<女体化>男子校に通う女子高生④~決断~(完) (Pixiv Fanbox)
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「なんだよこれ…」
七雄が部屋の中で呟くー
「なんだよこれ…ふざけるなよ…!」
可愛い声で、自分の膨らんだ胸を力強く押すー。
けれど、そんなことをしても、胸が無くなるはずもなくー、
七雄はただ、戸惑うことしかできないー。
「--くそっ…くそっ…いらないんだよお前…!」
自分の胸に対して、憎しみの言葉を吐き捨てる七雄ー。
「なんでこんなに膨らんでるんだよ!!くそっ」
七雄はそう吐き捨てるようにして言うと、不愉快そうに
自分の机を蹴り飛ばしたー
「俺は男だ…
俺は、、俺は…!」
無理矢理低い声を出そうとするー
けれど、どんなに意識をして低い声を出そうとしても、
やはり、七雄の口から出て来るのは
”可愛らしい女の子の声”
ごまかしきれない、現実ー。
どうすることもできない、現実がそこにあるー。
「---なんだよ…なんなんだよ!」
アソコのあたりに手を触れて、
アレがないことにいら立つ七雄ー。
身体が女子になろうとも、自分は男子だー。
少なくとも、七雄はそう思っているし、
そう振るまっているー。
周囲のみんなも”今まで通り”普通に接してくれれば
それでいいー
そんな風に思っていたー。
身体が女子になったからって、特別接し方を
変えたりしていないし、女子であるということを
意識させるようなことや、
女を武器に誘惑するようなことも、していないー
”普通”
ただー
そんな日常があれば、満足だったのにー
現実は、厳しかったー。
”それじゃ”ダメだったー。
日に日に、周囲のクラスメイトたちの接し方が変わって行くー。
”同性”ではなく”異性”に対する接し方にー。
男子トイレを使うこともできなくなりー
体育の授業前に同じ部屋で着替えることもできなくなりー
挙句の果てに、親友の照也に襲われてしまったー。
「--照也…すまねぇ…」
可愛い声でそう呟く七雄ー
照也が七雄を襲ったのは
七雄が”身体が女子になったのに男子として振舞っていた”せいだとー
つまり、自分自身のせいだと、七雄は考えていたー
平気で男子の前で着替えたりー
平気で今まで通り接したりー
そんな、自分の行動が、親友である照也の理性を壊してしまったのだとー。
照也は今、自分のせいで停学処分になってしまったのだと、
七雄は、そう思っていたー
”男子として、自分は今まで通り普通に振舞うし、
みんなも気にせず、今まで通り普通に接してほしいー”
そんなことはーー
”無理”だったのだー。
「--俺は……どうすりゃいいんだよ…」
七雄はそう呟くと、しばらく”自分のこれから”を考えたー。
「---------」
クラスメイトたちの顔が浮かぶー。
親友の照也の顔が浮かぶー。
照也に襲われた際に、
七雄は”男子”に対して恐怖を抱いてしまったー
女子になった自分の身体ではーー
照也に抵抗することができなかったのだー
次第に、自分が、”男子校”に行くことに恐怖を
抱いてしまっていることにも、気づいていたー。
「----」
七雄は、鏡を見つめながら立ち上がるー。
そして、父・功と母・丸江に”話があるんだ”と言うと、
七雄は、今までの学校での出来事を話し始めたー
自分としては普通に男子として扱ってほしかったことー
だから、今まで通り普通に振舞っていたことー
けれど、日に日に周囲の反応が”異性”に接する反応に変わったことー
親友の照也のことー。
「--俺…自分が元に戻れる可能性があるのか、知りたい」
七雄の言葉に、父・功は表情を歪めるー。
「--俺、病院で診察を受けたいー。
自分の身体に、何が起こってるのかー」
七雄が真剣な表情でそう言い放つと、
母の丸江は、父・功の方を見つめるー。
功は少し考えてから、口を開いたー
”朝、起きたら女になっていました”
そんなことを病院で言っても、頭のおかしなやつだと
