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特急列車に揺られながらー、

実家に帰宅している最中の聡美ー。


聡美は、兄・治夫のことが、小さいころから、

大好きだったー。


小さいころは、”大きくなったらお兄ちゃんと結婚するー!”

なんて、言っていたぐらいだー。


大学生になった今も、それは変わらないー

警察官として働く兄のことを本当に尊敬しているしー

人間としても、お兄ちゃんとしても慕っているー


”お兄ちゃん…”

聡美は、兄のことを心配するー


治夫の家にいる間は、口にはしなかったがー

治夫は”何か”を抱え込んでいたー。

きっと、何か難しい事件を担当しているのだと、聡美は

感じとっていたー。


「---ふぅ」

電車が走る中、立ち上がり、お手洗いの方に向かう聡美ー


お手洗いに入りー

扉を閉じようと思ったその時だったー。


「---!」

聡美が目を見開くー


スーツ姿の男が、トイレに後から入って来たのだー。


「--君の”お兄ちゃん”を始末するために、

 君の身体ー、貸してもらうよ」


天才詐欺師・臼井隼人は、

悲鳴を上げようとする聡美に、容赦なく注射器を打ち込みー

聡美を”皮”にしたー。


・・・・・・・・・・・・・・


登場人物


長瀬 治夫(ながせ はるお)

若き警察官。”皮”にまつわる事件に巻き込まれていく


松永 亜香里(まつなが あかり)

治夫の彼女。現在同居中。


長瀬 聡美(ながせ さとみ)

治夫の妹。亜香里に激しいライバル心を燃やしている。


目黒 圭吾(めぐろ けいご)

警視正。計算高い性格の持ち主で、出世欲も強い。


矢神 明信 / 堂林 幸成 / 三枝 真綾 / 剛

目黒警視正率いる「モルティング対策班」のメンバー。


黒崎 陣矢(くろさき じんや)

指名手配中の凶悪犯罪者。”モルティング”のひとり。


臼井 隼人/中曽根 佳純/春山 正義

”人を皮にする凶悪犯”通称・モルティングたち。


泉谷 聖一(いずみや せいいち)

