<寄生>パラサイト・ナイトメア②~狂気~ (Pixiv Fanbox)
Content
”パラサイト”を植え付けられてしまった女子高生・樹里ー。
ナイトメアの狙いは、樹里の父親が経営する会社が開発した
新技術・α技術の略奪ー。
力づくで奪い取ることはたやすいが、そうすれば世間が騒ぎ出すー
そうならないためにも、娘である樹里の力が必要なのだー。
樹里にパラサイトを植え付けて、”解放”した
スーツ姿の男は笑みを浮かべるー。
「君は必ず、α技術を我々に提供するー
必ずー」
横にいるラバースーツ姿の女、玖瑠美が微笑むー。
彼女もまた、かつて”パラサイト”を植え付けられて
今は完全に乗っ取られてしまっている被害者ー。
「---君は、狂気に飲み込まれていくー」
スーツ姿の男が、樹里の写真を見つめながら、微笑んだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「---おはよう。よく眠れた?」
兄の声で目を覚ました樹里は、
自分に異変がないかどうかをとっさに確認するー
「--大丈夫?」
樹里から、パラサイトのことも含め、全て聞かされた兄は、
心配そうに樹里のほうを見つめるー。
樹里は「うん…大丈夫」と、鏡を見つめながら呟いたー。
特に自分の外見に異変はないしー
意識もはっきりしているー
頭痛はまだ少しあるものの、昨日よりは、だいぶマシになっていたー
「-------」
スマホを手にする樹里ー。
彼氏の宅磨からは、ブロックされたままー
「--宅磨…どうして」
戸惑いながらそう呟く樹里ー。
「--じゃあ、支度が出来たら病院に行こう」
兄の言葉に、樹里は頷くー。
”パラサイト”なんて訳の分からないものに乗っ取られるわけにはいかないー
樹里は支度を終えると、兄と共に病院に向かったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
今日は休日ー
宅磨は、樹里とのメッセージのやり取りを
見ながら困惑していたー。
”わたし、何かした?”
”わたし、ごめんなさい…!許して、ブロックしないで!
返事をして!!”
”お兄ちゃん さっきはありがとう”
意味不明ー。
昨日の夜から、樹里が意味不明なメッセージを送ってきていることにー
宅磨は戸惑いを隠せずにいたー。
今朝も早速メッセージを送ったが、変身はないー。
「どうしたんだよ、樹里ー」
”異変”は樹里のツイッターにも現れていたー。
樹里のとあるツイートを見つめながらー
宅磨は心配そうに、表情を歪めたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
病院にやってきた樹里は、再び頭痛を感じていたー。
「ーー検査結果ですがー」
病院にやってきた樹里は、
脳外科の先生からMRI検査の結果を知らされるー
脳の中の様子を確認するために受けた検査だー。
だがー
そこにはー
「--特に異常はありません」
先生が優しくほほ笑むー。
「---え…でも…」
樹里が不安そうに言うと、先生も「お兄さんから話は聞いたのですが…」と、
脳の中に”パラサイト”なる存在は、いないと説明したー。
「人間に寄生する寄生虫…
そんなものが存在するとは思えませんが…
ですが、仮に存在していたのだとしても、
今、あなたの脳の中に異物は確認できません」
先生の言葉に、樹里が戸惑っていると、
「--樹里の中に寄生したパラサイトが、
溶けるようにして…
その…検査に写らないような状況になっているということは
ありませんか?」
と、兄が口を挟んだー
先生は首を振るー。
「先ほど、同時に脳波の確認も行いましたが
特に異常は見当たりませんでしたー。
おそらくは植え付けられたというパラサイトとやらが
嘘であったか、
あるいはあなたの身体に適合することが出来ず、
そのまま排出されたと考えるのが妥当でしょうー」
病院の先生の言葉に、
MRI検査の結果の画像を見つめながら、樹里は
一安心するー。
「-頭痛に関してはー」
頭痛は”片頭痛の一種でしょう”と、
頭痛薬を処方してくれた先生ー。
樹里は「ありがとうございました」と頭を下げて、
そのまま病院を後にしたー。
「--あ、樹里!」
兄と共に病院から出ると、樹里のクラスメイトのひとり・美津穂(みつほ)と
偶然遭遇したー。
「あ、美津穂!」
樹里が手を振るー。
兄が「友達?」と小声で言うと、
樹里は「うん!」とほほ笑むー。
美津穂が少しだけ表情を歪めながら
「え~!樹里もこんなところ利用するんだ~!?」と
脳神経外科を指さすー。
樹里は「ちょっとね」と苦笑いしたー。
まさか、美津穂に”パラサイトがどうこう”なんて
