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高校時代に”ストーカー被害”を受けた過去から、

大学進学を機に、一人暮らしを始めた女子大生・麻帆は

なかなか新しい生活に馴染めずにいたー。


そんな中、出会ったのが、立花千鶴だったー。


しかし、その千鶴自身が”高校時代のストーカー”本人であり、

ストーカー・下園鷹雄が女体化し、偽名を名乗っている姿で

あると知ってしまった麻帆は、狂気から逃れるべく奔走する…


そして”治験”というキーワードに活路を見出した麻帆は


”わたしは、もうあなたと一緒には暮らさないー

 これ以上、付き纏わないで”


と、千鶴に対して強いメッセージを送るのだったー。


↓前回はこちら↓

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・・・・・・・・・・・・・・・・・


”わたしは、もうあなたと一緒には暮らさないー

 これ以上、付き纏わないで”


ギシッ…


麻帆から送られてきたメッセージを見た

千鶴は、鬼のような形相でそれを見つめていたー


「チッ、、チッ、チッチッチッチッ」

何度も舌打ちをし始める千鶴ー。


綺麗な髪がぐしゃぐしゃになるまで

イライラした様子で髪をかきむしると、

やがて、千鶴は舌打ちをやめて呟いたー


「-今は女の子同士なのに、何が不満なんだ…

 わたしは、こんなに麻帆ちゃんを愛しているのに… 

 何が不満なんだ…!」


千鶴はスマホを投げ付けて、周囲の通行人が

驚く中、千鶴はそれを無視して、怒りをその場で

発散するかのように、一人、狂ったように飛び跳ねたー。


やがてー


「許さない…

 わたしから逃げるなんて、許せない…!」

千鶴は、はぁはぁと言いながらそう呟くと、

スマホを拾って、何かを見つめたー。


「--麻帆ちゃん…

 わたしからは逃げられないのよ…♡」

千鶴はそう呟くと、麻帆のスマホに密かに

インストールしていたアプリを通じて

麻帆の位置を確認しながら、歩き始めるー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「---」

ネットカフェから逃走して、いったん千鶴から

逃れた麻帆は、”あるもの”を調べるため、

大学に駆け込んだー。

あのネットカフェの周辺には、千鶴がまだいるかもしれないし、

自宅に戻ることも出来ないー。


それに大学であれば、千鶴も滅多なことはできないはずだー。


「--ちょっとパソコン借ります!」

麻帆はそう言うと、”千鶴が来る前に”と、

何かを調べ始めるー。

スマホで調べても良かったのだが、

パソコンとスマホ同時に使った方が、早いー。


”千鶴…いえ、下園鷹雄は恐らく、何らかの方法で

 わたしの居場所を調べてる…

 きっと、ここにもやってくるー”


大学に向かいながら、持ち物にGPSのようなものが

ついていないかどうか、

スマホに変なアプリが入っていないかどうか確認したが、

麻帆には、それを見つけることはできなかったー。


千鶴に位置を把握されているのは、間違いないー。

けれど、千鶴は上手く、アプリか、何らかの装置で

場所を追跡しているのだろうー。


麻帆は、そう思いながら必死に何かを調べるー。

そして、持っているスマホで、どこかへ連絡しながら、

何かを聞き始めるー。

パソコンで何かを調べては、どこかに連絡して

何かを確認するー。


麻帆の身体が、ガクガクと震えているー

”千鶴”が、いや”鷹雄”が、怖いのだー。

でも、負けるわけにはいかないー


”希望”をこの手に掴むためー


時間がないー。

恐らく千鶴は数十分ー

いや、数分もすればここにたどり着くかもしれないー。


その前にー…


麻帆は「分かりました。ありがとうございます、失礼いたします」と

電話を切ると、さらにパソコンで何かを調べていくー。


”お願いー”


麻帆が、千鶴からー

いや、女体化した下園鷹雄から逃げるための方法はーーー


「--突然失礼いたしますー」

麻帆は、再び電話をするとー


相手の返事に、目を見開いたー。


そしてーーー

「---!」

麻帆は、パソコン室の入口の方を見つめて、表情を歪めたー。


髪をボサボサにした千鶴が入って来たのだー。


「--ま~~~ほ~~~ちゃ~~~ん…

 わたしから、逃げられると思うなよぉ~?」

千鶴が、”女子”としての振る舞いも忘れてしまうほどに

怒り狂っているのか、”千鶴”と”鷹雄”が混じった口調で

近づいてくるー。


千鶴が近づいてきていることに、震えながらも

麻帆は電話の相手に必死に何かを伝えたー。


「-ば、場所は、西区の大学のー」

麻帆が現在の居場所を相手に伝えるー。


「-なになに、麻帆ちゃん、警察に通報してるの?」

千鶴が、目の前にやってきて微笑むー。


「--温厚なわたしでも、さすがにむかついちゃうなぁ!