治夫の中学時代の恩師。モルティングたちに”皮にする力”を与えた黒幕。


・・・・・・・・・・・・・・


★あらすじ★


恩師・泉谷聖一が、人を皮にする凶悪犯たちの黒幕だったー。

泉谷は、警察が”皮”にする力を作ったこと、

そして、”剛”や”目黒警視正”は、不都合な事実を闇に葬り続けている

警察内の”闇”であると指摘したー。


目黒警視正に疑念を抱きながらも、治夫は、

モルティングたちとの戦いを続けていくー


だが、治夫は知らないー

同居する彼女の亜香里や、実家に帰宅するために家を出た

妹の聡美にまでー

”モルティング”たちの魔の手が迫りつつあることをー


・・・・・・・・・・・・・・・


「--堂林さん!」

治夫が、現場にやって来るとー、

対策班の同僚・好青年風の幸成が、

手を上げて合図をしたー。


空き地には、凶悪犯・黒崎陣矢についこの間まで

皮にされていた女子大生・鈴が

皮の状態のまま横たわっていたー。


「---別の身体に乗り換えたんだろうな…」

幸成が、鈴の皮を見つめながら言うー。


治夫は、表情を歪めるー


「くそっ…俺があの時、この子を助けることが出来ていればー」

治夫が悔しそうに歯ぎしりするー


「--大丈夫だ。まだ、この子は死んでないー

 君が前に言ってただろ?あいつらは、皮にした人間を

 元に戻すこともできるってー」


実際に、皮にされた人間を元に戻す注射器を打ち込む場面を

治夫は見ているー。


「--……そう…ですね」

治夫は、悔しそうにしながらも立ち上がるー。


あいつらを追い詰めればー

この子も、助けることが出来るー


「-とにかく、この子を、本部にいったん運ぼう」

幸成の言葉に、治夫は静かに頷いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・


「--彼女の”皮”は私の方で管理します」

本部に、皮にされた女子大生・鈴を運び終えると、

目黒警視正は、淡々とそう呟いたー。


「-ーあの子を、どうするつもりですか?」

治夫は、不安そうにそう呟くー


目黒警視正は、治夫のそんな言葉に、うすら笑みを

浮かべながら答えるー。


「-どうすると、思いますか?」

とー。


「--……目黒警視正…あいつらは、”皮”にした人間を

 元に戻す注射器も持っていますー。

 あの子は、まだ死んではいませんー

 どうかー」


治夫は”どうか、悪いようにはしないでください”と、

続けようとしたー。

黒崎陣矢に皮にされていた鈴は、死んではいないー。

皮の状態から元に戻すことが出来れば、彼女はー


「--私は一言も、彼女を悪いようにするとは言っていませんよ。

 専用の医務室に運び込んであります。

 悪いようには、しません」


目黒警視正は、それだけ言うと、

治夫たちに向かって、”モルティング”たちの動向を

説明し始めたー。


「---」

治夫は、目黒警視正に疑念の目を向けるー


目黒警視正以外とは会わない謎の人物”剛”-

そして、恩師泉谷から聞かされた話ー


”皮の力を作ったのは警察ー”

”目黒警視正は、警察の闇の中心的人物である西園寺警察庁長官の

指示で動いているー”


それらが、治夫の中での目黒警視正に対する不信感を強めさせていたー。


「--ふぅん…ハルくんってば、そんな目でメグちゃんを見てー

 うふふ…」

治夫のことを少し離れた場所から見ていた、

ギャル風の真綾が、クスッと笑みを浮かべたー。


目黒警視正の話が終わり、

治夫は、廊下を歩きだすー。


泉谷先生が率いる”人を皮にする犯罪者”たちは、間違っているー

もちろん、泉谷先生自身も、だー。

しかし、警察内部にも闇があるならー、それも、間違っているー。


ため息をつきながら廊下を歩く治夫に、

アウトロー風の明信が声を掛けたー


「--おい」

明信の言葉に、立ち止まって振り返る治夫ー。


「--あんま、無理すんじゃねぇよ」

明信がガムを噛みながら、治夫に近づくー


「-無理してません」

治夫が少しだけムキになって言うー。


信じていた恩師が、凶悪犯たちの親玉だったことー

そして、目黒警視正に対する不信感ー

あらゆることが重なって、治夫は、余裕をなくしていたー。


「-してるだろうが」

明信がため息をつきながら、ちょうどすぐ近くにある

自販機がある休憩スペースを指さすー。


自販機から明信が適当にお茶を2本購入して、

そのうちの1本を治夫に投げるー。


「--色々抱え込むのは分かる。

 でもな、そんなんじゃ、ツラしてたんじゃ

 大事な彼女も妹さんも 守れねぇだろうが?」

明信の言葉に、治夫は少しだけ間を置いてからー


「すみませんー」

と、ペットボトルのお茶を口へと運ぶー


対策班の矢神明信は、

かつて、モルティングの一人である天才詐欺師・臼井隼人に

妻と娘を皮にされて命を奪われているー。


”俺のようになるな”