思われるだけで、まともに取りあってもらうことは出来ないー。
父・功はそう判断して、七雄が病院に行くことに
反対していたー。
当初、七雄本人も病院に行くつもりはなく、
前向きに考えていたために、それでよいと思っていたー。
だがー
今の七雄は違うー
自分が女になってしまったことを、本気で悩んでいるー。
「俺、知りたいんだー
自分が男に戻れるのか、それとも、戻れないのかー。
そして、その上で自分の未来を考えたいー」
七雄のまっすぐな視線を見つめてー
功は頷いたー
「わかったー…
なんとか、お前の身体を見てくれる先生を見つけてみる」
いきなり病院に行っても”おかしなやつ”扱いされるのは
目に見えているー。
だからー…
事前に調べる必要があったー。
「--ありがとう、父さん」
七雄はそう言うと、
「俺、どうなるのかなぁ」と少し寂し気に呟いたー
・・・・・・・・・・・・・・・・・
七雄は、すっかり”自分が女子”であるかのような
振る舞いを高校でするようになったー
周囲を避けるような感じにもなったー
”性的な対象として見られるこの身体”
”男子に力で制圧されたらどうにもならないこの身体”
その状況が、怖かったのだー
自分がどんなに男子として振舞っても、
周囲は、そう見てはくれないー。
それどころか”女の身体で男子として振舞う”ことで、
親友の照也のような”暴走”を招いてしまうー。
数日後ー
照也が停学から復帰したー。
照也に呼び出された七雄は、
空き教室ではなく、正門前を指定したー
照也は少し考えてから
「そっか…怖いもんな」とだけ、呟いたー。
正門前にやってくると、
照也は「本当にすまなかった」と、頭を下げたー
「--お前はお前だって分かってるんだけど…
でもさ、、身体はどう見ても女子だし…
いや、女子だったら襲うとかそんなことはねぇんだけど…
お前が男として振舞ってるし、
お前は親友だし…
なんかもう、頭が、、頭がバグっちゃって、、俺…」
そんな照也に、七雄は「俺のほうこそ、ごめんな」と
呟いたー。
「---」
照也が七雄の方をみるー
「--中身は俺でもーー
そうだよな…こんな声だし、胸もあるし、肌も…
ここにアレもついてねぇ…
無理があるよな…
俺、”自分がいつも通り振舞ってれば”
みんなもいつも通りだって、そう思ってたー
でも、無理だよなー
俺の方こそ、ごめん」
どんなに男子として振舞っても
”身体は女子”の七雄が男子トイレに入ってきたり
同じ部屋で平気で胸を晒して体操着に着替えたりしていれば
周囲の頭が混乱してしまうのは、無理もないー。
七雄も、それを自覚することができたー。
「--ごめんな。照也」
七雄がそれだけ言うと、照也は
「そんな…そんなこと言われると、また俺の頭がバグりそうだ…」と
苦笑いしたー
そして、数日後ー。
七雄の身体を診察してくれる病院が見つかったー
表沙汰にはなっていないものの、過去にも”数例”
七雄と同じような人間がいて、
その診察経験もある先生が見つかったのだー。
田上医院という、隣県にある診療所で、
そこの先生、田上凛子(たがみりんこ)先生が、
診てくれるのだというー。
早速、土曜日を利用して、
父親の功は有給を取得し、一緒に田上医院へと足を運んだー
色々な身体の検査をされてーー
田上先生は首を振ったー
「結論から言うと、身体の構造は完全に”女性”のモノに変異していますー。
おそらく、もう、元には戻れないでしょう」
田上先生が言うー。
「--で、でも、俺、急にこうなったのでー
また、急にーー」
「----その可能性は、低いです」
田上先生が呟くー
「--朝起きたら急に性別が変わっていたー
そういう状況になる人間は”ほぼ”いませんー。
可能性としては0.1以下…
いえ、本当に、ほぼ0の確率です。
あなたが、もう一度”朝、急に起きたら男になっていた”という
状況になる確率は、ほとんどないー
ということです。」
田上先生は言うー
”朝起きたら性別が変わる”原因は不明ー
けれど、何億人にひとりー
