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「お、、お前の仕業か!」

晴美(雅史)は女子として振舞うことも忘れて、そう叫ぶー。


「へへへへ…”人に憑依できる”なんて、俺にぴったりの力だよー

 おかげで今じゃ、俺はどんな美少女にだってなれるー」


生徒会書記の静香が、悪魔のような笑みを浮かべるー


”同じ見た目”なのに、

”中身”が違うだけで、人間、こんなに歪んでしまうのかー、と

思わずにはいられないー。


生徒会の気の強い女子・久美子もー

A組の夏鈴もー

みんな、ニヤニヤと笑みを浮かべているー。


静香を含む5人の女子に囲まれた晴美(雅史)は戸惑いながら

「み、、みんな!目を覚ますんだ!」と叫んだー。


だがー

夏鈴は「目を覚ますぅ?へへへ…俺は俺だよ」と、笑みを浮かべたー。


「---ど…どうしたんだよ…おい!」

晴美(雅史)は、もはや晴美として振舞うことなど、

完璧に忘れていたー。


「-ーー憑依している間はさ、”ここ”が無防備なんだよ」

静香がニヤッと笑いながら、自分の頭をつんつんとつつくー


「--だから、憑依してる間に、そいつの趣味趣向を歪めたりー

 そいつに俺の記憶をそっくりそのままコピーして、俺そのものにしたり!

 なんだってできるんだよ!」


静香は、生徒会の久美子を指さすー

「今やこいつはコスプレとエロが大好きな変態女だ!」


そう言われて、気の強い久美子がだらしない笑みを浮かべているー。


続けて静香が、A組の夏鈴を指さすー

「こいつには、俺の記憶を転写した!今や、俺そのものだ!」


静香が叫ぶと、夏鈴は「へへへ そうさ!俺も亮馬だぜ!」と

静香と”同じ”笑みを浮かべたー。


「--そ、、そんな馬鹿な…」

晴美(雅史)が困惑していると、

静香は胸を揉みながら笑ったー。


「--で、次は、坂梨さんー

 君だー」


静香が凶悪な笑みを浮かべたー


「君はー

 どうしようかなぁ?


 俺のメインボディにするかー

 それとも、趣味趣向を歪めるかー

 いいや”俺”そのものにしちまうか?


 はははっ!

 どれがいい?」


静香の言葉に、

晴美(雅史)は、後ずさりしながら叫ぶー。


「-な、、なんで!!なんでこんなことするんだ!」

晴美(雅史)の言葉を聞くと、

静香は、その顔から笑顔を消して、呟いたー。


「---俺の学生時代は地獄だったー


 わかるか?

 3Kを凝縮してかき混ぜたような、パフェ野郎と呼ばれてた

 俺の気持ちが???


 俺は何もしてねぇ

 何もしてねぇのに、

 両親からは虐待、兄と比べられて、学校ではキモさを凝縮した

 パフェ野郎呼ばわりだ!!


 わかるか俺の気持ちが!?


 お前らみたいな餓鬼を見てると、

 あの頃を思い出すんだよ俺は!!!!


