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遠距離恋愛中の彼女との”日々の会話”の記録ー。


遠く離れた地でも、彼女との絆は変わらないー

そう、思っていたー。


けれどー

”彼”の目の届かないところで、”それ”は進んでいたー。


遠距離恋愛中の彼女が、何者かに洗脳され、変わっていく、

恐怖の記録ー。

(第6週・最終回)


↓前回はこちら★↓

fanbox post: creator/29593080/post/2403300

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「--半殺しにしろ」

真梨香を洗脳している男・和弘が、悪魔のような言葉を

囁いたー。


「うん!わかった!」

和弘に完全に洗脳されてしまっている真梨香は

嬉しそうにそう言うと、

容赦なくー

俺を殴りつけて来た。


「ぐあっ!」

俺は、悲鳴を上げるー。


真梨香は、俺に対して、殴る・蹴るの暴行を加えるー。


”暴力なんて嫌い”

真梨香は、前にそう言っていたー。

その真梨香に、こんなことをさせている和弘に、

俺は激しい怒りを燃やしたー。


それと同時にー

真梨香の異変をいち早く察知してあげることが出来ずー

こんな風に、言いなりにさせられて、暴力を振るわされるような

状況になるまで、何もすることができなかった

俺自身にも、俺は激しい怒りを燃やしたー。


もっと早くー

気付いてあげることができていたのであればー。


”遠距離恋愛だから?”

いやー

そんなこと、理由にはならないー。


「--笑え!笑いながら嬉しそうに元カレを傷めつけろ!」

叫ぶ和弘ー


「ふふっ!うん!ふふふふ…楽しい♡ 最高♡!」

真梨香が、髪を振り乱しながら、俺を蹴り飛ばすー


俺をグーで殴りつけて、笑う真梨香ー


「痛いでしょ?ふふふっ…マジでウケる♡」

真梨香の目は、完全に正気を失っていたー

完全に、和弘の支配下に置かれているー。


「---」

俺は、反撃をして、和弘に飛び掛かろうとするー。


だがー

それを見透かしたのようにー

真梨香が和弘の言葉を代弁したー。


「-女を殴るの?」

真梨香が、虚ろな目になって、俺を見つめているー。


「--操られてるわたしを殴っても、

 痛いのは、わたしだけだよー?


 それにわたし、言ったよね?

 暴力は嫌いだって。

 秀一は、わたしに暴力を振るうの?」


笑う真梨香ー


和弘に”言わされている”

そうは思いながらも、俺は真梨香に反撃することもできなかったー


真梨香が悪いんじゃないー

真梨香は、被害者だー。

その真梨香を、殴ることなんて、俺にはー


「--あははははっ!うぜぇんだよ!」

真梨香と和弘が同時に叫ぶー

真梨香がセーラー服を振り乱しながら、

俺を殴りつけるー。


俺は吹き飛ばされながら、

和弘の方を睨んだー


「--ね~~、ご主人様の方をそんな目で見ないで」

真梨香が不満そうに近づいてくるー。


「ご主人様に、失礼でしょ」

真梨香が睨みながら、俺の胸倉を掴むー


和弘は勝ち誇った表情を浮かべているー。


「--真梨香…頼む…目を覚ましてくれ…頼む」

俺は、嘆願するようにして呟いたー。


「---目を覚ますぅ~~?わたしは正気ですぅ~~~!」

真梨香は馬鹿にするようにして笑ったー


正気なんかじゃないー

真梨香は、こんなことしないー

今の真梨香は、真梨香であって真梨香ではないー


なんとか、なんとか、真梨香をーーー


俺は、そんな風に思いながらー

ふとー

和弘が立っている位置から少し離れた場所にある、

和弘の机を見つめたー。


「これを飲んで、洗脳したい相手にキスをすればー

 ”操り人形”の完成さー」


机の上に、和弘が俺に”洗脳”のことを説明した時に

取り出した”薬”が置かれているー。


「-------!!」

俺は、

それを見て、あることを思いついたー。


真梨香を救うには、これしかないー


俺は真梨香を振りほどきー

咄嗟に猛ダッシュしたー。


そしてー

机の上に置かれているその容器を手にしたー。


「---!!!!」

勝ち誇っていた和弘の表情が歪むー


俺はー

怒りの形相で、”それ”を飲んだー


「--何をするつもりだ!?」

和弘と、洗脳されている真梨香が同時に叫ぶー。


「--まさか、”元カノ”を洗脳して取り戻すつもりかー?

 そんなことー」


俺はー

和弘の言葉を遮って、和弘にキスをしたー

男にキスをする趣味なんてないがー

真梨香を助けるためだー。

俺は、負けないー。


「-----な」

驚いている和弘を睨みー

俺は和弘を”洗脳”したー


「真梨香を元通りにしろー

 今すぐ、真梨香の洗脳を解除するんだ!」


俺の命令に、和弘は、とろんとした目つきになってー

「はい……」と、だけ呟いたー


そして、真梨香に近づくと、真梨香の目を見つめてー

真梨香の洗脳を”解除”したー


「---…え…」

笑みを浮かべていた真梨香が正気を取り戻して、

とたんに不安そうな表情を浮かべるー


「え…ここ…???し、、秀一…

 わ、、わたし…」

自分の姿を見つめて、真梨香は戸惑っているー


セーラー服を着るような年齢ではないし、

真梨香の手には、俺を殴った時についた血も

付着しているー


「--わ、、わたし…なんで…?」

戸惑う真梨香を、

俺は何も言わずに抱きしめたー。


「もう、大丈夫ー。

 来るのが遅れて、ごめんー」


俺はそれだけ言うと、

真梨香の方を見つめて、

少しだけ微笑んでからー

和弘の方を見つめたー


虚ろな目をしている和弘ー


「--よくも…よくも真梨香を好き放題くれたな…!