いや、もっと低い確率でその現象が起きる人間がいる、
とー。
”何億人にひとり”レベルの確率の出来事が、もう一度、七雄に起きる
可能性は、ほぼ0に等しいー
つまり、戻れないと考えるのが現実的でしょう、と
田上先生は付け加えたー
「----…じゃあ俺…”女”として生きていくしかないってことですか?」
その言葉に、田上先生は言葉を詰まらせたー
だが、七雄は既に覚悟はしていたー
「-大丈夫です。本当のことを、はっきりと、教えてくださいー」
七雄の言葉に、
父・功も、戸惑いながら田上先生の方を見つめたー
田上先生は少しだけ微笑むと、
はっきりと断言したー
「--そうです」
とー。
そして、田上先生は、七雄の方を見て、
小声で呟いたー
「---わたしも、あなたと同じーー」
とー。
「--え?」
七雄が驚いて聞き返すと、
田上先生は、もうそれ以上何も答えなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・・
「---今日から、新生活か」
父・功が呟くー
「---あぁ」
七雄がうなずくー
七雄は学校の制服に着替えー
そして、鏡を見つめるー
あれから1カ月半ー
七雄の髪は再び、伸びていたー。
綺麗に整えられた黒髪ー
程よいメイクをしてー
七雄が身に着けていたのは、女子高生の制服だったー
スカートを見つめながら
「まだ慣れないけど…」と苦笑いする七雄ー。
「--でも、俺、頑張るよ」
七雄の言葉に、父・功は、頷いたー。
七雄はーー
男子校を退学したー。
”俺、もう、みんなと一緒にはいられないー”
最後の日ー
みんなの前で七雄はそう言い放ったー。
”俺はみんなと一緒にいたいー
でも、この身体で、ここにいれば、
俺はみんなを壊してしまうー”
とー
そして、七雄は自分の運命を受け入れてー
”女”として生きていくことを決めたと言い放ったー
「女になりたかったわけじゃないー
でも、別に俺は性別とか、あんまりこだわりもないからさー。
もう、、なんかほら、吹っ切れたからー
ラッキーって思うことにしたんだー」
きょとんとするクラスメイトたちに、七雄は言い放ったー
「普通は「男」か「女」どっちかしか、味わえないだろ?
でも、俺は1回の人生で両方知ることができるんだー
だから、なんか、ラッキーなのかなって…
前向きに、さ」
七雄は、笑顔だったー
最後にクラスメイトに、七雄はこう言い放ったー
「--将来、もしどこかで再会したらー
その時は、お前たちが惚れるぐらいの女になっててやるぜ」
と、笑いながらー
・・・・・・・・・・・・・・・
そして、今日ー
七雄は、女子高に転入したのだー。
照也の件から、男子に対する恐怖心が
まだ残っている七雄は、女子高を選択したー
決して、下心からではないー。
田上先生のサポートも得て、
七雄は、菜々緒(ななお)という名前を手に入れて、
名実共に、女子として生きていく道を手に入れたー
新しい高校の教室入った彼ー
いや、彼女は、
笑顔を新しい同級生たちに振りまいたー。
「---今日からお世話になる
杉原 菜々緒ですー
よろしくお願いしますー」
数年後ーーーー
「---」
大学生になっていた照也は
学園祭の海上を歩いていたー
その時だったー。
「---久しぶり」
背後から女に声を掛けられた、七雄の親友・照也は振り返るー
とても綺麗な女性が微笑んでいるー
「--え?」
照也は”人違い?”と思い、「え…どちら様ですか?」と
首を傾げると、
その女性は口を開いたー。
「--ーーふふ、わたし、すっかり女らしくなったでしょ?」
とー。
その言葉に、照也は「お前もしかして…」と
顔を赤くしながら呟いたー
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
男子校の男子高校生が女体化してしまうお話でした~!
色々壁にぶつかることもありそうですが、
本人が前向きなので、ハッピーエンド…ですネ~!たぶん…!
お読み下さり、ありがとうございました~~!