説明するわけにはいかないー
頭がおかしくなったと思われる可能性があるー。
「---……」
美津穂が、樹里の手を見つめるー。
「----?」
美津穂は一瞬、そう思いながらも、
「あ、もう行かなくちゃ!」と別の友達と待ち合わせしていることを
思い出して、そのまま立ち去って行ったー。
「---…はは、かわいい友達だな」
兄はそう呟きながら、「ま、とにかく樹里が平気そうで良かったー」
と、微笑んだー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
帰宅した樹里ー。
なんだか、寂し気な感じを感じるー。
こうなってしまったのは、いつからだっただろうかー。
そうだー
「--お母さんとお父さんが、離婚してからだよねー」
樹里は寂しそうに呟いたー。
父親も、最近は仕事でこの家を不在にしていることが多くー
あまり話すことも出来ていないー。
何か、相談したいことがあったのにー
なかなか会えずに、それも忘れてしまったー。
部屋に戻った樹里は、病院で貰った片頭痛の薬を
飲み終えると、そのまま胸を触り始めたー
樹里の、息抜きー
いつも、やっていることー。
「--気持ちいいなぁ…♡」
樹里がニヤニヤしながら胸を揉むー。
「--いつもより、気持ちいいかも」
そんな風に呟く樹里の耳からは
パラサイトが飛び出していたー
がー
樹里はそれに全く気が付かなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・
翌朝ー。
樹里が目を覚ますと、
兄が樹里の様子を見に来たー。
「---調子はどう?」
兄の言葉に、樹里は「うん、だいぶ良くなったー」と、微笑むー。
「そっか、良かったー」
兄が安心した様子で部屋から出て行こうとすると、
樹里は笑顔で呟いたー
「でも、わたしが片頭痛に苦しむことになるなんて
思わなかったなぁ」
とー。
「---」
兄が振り返って樹里の方を見るー
「-片頭痛?」
兄が表情を歪めたー
「--うん。昨日、病院に行ったじゃんー」
樹里が言うと、
兄は表情をさらに歪めたー
”パラサイト”
樹里は、そのことを忘れてしまっていたー。
「---ーー…もう少し、安静にしていたほうがいい」
兄はそれだけ言うと、そのまま部屋の外に出て行ったー。
樹里は、窓の外を見つめるー。
「そうだー」
樹里は、スマホを手にすると、
幼馴染の廉太郎(れんたろう)に向かってLINEの
メッセージを作り始めたー
・・・・・・・・・・・・・・・・
月曜日ー
樹里は、制服を身に着けてー
”学校”へと向かったー。
「--ほんとに大丈夫なのか?」
戸惑う兄に、樹里は「もう大丈夫!頭痛もカンペキ!」とほほ笑むと、
そのまま、玄関から飛び出したー
・・・・・・・・・・・・・
彼氏の宅磨はさらに戸惑っていたー
樹里からの奇妙なLINEが止まらないー
”薬が効いて頭痛もなくなった!よかった~”
と、いう内容のLINEと共に送られてきた写真ー
だが、樹里が持っているのは、薬などではなく、
得体の知れない、不気味な形状のドロドロした団子の
ような物体だったー
”おい!樹里!?なんだそれは!?”
宅磨は、昨日のうちにそうLINEを送ったー
だが、次の樹里からの返事は
”廉太郎くんがいつもそばにいてくれるー”
という意味不明な内容だったー。
「-廉太郎って誰だ?」
宅磨は首を傾げるー
そんな名前のクラスメイトはいないー。
樹里の学校外の友達だろうかー?
だが、そんな名前も聞いたことがないー
浮気でもされているのではないか、と
少しだけ心配になるー。
宅磨は、”今日学校で聞かないと”
とー、樹里に何があったのか、不安に思いながら
学校に向かったー
学校に到着する宅磨ー
だがー
学校には、樹里の姿はなかったー
「------」
戸惑う宅磨ー
結局、樹里は学校にやってこなかったー。
そうこうしているうちに、授業が始まるー。
「---ねぇ…」
昼休みのタイミングでー
樹里の友人である美津穂が、宅磨に声をかけるー。
「ん?」
宅磨が美津穂の方を向くと、
美津穂が小声で宅磨に伝えたー。
「一昨日、樹里が、風俗店から出て来たの…」
とー。
「--!?」
宅磨は困惑した表情を浮かべたー
「--え?」
宅磨が、やっとの思いで言葉を吐き出すと、
美津穂はさらに言葉を続けたー
「それとーーー」
宅磨は、美津穂からの言葉を聞いて、さらに表情を歪めたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ただいま~~~!」
樹里は学校から”帰宅”したー
「---どうだった?」
兄が樹里に向かって微笑むー。
「ーー今日は、保健体育の授業ばっかりだった~!
