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入れ替わってしまった誠太郎と涼香の二人ー。


恋愛経験も異性に対する耐性もない誠太郎と、

明るく、人気者な涼香の入れ替わりには、

想像以上の困難が待ち構えていたー。


元に戻る方法が分からず、お互いの家に帰宅したふたりー。


誠太郎になった涼香は、戸惑いながらも、

なんとか誠太郎として振舞っていく一方、

涼香になった誠太郎は、一人暮らしの涼香の部屋に

入った途端、動けなくなるぐらいに緊張してしまい、

そうこうしているうちに、トイレに行きたくなってしまって、

更なるピンチを迎えてしまうのだった…!


☆前回はこちら↓☆

fanbox post: creator/29593080/post/2437350

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


涼香(誠太郎)は、誠太郎自身のスマホで、

親友の恭司とのやり取りを終わらせると、

部屋の端っこに座り込んだまま、もじもじとしていたー。


「--ぼ、、僕…どうしよう…」

トイレを必死になって我慢する涼香(誠太郎)-


「--じ、、女子のトイレを見るなんて…できるわけ…」

涼香(誠太郎)は、スカートの上から、アソコのあたりを

触ろうとするー。

尿意が、もはや限界だったのだー。


涼香の身体で、トイレに行くなんて、考えられないー。

そもそも、誠太郎からしてみれば、女子がどんな風に

トイレを済ませるのか、ということも、全く分からなかったし、

どうしたらいいのか、分からず、半分パニックになっていたー。


トイレに行きたいー

でも、女子としてトイレをすることなんて、ありえないー。


「--う~~~う~~~~…」

そうこうしているうちに、さらに尿意は強くなり、

涼香(誠太郎)は顔を赤くして、必死にそれに耐えようとするー。


女子の身体になっているだけで、誠太郎からしてみれば”限界”なのにー

涼香の身体で、涼香の家のトイレに行き、

スカートを触り、いやー下着さえも触り、

涼香としてトイレを済ませる、なんて、絶対に出来るはずがなかったー。


「---…どうしよう…どうしよう…」

けれどー

人間が”尿意”を我慢するには”限界”があるー。

そんなことは、当然、誠太郎にも分かっているー


”女の子はトイレに行かないもん”なんて、思ってしまっているほど、

現実逃避はしていないー


でもー


”行きたい”

”無理ー”

”このままじゃ漏れちゃうー”

”でも、トイレに行くなんて無理ー”

”藤崎さんにお漏らしなんてさせちゃったら、僕ー”

”でもでも、トイレなんて絶対ー絶対、無理だー 僕には出来ないー”


あらゆる考えが、頭の中を駆け巡るー


ふと、鏡を見ると、

涼香(誠太郎)が、顔を真っ赤にして、恥ずかしそうにこちらを見ていたー


”そんな顔をさせてしまっている”

そう思っただけでー


”もうダメだー”

これ以上は我慢できないー

そう思って、スカートの上からアソコのあたりを押さえようとしたー。


”自分の身体”の時と同じような気持ちでー。


だがー


「--あっ!」

涼香(誠太郎)はスカートに手を振れて、

ビクッと、身体を震わせるー


女子のスカートに触ってしまったー

そう思っただけで反射的に手を離してしまったー


「これじゃー…これじゃ…僕…」

その場で苦しそうにうめき声をあげる涼香(誠太郎)-


トイレに行くことも、我慢することもできずー

涼香(誠太郎)は情けなくなってその場で泣き出しながら、

ついには、お漏らしをしてしまったー


水たまりを作り、その上で子供のように

泣く涼香(誠太郎)-


事情を知らない人間が見たら、

一体何事なのか、と思ってしまうような光景が、

そこには広がっていたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


誠太郎になった涼香は、

誠太郎の家族の前では”極力”喋らないようにしつつ、

なんとか過ごしていたー。


帰宅した際に、普通に”ただいま”と言っただけで

”何かいいことあったの?”なんて言われてしまった始末ー。

誠太郎の家族に心配をかけない意味でも、

涼香は”できる限り”、いつもの誠太郎として、

振舞おうとしていたー。


親友の由紀子とのやり取りを済ませる誠太郎(涼香)-


電話は出来ないが、

スマホはお互いのものを持っているために、

LINEやメールなら、出来るー。


だがー


「---!」

由紀子から電話がかかって来るー


「--あ~~ごめん、由紀子、今は出れない…!」

親友からの電話を無視するのは、心が痛んだが、今、電話に出れば

誠太郎の声で電話に出ることになるー。

メールやLINEは出来ても、通話は、厳しいー。


「--由紀子、わたしになんだか、過保護だからなぁ~…

 安藤くんの声で電話になんか出たら、大変なことになりそう…」

誠太郎(涼香)は苦笑いしながら、スマホを見つめるー。


やがて、由紀子は電話を諦めたのか

再びメッセージを送って来たー


”ちょっと!?無視!?”