 めっちゃくちゃにしてやりたくなるんだよ!!お・れ・は!!!」


静香が、喉がはち切れてしまいそうなほど大きな声で

怒鳴り声をあげるー


乗っ取られて無理矢理動かされているだけなのにー

静香が本当に怒っているように見えてしまうー。


「そ、、そんなことしらないー」

晴美(雅史)はそう言いながら、静香の方を見るー


用務員の鎌田亮馬という男の過去は

辛いものだったのだろうー。


けれどー

だからと言って、自分たちがこんな目に遭わされる理由は、ないー。


「--だから、次におかしくなるとすれば、

 わたしだと思うの」


雅史になった晴美の言う通りだったー


「--(晴美の身体を絶対に傷つけさせるわけにはいかない)-」

晴美(雅史)はそう思いながら静香を睨むー。


そしてー

咄嗟に走り出したー


まずは逃げるしかーーー


だがーー


「--逃がさないよぉ!」

生徒会の久美子が、晴美(雅史)の手を掴むー。

A組の夏鈴が「俺から逃げられると思ったかぁ!?」と笑うー。


他の女子生徒二人が「一緒にAV鑑賞して楽しもうよ!ふふふ」と

笑っているー


「やめろ!やめろ!!おい!やめろ!」

晴美(雅史)は叫ぶー


まさかー

”周囲の女子がおかしくなっている理由”がこんな理由だったなんてー


”憑依”なんてーー


「---待て!!やめろ!!!俺は、、俺は晴美じゃなーーー」


そう言いかけたがーー

既に、静香は笑みを浮かべながら気を失っていたー


そしてーー

亮馬が、晴美の中に憑依するー



亮馬は、晴美の身体の中に入り込みー

晴美の肉体を完全に乗っ取ろうとしたーー


だがーー


「----!?!?」

晴美の身体が思うように動かせないー。


「--なんだ…これは…!?」

亮馬が戸惑うー。


”晴美の身体の中に、強い違和感”を感じるー


まるでー、

自分が飲み込まれてしまいそうなーーー


「--!!」

亮馬は、憑依し始めたころのことを思い出したー。


不登校気味の女子生徒に憑依しようした際にー

亮馬は”逆に自分が乗っ取られそうなー”そんな

無気味な感覚を覚えたー。


何故かは分からないー

だが、”自分の自我”が乗っ取られそうな、

そんな感覚を覚えたのだー。


そんなことが、あったことを思い出したー


これは、あの時と同じー


憑依は、相手の身体に入り込み、

相手の身体を支配すると同時に、

相手の脳にもアクセスし、

思考や意思まで、完全に支配するー

相手の脳と同調する過程でー

何か問題が起きたのかもしれないー。


当時ー

そう思ったー


「-----!!!!」


亮馬は、咄嗟に”自分の身の危険”を感じたー

そして、すぐに晴美の身体から抜け出そうとしたー。


「---おまえは、、なんだ…!?」

亮馬が叫ぶー


晴美の脳内の精神世界でー

亮馬は、叫んだー


晴美の身体の中にいたのはー

晴美ではない”別の人間”--


「--なんだ、、、おまえは…!」


晴美の脳が、強い拒絶反応を起こすー


不登校の女子生徒は、精神的に病んでしまっており、

脳が”過剰”に、外敵に対して反応したー。


そして、晴美は、現在、神社で転落して入れ替わったことにより、

本来の身体の持ち主ではない、雅史が中にいるー

それ故に、脳が異常事態を察知していてー

”過剰”に外敵に反応したーーー


憑依はー

相手の脳にアクセスする故ー

”異常”な状態の脳に、アクセスすればーーー


「---ひぃぃぃあっっ!?!?!?」

亮馬は、自分の意識が飲み込まれるような感覚を覚えーーー、

はじきだされるようにして、晴美(雅史)の身体から

吹き飛ばされたー。


”憑依者”が返り討ちに遭うーー


突然、晴美の身体から飛ばされて、霊体から元に戻った亮馬は、

