<皮>モルティング~人を着る凶悪犯~⑰”妹” (Pixiv Fanbox)
Content
特急列車に揺られながらー、
実家に帰宅している最中の聡美ー。
聡美は、兄・治夫のことが、小さいころから、
大好きだったー。
小さいころは、”大きくなったらお兄ちゃんと結婚するー!”
なんて、言っていたぐらいだー。
大学生になった今も、それは変わらないー
警察官として働く兄のことを本当に尊敬しているしー
人間としても、お兄ちゃんとしても慕っているー
”お兄ちゃん…”
聡美は、兄のことを心配するー
治夫の家にいる間は、口にはしなかったがー
治夫は”何か”を抱え込んでいたー。
きっと、何か難しい事件を担当しているのだと、聡美は
感じとっていたー。
「---ふぅ」
電車が走る中、立ち上がり、お手洗いの方に向かう聡美ー
お手洗いに入りー
扉を閉じようと思ったその時だったー。
「---!」
聡美が目を見開くー
スーツ姿の男が、トイレに後から入って来たのだー。
「--君の”お兄ちゃん”を始末するために、
君の身体ー、貸してもらうよ」
天才詐欺師・臼井隼人は、
悲鳴を上げようとする聡美に、容赦なく注射器を打ち込みー
聡美を”皮”にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・
登場人物
長瀬 治夫(ながせ はるお)
若き警察官。”皮”にまつわる事件に巻き込まれていく
松永 亜香里(まつなが あかり)
治夫の彼女。現在同居中。
長瀬 聡美(ながせ さとみ)
治夫の妹。亜香里に激しいライバル心を燃やしている。
目黒 圭吾(めぐろ けいご)
警視正。計算高い性格の持ち主で、出世欲も強い。
矢神 明信 / 堂林 幸成 / 三枝 真綾 / 剛
目黒警視正率いる「モルティング対策班」のメンバー。
黒崎 陣矢(くろさき じんや)
指名手配中の凶悪犯罪者。”モルティング”のひとり。
臼井 隼人/中曽根 佳純/春山 正義
”人を皮にする凶悪犯”通称・モルティングたち。
泉谷 聖一(いずみや せいいち)
治夫の中学時代の恩師。モルティングたちに”皮にする力”を与えた黒幕。
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★あらすじ★
恩師・泉谷聖一が、人を皮にする凶悪犯たちの黒幕だったー。
泉谷は、警察が”皮”にする力を作ったこと、
そして、”剛”や”目黒警視正”は、不都合な事実を闇に葬り続けている
警察内の”闇”であると指摘したー。
目黒警視正に疑念を抱きながらも、治夫は、
モルティングたちとの戦いを続けていくー
だが、治夫は知らないー
同居する彼女の亜香里や、実家に帰宅するために家を出た
妹の聡美にまでー
”モルティング”たちの魔の手が迫りつつあることをー
・・・・・・・・・・・・・・・
「--堂林さん!」
治夫が、現場にやって来るとー、
対策班の同僚・好青年風の幸成が、
手を上げて合図をしたー。
空き地には、凶悪犯・黒崎陣矢についこの間まで
皮にされていた女子大生・鈴が
皮の状態のまま横たわっていたー。
「---別の身体に乗り換えたんだろうな…」
幸成が、鈴の皮を見つめながら言うー。
治夫は、表情を歪めるー
「くそっ…俺があの時、この子を助けることが出来ていればー」
治夫が悔しそうに歯ぎしりするー
「--大丈夫だ。まだ、この子は死んでないー
君が前に言ってただろ?あいつらは、皮にした人間を
元に戻すこともできるってー」
実際に、皮にされた人間を元に戻す注射器を打ち込む場面を
治夫は見ているー。
「--……そう…ですね」
治夫は、悔しそうにしながらも立ち上がるー。
あいつらを追い詰めればー
この子も、助けることが出来るー
「-とにかく、この子を、本部にいったん運ぼう」
幸成の言葉に、治夫は静かに頷いたー。
・・・・・・・・・・・・・・・
「--彼女の”皮”は私の方で管理します」
本部に、皮にされた女子大生・鈴を運び終えると、
目黒警視正は、淡々とそう呟いたー。
「-ーあの子を、どうするつもりですか?」
治夫は、不安そうにそう呟くー
目黒警視正は、治夫のそんな言葉に、うすら笑みを
浮かべながら答えるー。
「-どうすると、思いますか?」
とー。
「--……目黒警視正…あいつらは、”皮”にした人間を
元に戻す注射器も持っていますー。
あの子は、まだ死んではいませんー
どうかー」
治夫は”どうか、悪いようにはしないでください”と、
