<MC>超能力に目覚めた彼氏②~過ぎたる力~ (Pixiv Fanbox)
Content
”人間”は、
人間自身が自己分析しているほど、
優秀な生き物ではないー。
人は、”力”を手にすると、いとも簡単に力に飲み込まれてしまうー。
”力”-
人間は、”力”を手に入れると、
いつの間にか自分が支配していたはずの”力”に支配されてしまうー。
人間が、”力”を支配していたはずがー
”力”が、その人間を支配してしまうー。
権力もそうー
名誉もそうー
富もそうー。
そしてー
”過ぎたる力”も、そうー。
人は、”過ぎたる力”を、正しく使うことが出来るほどー、
優秀な生き物ではないー。
「---」
男は、目を細めるー。
人間は、愚かだー。
これはー
その”証明”-
何かのモニターを見つめながら、男は静かに微笑んだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
”人を操る力”
それを手に入れた久義も、例外ではなかったー。
最初はー
”「大丈夫さ。悪用したりは絶対にしないし、
この力を使うとすれば、佳菜恵を守るためだけ、
喜ばせるためだけにするからさ!」”
などと口にしていた久義ー。
しかしー
久義は、彼女である佳菜恵にしつこく言い寄っていた男を
”洗脳”して、自殺させたー。
その時からだっただろうかー。
久義の中で”自分が命令さえすれば何でもすることができる”という
考えが次第に強まっていきー、
当初の想いは、あっという間に消えてしまったー。
「--佳菜恵は、これから仕事を辞めて、俺にご奉仕するんだ」
久義が笑みを浮かべながら言うー。
家の中で、”エッチな服装を着る”ということが
当たり前であると洗脳されてしまった佳菜恵は、
メイド服を着て、不安そうに久義を見つめていたー
「え…で、、でも…?」
戸惑う佳菜恵ー。
「-ー佳菜恵はさ、未熟だからー
俺が守ってあげないといけないんだ」
久義は、優しい笑みを浮かべながらもー
同時に、その顔に”狂気”も浮かべていたー。
笑う久義ー。
戸惑う佳菜恵ー。
「ーー全部、佳菜恵のためなんだ」
久義は、”真剣”だったー。
本気で、それが佳菜恵のためになると思っているー。
「---ひ、、久義…あ、、あのさ…」
佳菜恵は”自分がメイド服を着ていること”を何も疑問に思わないまま、
久義の方を見るー。
今の佳菜恵には、”自我”はちゃんとあるー。
しかし、久義に”洗脳”された部分に関しては、
もはや久義に完全に言いなりの状態で、
それを、疑問にすら感じていなかった。
「--わ、、わたしに最近、何かしてるよね…?」
不安そうな佳菜恵。
佳菜恵は、久義が”人を操る力”に目覚めたことを知っているー。
”操られた部分”に関しては、自覚はできないものの、
”何かがおかしい”と、そういう疑問は、抱いているー。
「---なにって?」
久義は首を傾げるー。
「わ、、わたしを、、わたしを操ってるよね…!?」
佳菜恵は不安そうにそう呟いたー
メイド服を着ていること自体は、何も疑問に思わずにー
「--言っただろ?佳菜恵を守るためだけに、力を使うって」
久義の言葉に、
佳菜恵は、困惑した表情を浮かべながら、久義の方を見るー。
「--そんな顔するなよー
佳菜恵は何も不安に感じなくていい」
久義はそう呟きながら”何も不安を感じるな”と強く念じたー
佳菜恵が満面の笑みになっていくー
「うん…!ありがとう」
と、久義にお礼の言葉を口にするー
「いいかい?仕事を辞めるんだ。明日にでも退職してきて。
未熟な佳菜恵は、俺が守るから」
その言葉にー
佳菜恵は静かに頷いたー。
そして、翌日ー
佳菜恵は、退職届を提出したー。
困惑する会社ー。
佳菜恵の面倒を見ていた先輩の女性社員も戸惑っているー。
理由を聞かれた佳菜恵は
「ーー彼氏に言われたので」と、満面の笑みで微笑んだー。
「--か、、佳菜恵ちゃん…最近、佳菜恵ちゃん、変だよ」
先輩の女性社員が言うー。
入社当初から、佳菜恵の面倒を見て、
まるでお姉ちゃんのように接してくれていた人物だー。
「--変…?
