<憑依>就活生 ご乱心②~戸惑いの面接会場~(完) (Pixiv Fanbox)
Content
面接会場ではー
5人の面接官と、2人の就活生が唖然としていたー。
部屋にいる人間ー
8人の中で唯一笑みを浮かべていたのはー
たった今、面接会場で、信じられない行動をした女子大生ー、
美姫だけだったー。
美姫のスカートは濡れー
足元には、水が垂れているー。
美姫は、人生の今後を左右するであろう
大事な面接の最中に、放尿したのだー。
ごく普通の就活生だった美姫ー。
地獄のような家庭で育ち、
父親は暴力、母親は浮気を繰り返したー
そんな中、美姫の希望だったのは、兄の健治だけー。
今は、健治と共に、実家を離れて暮らしているー
そんな健治に応援されて、今日、企業の面接にやってきた美姫ー。
しかし、美姫は面接の最中に、突然豹変したー。
まさか、こんなことになるとは、美姫本人も、夢にも思っていなかっただろうー。
この面接会場に向かう最中、
公園のベンチでコーヒーを飲んでいた怪しげな男・沢村順太郎に
睨まれていたことなど、美姫は全く知らないー。
就職活動に苦い思い出のあるその男は、就活生を憎んでいたー
そして、その男は”憑依薬”をネットで手に入れて、
就活生の人生を滅茶苦茶にしようと思っていたー
その結果、犠牲になったのはーー
・・・・・・・・・・・
「---ーーーっ… っ」
左隣の女性就活生・純恋は、先ほどから美姫の奇行に
極力反応しないようにしていたが、さすがに限界なのか、
顔が引きつっているー。
「--ちょ!?やばっ!?もしかしてずっと、我慢しながら面接を…?!」
右隣に座っている男性就活生の創は戸惑いながらそう、口を開くー
美姫の奇行は、”トイレを我慢していたからだ”と、
自分で自分を無理やり納得させるかのように、創は、
美姫の方を見て、ひたすら困惑していたー
「は~~~~!お漏らししちゃった!えへっ♡」
美姫がスカートを濡らしたまま、ピースをするー。
5人の面接官も、もはや
”開いた口がふさがらない”という状況だったー。
「---」
真ん中に座る比較的若めの眼鏡をかけた男性面接官も、
さすがに動揺しているのか、顔が引きつっているー。
「----面接」
美姫が、イスに座って足を組むと、笑みを浮かべながらそう呟いたー
「あ?」
年配の面接官が怒りの形相で美姫を見るー。
数々の面接に携わってきたこの年配の面接官は、
今までにも色々な”問題児”を見てはきたがー
そんな彼ですら、今の美姫のような”超・問題児”と
遭遇したことはなかったー
「--続けましょうよ、面接」
美姫が足を組みながら、面接官に言い放つー。
「---君ーーいい加減にー」
端の方の座席に座っている”目立たないおじさん”という感じの
面接官が、声をあげるー。
「--面接続けろってんだよ!!!!あぁぁ??こら!!」
まるでヤンキーのような大声を出す美姫ー。
急な美姫の”豹変”にー
面接官の方が、萎縮してしまうー
眼鏡の若い面接官が咳払いをすると
美姫の方を睨むようにして、次の質問を続けたー。
「-コホン…学生時代で、一番印象に残っていることはー?」
若い眼鏡の面接官も、”表”に出さないようにしてはいたものの
動揺していたー。
やっとの思いで、絞り出した”質問”は
テンプレートのようなものになってしまい、
元々しようとしていた質問を忘れてしまっていたー。
「---」
最初に指名された純恋が、無難な回答をするー。
「--い、、いやいや、まずいでしょ?
ちょ、え?一体何考えてるんですか?」
男性就活生の創は、お漏らしした美姫を
指さしながら、「いやいやいや、こいつふざけすぎだろ!」と
怒りの形相で叫んだー。
さすがに我慢の限界だったー
「こいつ、つまみ出してくださいよ!
一体なんなんですか?
