<入れ替わり>わたしは、わたしに殴られた③~悪女~ (Pixiv Fanbox)
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「--おはよう」
入れ替わった翌朝ー。
美空になった哲司が低い声で言い放ったー
「---お・は・よ・う」
脅すような口調の美空(哲司)-
「お、、おはよぅ…」
哲司(美空)はすっかり怯えてしまっていたー
美空(哲司)の顔には打撲があるー。
昨日、哲司に”暴力を振るわれることの痛さ・辛さ”を
分かってもらうために、
哲司の身体になった美空が、
美空の身体になった哲司を殴った時のものだー。
圧倒的な身体能力の差ー
入れ替わったことにより、確かに、立場は”逆転”したはずだったー。
だが、すぐに形成は逆転してしまったー。
美空の身体になった哲司は、すぐに
”美空の身体を悪用すること”を思いついてしまったのだー
”女”という立場を利用してー
悪魔のようなことを口走ったのだー
”お前をDV夫に仕立て上げて、親権も奪ってやる”
とー。
哲司(美空)はゾッとしたー
そこまでは、考えつかなかったー
確かにー
入れ替わったこのままの状態で、
美空(哲司)に騒がれれば、
哲司の身体になっている美空は
”暴力夫”として扱われてしまうだろうし、
親権もほぼ間違いなく奪われるー。
「ーー昨日はよくもやってくれたなぁ」
美空(哲司)が、哲司(美空)の腕を掴みながら言うー。
哲司(美空)は、
”わたしがこんな怖い声を出せるなんて…”と
美空(哲司)の方を見つめながら怯えた様子を見せるー。
「--テメェのこと、絶対許さねぇからな」
美空(哲司)は、美空の声でそう言うと、
哲司(美空)を容赦なくビンタしたー。
「-これからは俺が、”お母さん”だー。
お前は俺として働くんだ」
美空(哲司)がイスに座って足を組むー。
美空が最近は全然履いていなかった
ミニスカート姿で、哲司(美空)を見つめる美空(哲司)-
娘の愛は、今日も泣きじゃくったままー。
「--おら、さっさと仕事に行く準備しろよ」
美空(哲司)がうすら笑みを浮かべながら叫ぶー。
「--わ、、わたしの身体…返してよ!」
哲司(美空)が叫ぶー。
しかしー
美空(哲司)はニヤニヤしながら反論したー
「--入れ替えたのはお前だろ?
お前のせいでこうなったんだよ。
なんか文句あるのか?
あぁ???」
美空(哲司)が怒鳴り声をあげるー
美空の声でも、こんなに恐ろしい声が出るー。
哲司(美空)は、「--それは、、あなたに、暴力の辛さを
分かってほしかったから!」と怒りの形相で言い放つー。
それでも、美空(哲司)は取り合わなかったー
「あ~~~~昨日殴られたここ、痛いなぁ~~~!
夫にDVされましたぁ~って、言っちゃおっかなぁ~~~?」
美空(哲司)が笑いながら言うー。
「-そしたら~~暴力夫としてお前は逮捕かもなぁ~~
親権も俺の、、いいや、わ・た・しのになるなぁ~~~」
美空(哲司)の悪魔のような言葉に、
哲司(美空)は震えながらーーー
仕事に向かう準備を始めるー
「--ほら、そうだよ!これからはお前が哲司だ!