明信は、以前、治夫に対してそう言い放っていたー。


「---今日はもう、家に帰れ」

明信が言うー。


治夫が「え…」と、顔を上げて明信の方を見つめるー。


明信は、窓の外に輝く夕日の方を見つめながら

「--お前みたいな餓鬼は、邪魔だって言ってんだよー」

と、きつい言葉を言い放ったー。


けれど、その言葉には、優しさも溢れていたー。


まだ若い治夫をー

色々なものを抱え込みすぎている治夫を気遣いー

そして、大切な人を全て失い、復讐に生きる自分自身のように

なってほしくないー、と、そんな願いも込められていたー。


治夫は、窓の外を見つめている明信の方を見ながら頭を下げたー。


「---お気遣い、ありがとうございますー…」

治夫が言うと、

明信は振り返って、治夫の方を見つめるー


「目黒警視正には言っておくー。

 あんまり、彼女さんを寂しがらせたりするなよ。」


明信は、かつて、”自分の家族”も、寂しがっていたことを

思い出しながら、そう呟いたー


治夫は、今一度頭を下げると

「今日はお先に失礼します」と、そのままエレベーターに乗って

帰路についたー。


「--ふぅ」

明信はボサボサ頭をかきむしりながらー

「ーーったく、若いのに大した野郎だ」と、

少しだけ笑みを浮かべながら呟いたー


最初は、”若造”としか思っていなかったがー

誰よりも、必死にモルティングと戦いー

その上で、警察内部のことまで気にかけているー


感心しながら、休憩スペースから、他のメンバーがいる部屋に戻るとー

目黒警視正の周りにいる好青年風の幸成と、ギャルな真綾が

深刻な表情で何か映像を見つめていたー。


「---あん?何があったんだよ?」

明信が、幸成の背後から顔を出すと、

幸成は「--奴らからのメッセージです」と、明信に向かって答えたー。


明信が映像を見るとー


「-----!!!!」

明信は、ガムを噛む口を、思わず止めたー。


目黒警視正がパソコンのモニターに表示している映像に写っているー

邪悪な笑みを浮かべる女にーー

明信は見覚えがあったー


”--矢神さんって、意外と渋いおじさまって感じ!!

 わたし、ファンになりそう!”


以前、治夫の家を一度だけ訪れた時のことを、

明信は思い出すー


邪悪な笑みを浮かべている女はーーー

治夫の妹ーー

長瀬 聡美ー


「---…」

明信が表情を険しくするー


”クククク…

 お前の妹は、この私が頂いたー”


モニターに映る聡美が笑うー。


明信がこの前会ったときとは、まるで違う、邪悪な表情ー


”私が”この姿”で、こうして映像を配信しているということは、

 どういう意味だか、分かるだろう?

 長瀬治夫ー”


それだけ言うと、聡美の後頭部がピキッと、音を立てて

着ぐるみのようになるー。


「---臼井隼人…!」

明信が歯ぎしりをするー。


聡美はー

天才詐欺師・臼井隼人に皮にされて乗っ取られてしまっていたー。


「-ーーお前の妹は、この私が”皮”にしたー。

 見えるかね?」


臼井隼人が、聡美の皮を触りながら笑みを浮かべるー


そしてー

再び聡美の皮を着こむと、聡美の姿と声で笑ったー


”--お兄ちゃん…わたし、

 ”お兄ちゃんのせい”で、この人たちのお洋服にされちゃった!


 でも、お兄ちゃんなら、きっと助けに来てくれるよね?

 お願い、わたし、まだ、死にたくないの!”


聡美の真似をしながら、

臼井隼人が、聡美の姿でメッセージを送るー


”命乞い”をお兄ちゃんにしてみせると、

映像の中の聡美は突然真顔になって語り始めたー。


”ーー2時間後ー

 南地区2丁目の第6倉庫にお前ひとりで、来いー

 さもなければ、妹は殺すー”


聡美はそれだけ言うと、笑顔を浮かべることもせずー

映像は途切れたー。


「---こ、、これ……あいつの妹…」

明信が唖然としながら言うと、

目黒警視正は「治夫くんは?」と、明信に確認したー


「--たった今、今日は帰るように、俺がー」

明信が言うと、

目黒警視正は笑みを浮かべたー


「ちょうど良かったですー。

 治夫くんがいれば、救出に向かおうとしたことでしょうー


 ですが、これは奴らの罠です。

 捨ておきましょう」


目黒警視正はそれだけ言うと、

パソコンを閉じて、イスから立ち上がったー


好青年風の幸成と、ギャルの真綾も、少し戸惑いながらも

通常業務に戻ろうとするー。


「--め、目黒警視正!」

明信が叫ぶー。


立ち去ろうとしていた目黒警視正はほほ笑むー。


「--臼井隼人は狡猾な男ですー

 行けば、治夫くんも、その妹も、助からないー。


 ならばー

 ここは捨て置くしかありませんー。

 そうでしょう?

