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これはー

とある男子高校生の日記。

彼女が憑依されてしまったことにより、人生が激変しー

最後には破滅してしまった

悲運の男子高校生の戦いの記録である。(第13話)


★前回はこちら↓★

fanbox post: creator/29593080/post/2184724


発生した事件の重要な証拠品として、

現在、警察がこの男子高校生の遺した日記の解析を進めているのだというー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ネズミちゃん発見…くくく」

真面目そうな顔立ちのOLが、晴夫の親友・零夜に対して

銃を向けていたー。


「--ーくそっ!」

零夜が、晴夫のいる牢屋の方を見つめるー。


晴夫は、死んではいなかったー。

まだ、生きているー。


しかしー

虚ろな目で、何かをブツブツと呟いていてー

とても”正気”には見えなかったー


「そいつは、俺たちの薬で、もうボロボロさ」

OL風の女がそう呟いたー


「--俺…」

零夜は手をあげながらも、その女の方を

見つめながら呟いたー。


「---中身は別人ってか…?」

とー。


OL風の女は笑うー。


「くくく…この女の父親が俺たち”闇蜘蛛興業”に

 借金をしていてね。

 金を返せない代わりに、この身体をいただいたのさ」


OL風の女が銃を零夜に向けながら無気味に微笑んだー。


「----……さぁ、ついてきてもらおうか」


その言葉に、零夜は”逆らったら容赦なく撃たれる”と

判断して、渋々その言葉に従うことにしたー。


「---」

連行されていく零夜が、晴夫のほうを振り返るー。


「--必ず、助けに来るからな」

虚ろな目の晴夫に対してそう呟くと

OL風の女に銃を突き付けられながら、

零夜はそのまま歩き始めたー


・・・・・・・・・・・・・・・・


機関銃の音が響き渡るー


闇蜘蛛興業のアジトである工場の中間地点の

あたりまで進んできていた警察官の秀平は、

自分が囮となり、機関銃を引き付けていたー


「ひはははははははっ!」

闇蜘蛛興業の男が嬉しそうに

機関銃を秀平に向かって放ち続けるー


”彼女が憑依された男子高校生”・晴夫は

こんな危険なやつらが背後にいるのにも関わらず、

ひとりで立ち向かい続けていたー


秀平は、”もっと早く力になれていればー”

そう、思いながら、機関銃の攻撃を避け続けるー


3名の部下が迂回ルートを回って、

背後から進んでいるー。


もう少しの辛抱だー。



やがてー

銃声が何発も響き渡って、機関銃の音がやんだー。


「もう大丈夫です!」

部下の一人が叫ぶー


秀平が顔を出すと、機関銃を放っていた男は

背後から迂回した秀平の部下によって

既に射殺されていたー。



「-よし。先に進もう」

部下3人に声を掛けて、秀平は闇蜘蛛興業の本拠地である

工場の最奥部へと向かうー。



そしてーー

ついに、たどり着いたー


「--来たか」

高級そうなスーツを身に着けた男ー

闇蜘蛛興業の会長である田原伸次郎が笑みを浮かべたー。


「た、、助けて…」

制服姿の香里が弱弱しく悲鳴を上げるー。


「---もう大丈夫だー。安心しなさい」

秀平がそう言いながら、銃を田原伸次郎に向けるー。


「----ククク」

香里が不気味な笑みを浮かべるー


香里はまだ”憑依”されたままだー。

”あえて”正気のフリをしているー。


秀平ら、刑事を葬り去るためにー。


「--その子を話せ」

秀平と、他の刑事3人が、闇蜘蛛興業の会長・伸次郎に

対して銃を向けているー


4対1-

直接撃ちあえば、田原伸次郎は確実に死ぬー。

それは、田原伸次郎自身もよく理解していたー


それなりに銃の心得もあるが

凄腕のガンマンのように、この場に駆け付けた刑事を全員

射殺するようなことは、出来ないー。


だからこそ、”正気のフリをした香里”を人質にしているのだー。


「----この小娘を死なせたくなかったら、銃を捨てろ」

伸次郎が言うと、

秀平は迷いの表情を見せるー。


ここで銃を捨てれば、相手の思うつぼー。


それが、分かっているからだー。


「どうした!早く捨てろ!」

伸次郎が叫ぶー


「たすけて!たすけて!死にたくない…死にたくない!」

憑依されている香里が、嘘泣きをしながら叫ぶー


「--…」

秀平が手を挙げて、他の3名の刑事に合図をするー。


秀平を含む4人が、銃を捨てたー。


”一瞬のスキをついて、田原伸次郎を肉弾戦で制圧するー”