 人を”洗脳”するってことか、どういうことか

 お前に教えてやるー」


俺は、怒りの形相で和弘を見つめたー

今の俺は、和弘に対する憎しみだけで、いっぱいだったー。


「---…あ、、、ぅ…」

戸惑っている和弘ー


「--許さない…許せねぇ…!」

俺は和弘を睨みつけると

”そのまま山奥に行って自殺しろ!”と

怒りのままに命令しようとしたー


しかしー


「だめっ!」

セーラー服姿の真梨香が立ちはだかるー。


一瞬、まだ”洗脳が解けていない”のかとも思ったがー

真梨香の目は、どう見ても、正気だったー。


そしてー


「--だめ…秀一…。だめ…!」

真梨香が泣きながら言うー。


「--こんな人と、同じになっちゃ、だめー」

とー。


「---真梨香ーー」

俺は、ふと我に返るー。


相手がどんなにクズ野郎だったとしてもー

相手の人生を滅茶苦茶にするようなことをすればー…

俺は、この和弘とかいうやつと”同類”でしかないー。


真梨香は、俺に、そうなっちゃいけない…!と

言っているのだー。


「--わたし…この人の言いなりにさせられてたんだよね…?


 でも、、でも、、だめ…

 わたしだってこの人のこと、許せないけどー…


 でも…秀一は、この人のように、ならないでー」


真梨香の必死の叫びに、

俺は虚ろな目をしたままの和弘を見つめるー。


真梨香が止めてくれなかったらー

俺はー”洗脳”の力に溺れていたかもしれないー


そんな風に思いながら、俺は真梨香を見つめて「ごめん…もう大丈夫」と

呟いたー


「---でも」

俺はそう言うと、和弘を見つめたー。


「-もう二度と、真梨香につきまとうなー


 それとーー


 ”人を洗脳”なんて、もう絶対に二度とするなー。

 いいな」


それだけ言うと、和弘は「はい……」と、虚ろな目のまま

呟いたー。


「---秀一…」

真梨香が安心した様子で微笑むー。


俺は、和弘の家に置かれていた真梨香の着替えで

真梨香が着替え終わるのを待ってー

最後に、近くに置かれていた説明書に書かれている通りに、

和弘の洗脳を解除すると、そのまま、和弘の家を後にしたー


・・・・・・・・・・・・・・・


数日後ー


俺は、家族とも相談した上で、

真梨香の近くで暮らすことを決意したー。


家族も、快く送り出してくれたしー

大学は、別の大学に切り替えるつもりだー。


あんなことがあったしー

やっぱり、真梨香の側にいてあげたいー。


真梨香は、すっかり元通りだがー

手が少し触れたりすると、ビクッ、と怯えたような様子を見せるー。


気丈に振舞ってはいるものの、真梨香に与えられてしまった

心の傷は計り知れない…。


「--真梨香…ごめんな…俺がもっと早く気づいていればー」

その言葉に、真梨香は優しく首を振ったー。


「---でも…もう、真梨香にあんな思いはさせないからー」


「---うん…秀一のその気持ちだけで十分ー。

 わたしのほうこそ、迷惑かけてごめんねー」


”遠距離恋愛の彼女に起きた異変”はー

信じられない原因によるものだったー


彼女の心には、深い傷が刻まれてしまったー。

けれどー。

少しずつでもー

その傷が癒えていくようにー


俺も、

俺自身に出来ることを、しっかりとやっていきたいー


そんな決意をしながら、

俺は真梨香の方を見て「--これからも、よろしくな」

と、優しく声を掛けたー。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


遠距離恋愛の彼女を無事に救い出すことが出来ました!

ハッピーエンドですネ!


来週からの土曜日枠は、「憑依薬を手に入れた男の日記(仮称)」を

お届けしていく予定デス~!

こちらもぜひお楽しみくださいネ~!


最後までお読み下さり、ありがとうございました!!


※毎週土曜日の更新(コンパクト枠)とは?

(いつもと同じ説明デス↓ 既に知ってる方は読まなくて大丈夫デス!!)

毎週土曜日(以前は火曜日でした!)は、

私が仕事の都合で書く時間を確保できないので、

本来更新は難しいのですが

少しでも皆様にご恩返しということで、他の6日間で毎日

少しずつ執筆して、土曜日にも、作品をお届けしています!

そのため、いつもより少し文章量が少ないため

毎週土曜日の作品は、100円プランでも読めるようにしてあります!

(※土曜日枠のお話は必ず完結まで100円プランで読めるようにします!

  途中から上がったりはしませんので、安心してください)


(Fanbox)


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