 治夫くんには、私から明日、説明しますー。」


目黒警視正の言葉に、明信は拳を握りしめたー


 「ギャルみたいな人に、とても警察の人には見えないおじさん…

 お兄ちゃん、、ホントに警察で働いてるの?」


治夫の妹、聡美の無邪気な笑顔を思い出すー。


そして、今、乗っ取られた聡美の邪悪な笑みを思い出すー。


死んでいった、明信の妻と娘の顔を思い出すー。


「---警視正…俺にはそんなこと、できねぇ…

 処分は後で受けますー。

 申し訳ありませんー」


それだけ言うと、明信は銃を手に、そのまま対策班の外に向かったー


「--矢神さん!」

好青年風の幸成が叫ぶー。


「-やがみんってば独断行動!あはは!」

ギャル風の真綾が緊張感なく笑うー。


目黒警視正は、少しだけ意外そうな表情を浮かべながらもー

明信を止めることはしなかったー。


対策本部の外に向かって走る明信ー

明信も、これまで”皮にされた人間”を見捨てて来たことはあるー。


だが、治夫の妹・聡美に

どこか、死んだ自分の娘の面影を見てしまったー


それにー

臼井隼人を許すことも、できないー。


「----渋いおじさまが、助けに行ってやるからなー」

明信は、前に聡美に言われたことを、思い出しながら

自虐的に笑みを浮かべたー


・・・・・・・・・・・・・・・・


「ーーー本当に、来るのですかな?」

強面の男が、呟くー。


「--あぁ、来るさ」

聡美は、イスに座ると、足を組んで、近くの男から

煙草を受け取り、それを吸い始めるー。


「ーーやつらのボス、目黒警視正は、おそらく

 この女を見捨てようとするだろうさ」

聡美は、自分の身体を触りながら笑うー。


「だがーー」

煙を吐いた聡美は、邪悪な笑みを浮かべたー。


「-長瀬治夫は、違うー。

 目黒警視正が止めようと、必ず、来るー。

 この女を助けに、なー


 だがー

 目黒警視正は、誰も”援護”をよこしはしないー。

 長瀬治夫は、一人でここにやってきてー


 そしてー

 ”妹の手”で殺されるのさー」


聡美はそれだけ言うと、煙草を足元に捨てて踏みつぶしたー。


スカートを整えながら

「-奴が来るまでに、お前は組のやつらを配置につかせておけ」と、

可愛い声で指示を出すと、

強面の男は、「その声で命令されると、気が狂うな…臼井の旦那」と

笑みを浮かべたー


強面の男はー

臼井隼人が、前から結託している裏社会の組織ー

黒蛇工業(くろへびこうぎょう)の組長ー。


明信が家族を殺される直前に、臼井隼人を追跡していた際にも、


「---臼井、お前が黒蛇工業(くろへびこうぎょう)と繋がっているのは

 既に分かっているー 観念しろ」


と、何度も問い詰めていたー。


そんな黒蛇工業の構成員たちを集めて、

臼井隼人は、長瀬治夫を抹殺しようとしていたー。


「ーーそれにしても、可愛い女ですなぁ」

黒蛇工業の組長が笑いながら言うと、

聡美は「ーーこの女は”獲物を始末するための道具”だー、

それ以上でもそれ以下でもない」と、呟くー。


臼井隼人は、同じく人を皮にする力を持つ黒崎陣矢とは違い、

己の快楽のために、他人を皮にすることはしなかったー


臼井隼人は”自分が利益を得るため”だけに、人を皮にするー


快楽だけで、他人を着る黒崎陣矢とは違うー

臼井隼人は、黒崎のことを、どこか嫌っていたー。


「---へへへへ…でも、これから来る若造を始末したらー

 少しは、遊ばせてくれるんでしょう?」

黒蛇工業組長の言葉に、

聡美は「それでお前たちのやる気が出る、というのならば、

まぁ、少しは楽しませてやろう」と、笑みを浮かべたー。


”聡美の身体”をご褒美にすれば、

黒蛇工業の連中が、やる気を出すー…

それならば、聡美の身体を利用することも厭わないー


目的を”達成”するためであればー

臼井隼人は”なんでも”利用するー

彼は、そういう男だー。


あらゆるものを利用し、他人の弱みに付け込みー

獲物を罠に陥れるー。


それが、天才詐欺師と呼ばれる、所以ー。


「---長瀬治夫ー」

呟く聡美ー。


「-お前みたいな正義感溢れる若造はー

 野放しにしておくと、”危険”なのでなー。