 あんまり、馬鹿にすんなよ?」

千鶴が、麻帆の髪を引っ張り始めるー


「いたっ…いたい、、やめてよ!千鶴!」

麻帆が悲鳴を上げながら叫ぶー。


千鶴は麻帆の腕を乱暴に掴むと、

「さ、麻帆ちゃん、帰るよ~!」と無理矢理麻帆を引っ張り始めたー。


「--やめてってば!」

麻帆が千鶴を突き飛ばすー


千鶴がパソコンの乗っている机に腰を打ち付けると、

鬼のような形相で叫んだー


「-僕から、、僕から、逃げられると思うなよ」

千鶴が、鋭い目つきで、麻帆を睨むー


麻帆は震えながら千鶴を見つめるー。

千鶴の目には”狂気”が宿っているー


女体化してもー

名前を変えてもー

目の前にいる人間は”狂ったストーカー”だー。


麻帆は思うー


”気づかなければ”ずっと楽しかったのかもしれないー。


いえー。

気付かなくてもー

いずれ、何かトラブルが起きたー。


「--もう、ストーカーはやめて!」

麻帆が叫ぶー


「--ストーカー?僕は、、わたしは、親友でしょ??

 親友をストーカー呼ばわりって酷くない?」

千鶴は笑いながら、目から涙をこぼしているー。


その目は、完全に狂っているー


「--わたしはストーカーじゃない。

 わたしは、麻帆ちゃんの親友だよ!」

千鶴の言葉に、麻帆は首を振ったー。


そしてー

”千鶴”との楽しかった日々を思い出しながら、

麻帆は呟いたー。


「千鶴…ありがとう…何も知らずに一緒に暮らしている間は

 本当に楽しかったー」


麻帆は、手と足を震わせながらー、

高校時代、下園鷹雄からストーカーされたことの恐怖を思い出しながらー


それでも、強い口調で叫んだー


”恐怖心”を克服するためー

そして、下園鷹雄が女体化した姿、立花千鶴と決別するためー


「-----でも、あなたはわたしの親友なんかじゃないー!

 ただの、ストーカーよ!」


”千鶴”として見るべきなのかー

”鷹雄”として見るべきなのかー

麻帆も正直、複雑だったー。


”立花千鶴”と過ごした日々は、楽しかったー。


でも、立花千鶴は、下園鷹雄が女体化したあとに

名乗っている偽名ー。

立花千鶴は、下園鷹雄ー。


表面上は仲良くしてくれていても、本性はストーカー。


いずれ、麻帆を束縛したりするだろうし、

最後に待ち受けるのは”最悪の結果”にしかならないー


麻帆はそう思ったー


だからー

もう、一緒にはいられないー。


「--う、、う、、う、、麻帆ぉおおおおおおおおおおおお!!!」

千鶴が、顔を真っ赤にして、麻帆の方に向かって走って来たー


麻帆も咄嗟に逃げ出すー。


”早くー…早く”

麻帆は、”何か”を待ちながら、祈るようにして逃げるー。


大学の廊下で、周囲の大学生たちが

逃げる麻帆と、追う千鶴を見て、驚くー。


「--どけ!ジャマだ!」

千鶴が大声で叫ぶー。

いつもの優しい千鶴の雰囲気は、もうどこにもないー

下園鷹雄は、千鶴として振舞うことも忘れるほどに

怒り狂っていたー


「こうなったら意地でもお前を従わせてやる!」

千鶴が大声で叫ぶー。


麻帆は、必死に大学の正門の方に向かって走っていくー


髪を振り乱しながら鬼のような形相で追いかけて来る千鶴ー。


しかし、正門のところまでやってきたところでー

麻帆と千鶴は、それぞれ異なる反応をみせたー


麻帆が見せた反応は”希望”-

千鶴が見せた反応は”絶望”-


「---あの子です!」

麻帆が、正門前にやってきていた車と、

車から降りて来た数名の人間に向かって叫ぶー。


咄嗟に、振り返って大学内に逃げようとした千鶴ー。

しかし、千鶴はそのまま取り押さえられたー。


千鶴がやってくる前にー

麻帆は”治験”を行っている製薬会社や機関に

手当たり次第連絡をしていたー


それが、下園鷹雄から逃れる最後の手段だと考えてー。


”治験の副作用で女体化した”