白目を剥いて、口を開いたまま

意識を失っているー。


「---!?!?!?」

晴美(雅史)が驚くー


「お、、俺!?おい!!おい!どうしたんだよ!」

A組の夏鈴が叫ぶー

久美子や他の女子生徒が、倒れたままの用務員・亮馬に駆け寄るー。


「--な、、何が起きたんだー?」

晴美(雅史)は戸惑いながらも、

”とにかくこの場を離れよう”と、その場を離れたー。


”入れ替わり”を体験した晴美(雅史)が、

まさか”憑依”なんて出来事が身近で起きていると予測しておらず、

用務員・亮馬に染められた5人の女子に囲まれてピンチを迎えたのと同じくー


”憑依”を体験した亮馬もまたー

まさか”入れ替わり”なんて出来事が身近で起きているとは夢にも思わずー

結果的に、脳の状態が通常ではない人間に憑依してしまいー

返り討ちにあってしまったー。


「--ちょ!?おい!俺!起きろよ!」

A組の夏鈴が、倒れたままの亮馬に向かって叫ぶー。

亮馬本体が廃人同然になっても、亮馬の記憶がコピーされた彼女は、

そのまま亮馬そのものになりきった状態ー


「くっそ~…」

A組の夏鈴は、他の女子生徒たちに「どけ!」と叫ぶと、

晴美(雅史)の後ろ姿を見つめながら、怒りの形相を浮かべたー


・・・・・・・・・・・・


「--晴美!」

晴美(雅史)が、雅史(晴美)のところに駆け寄って来るー


「女子がおかしくなってた理由が、わかった」

晴美(雅史)は、そう言いながら、用務員・亮馬のことを話したー。


「--そんなことが…?み、みんなは…?」

雅史(晴美)が心配そうに言うと、

晴美(雅史)は”なぜか分からないけど用務員の男が急に倒れた”ことと、

そのあと、先生に、用務員が倒れたことは伝えて来た、と補足したー


その話がひと段落した段階で、雅史(晴美)はスマホを

晴美(雅史)に見せて来たー


「--今日の午後ー

 天気急変に注意だってー」

雅史(晴美)の言葉に、晴美(雅史)は「--…!」と、表情を変えたー


”雷雨にもご注意ください”

その文章を見て、晴美(雅史)は叫ぶー


「じ、、神社…!元に戻るチャンス!」

とー。


あの日のようにー

雷雨の中、神社の階段から転落すればー

元に戻れるかもーーー


”同じ状況をもう一度作り出せれば”元にー


「------」

2人は頷くー


放課後に神社に行くことを約束してー

クラスが別々の二人は、別れ際に

「--今日が最後の女子高生生活だな」

「--今日で男子体験も終わりかなぁ…?」と、

笑いながら話をしたー


・・・・・・・・・・・・・・・


放課後ー


友人・芽衣の実家の神社にやってきた

雅史(晴美)と晴美(雅史)-


天気予報通り、天候が崩れて来たー

じきに、雨が降り出しそうだー。


2人は、雨が降り出すまでの間ー

神社でのんびりと過ごすー。


”あの日と出来るだけ同じ条件にしたい”

そう思った二人は、

おみくじを引くー。


「--お!!」

晴美(雅史)が笑うー


”大吉”


あの日は大凶だったー。


「--これって、元に戻れるってことじゃね!?」

晴美(雅史)が嬉しそうに言うと、

雅史(晴美)は表情を歪めたー


「---でも、わたしは”大凶”」

とー。


「--あれぇ…

 ま、まぁ、おみくじなんて迷信だしな」


そんな風に言いながら

晴美(雅史)は空を見上げたー


「ーーー最初は新鮮な感じとか、ドキドキもあったけどー

 やっぱ、何日も経つと、慣れた身体のほうが、楽だなー」


そう呟く晴美(雅史)に、

雅史(晴美)も


「確かにそうかもー

 雅史の身体、甘いモノあんまり口に合わないから

 なんか寂しかったしー」


と、笑ったー


「あ~~そうだよな!