そして、俺が…いえ、わたしが美空…♡ふふふ」
美空(哲司)にそう言われてー
哲司(美空)は震えながら、そのまま哲司の職場へと向かったー
「---ふふふふふ あのバカ女、身体だけはエロイからなぁ」
家で一人になった美空(哲司)は笑いながら
胸を揉み始めるー
「くくくっ…へへへへへへ!あはっ…気持ちイイ…やべぇ♡」
美空(哲司)が下品な笑みを浮かべながらエッチなことをし始めるー
興奮した獣のような表情で、服を脱ぎ捨てると、
そのままその場で、激しいエッチを初めてしまう美空(哲司)-
娘の愛が泣きじゃくっているのもお構いなしで、
泣き声を打ち消してしまうぐらいの大きな喘ぎ声をあげると、
やがて、美空(哲司)は娘の愛のすぐそばで
激しくイってしまったー
・・・・・・・・・・・・・・・・
哲司(美空)は出社したー
何も、分からないー
哲司の仕事の内容は、ある程度は知っているー
けれど、”外部の人間として”ある程度知っているレベルでは
職場内での仕事のやり方も
人間関係も、何もかもが分からないー
案の定ミスを連発してしまいー
上司から罵倒されー
先輩から罵倒されー
後輩から蔑まれたー。
人間性を否定されるようなことまで言われたー。
職場の雰囲気は”最悪”-
何人もうつ病になって退職した部署ー
夫・哲司の勤務先部署は美空の想像以上に酷い部署だったー
恐らく、哲司が悪魔のような人間に変わってしまったのは
この部署が最大の原因なのだと思うー。
とは言えー、
今までの暴力や暴言を許すつもりはないー。
美空だって最初は必死に哲司を支えようとしたし、
そもそも哲司は、ほとんど相談もしてくれなかったー。
「----」
哲司(美空)は、お昼になるころには、耐えられなくなって
逃げるようにして、トイレに引きこもったー
「---どうしよう…どうしよう…」
哲司(美空)は座ったまま、慣れない”男としてのトイレ”を
済ませるー
”入れ替わって復讐してから離婚しよう”
などと、余計なことを考えた結果が、これだー。
「--復讐なんて考えたから、罰が当たったのかな…」
哲司(美空)は悲しそうにそう呟いたー。
トイレの個室から出て、トイレの鏡を見つめる哲司(美空)ー
皮肉なことに、今の”哲司の顔”は、
優しかった頃の哲司の顔だったー。
最近は険しい表情、怒った表情ー
そういうのばかりだったー
こういう、悲しそうな表情や、穏やかな表情は、
もう1年以上見ていない気がするー。
「----哲司ーー」
仲良しだったころー
幸せだったころー
そんな日々を、ついつい思い出してしまう哲司(美空)ー
最初から、哲司の本性はこうだったのかー
それとも、過酷な勤務体系や環境が、哲司本人の人格を捻じ曲げてしまったのかー
それは、分からない。
それでも、もう”離婚”しか道は残されていないことを悟るー。
「ーー早く、身体を取り返して、離婚しなくちゃ」
哲司(美空)は、改めて”離婚”以外の道がないことを確信するのだったー。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「---」
夜遅くー
ようやく帰宅した哲司(美空)ー
それに気づいた美空(哲司)が、
「-おら!早く飯作れよ!」と叫んだー。
「---え」
哲司(美空)は唖然とするー。
「--ほら!お前がいねぇから、ごはんも、お風呂も、洗濯物も
何も終わってねぇぞ!」
美空(哲司)は乱暴な口調で叫んだー
「む…無理に決まってるでしょ!
そ、それに、そういうのはいつもわたしが…!」
美空はちゃんと家事をしっかりこなしていたー。
それなのに、美空になった哲司は”何も”していなかったー
「--あ~~~~~~~~~~~!!!!」
美空(哲司)が突然大声を出したー
「昨日、殴られたところ、いったいなぁ~~~~~~~~~~~!!」
とー。
”口答えすんな”
そういう、メッセージ。
”お前をDV夫に仕立て上げて、親権を奪うことなんか、簡単なんだぞ”
と、いう、メッセージ。
「--いい加減にして!」
哲司(美空)は、鋭い目つきで美空(哲司)を見つめたー
にらみ合う二人ー
娘の愛が目を覚まして再び泣き出してしまう。
「おら!!飯作れよ!洗濯しろよ!風呂も準備しろよ!