わたしは、未熟なので…彼にいっぱいご奉仕しないといけないんです」
佳菜恵がそう言うと、
先輩は困惑の色を浮かべながら呟くー
「あの…その彼氏…佳菜恵ちゃんに、暴力振るったりしてない?」
先輩は、佳菜恵の言葉に”彼氏からのDV”を疑ったー。
まさか、佳菜恵が彼氏に洗脳されている、などとは夢にも思わずにー
「--久義のことを悪く言わないで!」
佳菜恵が突然鬼のような形相で怒鳴り声をあげたー。
「--久義は、、久義はわたしの全てなんです!
久義のことを悪く言うのは、許さない!」
佳菜恵の普段の性格からは想像もできないような怒りぶりに、
先輩も上司も、困惑してしまうー
「--わたし、辞めるんで」
佳菜恵はそれだけ言うと、社員証や、会社から貸与されたものを
怒りの形相で放り投げたー。
「---」
戸惑う同僚たちー。
立ち去る佳菜恵ー。
しかしー
それでも、佳菜恵の面倒を見て来た先輩は、
佳菜恵を呼び止めたー
「佳菜恵ちゃん!」
その言葉に、立ち止まる佳菜恵ー。
「--……ちょっと、お話できるかなー。
わたし、佳菜恵ちゃんを、助けたいの」
”お姉ちゃんのように慕っていた先輩”のとても悲しそうな表情に、
佳菜恵は、戸惑いの表情を浮かべながら頷いたー
・・・・・・・・・・・・・・・・
「---おはようございます」
久義は、会社での態度も”横暴”になりつつあったー。
「--あ、これやっておいてくれませんか?」
面倒な仕事をー
”やれ”
心の中で強く念じて、相手を操り、やらせるー
「--あ、、ぁあ、わかった。俺に任せろ」
上司のひとりが、笑いながら久義から”押し付けられた”
仕事を引き受けるー。
「--最近、彼氏とうまくいかないんだって?」
同期の女子社員に声を掛ける久義ー。
「ーーなら、そんな彼氏と別れちゃえばいいじゃん」
”別れろ”
心の中で念じる久義ー
「--う、、うん…!そうだね、別れることにするー」
同期の女性社員も”意のまま”に出来るー
そう思ったら、久義は止まらなくなってしまったー
控室にその子を連れ込んで、洗脳してー
キスを何度も何度もしたー
洗脳してー胸を触りまくったー。
最後に”もっとエロくなれ”と洗脳して、
久義はそのまま、控室から外に出たー。
”すごい…俺が命じれば何でもできるー
すごいーー”
デスクに戻った久義を、静かに見つめる視線に、
久義は気づいていなかったー
・・・・・・・・・・・・・・・・
「--メイド服を着て、久義にご奉仕してー
それからー」
佳菜恵は、先輩の女性と一緒に喫茶店に
やってきていたー。
佳菜恵の様子を不審に思った先輩は
佳菜恵から、家での出来事を聞いていたー
彼氏である久義のことを、悪くは言わずに、だー。
「--前からそういう、、その、コスプレとかしてたの?」
先輩の言葉に、佳菜恵は、表情を歪めるー
「さ、、最近…ですね…久義が喜ぶので…
わたしが、ご奉仕しないといけないので…」
佳菜恵の目には、確実に”戸惑い”が浮かんでいるー
「--どうして、そういうこと始めようと思ったの?」
先輩は、冷静に佳菜恵にひとつひとつ質問していくー
「それはーー」
佳菜恵が明らかに動揺し始めたー。
「--退職しようと思ったのは、どうして?」
先輩の言葉に、佳菜恵は頭を抱え始めたー
「久義に…言われたから…」
佳菜恵が”混乱”しているー。
「---……でも、佳菜恵ちゃん、
この仕事好きだったはずなのにー…」
「----……わからない…わたし…辞めたくない…」
佳菜恵が目に涙を浮かべながら首を振るー
「でも、、久義が言ってるからー
わたし、、辞めるんです」
そう言いながらー
「----」
先輩は、佳菜恵の方を見て決意するー
”佳菜恵ちゃんー
きっと彼氏に束縛されてるんだわ”
とー。
「ーー佳菜恵ちゃん!」
先輩が、佳菜恵の肩を掴んで、真剣な表情で佳菜恵を見つけたー
「--佳菜恵ちゃん、自分でも、今の自分の状況に
疑問を感じてるんでしょ?