続けようとしたー。
黒崎陣矢に皮にされていた鈴は、死んではいないー。
皮の状態から元に戻すことが出来れば、彼女はー
「--私は一言も、彼女を悪いようにするとは言っていませんよ。
専用の医務室に運び込んであります。
悪いようには、しません」
目黒警視正は、それだけ言うと、
治夫たちに向かって、”モルティング”たちの動向を
説明し始めたー。
「---」
治夫は、目黒警視正に疑念の目を向けるー
目黒警視正以外とは会わない謎の人物”剛”-
そして、恩師泉谷から聞かされた話ー
”皮の力を作ったのは警察ー”
”目黒警視正は、警察の闇の中心的人物である西園寺警察庁長官の
指示で動いているー”
それらが、治夫の中での目黒警視正に対する不信感を強めさせていたー。
「--ふぅん…ハルくんってば、そんな目でメグちゃんを見てー
うふふ…」
治夫のことを少し離れた場所から見ていた、
ギャル風の真綾が、クスッと笑みを浮かべたー。
目黒警視正の話が終わり、
治夫は、廊下を歩きだすー。
泉谷先生が率いる”人を皮にする犯罪者”たちは、間違っているー
もちろん、泉谷先生自身も、だー。
しかし、警察内部にも闇があるならー、それも、間違っているー。
ため息をつきながら廊下を歩く治夫に、
アウトロー風の明信が声を掛けたー
「--おい」
明信の言葉に、立ち止まって振り返る治夫ー。
「--あんま、無理すんじゃねぇよ」
明信がガムを噛みながら、治夫に近づくー
「-無理してません」
治夫が少しだけムキになって言うー。
信じていた恩師が、凶悪犯たちの親玉だったことー
そして、目黒警視正に対する不信感ー
あらゆることが重なって、治夫は、余裕をなくしていたー。
「-してるだろうが」
明信がため息をつきながら、ちょうどすぐ近くにある
自販機がある休憩スペースを指さすー。
自販機から明信が適当にお茶を2本購入して、
そのうちの1本を治夫に投げるー。
「--色々抱え込むのは分かる。
でもな、そんなんじゃ、ツラしてたんじゃ
大事な彼女も妹さんも 守れねぇだろうが?」
明信の言葉に、治夫は少しだけ間を置いてからー
「すみませんー」
と、ペットボトルのお茶を口へと運ぶー
対策班の矢神明信は、
かつて、モルティングの一人である天才詐欺師・臼井隼人に
妻と娘を皮にされて命を奪われているー。
”俺のようになるな”
明信は、以前、治夫に対してそう言い放っていたー。
「---今日はもう、家に帰れ」
明信が言うー。
治夫が「え…」と、顔を上げて明信の方を見つめるー。
明信は、窓の外に輝く夕日の方を見つめながら
「--お前みたいな餓鬼は、邪魔だって言ってんだよー」
と、きつい言葉を言い放ったー。
けれど、その言葉には、優しさも溢れていたー。
まだ若い治夫をー
色々なものを抱え込みすぎている治夫を気遣いー
そして、大切な人を全て失い、復讐に生きる自分自身のように
なってほしくないー、と、そんな願いも込められていたー。
治夫は、窓の外を見つめている明信の方を見ながら頭を下げたー。
「---お気遣い、ありがとうございますー…」
治夫が言うと、
明信は振り返って、治夫の方を見つめるー
「目黒警視正には言っておくー。
あんまり、彼女さんを寂しがらせたりするなよ。」
明信は、かつて、”自分の家族”も、寂しがっていたことを
思い出しながら、そう呟いたー
治夫は、今一度頭を下げると
「今日はお先に失礼します」と、そのままエレベーターに乗って
帰路についたー。
「--ふぅ」
明信はボサボサ頭をかきむしりながらー
「ーーったく、若いのに大した野郎だ」と、
少しだけ笑みを浮かべながら呟いたー
最初は、”若造”としか思っていなかったがー
誰よりも、必死にモルティングと戦いー
その上で、警察内部のことまで気にかけているー
感心しながら、休憩スペースから、他のメンバーがいる部屋に戻るとー
目黒警視正の周りにいる好青年風の幸成と、ギャルな真綾が
深刻な表情で何か映像を見つめていたー。
「---あん?何があったんだよ?」
明信が、幸成の背後から顔を出すと、
幸成は「--奴らからのメッセージです」と、明信に向かって答えたー。
明信が映像を見るとー
「-----!!!!」
明信は、ガムを噛む口を、思わず止めたー。
目黒警視正がパソコンのモニターに表示している映像に写っているー
邪悪な笑みを浮かべる女にーー
明信は見覚えがあったー
”--矢神さんって、意外と渋いおじさまって感じ!!
