<MC>遠距離恋愛の彼女に起きた異変⑥~終幕~(完) (Pixiv Fanbox)
Content
遠距離恋愛中の彼女との”日々の会話”の記録ー。
遠く離れた地でも、彼女との絆は変わらないー
そう、思っていたー。
けれどー
”彼”の目の届かないところで、”それ”は進んでいたー。
遠距離恋愛中の彼女が、何者かに洗脳され、変わっていく、
恐怖の記録ー。
(第6週・最終回)
↓前回はこちら★↓
fanbox post: creator/29593080/post/2403300
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「--半殺しにしろ」
真梨香を洗脳している男・和弘が、悪魔のような言葉を
囁いたー。
「うん!わかった!」
和弘に完全に洗脳されてしまっている真梨香は
嬉しそうにそう言うと、
容赦なくー
俺を殴りつけて来た。
「ぐあっ!」
俺は、悲鳴を上げるー。
真梨香は、俺に対して、殴る・蹴るの暴行を加えるー。
”暴力なんて嫌い”
真梨香は、前にそう言っていたー。
その真梨香に、こんなことをさせている和弘に、
俺は激しい怒りを燃やしたー。
それと同時にー
真梨香の異変をいち早く察知してあげることが出来ずー
こんな風に、言いなりにさせられて、暴力を振るわされるような
状況になるまで、何もすることができなかった
俺自身にも、俺は激しい怒りを燃やしたー。
もっと早くー
気付いてあげることができていたのであればー。
”遠距離恋愛だから?”
いやー
そんなこと、理由にはならないー。
「--笑え!笑いながら嬉しそうに元カレを傷めつけろ!」
叫ぶ和弘ー
「ふふっ!うん!ふふふふ…楽しい♡ 最高♡!」
真梨香が、髪を振り乱しながら、俺を蹴り飛ばすー
俺をグーで殴りつけて、笑う真梨香ー
「痛いでしょ?ふふふっ…マジでウケる♡」
真梨香の目は、完全に正気を失っていたー
完全に、和弘の支配下に置かれているー。
「---」
俺は、反撃をして、和弘に飛び掛かろうとするー。
だがー
それを見透かしたのようにー
真梨香が和弘の言葉を代弁したー。
「-女を殴るの?」
真梨香が、虚ろな目になって、俺を見つめているー。
「--操られてるわたしを殴っても、
痛いのは、わたしだけだよー?
それにわたし、言ったよね?
暴力は嫌いだって。
秀一は、わたしに暴力を振るうの?」
笑う真梨香ー
和弘に”言わされている”
そうは思いながらも、俺は真梨香に反撃することもできなかったー
真梨香が悪いんじゃないー
真梨香は、被害者だー。
その真梨香を、殴ることなんて、俺にはー
「--あははははっ!うぜぇんだよ!」
真梨香と和弘が同時に叫ぶー
真梨香がセーラー服を振り乱しながら、
俺を殴りつけるー。
俺は吹き飛ばされながら、
和弘の方を睨んだー
「--ね~~、ご主人様の方をそんな目で見ないで」
真梨香が不満そうに近づいてくるー。
「ご主人様に、失礼でしょ」
真梨香が睨みながら、俺の胸倉を掴むー
和弘は勝ち誇った表情を浮かべているー。
「--真梨香…頼む…目を覚ましてくれ…頼む」
俺は、嘆願するようにして呟いたー。
「---目を覚ますぅ~~?わたしは正気ですぅ~~~!」
真梨香は馬鹿にするようにして笑ったー
正気なんかじゃないー
真梨香は、こんなことしないー
今の真梨香は、真梨香であって真梨香ではないー
なんとか、なんとか、真梨香をーーー
俺は、そんな風に思いながらー
ふとー
和弘が立っている位置から少し離れた場所にある、
和弘の机を見つめたー。
「これを飲んで、洗脳したい相手にキスをすればー
”操り人形”の完成さー」
机の上に、和弘が俺に”洗脳”のことを説明した時に
取り出した”薬”が置かれているー。
「-------!!」
俺は、
それを見て、あることを思いついたー。
真梨香を救うには、これしかないー
俺は真梨香を振りほどきー
咄嗟に猛ダッシュしたー。
そしてー
机の上に置かれているその容器を手にしたー。
「---!!!!」
勝ち誇っていた和弘の表情が歪むー
俺はー
怒りの形相で、”それ”を飲んだー
「--何をするつもりだ!?」
和弘と、洗脳されている真梨香が同時に叫ぶー。
「--まさか、”元カノ”を洗脳して取り戻すつもりかー?
