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刑事・小田切と共に、状況を確認する宅磨ー。


”執念”

樹里の異変に気付きー

その真相を知った彼氏の宅磨は、

学校を休んで、刑事・小田切に協力ー

ついに、悪の組織ナイトメアのアジトを突き止めたのだったー。


ナイトメアのアジト前で、状況の確認を終えると、

小田切刑事が呟いたー。


「--君は、彼女の救出に専念するんだ。

 分かっているとは思うが、”ナイトメア”は君が

 どうこう出来る相手じゃない。

 やつらは俺がなんとかするー。

 君は、自分の身と彼女の身を最優先するんだー」


小田切刑事の言葉に、宅磨は少しだけ不安そうな表情を浮かべて言うー。


「もしー

 もし、樹里が例の”パラサイト”に完全に乗っ取られていたらー…

 どうなるんですか?」


宅磨の言葉に、小田切刑事は表情を曇らせるー。


「正直、分からないー。

 だがー

 君の彼女を救出さえできれば、

 ゆっくり治療も出来るし、パラサイトを彼女から

 取り出す方法を考えることも出来るー。


 警察の管理下に置いておけば、

 彼女の身体が悪用される心配もないー。


 とにかくまずは、彼女を確保することが最優先だー。」


小田切刑事の言葉に、宅磨は頷くとー


どこか天然で、いつも穏やかに笑っていた樹里の姿を

思い出すー。


「-樹里…俺が、必ず助けるからー」

宅磨はそう呟くと、小田切刑事と共に、”悪の組織ナイトメア”の

アジトに突入したー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「--α技術のデータをお持ちしました」

チャイナドレス姿の樹里が、そう言いながら跪くと、

悪の組織ナイトメアのスーツ姿の男は笑みを浮かべたー。


「くくく…いいのか?」

スーツ姿の男が笑うー。


「--わたしに、お父さんの会社からそのデータを

 盗めってことですよね?

 そんなこと、絶対にしませんから!」


録音していた樹里の声を、再生する

スーツ姿の男ー


「ーー君はこう言っていたはずだが?」

スーツ姿の男がいじわるそうな笑みを浮かべるー。


「--わたしが、間違っていました…

 申し訳ございません…


 わたし…ナイトメアに身も心も、捧げますぅ…♡」


樹里がうっとりとした表情で言うー。


樹里本人の意識は

パラサイトに完全に乗っ取られてしまった今ー

目の前にいるのは、樹里であって、樹里ではないー


身体は樹里本人のものだが、

中身は樹里の記憶と人格を受け継いだ寄生虫ー

パラサイトだー。


だが、ナイトメアの男は、”あえて”

いつも、ターゲットを支配すると、こうしているー。


”自分に逆らっていたやつ”を

屈服させている感じがしてー

最高に支配欲を満たすことが出来るからだー。


「--本当に、申し訳ございませんでした」

樹里が土下座をするー。


樹里を支配したパラサイトも

”あえて”主の意を読み取り、樹里の身体で身も心も

屈服したような振る舞いをしているー。


「くくくく…もっと謝れ」

スーツ姿の男が言うー。


「--申し訳ございません…!