それしかないー



「----…よぉし、いい子だ」

田原伸次郎が笑うー。


伸次郎は、笑みを浮かべながらー

4人の刑事を葬り去る方法を、頭をフル回転させながら考えていたー


まさかー

侵入してきた5人中、4人も生き残るとは正直、想定外だったー


だがー

この”憑依されている香里”を使えばなんとかなるー


相手の刑事は、香里がまだ憑依されていることを

知らないのだからー。



「--その子を解放しろ」

秀平が両手を挙げながら言うー。


「--…それはできないなぁ」

伸次郎がうすら笑みを浮かべながら、秀平の方を見つめるー。



その時だったー


「--へへへへへ…人質がもう一匹、増えたぜ」

OL風の女が部屋に入って来るー。


「--!」

刑事たちが表情を歪めるー。


晴夫の親友・零夜が銃を突き付けられた状態で、

OL風の女に連れてこられたのだー。


「----君は…!どうしてここに来たんだ!」

零夜に向かって秀平が叫ぶと、

零夜は「俺だって…晴夫を助けたくて…」と悔しそうに叫ぶー。


「----…その気持ちは分かるー

 だが、こいつらは危険だ」


秀平の言葉に、零夜は悔しそうに歯ぎしりをしながらーーー


秀平の目を見て、何かを言いたげな表情を浮かべたー



「----?」

秀平は一瞬意味が分からなかったー


零夜は”刑事さんなんだから、わかってくれるよな”と

内心で思いながらー

”賭け”に出たー


「---おらあああああああああ!」

零夜が、自分に銃を突き付けているOL風の女の

腹部を思いっきり殴りつけたー


「ぐふっ!」

OL風の女が声を上げて銃を撃つー


しかし、その銃弾は狙いを外して天井に直撃するー


「ーー!」


”一瞬ー”


闇蜘蛛興業の会長・田原伸次郎がほんの一瞬、

零夜の行動に気を取られたー


「-------!」


伸次郎が、気づいたときには手遅れだったー。

刑事・秀平が目の前に迫り、伸次郎の顔面に強烈なパンチをお見舞いするー


吹き飛ぶ伸次郎ー


「こっちだ!」

秀平の部下の警察官たちが、香里を救出するー


「--その子を連れて、先に外へ!」


秀平が叫ぶと、香里を連れた3人の刑事は頷いて、

工場の出口の方に引き返していくー。



「---くそっ!貴様!」

会長・伸次郎が叫びながら

銃を取り出すー


憑依されているOL風の女もまた、銃を手に、

零夜に向かうー。


「---くそっ!!!刑事さん!!

 晴夫は、、この先の牢屋に!」


「--くそ餓鬼がああああ!死ね!!!!!!」

OL風の女が叫んだー


「---!!」

”零夜が撃たれる”

そう思った秀平は、咄嗟に銃を拾ってー

OL風の女の頭を撃ち抜いたー


「がっ……」

そのまま崩れ落ちる女ー


「--うおおおおおおおおおお!」

闇蜘蛛興業の会長・田原もいつの間にか銃を拾っていたー



”このままでは刑事さんが撃たれる”

零夜も秀平と同じようにそう思いー

田原にタックルをお見舞いしたー。


そしてーー

秀平の銃が火を噴きーー

田原伸次郎もその場に崩れ落ちたー



「---…助かった 礼を言うー」

秀平がそう言うと、零夜は「--いえ」と言いながら

「晴夫がこっちに!」と、晴夫のいる牢屋の方を指さしたー。


・・・・・・・・・・・・・・・・・


「---もうすぐ出口だ。もう安心していいぞ」


秀平の部下の刑事のひとりが言うー。


救出された香里は、「ありがとうございますー」と

呟きながら隠し持っていた銃を握りしめて

邪悪な笑みを浮かべたー



<次週へ続く>


・・・・・・・・・・・・・・


コメント


次回が最終回(の、予定)デス~!

憑依された彼女と、それに立ち向かった彼氏が

最後に行き着く先をぜひ見届けてくださいネ~!


今日もありがとうございました~!


※毎週土曜日の男子高校生の遺した日記は

 いつもより少し短いため、100円プランでも読めるようになっています!

(Fanbox)


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