俺と、そっちの子は、今日のために頑張って来たんですよ!」
創が、純恋の方を指さしながら言うー
「それがなんなんすかこの女!
こいつのせいで、俺たちペース乱されて…」
面接官の方を、半泣きで見つめる創ー
”絶対にこのおかしな女の巻き添えで俺は落ちるー”
と、創は、絶望してしまっていたー。
「ふざけんじゃねぇよ!」
創が、足を組んで座っている美姫に向かって怒鳴り声をあげるー。
美姫は鼻をほじりながら、馬鹿にした様子で
創を見つめるー
”なんだこの女”-
創はそう思いながらも、怒りの形相で美姫に「出てけ!」と叫ぶー。
”ククククー
醜悪すぎる女だろ?へへへへへへ”
美姫は、邪悪な笑みを浮かべるー
これで、美姫の”就活”は失敗だー。
美姫が、希望していたこの会社に入社することは
まず無理だろうし、
美姫自身、再起不能なダメージを受けたはずだー
「--出てくのはテメェだよ」
美姫は男言葉で叫びながらイスから立ち上がるとー
創を無理やり押して、面接会場から追い出そうとし始めたー
面接官が「いい加減にしろ!」と騒ぐー。
美姫はそれを無視して、創を外に追い出すと、
「--お前、意外と可愛いなぁ」と、もう一人の就活生・純恋に
絡み始めたー
純恋は、怯えていたー
あまりにも美姫の行動が”おかしい”からだー。
純恋は、美姫とは何の面識もないからー
”普段の美姫”のことは全く知らないー
だがー
面接会場に入るまでー
控室にいた段階ではー
こんな子には見えなかったー
「--えへへ 女のコどうしなんだから、逃げるなって」
グフグフ言いながら、美姫が純恋に無理やりキスをし始めるー
もはや、5人の面接官は唖然としたままー。
「-学生時代で一番印象に残ってることは~!
仲良しの女の子と~こうして毎日キスをしていたことで~す♡」
美姫が笑いながら言うと、悲鳴をあげる純恋に何度も何度もキスをし始めたー
やがてー
「へへっ脱げよ!ほら、全部晒せよ」
美姫が、純恋を押し倒して、そのまま上に乗るとー
純恋のスーツを破くようにして、脱がせ始めたー
年配の面接官が「なんなんだお前は!」と机を叩いて大声で叫ぶー。
もう一人の面接官と共に、美姫を取り押さえるとー。
美姫はゲラゲラと笑ったままー
”完全に狂っている”
5人の面接官はそう思ったー。
眼鏡をかけた若い面接官の男が、
純恋に「別室でお待ちください。面接は仕切り直ししますので」と、
説明し始めたー。
泣きながら部屋から退出する純恋ー
部屋にはー
面接官5人と、美姫だけが残されたー
美姫は、スーツを脱ぎ捨てながら笑うー
「おら!!お前らもドキドキしてたんだろ?
就活生の女が、こんなことしてさぁ!」
胸を触りまくる美姫ー。
面接官たちは、完全に唖然としているー。
「ーーほら!!ぁっ♡ ほらぁ、、わたしの色っぽい声!
聞かせてやるぜぇ~~!」
下着姿になって、スカートを若い眼鏡の男性面接官に
投げ付けるー
”警察を呼ぼう”
面接官のひとりが、そう提案するもー
”待て”
と別の面接官がそれを静止するー。
”こんなことがニュースになったら、我が社のイメージもダウンするかも”
とー。
そうこうしているうちに、美姫は、面接会場の机の角で
一人、アソコを刺激して気持ちよさそうに身体を動かしているー
年配の男性面接官が、激怒しているー。
「--ーそういやさ、面接で最後に”何か質問ありますか?”って
やつ、あるよな?