おら!!このクソ野郎が!」
美空(哲司)はそう叫ぶと、哲司(美空)に暴力を加え始めたー
咄嗟にガードしようとすると、美空(哲司)が
「ーー親権、奪っちゃおっかな~?」と、笑うー。
哲司(美空)は、もはや何もすることができなかっうたー。
哲司の身体であれば、美空の身体を押しのけることは簡単だー。
でも、抵抗できなかったー
”抵抗すれば、女という立場を悪用して親権を奪う”
そう、宣言している美空(哲司)に手出しなど、
出来るはずもなかったー。
「ーーおら!おら!調子に乗りやがって!おら!!!クソが!」
美空(哲司)が、荒々しく、哲司(美空)を
グーで何度も何度も殴りつけたー
哲司(美空)はひたすらそれに耐えるー
”わたしは、わたしに殴られているー”
そんな状態になってしまっている哲司(美空)-
「俺をなめるんじゃねぇぞ!おら!」
怒鳴り声をあげる美空(哲司)-。
哲司(美空)は反撃することもできなかったー
哲司の身体なら、反撃できるのにー
それでも”DV夫に仕立てる”と脅されて、
”親権を奪う”とまで言われてしまったらー
どうすることも出来ないー。
「-はははは!それでいいんだよ!
お前は俺に従ってればいいんだ」
美空(哲司)はそれだけ言うと、
ボロボロになった哲司(美空)の側に近寄って
哲司(美空)の頭を乱暴に掴んだー。
「---俺は、お前を守りたいんだ」
優しい口調で言う美空(哲司)-
「--お前はさ、社会で生きていくための能力がないー
お前は、馬鹿だからさー
俺が守ってあげなくちゃいけないんだ」
美空(哲司)が哲司(美空)の頭を優しくなでるー。
いつものことだー。
暴力や暴言ー
それらを散々繰り返したあとに、哲司はいつも美空に優しくするー。
無意識なのかー
意図的なのかー
それは、分からないー
ずっと泣いている愛ー。
このままじゃいけないー。
美空は、なんとかこの状況を逆転する方法を考えたー。
反撃することも許されないー
今の哲司は、美空の身体ー
世間からすれば”女”であり、”母親”だー。
美空の身体で、”夫から暴力を振るわれた”と叫びー、
親権を取ろうと、美空(哲司)が本気で思えばー
恐らく哲司(美空)は簡単に親権を奪われてしまうー
とは言え、
”このまま”美空になった哲司の言いなりになり続けるわけにもいかないー
もう、哲司の改心は望めないー。
「--」
哲司(美空)は数日後、会社に辞表を叩きつけたー。
忍耐力がないー、のではないー
”明らかに”おかしいのだー。
こんな部署にいれば、哲司が狂ってしまうのもよく理解できるー。
もちろん、哲司のしていることは許されないけれど、
哲司が豹変してしまった点については、一定の理解を示さざるを得ないほどに
この部署は酷かったー。
部長がギャーギャーと騒いでいたものの、
哲司(美空)はそれを無視するー。
”言ってくれればー…
言ってくれれば、わたしもまた働いて…一緒になんとか
やっていくこともできたかもしれないのに”
そんな風に思いながら、辞表を叩きつけた哲司(美空)は、
ため息をついたー。
「------」
入れ替わり薬の販売元は、姿を消していたー
もう、入れ替わり薬を手に入れることは出来ないー。
「---どうしよう…」
哲司(美空)は、空を見上げるー
このままじゃいけないー。
元の身体に戻りたいー。
けれど、もしも、それが無理ならー
とにかく、哲司の暴力を止めないといけないー
哲司を愛から、引きはがさないといけないー
話し合いで解決できるレベルではないー
もうーー
戻れないー
美空の身体を手に入れて
”悪女”と化した哲司をどうにかしないといけないー。
「--哲司」
拳を握りしめた哲司(美空)は、”ある決意”をしていたー
④へ続く
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コメント
次回が最終回デス!
DV夫との入れ替わりの結末は
ダーク?それともハッピー?
ぜひお楽しみくださいネ~!
今日もありがとうございました!!