今のままじゃダメー。」
先輩の言葉に、佳菜恵は「--でも、、でも、、ご主人様が…」と、
困惑した様子で呟くー
さっきから佳菜恵は、時々彼氏のことを”ご主人様”と呼ぶー。
明らかにおかしいー
先輩は、佳菜恵に対して
「-しばらく、わたしの家に泊めてあげるからー
いったん、彼氏から距離を置いた方がーー」
「--久義のこと悪く言わないで!」
佳菜恵が突然怒り狂ったように先輩をビンタしたー
それでも、先輩は止まらなかったー
「---ーー佳菜恵ちゃんー
自分で自分がおかしいと、思ってるんでしょー?
今の自分を疑問に思ってるんでしょ?
だったら、逃げてー」
先輩の言葉に、佳菜恵は震えながらもー
”自分でも感じている違和感”があるのは確かだったー
それにー
「---実は、久義がー」
佳菜恵は、久義が”人を操る力に目覚めた”と
少し前に言っていたことを、先輩に伝えたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
夜ー
「--佳菜恵…!?佳菜恵…!?どうして帰ってこないんだ!?」
久義は、家でパニックに陥っていたー
佳菜恵が、帰ってこないー。
”佳菜恵”
”佳菜恵、返事をしてくれ”
何度も何度もスマホから連絡する久義ー。
しかし、佳菜恵から返事はないー
”佳菜恵!俺へのご奉仕はどうした!?”
”何かあったのか?”
”会社のやつらに何かされたのか!?”
”佳菜恵は未熟だから、俺が守らないといけないのに”
何度も何度もスマホで連絡を入れる久義ー。
久義は”人を操る力”を手に入れたことにより、
完全に自分を見失ってしまっていたー。
その時だったー
久義のスマホに、佳菜恵からの電話が入ったー
しかしーー
電話の相手は佳菜恵ではなく、
佳菜恵の先輩女性だったー。
「--誰ですか?」
久義が言うー。
”佳菜恵ちゃんの、先輩ですー”
その言葉に、久義が表情を歪めるー
佳菜恵の先輩は、
”佳菜恵が、自分の家に今日から泊まること”を告げたー
「--な、なんで…!?いったい、何のつもりですか!?」
久義が叫ぶー。
電話越しでは、相手を洗脳できないー。
”------”
佳菜恵の先輩は、久義に対して、佳菜恵から聞いた
”恐ろしい事実”を口にしたー。
”あなたーー
佳菜恵ちゃんを”洗脳”してませんか?”
とー。
「---!!!!!!!!!!」
久義は表情を歪めたー。
”人を操る力”-
まだ、それを手に入れたばかりの久義は、
”このことを誰にも言うなよ”だとか、
そういう命令を佳菜恵に対してしていなかったー
そこまで、頭が回らなかったー
「---そ、、そんなこと…
か、、佳菜恵は、、自分の意思で…
お、、俺は佳菜恵を守ろうとしてるだけです!」
久義が電話に向かって叫ぶと、
”--佳菜恵ちゃんは今、わたしの家で泣いてます!”
と、佳菜恵の先輩が叫び返してきたー。
”頭の中がごちゃごちゃになって、怖くて、悲しくて
ずっと泣いてるんですよ!
彼女を洗脳するなんて、あなたは、最低よ!”
相手の先輩が叫ぶー
「---……泣いてる…?佳菜恵が…?
そんなはずない!!
あなたが、いいや、お前が泣かせてるんだろうが!」
久義は大声で叫び返すと、
「--佳菜恵を必ず取り戻してやるー
俺が念じれば、佳菜恵は笑うんだ!」
と、怒りの声で呟いたー
”操って笑わせても、それは佳菜恵ちゃんの笑顔じゃないの!
あなたも彼氏なら、それに気づいて!”
佳菜恵の先輩の言葉に、
久義は「うるさい!必ず佳菜恵を取り戻すからな!」と大声で叫びー
スマホの電源を切ったー
すぐに立ち上がり、外出の準備をする久義ー。
”佳菜恵…待ってろー
俺が、お前を幸せにするんだー”
”人を操る力”に憑りつかれた久義の暴走は、止まらないー
・・・・・・・・・・・・・・・
「---…佳菜恵ちゃん」
電話を終えた佳菜恵の先輩は、
佳菜恵を奥の部屋に移動させるー。
”念のため”
だー。
佳菜恵の彼氏が、この家の場所を
知っているとは思えないし、
万が一やってきても、玄関を開けなければいいー
佳菜恵の先輩は、そう思いながら、
佳菜恵の彼氏である久義の存在に、
わずかな恐怖を覚えてー
ゴクリと唾を飲み込んだー
③へ続く
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コメント
次回が最終回の予定デス~!
お読み下さりありがとうございました~!
それにしても今日はとっても暑いですネ~…!
皆様も熱中症には気を付けてくださいネ~!