そんなことー」
俺はー
和弘の言葉を遮って、和弘にキスをしたー
男にキスをする趣味なんてないがー
真梨香を助けるためだー。
俺は、負けないー。
「-----な」
驚いている和弘を睨みー
俺は和弘を”洗脳”したー
「真梨香を元通りにしろー
今すぐ、真梨香の洗脳を解除するんだ!」
俺の命令に、和弘は、とろんとした目つきになってー
「はい……」と、だけ呟いたー
そして、真梨香に近づくと、真梨香の目を見つめてー
真梨香の洗脳を”解除”したー
「---…え…」
笑みを浮かべていた真梨香が正気を取り戻して、
とたんに不安そうな表情を浮かべるー
「え…ここ…???し、、秀一…
わ、、わたし…」
自分の姿を見つめて、真梨香は戸惑っているー
セーラー服を着るような年齢ではないし、
真梨香の手には、俺を殴った時についた血も
付着しているー
「--わ、、わたし…なんで…?」
戸惑う真梨香を、
俺は何も言わずに抱きしめたー。
「もう、大丈夫ー。
来るのが遅れて、ごめんー」
俺はそれだけ言うと、
真梨香の方を見つめて、
少しだけ微笑んでからー
和弘の方を見つめたー
虚ろな目をしている和弘ー
「--よくも…よくも真梨香を好き放題くれたな…!
人を”洗脳”するってことか、どういうことか
お前に教えてやるー」
俺は、怒りの形相で和弘を見つめたー
今の俺は、和弘に対する憎しみだけで、いっぱいだったー。
「---…あ、、、ぅ…」
戸惑っている和弘ー
「--許さない…許せねぇ…!」
俺は和弘を睨みつけると
”そのまま山奥に行って自殺しろ!”と
怒りのままに命令しようとしたー
しかしー
「だめっ!」
セーラー服姿の真梨香が立ちはだかるー。
一瞬、まだ”洗脳が解けていない”のかとも思ったがー
真梨香の目は、どう見ても、正気だったー。
そしてー
「--だめ…秀一…。だめ…!」
真梨香が泣きながら言うー。
「--こんな人と、同じになっちゃ、だめー」
とー。
「---真梨香ーー」
俺は、ふと我に返るー。
相手がどんなにクズ野郎だったとしてもー
相手の人生を滅茶苦茶にするようなことをすればー…
俺は、この和弘とかいうやつと”同類”でしかないー。
真梨香は、俺に、そうなっちゃいけない…!と
言っているのだー。
「--わたし…この人の言いなりにさせられてたんだよね…?
でも、、でも、、だめ…
わたしだってこの人のこと、許せないけどー…
でも…秀一は、この人のように、ならないでー」
真梨香の必死の叫びに、
俺は虚ろな目をしたままの和弘を見つめるー。
真梨香が止めてくれなかったらー
俺はー”洗脳”の力に溺れていたかもしれないー
そんな風に思いながら、俺は真梨香を見つめて「ごめん…もう大丈夫」と
呟いたー
「---でも」
俺はそう言うと、和弘を見つめたー。
「-もう二度と、真梨香につきまとうなー
それとーー
”人を洗脳”なんて、もう絶対に二度とするなー。
いいな」
それだけ言うと、和弘は「はい……」と、虚ろな目のまま
呟いたー。
「---秀一…」
真梨香が安心した様子で微笑むー。
俺は、和弘の家に置かれていた真梨香の着替えで
真梨香が着替え終わるのを待ってー
最後に、近くに置かれていた説明書に書かれている通りに、
和弘の洗脳を解除すると、そのまま、和弘の家を後にしたー
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数日後ー
俺は、家族とも相談した上で、
真梨香の近くで暮らすことを決意したー。
家族も、快く送り出してくれたしー
大学は、別の大学に切り替えるつもりだー。
あんなことがあったしー
やっぱり、真梨香の側にいてあげたいー。
真梨香は、すっかり元通りだがー
手が少し触れたりすると、ビクッ、と怯えたような様子を見せるー。
気丈に振舞ってはいるものの、真梨香に与えられてしまった
心の傷は計り知れない…。
「--真梨香…ごめんな…俺がもっと早く気づいていればー」
その言葉に、真梨香は優しく首を振ったー。
「---でも…もう、真梨香にあんな思いはさせないからー」
「---うん…秀一のその気持ちだけで十分ー。
わたしのほうこそ、迷惑かけてごめんねー」
”遠距離恋愛の彼女に起きた異変”はー
信じられない原因によるものだったー
彼女の心には、深い傷が刻まれてしまったー。
けれどー。
少しずつでもー
その傷が癒えていくようにー
俺も、
俺自身に出来ることを、しっかりとやっていきたいー
そんな決意をしながら、
俺は真梨香の方を見て「--これからも、よろしくな」
と、優しく声を掛けたー。
おわり
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コメント
遠距離恋愛の彼女を無事に救い出すことが出来ました!
ハッピーエンドですネ!
来週からの土曜日枠は、「憑依薬を手に入れた男の日記(仮称)」を
お届けしていく予定デス~!
こちらもぜひお楽しみくださいネ~!
最後までお読み下さり、ありがとうございました!!
※毎週土曜日の更新(コンパクト枠)とは?
(いつもと同じ説明デス↓ 既に知ってる方は読まなくて大丈夫デス!!)
毎週土曜日(以前は火曜日でした!)は、
私が仕事の都合で書く時間を確保できないので、
本来更新は難しいのですが
少しでも皆様にご恩返しということで、他の6日間で毎日
少しずつ執筆して、土曜日にも、作品をお届けしています!
そのため、いつもより少し文章量が少ないため
毎週土曜日の作品は、100円プランでも読めるようにしてあります!
(※土曜日枠のお話は必ず完結まで100円プランで読めるようにします!
途中から上がったりはしませんので、安心してください)