それ、しなくていいの?」
美姫が、ゲラゲラ笑いながら言うー。
下着姿で面接会場をウロウロしながら、美姫は椅子に座ると、
「おら!わたしに言えよ!何か質問はありますか?ってよぉ!」
と、叫んだー。
もはや、乱暴な口調を隠すつもりもないー。
「--質問は、、あるのか?」
面接官も怒りの形相で言うー。
「--あぁ。あるよ。」
美姫はヘラヘラ笑いながら、
「-痴女を目の前にして、お前ら興奮とかしねぇのか?」と、
面接官たちに質問したー。
「-----」
面接官5人は、唖然としているー
美姫は”もう十分だな、就活大失敗”と笑みを浮かべると、
そのまま乱暴に脱ぎ捨てた服を拾い、乱したまま着ると、
鼻歌を歌いながら堂々と面接会場を後にしたー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「----ぁ……」
美姫は、公園で意識を取り戻したー
「--え…え…?」
美姫が周囲を見渡すー。
自分の服が乱れているー
いやー
それだけじゃ、濡れているー?
「--な、、なに…これ…?」
美姫は状況を理解できずに戸惑うー
自分は、面接直前だったはずー。
時計を見る美姫ー
面接時間が既に終わっているー。
「---え」
美姫が慌てて会社の方に走っていくー。
しかしー
「-ふざけんな!あんたのせいで!ふざけんなっ!」
同じ面接グループだった純恋が、怒りの形相で、
美姫の方を睨むー
もう一人の創も、ちょうど面接会場から出てきて
美姫を睨んだー。
「え…え…?」
「--この痴女野郎!」
創がそう叫ぶー
美姫は訳が分からなくなって公園の方に逃げ帰って、
そのままベンチで頭を抱えたー。
「-----きみも、就活に失敗したのか?」
ベンチの隣でうなだれていた男ー
就活生を憎む、沢村順太郎が、美姫に声を掛けたー。
「---え」
美姫が順太郎の方を見るー。
順太郎はすぐに「あぁ、いや、頑張れよ」と呟いて、
目を逸らすと、その場から歩き出すー。
「--はぁぁ~~」
深くため息をつく順太郎ー。
就活生への憎しみから、憑依薬を手に入れた順太郎は、
就活生を滅茶苦茶にしてやろう、と今日、この場に
やってきていたのだが、結局、小心者の彼は
憑依薬を使うことはできなかったー。
憑依薬の容器を放り投げて、踏みつぶす順太郎ー。
彼は、美姫に憑依した人間ではなかったー。
・・・・・・・・・・・・・・
美姫が泣きながら帰宅するー
兄の健治は、”美姫が面接に失敗したこと”を悟るー
無言で美姫を抱きしめて、なぐさめる健治ー。
健治は、美姫のことを可愛そうと思いつつも、
少しだけ笑みを浮かべたー
”就職してちゃんとお金を稼げるようになるまで”
美姫は、健治にそう言っていたー。
ちゃんとお金を稼げるようになったら
”お兄ちゃんに迷惑をかけないように”と
別々で暮らす、とそう言っていたー。
だがー
面接に失敗した、ということはー
”美姫とまだ一緒にいることができるー”
「--美姫のことは、俺が守るからー」
健治はそう呟くと、静かに笑みを浮かべたー。
・・・・・・・・・・・・・・・
「---はははははっ! ははははははははっ!」
面接直前の美姫に憑依して
美姫を滅茶苦茶にした男が笑っていたー
「ははははははは!テメェの人生、滅茶苦茶にしてやったぜ!」
憑依薬の容器が、床に転がっているー
汚らしい部屋で、美姫の写真を見つめながら笑う男ー
彼こそがー
面接直前の美姫に憑依して、
美姫を滅茶苦茶にした張本人だー。
「ひゃはははははははははは!
俺を裏切った、罰だー!」
その男ー
美姫と兄・健治の父親は、
そう叫びながら、
美姫の写真をぐしゃぐしゃに丸めて、
ごみ箱に放り投げたー
”俺を裏切って、実家を出た、罰だー!”
美姫の父親は嬉しそうに、そう叫んだー。
おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
コメント
面接中に憑依されてしまうお話でした~!
「あんなことをしたのに、実は面接官のひとりが社長で
合格です!」エンドも、考えていたのですが
さすがに放尿して合格はないですネ、ということで、
この結末にしました!笑
お読み下さりありがとうございました~!