わたし、ファンになりそう!”
以前、治夫の家を一度だけ訪れた時のことを、
明信は思い出すー
邪悪な笑みを浮かべている女はーーー
治夫の妹ーー
長瀬 聡美ー
「---…」
明信が表情を険しくするー
”クククク…
お前の妹は、この私が頂いたー”
モニターに映る聡美が笑うー。
明信がこの前会ったときとは、まるで違う、邪悪な表情ー
”私が”この姿”で、こうして映像を配信しているということは、
どういう意味だか、分かるだろう?
長瀬治夫ー”
それだけ言うと、聡美の後頭部がピキッと、音を立てて
着ぐるみのようになるー。
「---臼井隼人…!」
明信が歯ぎしりをするー。
聡美はー
天才詐欺師・臼井隼人に皮にされて乗っ取られてしまっていたー。
「-ーーお前の妹は、この私が”皮”にしたー。
見えるかね?」
臼井隼人が、聡美の皮を触りながら笑みを浮かべるー
そしてー
再び聡美の皮を着こむと、聡美の姿と声で笑ったー
”--お兄ちゃん…わたし、
”お兄ちゃんのせい”で、この人たちのお洋服にされちゃった!
でも、お兄ちゃんなら、きっと助けに来てくれるよね?
お願い、わたし、まだ、死にたくないの!”
聡美の真似をしながら、
臼井隼人が、聡美の姿でメッセージを送るー
”命乞い”をお兄ちゃんにしてみせると、
映像の中の聡美は突然真顔になって語り始めたー。
”ーー2時間後ー
南地区2丁目の第6倉庫にお前ひとりで、来いー
さもなければ、妹は殺すー”
聡美はそれだけ言うと、笑顔を浮かべることもせずー
映像は途切れたー。
「---こ、、これ……あいつの妹…」
明信が唖然としながら言うと、
目黒警視正は「治夫くんは?」と、明信に確認したー
「--たった今、今日は帰るように、俺がー」
明信が言うと、
目黒警視正は笑みを浮かべたー
「ちょうど良かったですー。
治夫くんがいれば、救出に向かおうとしたことでしょうー
ですが、これは奴らの罠です。
捨ておきましょう」
目黒警視正はそれだけ言うと、
パソコンを閉じて、イスから立ち上がったー
好青年風の幸成と、ギャルの真綾も、少し戸惑いながらも
通常業務に戻ろうとするー。
「--め、目黒警視正!」
明信が叫ぶー。
立ち去ろうとしていた目黒警視正はほほ笑むー。
「--臼井隼人は狡猾な男ですー
行けば、治夫くんも、その妹も、助からないー。
ならばー
ここは捨て置くしかありませんー。
そうでしょう?