なんか変だけど、でも、身体も褒めて貰えたし、
お薬も貰えた!」
「体育?ふ~ん」
兄がそう呟くも、笑みを浮かべるー。
「---!」
その”会話”を、部屋から出て来た”母親”が、表情を歪めながら見つめるー。
樹里はそんなことにも気づかず、自分の部屋に戻るー。
樹里の耳からパラサイトが飛び出し、
樹里が、涎をこぼしながら、
ぶつぶつと何かを呟くー
樹里がふらふらと歩きながら、
脳外科で貰った”薬”を口にするー
ドロドロとした泥団子のようなものを口元に運ぶと、
パラサイトが口から顔を出して、それを食べるー
”片頭痛の薬”と称して与えられたのは
パラサイトが樹里の中で成長するための
促進剤だったー
パラサイトはー
着々と樹里を乗っ取っているー。
樹里の脳に定着し、樹里を完全に支配するため、
着々と、侵略を続けているー
・・・・・・・・・・・・・・
「---ねぇ」
樹里の”母親”が樹里の父親に声をかけるー。
「樹里が最近”独り言”しゃべってるんだけど」
母親の言葉に、樹里の父は「樹里が独り言を?」と首を傾げたー
「そういえばここ数日、
変だよなー」
父親も首を傾げるー。
”樹里に話しかけても、反応があいまいなのだー
まるで、樹里が半分夢を見ているかのよう”なー、
そんな感じの反応しか返ってこないー
「---学校で、何かあったのか?」
父は心配そうに、そう呟いたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
宅磨は、学校が終わると、樹里の家に向かっていたー
昨日、美津穂から聞かされた言葉ー
”風俗店から出て来た樹里がね、
誰もいない隣に向かって「うん!」って言ってて、
まるで手をつないでるような仕草をしてたのー
”見えない誰か”が見えているみたいにー”
美津穂の言葉からー
樹里に何かあったと確信した宅磨は、
「--樹里…お前に何があったんだ!」と呟きながら
樹里の家へと走ったー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「-----えへ♡」
樹里が口から涎を垂らすー
パラサイトが、脳の中に入り込んだことにより、
”異物混入”状態にある脳は、
記憶障害と幻覚、妄想ー
数々の障害を起こしていたー
彼氏・宅磨にブロックされたのは、暴走した脳の”妄想”
幼馴染の”廉太郎”も、脳の暴走による妄想ー
廉太郎など、存在しないー
母の離婚は、記憶障害ー
さらにはー
パラサイトが、樹里の脳に”偽りの信号や命令”を送りー
母と父の存在が、目に入らないようになっていてー
”ナイトメア”の研究施設を脳外科だと思い込んでいるー。
同じく、ナイトメアの養成施設を学校だと思い込まされていてー
樹里は完全に、”悪夢”の中にいたー。
パラサイトが人間を完全に乗っ取るためには
脳の抵抗力を弱め、その隙に支配する必要があるー。
強引に脳を支配しようとすればー
身体が拒絶反応を起こし、死に至る危険があるー
だから、少しずつ、支配していくのだー。
「---お兄ちゃんー」
樹里が”何もない空間”に向かって呟くー
「---樹里は何も心配しなくていいーー
”なにもー”」
”兄”はそう呟いたー
樹里に、”兄”などいないー
”兄”は、
パラサイトが作り出した”幻”
パラサイトが脳に刺激を与えて
生み出している”偽りの存在”-
パラサイト、そのものー。
「ーーお兄ちゃん、大好きー」
何もいない空間に向かってそう呟くと、
樹里は、部屋の鏡に向かって抱き着いて、
そのまま「お兄ちゃん」と呟き始めたー
③へ続く
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コメント
寄生された人間が”狂っていく様”を描いている作品なので、
事後よりも、狂っていく様を中心に描いています~!
(ゾクゾク要素は乗っ取られたあとに!)
狂気が次第に深まっていますネ~!
今日もありがとうございました~!