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とある男子高校生の日記。

彼女が憑依されてしまったことにより、人生が激変しー

最後には破滅してしまった

悲運の男子高校生の戦いの記録である。(第14週)


★前回はこちら↓★

fanbox post: creator/29593080/post/2237303


発生した事件の重要な証拠品として、

現在、警察がこの男子高校生の遺した日記の解析を進めているのだというー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


晴夫のいる牢屋にたどり着いた

警察官の秀平と、晴夫の友人・零夜ー


「--晴夫!」

零夜が必死に呼びかけるも、やはり晴夫は虚ろな目のままー。


「---大丈夫か?しっかりしろ!」

刑事・秀平も声を掛けるが、

やはり、晴夫は虚空を見つめていて、廃人状態に

なってしまっているー。


「刑事さん…晴夫はいったい…?」

零夜が晴夫の身を案じながら言うと、

秀平は言いにくそうに口を開いたー


「この感じは…薬物かもしれない」

とー。


”闇蜘蛛興業”に捕まったあとに、

晴夫は何らかの薬の実験体にされて、

廃人状態になってしまったのではないか、と

秀平はそう語ったー。


「そんな…」

零夜が狼狽えながら言うー。


「--いずれにせよ、彼はまだ生きている。

 ここから脱出して、詳しい話はそれからだ」

秀平の言葉に、零夜は頷くと、

「俺が晴夫を運びます」と、声を掛けたー。


まだ、”闇蜘蛛興業”の残党がいるかもしれないー。

秀平が晴夫を抱えるよりも、零夜が抱えたほうが良い、と

零夜は判断したー。


”戦い”においては、刑事である秀平のほうが”上”なのは

言うまでもないのだからー。


「よし、行くぞ!」

秀平が銃の弾を確認すると、そのまま部下を先に行かせた

工場の出口に向かって、歩き始めたー。


・・・・・・・・・・・・・


「ーーあはっ♡ 銃ってすごい♡」


工場の入口付近ー。

救出したはずの香里がー

秀平の部下のひとりの頭を撃ち抜いて、笑みを浮かべたー。


「---な、なにを!?」

残っていた二人の刑事が、突然の出来事に困惑するー。


香里はまだ”憑依”されて乗っ取られているままー。

”いざという時のため”に、闇蜘蛛興業の会長である田原の指示で、

憑依された香里は”正気”のフリをしていたのだー。


「--う、動くな!」

残り二人の刑事のうちの一人が叫ぶー。


「--うふふふふふ」

香里が突然、自分の制服のボタンに手をかけたー。


「!?」

下着が露わになって、二人の刑事が戸惑った隙をー、

乗っ取られた香里は見逃さなかったー。


「バーカ!」

香里が銃を2発放つー。

2人の刑事が倒れて、一人は即死、一人は重傷を負ったー


「ぐ…ぐ…」

最後のひとりが、苦しみながら、落とした銃を拾おうとするー。


そこに、香里がやってきて、にっこりとほほ笑んだー


「---ぐあああああ!」

香里に手を踏まれる刑事ー。


「-女子高生踏まれるとかさ、ご褒美だと思わない?」

香里が狂った笑みを浮かべながら、刑事を踏みにじるー


「ぐあああああああ!」


「--ふふふふ…ほら、わたしに”ありがとうございます”って

 言ってごらんー?


 踏んでくれて、ありがとうございます ってーーさぁ!」


香里が銃を持ちながらげらげらと笑うー。


その時だったー。


「やめろ!!!」

晴夫を救出した秀平と、零夜も、工場の入口付近に

たどり着いたー。


銃を構える秀平ー


香里はニヤリ笑うとー


「あ~~~あ~~見られちゃった♡」

と、笑うー。


「---……」

零夜は、晴夫を壁に寄り掛からせると、

香里の方を見つめたー。


「---せっかく、この女を乗っ取ったままー

 うまく、誤魔化そうと思ったのにー」


香里はそこまで言うと、指をペロリと舐めたー。


「ま、いっか。お前ら全員ぶっ殺してー

 ”唯一の生存者のかわいそうな女子高生”として

 世間から同情してもらうことにするかぁ」


香里の言葉に、

秀平は銃を構えながら、香里の方を睨んだー。


「その子の身体から、出ていけ」

とー。


「-嫌だね。

 -っていうかさ、この女を撃てるのか?