とー。


”ごめん、ちょっとのどの調子が悪くて…”

誠太郎(涼香)は、そう返信すると、ため息をつきながら、

誠太郎の部屋を見回してー

”う~ん、汚くはないけど、掃除したい”と、思いながらも

”勝手に安藤くんの部屋をいじるのは、さすがにダメだよね”と、

そのまま寝る支度を始めるのだったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


翌朝ー


今日は、土曜日ー

幸い、大学は、休みー。


目を覚ました誠太郎(涼香)は、目を覚ますとほぼ同時に、

自分の胸のあたりを触ったー。


だがー

残念なことに、胸のふくらみを感じることはできなかったー。


そして、ズボンの上から股間を触るー…


「あ~~~~…まだ安藤涼香だ~…」と、

入れ替わり相手の安藤誠太郎と、自分の名前を混ぜて

苦笑いすると、

誠太郎の身体で、涼香は起き上がったー。


正直、”起きたら元に戻っている”と、思っていたけれどー

そんなことはなかったー。


「--ぶつかって入れ替わっちゃったんだからー

 ちょっとしたきっかけで戻れると思うんだけどなぁ…」

誠太郎(涼香)は、誠太郎の身体でそう考え込むとー

洗面台で鏡を見つめて「あ…」と、呟くー。


ヒゲー。

涼香にとっては、新鮮な感覚ー。


誠太郎の身体には、ヒゲが生えていたー。


「-そっか…人によっては毎日剃るんだっけ…?」

そう思いながら、誠太郎のものと思われる髭剃りを手にするー


「----…」

「-----…」

「------…」

誠太郎(涼香)は、しばらく髭剃りを見つめると

”ただあてるだけでいいんだよね…?”と、首を傾げながら

しばらく髭剃りとにらめっこを続けたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


誠太郎(涼香)は、マスクをした状態で、

涼香の家に向かっていたー。


”土曜日にお出かけなんて珍しくない?”と母親に言われたが

「--ゲーム、買おうかなって!」と言い返したところ、

”いつも密林さんで買ってるでしょ?”と、返されてしまったー。


だが、なんとか誤魔化して

涼香の家に向かうー。


涼香になった誠太郎とのやり取りが、昨日の夜から途絶えているのも

心配だったし、

涼香(誠太郎)が、ちゃんと生活出来ているかどうかも気になるー。


それにー

涼香は一人暮らしだから、涼香の家に行けば、

存分に”色々と元に戻ることのできる可能性”を確かめることが出来るし、

話し合いも出来るー。


昨日は、大学での入れ替わりだったし、

時間ももう遅かったから、何もすることが出来なかったけれど、

今日は土曜日で、まだお昼前だから、

たっぷりと、時間は、あるー。


♪~~~


涼香の家に到着すると、誠太郎(涼香)は

インターホンを鳴らしたー。


「----」

「----」

だが、返事はないー。


「----…?」

一瞬、誠太郎(涼香)は

”わたしの身体でどこかにお出かけかな?”と、首を傾げたが、

中から泣き声のようなものが聞こえてきて、

玄関の扉に手を掛けたー。


昨日、入れ替わった直後に、普段から持ち歩いている合鍵を

自分用にも持っていたため、玄関のカギを開けて、

そのまま中に入るとー


そこにはー

お漏らしをしたまま、座り込んでいる涼香(誠太郎)の姿があったー


「え…臭っ…」

思わず鼻をつまむ誠太郎(涼香)-。


「--…ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」

涼香(誠太郎)はー

昨日、大学にいた時の服装のままー

お漏らししたままー

まるで子供のように泣きじゃくっていたー


「ちょ…ちょっと!?何があったの!?」

誠太郎(涼香)が言うと、

涼香(誠太郎)は「ふ、、藤崎さんの…身体でトイレに行くなんて…

僕…僕…」と、答えたー。


誠太郎(涼香)は、「ーーど、どういうこと!?」と戸惑いながら答えるー。


お漏らしした水たまりの上に座り込んで泣いている

”自分”の姿を見るなんてー、と

奇妙な気持ちになりながら、涼香(誠太郎)の話を聞く誠太郎(涼香)-


聞けば、涼香の身体に触れたり、涼香の部屋を見たりー

涼香の身体でトイレに行ったり、するのが、申し訳なくて