 樹里が、、樹里がバカでしたぁ…」

樹里が、チャイナドレス姿のまま、何度も何度も謝るー


「--くくく…謝れ!謝れ!」

スーツ姿の男が、樹里の頭を踏みつけるー。


樹里もゾクゾクしながら、嬉しそうに何度も何度も

謝り続けたー。


やがて、樹里は「α技術」をスーツ姿の男に手渡すと、

「--これで、ナイトメアはまた一歩、成長できますね…うふふふ♡」と

嬉しそうに微笑んだー。


「--くくく…そうだな…」

スーツ姿の男はそう呟くと、そのまま樹里にキスをして、

隣で笑っている、樹里と同じく寄生虫に乗っ取られている女子大生・玖瑠美に

α技術のデータを渡し、樹里を奥の部屋へと連れ込んだー。


パラサイトに支配された樹里と、スーツ姿の男の

激しいエッチは、数時間にわたり、続いたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・


「----3、2,1…」

小田切刑事が合図をするー


宅磨と小田切刑事が同時に、ナイトメアのアジトへと踏み込んだー。


銃を手に、アジト内部の入口付近の様子をすぐさま確認する

小田切刑事ー。


「---!」

宅磨はすぐに周囲を見渡して、「樹里!どこだ!」と叫ぶー。


だが、返事はないー。


「--奥だ」

小田切刑事が奥の方へと向かって行くー


「--な、なによあんたたち!」


奥に突入するとー

そこには、樹里より前に”パラサイト”に支配された

女子大生・玖瑠美がいたー


ラバースーツ姿の玖瑠美と、スーツ姿の男が驚くー


スーツ姿の男は、すぐに銃を手に、小田切刑事を撃とうとしたー。


しかしー、

それよりも早く小田切刑事の銃が火を噴いたー。


「--ぐああぁぁっ…」

崩れ落ちるようにしてその場に倒れて、銃を落とすスーツ姿の男ー。


襲い掛かって来るラバースーツの女を蹴り飛ばしー

銃を向ける小田切刑事ー


その隙に、宅磨は、さらに奥に向かいー

ついに樹里を発見したー。


「樹里!」

宅磨が叫ぶと、樹里は振り返ったー


「--た、、宅磨…!」

樹里が目に涙を浮かべるー。


「--樹里…!もう、、もう大丈夫だからー」

宅磨が言うと、

樹里は、安心した様子で「助けに来てくれて、ありがとう」と呟いたー。


「----刑事さん」

樹里を救出した宅磨が、小田切刑事のいる方向に戻ると、

小田切刑事は、既に、女子大生の玖瑠美を拘束していたー。


「--この子も”パラサイト”にやられてるー。」

とー。


その時だったー。

樹里が突然笑みを浮かべて、隠していたナイフを宅磨に突き刺そうとしたー。


「--危ない!」

小田切刑事が咄嗟に、樹里の手を撃つー


「--チィッ」

樹里が舌打ちして、鬼のような形相で宅磨を見つめるー。


樹里の耳から飛び出すパラサイトー。


「-くそっ!樹里!」

宅磨が叫ぶー。


小田切刑事は樹里も拘束しー

応援を呼んで、樹里と玖瑠美を連行したー。


「----…樹里」

不安そうな宅磨ー


小田切刑事は、静かに肩を叩いたー。


「--大丈夫だ。これで彼女たちの身体が”悪用”される心配は無くなったー。

 あとはー

 パラサイトをどう取り除くかー。

 それを突き止めるだけだー」


小田切刑事の言葉に、宅磨は「そうですね…」と

安心した様子で頷くー。


とにかく、悪の組織”ナイトメア”を壊滅させることはできたー。

警察の管理下にいれば、樹里も、玖瑠美とかいう女子大生も安心だー。


あとは、治療方法を見つければいいー


「ーーしばらくの間は、彼女にとっても、君にとっても

 辛いかもしれないー。


 だが、我々は必ず彼女たちを元に戻すー。

 だからーー安心してほしい」


小田切刑事の言葉に、宅磨は「ありがとうございます」と

頭を下げたー。


「--だからーーー

 ”安心”して、全て任せないー


 君はもう

 ”何も”