 俺は、晴美の身体がすぐお腹いっぱいになるから

 最初は食べすぎちゃったなぁ~」


晴美(雅史)がそう返事をするとー


「ちょっと!太ってないでしょうね!?」

と、雅史(晴美)が叫ぶー


「--わ、分かんないよ!晴美の身体で体重計に

 乗るわけにはいかないだろ!?」

晴美(雅史)が反論するー


人の身体で勝手に体重計に乗って、体重を知るわけにはいかないー、と。


そんな雑談をしていたらー

雷が鳴り始めたー。

雨も、降り始めるー。


「--よし、行こうー」


「--うん」


もう一度ー

あの時と、同じようにー。


神社の階段に向かう二人ー。

転落で怪我するのは怖かったがー

元に戻るためにはー


神社の階段の方に走る二人ー


その時だったー

晴美(雅史)と雅史(晴美)は

それぞれ”人影”に気づいたー


晴美(雅史)の左側からは、A組の夏鈴がー

雅史(晴美)の右側からは、晴美の親友・芽衣が

それぞれ姿を現したー


「--よくも俺を…!!許さねぇ!」

本人がこん睡状態に陥っても、

未だ、用務員・亮馬の記憶に支配されて、

亮馬そのものになってしまっている夏鈴が叫ぶー。


「雅史くん…わたしはあきらめない…!

 晴美なんかより、わたしを見て!」

晴美から、雅史を奪おうとしていた芽衣が叫ぶー。


タイミングが悪すぎるー


そう思いながら、階段のすぐ手前で、

晴美と雅史は、芽衣と夏鈴の方を見て、

口を開こうとしたー


その時だったー


近づいてきた芽衣が躓いてー


「あっ!?」

「--!」

「--うわっ!」

「--ひゃっ!?」


4人が同時に、神社の階段から転がり落ちたー


・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・


「----ん」

雅史が目を覚ますー


既に、雨はやんでいたー


「--ん!?お!!おぉ!」

雅史が自分の身体を見つめると、

嬉しそうに叫んだー


「戻った~~~~~~~~!!!!!」

とー


雅史は「ただいま俺の身体!」と呟きながら

すぐ近くに倒れている

晴美の方を見つめるー。


横にはーA組の夏鈴や、晴美の友人・芽衣も倒れているー。


やがてー

晴美が目を覚ましたー


「--晴美!よかった!戻れたー!」


雅史がそう叫ぶとー

晴美が表情を歪めたー


「--晴美…?」

とー。


「--え?」

雅史の顔から笑顔が消えるー


「--わたしは、、芽衣だよ…?」

晴美が、晴美の友人・芽衣を名乗ったー


だが、その直後すぐにー


「--テメェ!よくも俺を!」

と、晴美が襲い掛かって来たー


「-ちょ!?え!?落ち着け!」

雅史が叫ぶと、

今度は晴美が目に涙を浮かべたー


「--ま、、雅史…

 わ、、わたし、、、

 わたしの身体の中に…なんか、、芽衣と夏鈴がいるんだけど…」


とー、不安そうにー


「--え…ちょ!?」


意識を取り戻さない芽衣と夏鈴の身体を見つめるー


「---え…??え???」

困惑する雅史ー


4人で転落したことによって

雅史と晴美は元の身体に戻れたがー

晴美の身体の中には、芽衣と夏鈴の意識も入り込んでしまっていたー


ひとつの身体に、3つの心ー


晴美と、

晴美から雅史を奪おうとした親友・芽衣とー、

用務員亮馬に記憶を転写され、亮馬そのものになってしまっている、夏鈴ー


3人がー

全員、晴美の身体に入り込んでしまったー


”わ、、わたし、どうなるの!?”


”晴美の身体ならー雅史くんをわたしのものに出来るかも♪”


”へへへ…この身体でAVを見るのも悪くねぇ”


混沌とした状態の晴美を前にー

雅史は、困惑することしかできなかったー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


憑依と入れ替わりのミックスのお話でした~!


今度は、精神同居状態の彼女を前に

彼氏の雅史くんは奔走することになりますネ…笑


お読み下さりありがとうございました!!!

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Comments

飛龍

最後までカオス~! 面白かったですw

無名

ありがとうございます~!全部ミックスした結果、こうなりました~笑 抜け殻二人を前にした彼氏が、この場をどう切り抜けるのか、書いてる私も気になりました笑