何もできず、どうしようと考えていたら、トイレにも行けずに

漏らしてしまったのだと言うー。


「女の子のスカート触ったり、トイレしたり…

 そんなことしたら、藤崎さんが…」


「--ーーいいから!」

誠太郎(涼香)が少しだけ声を荒げたー。


「--トイレも行っていいし、お風呂も入っていいし、

 着替えてもいいからー!」

誠太郎(涼香)が、少し悲しそうに涼香(誠太郎)の方を見つめるー。


「---でも…でも…裸とか、着替えとか…

 そんな、、そんなエッチなことしちゃうのは…申し訳ないよ」

涼香(誠太郎)の弱弱しい返事に、

誠太郎(涼香)は首を振ったー。


「--安藤くん…こんな風にお漏らしされてるほうが、

 わたし、悲しいよ…


 普通にトイレも行って、お風呂も入って、着替えてー…

 ね?


 わたしだって、安藤くんの身体で、トイレに行ったし、

 お風呂も入ったし、着替えもしたー。

 その…身体とかも全部見ちゃったけど…

 こんな状況なんだから、それはお互い様…


 見ないように、なんてしてたら、生活もできなくなっちゃうでしょ…?」


誠太郎(涼香)の言葉に、涼香(誠太郎)はー

「--エッチなことは悪いことだって…ずっと…そう思って

 生きてきたからー」

と、歯軋りしながら答えるー。


誠太郎(涼香)は

”安藤くんは、本当に女子がニガテなんだね…”と、心の中で

思いながら

「--…それはもちろん、下心があって、悪いことしたり、

 覗きとか、そういうのはダメだけど…

 女の人と関わること自体が、エッチとか、悪い、とか、

 そういうのじゃないんだよ?」と、

少し優しい口調で呟くー。


「---…分かってる…でも…僕…申し訳なくてー…

 僕なんかが、藤崎さんの身体でお風呂に入ったりー…

 そういうのは…

 それに、僕…その…女の人の身体とか…

 直視できないと思う…」

涼香(誠太郎)がそこまで言うと、

「-トイレも、お風呂も、着替えも、わたしの身体を見ちゃうこともー

 全部大丈夫!わたしが許可する!」

と、誠太郎(涼香)が言ったー。


「--え…」

涼香(誠太郎)が戸惑っているのを見て、


「--安藤くんが、悪い子じゃないってことは分かってるから、

 大丈夫!

 わたしが許可してるんだから、お風呂もトイレも、着替えも、

 ふつうにして!


 部屋も見ていいし、服も身体も触って大丈夫ー


 というか、むしろ、着替えもせず、お風呂も入らず、

 トイレも行かずお漏らしとか…

 

 そっちの方がダメ!」


と、まるでお姉ちゃんかのように言い放ったー。


「---うん…」

涼香(誠太郎)は頷くー。


「--ふぅ…」

誠太郎(涼香)はため息をつくとー


”元に戻る方法”って思ったけどー、

と、呟いてからー

「まずは…わたしの身体を洗ってー…

 それから、トイレとか、着替えとか、色々教えておかないとダメかな!」

と、付け加えたー。


「---迷惑ばっかりかけて…ごめん」

涼香(誠太郎)がしょんぼりしながら言うと、

誠太郎(涼香)は少しだけ笑ってからー

マスクを外したー


「--だいじょうぶ…わたしもホラ…うまくいかないー」

誠太郎(涼香)は、

苦笑いしながら、口元やヒゲがあった部分を指さしたー。


髭剃りを適当に、あてたところー

上手く剃ることが出来ずに、ヒゲのあった場所から

軽く出血したり、全体的に赤くしてしまったのだったー


「---……な、なんだよその顔…」

ヒゲがあった部分が赤くなっているのを見て

涼香(誠太郎)は笑うー。


誠太郎(涼香)は


「急に他の人と入れ替わってうまくいかないのは

 わたしだって、同じー

 だから、お互い様!

 

 ほら、いつまでもお漏らししたままじゃダメでしょ?

 まず、そうね…お風呂から!」

 

と、涼香(誠太郎)をお風呂の方に連れて行くのだったー。



④へ続く


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


入れ替わり後の戸惑いを中心に描いた③でした~!

2人は上手く元に戻ることが出来るのかどうかも含めて、

次回もぜひお楽しみくださいネ~!


今日もありがとうございました~!

(Fanbox)


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