 考えなくていいー


 何もーーー」


小田切刑事の言葉にーー

宅磨は、安心したような笑みを浮かべたーーー


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「---ありがとうございますーー」


「--?」

休日ー

樹里の同級生で、友人の美津穂が、表情を歪めていたー。


樹里が、学校に来なくなったことを心配していた美津穂ー。


それだけではないー

今度は彼氏の宅磨まで学校に来なくなってしまったのだー。


そしてー


「---え…」

美津穂は、街中で偶然、宅磨を見かけたー


宅磨がー

”誰もいない”場所に向かって

「ありがとうございます」と頭を下げているー。


少し薄汚れた建物の目の前で、

「樹里を、必ず正気に戻してくださいー

 ”小田切さん”」

と、嬉しそうに話しているー


「--小田切さん?」

美津穂が、少し離れた場所から宅磨の周囲を見つめるー


だがー

どこにも、人がいないのだー。


「--…え…何…何なの?」

美津穂は、”この前の樹里と同じ”と、不安を覚えるー


風俗店から出て来た樹里が、”誰もいない方向”に向かって、

「うん!」と言っていた時と、同じー。



「---……ぐへ」

宅磨が笑みを浮かべたー


そして、薄汚れた建物の中に入っていくー


美津穂は、困惑しながらも、それ以上は詮索はしなかったー。


建物の中に入った宅磨の耳からはー

”パラサイト”が飛び出していたー


「へへへ…完全に”支配”完了~」

宅磨が笑みを浮かべるー。


宅磨もまた、”パラサイト”に寄生されてしまっていたー。


樹里の家に駆け付けた際にー

乗っ取られた樹里に花瓶で殴られて意識を失った宅磨ー


その、”目を覚ますまでの間”に宅磨はパラサイトを

植え付けられていたー。


乗っ取られていく最中の樹里が

支離滅裂な思考や存在しない”兄”の幻覚を見たのと同じようにー


宅磨も”ナイトメアから樹里を救い出す”妄想を繰り返し

存在しない”小田切刑事”という架空の人物の幻覚を

パラサイトに見せつけられた挙句ー、

パラサイトに身体の主導権を渡してしまったのだったー


「ーーーククク 君の彼氏も、仲間入りだー」

スーツ姿の男が言うー。


彼が射殺されたのは、パラサイトに寄生された宅磨の”妄想”-

実際の彼は殺されていないし、樹里も玖瑠美も、警察に

連行などされていないー


「--新入りね」

樹里が笑うー。


彼氏の宅磨を目の前にしても、もう、そこに愛情などないー


「---俺も、ナイトメアに忠誠を誓います」

宅磨が膝を折ると、スーツ姿の男は笑みを浮かべたー。


チャイナドレス姿の樹里が、宅磨に近づいていくと、

「--わたしのことは”お姉さま”と呼びなさいー新入り」と、

偉そうな口調で呟くー


”パラサイト”たちの間ではー

”先に人間を乗っ取ったパラサイトが上に立つ”という

しきたりが存在するー


「はい、お姉さま」

宅磨が頭を下げたまま、樹里にそう言い放つー


彼氏と彼女ー

互いにパラサイトに寄生された状態での再会ー

そこに、もはや愛情など存在しないー


「--ふふ、いい子ね」

樹里が宅磨の頭を撫でると、そのまま笑みを浮かべたー


「--ククク…望みのα技術も手に入りー

 新しいしもべも2人増えたー」


スーツ姿の男が笑みを浮かべると、

樹里と宅磨、そして元々乗っ取られている女子大生の玖瑠美が

笑みを浮かべるー


「-ー樹里、次もその”身体”を使ってもらうぞ」

スーツ姿の男が”女”を武器にした、悪事を樹里に指示するー


「ふふふふふ…♡ゾクゾクしちゃう♡」

樹里は、色仕掛けを用いた計画を聞かされて興奮した様子で

そう呟くと、そのまま外へと向かうー


「--お前は樹里をサポートしろ」

スーツ姿の男が言うと、宅磨は頷き、

樹里に向かって「お姉さま…俺も同行します」と、頭を下げたー


「--ふん。わたしの足は引っ張らないでよね」

樹里はまるで女王かのようにそう呟くと、

そのまま宅磨と共に、外へと向かって行ったー。


「---ククク…さぁ、我らはお楽しみといこうか」

スーツ姿の男が、女子大生の玖瑠美に声を掛けると

玖瑠美は、甘い笑みを浮かべながら頷いたー



おわり


・・・・・・・・・・・・・・・・


コメント


元々の意識を安心させて、永遠に乗っ取る…という

狡猾(?)な寄生虫…!


乗っ取られる側は、幻覚と妄想に溺れていき、

最後には、穏やかな気持ちになったまま

永遠に乗っ取られてしまう…

というお話でした~!


お読み下さり、ありがとうございました!!

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