治夫くんには、私から明日、説明しますー。」
目黒警視正の言葉に、明信は拳を握りしめたー
「ギャルみたいな人に、とても警察の人には見えないおじさん…
お兄ちゃん、、ホントに警察で働いてるの?」
治夫の妹、聡美の無邪気な笑顔を思い出すー。
そして、今、乗っ取られた聡美の邪悪な笑みを思い出すー。
死んでいった、明信の妻と娘の顔を思い出すー。
「---警視正…俺にはそんなこと、できねぇ…
処分は後で受けますー。
申し訳ありませんー」
それだけ言うと、明信は銃を手に、そのまま対策班の外に向かったー
「--矢神さん!」
好青年風の幸成が叫ぶー。
「-やがみんってば独断行動!あはは!」
ギャル風の真綾が緊張感なく笑うー。
目黒警視正は、少しだけ意外そうな表情を浮かべながらもー
明信を止めることはしなかったー。
対策本部の外に向かって走る明信ー
明信も、これまで”皮にされた人間”を見捨てて来たことはあるー。
だが、治夫の妹・聡美に
どこか、死んだ自分の娘の面影を見てしまったー
それにー
臼井隼人を許すことも、できないー。
「----渋いおじさまが、助けに行ってやるからなー」
明信は、前に聡美に言われたことを、思い出しながら
自虐的に笑みを浮かべたー
・・・・・・・・・・・・・・・・
「ーーー本当に、来るのですかな?」
強面の男が、呟くー。
「--あぁ、来るさ」
聡美は、イスに座ると、足を組んで、近くの男から
煙草を受け取り、それを吸い始めるー。
「ーーやつらのボス、目黒警視正は、おそらく
この女を見捨てようとするだろうさ」
聡美は、自分の身体を触りながら笑うー。
「だがーー」
煙を吐いた聡美は、邪悪な笑みを浮かべたー。
「-長瀬治夫は、違うー。
目黒警視正が止めようと、必ず、来るー。
この女を助けに、なー
だがー
目黒警視正は、誰も”援護”をよこしはしないー。
長瀬治夫は、一人でここにやってきてー
そしてー
”妹の手”で殺されるのさー」
聡美はそれだけ言うと、煙草を足元に捨てて踏みつぶしたー。
スカートを整えながら
「-奴が来るまでに、お前は組のやつらを配置につかせておけ」と、
可愛い声で指示を出すと、
強面の男は、「その声で命令されると、気が狂うな…臼井の旦那」と
笑みを浮かべたー
強面の男はー
臼井隼人が、前から結託している裏社会の組織ー
黒蛇工業(くろへびこうぎょう)の組長ー。
明信が家族を殺される直前に、臼井隼人を追跡していた際にも、
「---臼井、お前が黒蛇工業(くろへびこうぎょう)と繋がっているのは
既に分かっているー 観念しろ」
と、何度も問い詰めていたー。
そんな黒蛇工業の構成員たちを集めて、
臼井隼人は、長瀬治夫を抹殺しようとしていたー。
「ーーそれにしても、可愛い女ですなぁ」
黒蛇工業の組長が笑いながら言うと、
聡美は「ーーこの女は”獲物を始末するための道具”だー、
それ以上でもそれ以下でもない」と、呟くー。
臼井隼人は、同じく人を皮にする力を持つ黒崎陣矢とは違い、
己の快楽のために、他人を皮にすることはしなかったー
臼井隼人は”自分が利益を得るため”だけに、人を皮にするー
快楽だけで、他人を着る黒崎陣矢とは違うー
臼井隼人は、黒崎のことを、どこか嫌っていたー。
「---へへへへ…でも、これから来る若造を始末したらー
少しは、遊ばせてくれるんでしょう?」
黒蛇工業組長の言葉に、
聡美は「それでお前たちのやる気が出る、というのならば、
まぁ、少しは楽しませてやろう」と、笑みを浮かべたー。
”聡美の身体”をご褒美にすれば、
黒蛇工業の連中が、やる気を出すー…
それならば、聡美の身体を利用することも厭わないー
目的を”達成”するためであればー
臼井隼人は”なんでも”利用するー
彼は、そういう男だー。
あらゆるものを利用し、他人の弱みに付け込みー
獲物を罠に陥れるー。
それが、天才詐欺師と呼ばれる、所以ー。
「---長瀬治夫ー」
呟く聡美ー。