 ここで確実に始末させてもらおうー」

聡美は、普段絶対に聡美が浮かべないような、凶悪な笑みを浮かべて

クスクスと笑い始めたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「---くそっ!」

明信は、治夫に連絡を入れたが、帰宅中の治夫に

電話がつながらず、メッセージを送るー。


聡美が拉致されたことー

臼井隼人が聡美を乗っ取り、第6倉庫で待ち構えていることー


だが、治夫がいつそのメッセージを見るか、分からないー

明信は、続けて治夫の家に連絡を入れたー。


この前、治夫の家を訪れた時に、聞いた電話番号に電話を掛けるー


”--はい”

治夫の彼女・亜香里が電話に出るー


「ーーー長瀬治夫の同僚の、矢神明信だー

 彼はもう、帰宅してるか?」


”あ、矢神さん”と、亜香里は言うと、

”まだ帰宅してませんけど…?”と、言葉を続けたー


明信は”この子をあまり心配させるわけにはいかない”と思いながら

「-彼が帰ったら、すぐに俺からの連絡を見るように伝えてくれ」と、

だけ亜香里に伝えたー


”わかりましたー”

亜香里はそれだけ言うと、続けて

”何か…ありましたか?”と心配そうに呟くー


「--ーー大丈夫。ただのちょっとした用だー。

 心配するなー」

明信はそう告げて、電話を切ったー。


そのまま再び車を走らせて、第6倉庫に向かうー。



20分ほど経過したタイミングで、治夫が帰宅するー


「--ただいま」


そんな治夫に向かって、亜香里が

「そういえば、さっき矢神さんから電話があってー」と、

電話の内容を告げるー。


治夫が、すぐにスマホを確認するとー

そこにはーー


”妹さんが臼井隼人に拉致されて乗っ取られたー

 場所は南地区第6倉庫ー

 俺はもう向かってるー”


急いだ様子の文面で、メッセージが届いていたー


乗っ取られた聡美からの宣戦布告動画も一緒に

送られて来ているー


”ーー2時間後ー

 南地区2丁目の第6倉庫にお前ひとりで、来いー

 さもなければ、妹は殺すー”


乗っ取られた聡美の冷たい言葉ー


「----------!!!!」

治夫は、失神しそうになるぐらいの衝撃を味わったー


そしてーーー

妹・聡美の笑顔が浮かぶーー


「---え…治夫…?」

不安そうな亜香里ー


治夫は、同時に激しい怒りを覚えたー。


亜香里の手を握り、治夫はまっすぐと亜香里を見つめると

「-大丈夫だからー…心配しないで待っててー。

 すぐ帰るー」と、だけ告げて、そのまま家から飛び出したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「---来ましたぜ」

黒蛇工業の組長が笑うー。


第6倉庫に向かう車ー


足を組んでイスに座っていた聡美が笑みを浮かべるー


「--殺せ」

聡美の声で悪魔のように囁くー。


第6倉庫の入口を突き破り、突っ込んで来た車に向かって

黒蛇工業の構成員たちが一斉に銃弾を放つー。


構成員たちに突っ込んだ車からー

アウトロー風の刑事、矢神明信が飛び出してー

すぐに車の物影に隠れるー


「---!?」

聡美の表情が歪むー


「---臼井隼人ー!

 その子を解放しろ!」


やってきたのは、矢神明信ー


臼井自身も、当然、過去に因縁がある相手のことは覚えているー


「--ーー貴様…」

長瀬治夫が来ると思っていた聡美は、鬼のように表情を歪めるー。


「---」

明信は、聡美を睨みつけるー


聡美は舌打ちをすると、黒蛇工業構成員らに向かって大声で叫んだー


「--そいつを殺せ!!!」

とー


聡美の声が響き渡り、倉庫内に銃声が響きわたったー



⑱へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


今月最初の長編皮モノでした~!


ついに(?)乗っ取られてしまった妹…

次回もぜひお楽しみくださいネ~!


お読み下さり、ありがとうございました!!

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