 撃ったら死ぬのは、俺じゃなくて、この女さ」


香里が笑いながら自分の身体に手を触れるー


「くっ…」

秀平は銃を構えながらも、

近づいてくる香里に対して、何もできずにいたー。


香里を制圧するにはー…

手や足を撃ってー

拘束するしかー


銃を香里の足元に向けるー。


”罪のない女子高生”を撃つのは気が引けるが、

まずは彼女を行動不能にしないと、こっちがやられるー。


しかしー

それを察知した香里はー

自分の銃を自分自身につきつけたー


「--少しでも変な動きをしたら、わたし、死ぬよ?」

香里が笑うー


「くっ」

秀平は、咄嗟に頭で計算するー。


しかしー

”足を撃つよりも先に自殺でもされたらー”と、

躊躇してしまうー


「バーカ!」

香里が近づいてくると、秀平の銃を奪いー

その綺麗な手で何度も何度も秀平を殴りつけたー。


悪魔のように、笑いながらー。


「--やめろおおおおおおおお!」

零夜が、香里の方に向かうー


「目を覚ませ!!!目を覚ますんだ!」

零夜が必死に香里に呼びかけるがー

そんなに簡単に”憑依”の影響から抜け出すことは出来ないー。


香里はクスッと笑うと、零夜の足を撃ち抜いたー。


悲鳴を上げる零夜ー。


香里が零夜と秀平に銃を向けるー。


「--みんな、バイバイ♡」

笑う香里ー。


だがーー

銃は、放たれなかったー


「--!?」

驚く香里ー。

香里の銃が、別の人間に握られー

取り上げられたからだー。


「--お前…」

香里が驚いているー。


香里の銃を取り上げたのはーー

晴夫だったー


「晴夫!?!?」

零夜が驚くー

すぐに”意識、戻ったのか!?”と叫んだがー


返事がないー


零夜はハッとするー


晴夫の目は虚ろなままだー。


「--あれは…」

殴られて、倒れたままの刑事・秀平が必死に

状況を把握しようとするー。


「--お、、お前…!」

憑依された香里が驚いて晴夫の方を見つめるー


晴夫は、虚ろな目のままー

まっすぐ香里を見つめたー


「香里を、、返せ…」


そう呟くー


意識は混濁したままー

けれどー

”香里を助けたいー”

その想いだけが、彼を突き動かしていたー


「香里を、、、、返せええええええええええええ!!!」


その決意はーー

あまりにも強くーー

意識が混濁している状態の男子高校生から発されたものとは

思えないほどの迫力に満ちていたー


「---ひっ!?」

香里が思わず尻餅をついてしまうー。


「---香里を…」

よろよろとしながら晴夫が香里のに向かうー


そしてー

晴夫は尻餅をついた香里にそのまま抱き着いたー


「香里…助けに来るのが、遅くなって、ごめんー」

晴夫は虚ろな目のまま香里に抱き着くと、

そのまま動かなくなったー


「くっ…」

香里は身動きが取れず困惑するー。


「---!」

刑事・秀平と零夜がこちらに向かってくるー。


”このままじゃ、香里の身体ごと逮捕される”

そう思った男は、香里から抜け出して逃げようとしたー。


しかしー


パァン!!!


香里の身体から飛び出た男の頭が撃ち抜かれたー


「がっ…」

そのまま、即死状態で、倒れ込む男ー


撃ったのはー

晴夫の部下で、重症を負ったまま倒れていた刑事だったーー


「--逃がすか…ってんだ」

刑事が苦しそうにそう呟くー。


「--おい、しっかりしろ!」

秀平がその刑事に駆け寄るー。

零夜は香里に駆け寄るー。


少しずつ目を開く香里ー


香里は、何が起きたか分からない様子で

周囲を見渡すと、

「ありがとうー」とだけ、呟いたー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


1か月後ー


闇蜘蛛興業は壊滅ー。


秀平の捜査により、憑依薬の出所も突き止め、

それは、上層部と強いコネクションを持つ、

目黒警視正が”表”に出ないよう、内内に処理したー。


負傷していた秀平の部下1名は、無事に回復し、

職場に復帰しているー。



そしてー

病室では、眠ったままの晴夫の姿があったー


「もう、1か月かー」

定期的に様子を見に来ている秀平が呟くー。


「--ええ 全然、目を覚ましません」

親友の零夜は、寂しそうにそう呟いたー


やはり、晴夫は闇蜘蛛興業に薬を注射されていて

その影響で、廃人同然になってしまっていたー。


工場で香里を助けたのを最後に、意識を失いー

それ以降は、眠ったままー。


「--------」

刑事・秀平と、零夜が晴夫を見つめているとー

そこにーー

彼女である香里がやってきたー


憑依されていた香里は、秀平と零夜に頭を下げると、

そのまま晴夫に近づいて、

「今日は、こんなことがあったよ…」と寂しそうに呟いたー


香里は無事に正気を取り戻し、

憑依されていた間の悪行は、目黒警視正らが内内に処理したため、

日常生活に復帰していたー。


「---あの子が、今、こうして無事でいられるのはー

 彼が遺した日記のおかげだなー


 あれがなければ、俺たちは闇蜘蛛興業の捜査にも

 踏み切れなかっただろうー」


秀平がそう言うと、

零夜が首を振ったー。


「--”遺した”ではなく、”残した”ですー」

とー。


零夜が秀平が報告書に”遺した”と書いていたことを

知っていたー


だからこそ、口にすれば、同じ言葉を”あえて”訂正したー。


家族も失いー

友達も傷ついたり、失ったりしたー


目を覚ました時には

晴夫は、その現実と直面するだろうー。


でもー


零夜が、香里の肩を優しく叩くと、

晴夫の方を見つめて、寂しそうに呟いたー


「--お前はちゃんと、戻って来るよなー。

 彼女を、一人にしないためにも」


零夜が、晴夫に向かってそう語り掛けると、

香里は少しだけ微笑んでー


「--わたし、ずっとずっと、待ってるからねー」


と、優しく囁いたー


その言葉に、意識が戻らないままの

晴夫の表情が少しだけ和らいだー


ーーーような、気がしたー。



おわり


・・・・・・・・・・・・・・


コメント


14週にわたりお送りしてきた「男子高校生の遺した日記」の

完結編でした~!


毎週土曜日は「プチ枠」(仕事都合で当日に書く時間がないため、

100円プラン~でも読めるいつもより短めの作品を

予め書いてお届けしています~)なので、

来週からはまた別の作品をお届けできるように、今からコツコツ準備中デス~!

せっかくなので、毎日作品をお届けしたいので☆!!


今日もありがとうございました~~!

(Fanbox)


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