことですか?」

誠太郎(涼香)が言うと、

「いいやー…命に別状はないんだー」と

涼香の親戚は首を振ったー


「--でも…涼香ちゃんから連絡を受けてから

 色々調べてみたんだけどー。

 これまでに、数件だけ、世界で同じ症例があったんだー。


 やっぱり、君たちと同じように、ぶつかったはずみで

 入れ替わってしまった、っていう症例が、ねー。」


涼香の親戚がそれだけ言うとー、

涼香(誠太郎)は緊張した様子で、

「--それでーーその人たちは今、どうしてるんですか?」と呟くー


スカートを履いている涼香(誠太郎)-

もう、入れ替わった直後のように、気にする素振りは、ないー。


「------結論から言うとー」

涼香の親戚の医師は、二人を見つめて、

神妙な面持ちで呟いたー


「--君たちはもうー

 元には、戻れないー」


とー。



⑤へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回デス!

2人にはどのような未来が待ち受けているのでしょうか~?


今日もお読み下さり、ありがとうございました!!

(Fanbox)


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