「-お前みたいな正義感溢れる若造はー
野放しにしておくと、”危険”なのでなー。
ここで確実に始末させてもらおうー」
聡美は、普段絶対に聡美が浮かべないような、凶悪な笑みを浮かべて
クスクスと笑い始めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「---くそっ!」
明信は、治夫に連絡を入れたが、帰宅中の治夫に
電話がつながらず、メッセージを送るー。
聡美が拉致されたことー
臼井隼人が聡美を乗っ取り、第6倉庫で待ち構えていることー
だが、治夫がいつそのメッセージを見るか、分からないー
明信は、続けて治夫の家に連絡を入れたー。
この前、治夫の家を訪れた時に、聞いた電話番号に電話を掛けるー
”--はい”
治夫の彼女・亜香里が電話に出るー
「ーーー長瀬治夫の同僚の、矢神明信だー
彼はもう、帰宅してるか?」
”あ、矢神さん”と、亜香里は言うと、
”まだ帰宅してませんけど…?”と、言葉を続けたー
明信は”この子をあまり心配させるわけにはいかない”と思いながら
「-彼が帰ったら、すぐに俺からの連絡を見るように伝えてくれ」と、
だけ亜香里に伝えたー
”わかりましたー”
亜香里はそれだけ言うと、続けて
”何か…ありましたか?”と心配そうに呟くー
「--ーー大丈夫。ただのちょっとした用だー。
心配するなー」
明信はそう告げて、電話を切ったー。
そのまま再び車を走らせて、第6倉庫に向かうー。
20分ほど経過したタイミングで、治夫が帰宅するー
「--ただいま」
そんな治夫に向かって、亜香里が
「そういえば、さっき矢神さんから電話があってー」と、
電話の内容を告げるー。
治夫が、すぐにスマホを確認するとー
そこにはーー
”妹さんが臼井隼人に拉致されて乗っ取られたー
場所は南地区第6倉庫ー
俺はもう向かってるー”
急いだ様子の文面で、メッセージが届いていたー
乗っ取られた聡美からの宣戦布告動画も一緒に
送られて来ているー
”ーー2時間後ー
南地区2丁目の第6倉庫にお前ひとりで、来いー
さもなければ、妹は殺すー”
乗っ取られた聡美の冷たい言葉ー
「----------!!!!」
治夫は、失神しそうになるぐらいの衝撃を味わったー
そしてーーー
妹・聡美の笑顔が浮かぶーー
「---え…治夫…?」
不安そうな亜香里ー
治夫は、同時に激しい怒りを覚えたー。
亜香里の手を握り、治夫はまっすぐと亜香里を見つめると
「-大丈夫だからー…心配しないで待っててー。
すぐ帰るー」と、だけ告げて、そのまま家から飛び出したー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「---来ましたぜ」
黒蛇工業の組長が笑うー。
第6倉庫に向かう車ー
足を組んでイスに座っていた聡美が笑みを浮かべるー
「--殺せ」
聡美の声で悪魔のように囁くー。
第6倉庫の入口を突き破り、突っ込んで来た車に向かって
黒蛇工業の構成員たちが一斉に銃弾を放つー。
構成員たちに突っ込んだ車からー
アウトロー風の刑事、矢神明信が飛び出してー
すぐに車の物影に隠れるー
「---!?」
聡美の表情が歪むー
「---臼井隼人ー!
その子を解放しろ!」
やってきたのは、矢神明信ー
臼井自身も、当然、過去に因縁がある相手のことは覚えているー
「--ーー貴様…」
長瀬治夫が来ると思っていた聡美は、鬼のように表情を歪めるー。
「---」
明信は、聡美を睨みつけるー
聡美は舌打ちをすると、黒蛇工業構成員らに向かって大声で叫んだー
「--そいつを殺せ!!!」
とー
聡美の声が響き渡り、倉庫内に銃声が響きわたったー
⑱へ続く
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
今月最初の長編皮モノでした~!
ついに(?)乗っ取られてしまった妹…
次回もぜひお楽しみくださいネ~!
お読み下さり、ありがとうございました!!