千鶴は、そう言っていたー。

そして、女体化したあとに入院を勧められたが逃亡したー、とも。


だから、”その治験を実施した会社”を、麻帆は探し出して、

千鶴が到着する直前に、千鶴のことを伝えたのだー。


その結果ー、

通報を受けた、製薬会社の職員が、今、こうして大学に

駆け付け、千鶴を確保しているー。


「--下園鷹雄さん、確保しました」

製薬会社の職員が叫ぶー。


「--君の身体への影響は女体化だけじゃないかもしれない。

 ちゃんと、病院で検査して、入院するんだ」

治験の担当者が、女体化した鷹雄・千鶴に向かって言うー。


千鶴は「--いい!僕は、僕はこのままでいい!」と、

大声で叫ぶー。


だがー

鷹雄が受けた治験は、通常のものではなく、

ネットを通じて裏ルートで応募した

”機密”を含む治験のため、それは許されなかったー。

この治験を受ける前に、鷹雄も同意書で、そんな感じの文言に

同意しているー。


そのまま製薬会社に連れていかれる千鶴ー。


千鶴は、狂気宿る瞳で、麻帆の方を見つめたー


「--僕から逃げられると思うなー

 僕はお前を許さない」

千鶴の顔は恨みに満ちていたー。


それだけ言うと、千鶴は車の方に連れていかれるー。


「ご協力、ありがとうございました」

製薬会社の職員は、千鶴を車に連れ込むと、

麻帆に向かって頭を下げたー。


そして、千鶴を乗せた車はそのまま走り去っていったー。


残った職員が、大学に事情を説明ー。

大学は驚きながらも、”立花千鶴”は偽名・偽りの身分証で入学したとして、

そのまま退学になったー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「-----」

帰宅した麻帆は、千鶴との写真を見つめるー。


「-----…」

一緒に笑顔で写っている写真ー。


千鶴の正体が、女体化したストーカー男だったとは言えー、

気付くまでの日々は、本当に楽しかったー。


けれどー

そんな日々は”偽り”の日々だと分かってしまったしー、

いずれにせよ、もう元には戻れないー。


「-----」

麻帆は、悲しそうに少しだけ微笑むと、

千鶴の写真をゴミ箱に放り込んでー

家の窓から空を見上げたー。


”わたし、もう、あなたに縛られないー”


思えば、高校時代から、ずっと

”下園鷹雄”に縛られていたー。


卒業後も、

ストーカーされた過去から、恐怖におびえ続けー、


鷹雄本人とは知らずに”千鶴”と、一緒に暮らしー、


常に、麻帆は、下園鷹雄に支配されていたー。


けれどー。


”これからは、あなたに縛られないで生きるからー”

麻帆は、それだけ呟くと、決意の眼差しで、これからの自分の

人生を考え始めたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


あれから1年ー


麻帆は、引っ越し、大学も変えたー。

あの場所にいれば、”下園鷹雄”がまたやってくる可能性があったからだー。


今では、新生活にもすっかり慣れた麻帆はー

怯えることなく、充実した大学生活を送っているー。


結局”下園鷹雄”がどうなったのかは分からないー

治験を実施していた会社に捕まり、

女体化の副作用の治療を、病院で隔離状態で受けはじめた、というところまでは

分かっているのだが、それ以上のことは分からないー。


けれどー

もう、鷹雄に怯える必要もないしー


願わくば、下園鷹雄にも”麻帆に執着することのない人生”を送ってほしいー、

と、麻帆は、そう願いながら、

今日も1日を終えて、家へと帰宅するのだったー。


----


だが、麻帆は知らないー。


「---------」

”想像を絶する形”で、下園鷹雄は、再び、麻帆の側に

やってきていることをー


”麻帆ーー”


帰宅した麻帆を見つめていたのはー

下園鷹雄ー。


「-----」

麻帆は何も反応せず、普通に家の片づけをしているー


そんな麻帆を見て、笑みを浮かべる下園鷹雄ー


”言ったろ?僕からは逃げられないってー”


”自殺ー”

霊体になった下園鷹雄は、麻帆の居場所を突き止めー

再び、麻帆のことを狂気の瞳で見つめていたー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


少し変わった雰囲気の女体化モノでした~!

最初のお話のときにも書きましたが

「憑依」でやるか「女体化」でやるか迷った結果、

ジャンル配分や、色々な都合から女体化で書いた作品デス~!


結果、いつもの女体化とは少し違う雰囲気の

作品が出来た…ような気がします★


お読み下さりありがとうございました!!

(Fanbox)


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